徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】幸福相談#7

TBS 1972年7月18日

 

あらすじ

夏目(倍賞千恵子)と一郎(山口崇)は、映画館で空席をひとつ隔て、落ち着かない雰囲気で映画を見ていた。映画が終わり、夏目は一郎から夕食に誘われるが断ってしまう。しかし結局はともにして…。

2024.6.7 BS松竹東急録画。

peachredrum.hateblo.jp

松田夏目:倍賞千恵子…昼はOL、夜は占い師の28歳独身。字幕黄色。

*

新田一郎山口崇…新田厨房工事店社長。字幕緑。

*

松田南:沢田雅美…夏目の妹。19歳。

新田道夫:小倉一郎…新田家の五男。20歳。

*

新田研二:倉石功…新田家の次男。27歳。

新田麗子:木内みどり…精四郎の妻。

*

新田精四郎:山本コウタロー…新田家の四男。

新田英三:鹿野浩四郎…新田家の三男。25歳。

*

佐山:中井啓輔…道夫の働くレストランのコックのチーフ。

妙子:西条まり…夏目の同僚。

*

北見八郎:森次浩司…グラフィックデザイナー。

*

新田サク:小夜福子…新田家の母。

*

監督:川頭義郎

 

街を歩いている道夫と南。あんなふうに宣言して、いよいよあとに引けなくなったと話し合う。一郎も夏目も気が強くて怒っているだろうけど、戦って勝ち取らなきゃダメ。戦闘開始の突撃ラッパみたいなものだと南が言う。

 

道夫「いろいろと厳しいぞ」

南「平気よ。生活力なら任しといて」

 

南は一郎と夏目が映画に行ったか気にするが、道夫は一郎兄貴が映画になんか行くわけないと言う。

 

映画館

映画:女性「Is that true?」

映画:男性「Of course」

映画:女性「You mean you really love me? A woman like me? A woman with my past?」

映画:男性「I do…I do」

 

一郎と一席あけて夏目が座っている。一郎は上着を脱いだり落ち着かない様子で封筒を落とした。

 

映画:女性「I knew it」

 

拾おうとした夏目と一郎の手が触れ合う。

 

映画:女性「He's betrayed me.Now I have to kill for it. To murber for it」

 

夏目が手を引き、一郎が封筒を拾う。

 

映画の画面はもちろん映らないので何の映画か不明。ラブストーリーのようでいて、割と物騒な話だね。

 

映画館から出た一郎は夏目に映画代を渡そうとしたが、お中元の福引で当たったタダ券だと受け取らなかった。

 

階段を下り始めた一郎が急に振り返り「じゃあ、飯でも食いに行きますか。腹減ったでしょ?」と後ろを歩いていた夏目に話しかけたが、うちへ帰って食べますからと断った。

 

電車

 

けだるい昼下りに

冷やし中華

 

という中吊り広告を見ている一郎。すぐそばに夏目が立って映画のプログラムを見ている。この電車はセットだね。ため息をついた一郎を見て、視線の先にある中吊り広告を見た夏目。「私に合わせて、おなかをすかせてくれなくてもよかったんです」

一郎「あっ、いや、腹なんか減ってませんよ」

夏目「そうですか」

 

アナウンス「次は横浜、横浜。京浜急行東横線…」

 

一郎「ああ、乗り換えてからも一緒ですね」

夏目「いいえ。私、西口で買い物して帰りますから」

一郎「ああ、そうですか。どうぞ」

夏目「はあ」

 

横浜駅の地下街を歩いていた夏目とラーメン屋のショーウインドーを見ていた一郎が鉢合わせ。夏目はしゃっくり。

 

一緒にカウンターに並んでラーメンを食べる。

一郎「あいつらひどいな。人に映画の券を押しつけて。自分たちだけで消えちゃって」

夏目「あの…映画、ご迷惑でしたでしょうか?」

一郎「あっ、いやいや、そんな意味じゃなくて。ただ、道夫たちがけしからんと言ったんですよ」

夏目「ああ…」

 

一郎「2人をどう思います? 道夫と妹さん」

夏目「ええ、若すぎるし、とても結婚なんてできるはずありませんわ」

一郎「いや、そうなんだな。とにかく収入のことも住む場所のことも将来のことは、なんにも考えずに、ただ絶対結婚なんてほざいてるんですからね。いや、僕はね、そういう結婚には大反対なんです。そんなこともきちんと計画できないなら、なにも結婚することはないと思いますよ。結婚というのはですね、2人が妥協したり戦ったりしながら共同の生活を作っていくことですからね。ただ好き合ってりゃ、やみくもにうまくいくってもんじゃない。そうは思いませんか?」

夏目「ええ、賛成ですわ。2人が妥協したり戦ったり、そして共同の生活を作っていく。そのとおりですわ。南たち無責任なんです、自分たちに」

一郎「むちゃですよ」

夏目「世の中、知らなすぎるんです」

大きくうなずき合う一郎と夏目。一郎は笑顔を見せる。

 

一郎「あなたも案外、話が分かるんだな」

夏目「案外? そうですか?」

一郎「しかし、一つだけ気に入らないところがあるなあ」

夏目「なんでしょうか?」

一郎「今日は映画を見してもらったんだ。やめときましょう」

 

気になりますからおっしゃってくださいと言う夏目に一郎は「北見って男のことですよ。あなたどうしてあんな男とつきあってるんですか?」と聞く。夏目は写真を撮りたいと言ってきてるだけだと否定する。

 

一郎「彼は、なんとかデザイナーだそうですね。女の写真専門の」

夏目「私、よく知りません。グラフィックやってるっていうことです」

一郎「あんな遊んでばかりいるような男のどこがよくてつきあってんのかなあ」

夏目「だから、つきあってなんかいませんったら。それにあの人だって別に遊んでばかりいるわけじゃないと思います。ちゃんとデザイナーっていう仕事があって…」

一郎「あなたを追いかけ回しているのが仕事ですか。そんなのは働いてることにならんと思うな。働くというのはですね、額に汗することですよ。いい服を着て、いい車に乗って、カメラを振り回して、女ばかり追いかける。そんなのを働いてると言えますか?」

 

夏目「あなたって人は…」

一郎「なんですか?」

夏目「私が誰それとつきあうなんて文句を言う。それだけでもいきすぎなのに第一、よくも知らない人のことを働いているとかいないとか、それじゃまるで…」

一郎「まるでなんです?」

 

夏目「あなた、少し古いんです。いいえ、とっても古いんです。今どき汗臭くなけりゃ働いたことにならないなんて、デザイナーはちゃんとした仕事なくらい子供だって知ってますわ」

一郎「なるほど、そうですか。じゃあ、僕はまるで子供以下ってわけだ。でも、あんな男につきまとわれて、いい気になってんのは実にイヤだな」

夏目「私がいい気になってるっていうんですか?」

一郎「朱に交われば赤くなる。あんな男にチヤホヤされていると、自分までそのうち、そのレベルにまで落ちてってしまうんですよ。ペラペラの服を着て、こんな頭をして、こんなつけまつげをつけて…」身振り手振りで表現。

夏目「見損なわないでください」店を飛び出そうとしたが、引き返してカウンターに小銭を置いた。「あなたみたいに失礼な方、見たことありませんわ」

呼び止めようとした一郎だが、ため息をついた。はあ~、やっぱり顔がいい。

peachredrum.hateblo.jp

修一の店のラーメンが大体150円くらいだから、せいぜい200円だろうか。

 

夏目の「あなたって人は…」ってセリフで急に「結婚できない男」を思い出したよ。夏美さんが桑野さんによく言ってなかった? 

結婚できない男」みたいな感じになってほしいね(続編はないものとする)。

 

アパート

スタンダールの「恋愛論」を朗読する南。「『恋愛において、結晶作用はほとんどやむときがない。その経過は次のようになる。人が恋人とうまくいかないと結晶作用は想像上の仲直りとして現れる』。え~『憎悪も結晶作用を持つ。恨みを晴らす希望が生じると改めて憎み始める』。それじゃ困っちゃうな」

夏目帰宅。

南「おかえんなさいませ、お姉様」

 

夏目「あんたたち何よ? 結婚するなんて開き直って」

まあまあとなだめる南は映画に行ったのか聞いた。一郎も一緒と聞いた南は「フフーン、お主、やるのう」と肩をたたく。なおも映画に行ったときのことを聞きだそうとする南に一郎を変な人だという夏目。

 

イライラしながら鏡台の椅子に掛ける夏目。「まったくあきれたわ。今どき、あんな人いるのかしら。傲慢で無礼で古くさくてセンスなくて…」

 

鏡に向かい、一郎の言葉を思い出す。<<結婚というのは、2人が妥協したり戦ったりしながら共同の生活を作っていくことですからね>>

 

夏目「ええ、賛成ですわ。2人が妥協したり戦ったり、そして、共同の生活を作っていく。そのとおりですわ」

 

一郎<<ただ好き合ってりゃ、やみくもにうまくいくってもんじゃない>>

 

夏目「せっかくいいこと言ったのにな」とため息。

 

夏目の様子を見ていた南は「ブツブツつぶやくのは恋の結晶作用か」とほほ笑む。笑顔がかわいい。

 

部屋でラジオを聞いてボーッと窓の外を見ている道夫。英三が営業成績のグラフを作ろうと部屋に入ってきた。賃上げに際しての数字的根拠作りのために人件費との兼ね合いを計算する。結婚問題にも関心あるけど、当面、俺のことじゃないと言う。

 

茶の間でやってると聞き、僕のことなんかほっといてくれればいいのに迷惑だと言う道夫に今日は別口だと言う英三。

 

お見合い写真を見ているサクと麗子。

サク「なかなかいい着物を着てるわ」

麗子「ねえねえ、研二さん。すごいきれいな人じゃない」

研二「そうかな? そんなでもないだろ?」と言いつつ、ニヤニヤ。

サク「美人よ。お前が木村さんちに仕事に行ったときに娘さんのほうでお前を見たんだってさ」

精四郎「ハーッハ、すごいね。そいつは一目惚れってやつか」ギターを手にしている。

 

精四郎がスター並みだとからかうと、「そんなに気に入ったんだったら、お前、もらえよ」と言う研二。

 

精四郎「ヘヘヘッ、まあ、どうかね? 奥さん」

麗子「バカ。フフフ…」

 

ギターをつま弾く。↓この曲、ちょうどドラマをやってあたりだね。関係ないけど。

1972年6月26日晴

1972年6月26日晴

  • provided courtesy of iTunes

サクは、一度、会ってみるように言い、研二も会うだけならと乗り気。道夫も茶の間に入ってきて見合い写真を見る。結婚は地獄だと言ったのは研兄ちゃんだと精四郎に同意を求めたが、精四郎は立場と状況が変わればなと研二をフォロー。

 

新田家に電話があった。道夫が出ると、南から。部屋に電話がないから電話ボックスなのね。夏目はとっくに帰ってきて、映画も行った。またすごい勢いで一郎の悪口を言うが、まんざらじゃないと思う南。スタンダールの「恋愛論」を読み、いつまでも鏡とにらめっこして考え込んでいるので、脈ありと思っている。堅物の兄貴が映画に行ったことが信じられない道夫。

 

しかし、一郎が帰ってくると、お客様からの電話のふりをして電話を切った。南は困惑。道夫は瀬口さんがいつもの催促の電話をしてきたと一郎に言う。仕事の電話は俺に回せよと言って立ち去ろうとした一郎だったが、道夫から映画を見たか聞かれ、映画が面白かったと答えた。

 

「それより、さっきのことは共謀か?」と聞く一郎。共謀とは一郎に映画を押しつけたことで南が急にやったことだと言う道夫に納得。

 

一郎「それよりもお前たち、随分立派なことを言ってたが、あれは本気か?」

道夫「本気だよ」

一郎「経済的にやってける自信あるのか?」

道夫「なんとかするよ、共働きで」

一郎「なんとかなるなんて俺には思えんな。経済的にも絶対無理だぞ。それに反対理由はそれだけじゃない。分かってると思うが、とにかくお前たちが結婚するなんてバカげたことはさせないからな。そのつもりでいろよ」

 

茶の間に入ってきた一郎は研二あての見合い写真を見る。

 

サク「ほら、お得意の木村さんの。今日、お前の留守にお話があってね、お前より先っていうのも逆だけど、研二ももう27だからね。お見合いしてもいいって言うし」

一郎は「ダメだよ」と即答。やめたほうがいいと続ける。

サク「なぜなのさ? きれいな人じゃない? 木村さんならちゃんとしたお宅だし。お前もよく知ってるんだろ?」

一郎「だから困るんですよ」評判の悪い娘だと言う。

 

研二「だって、ちゃんと会ってみなきゃ。そんな評判だけで決めるなんて…」

一郎「そうでもないさ。お前、見合いしたいのか?」仕事で何度も会っていて、甘ったれでわがままでどうしようもない娘だとこき下ろす。

 

研二「そうかな? 顔はちょっといいけどな」

精四郎「ほらほら、どっちが一目惚れしたのかな~?」

研二「バカ!」

またギターを弾き出す精四郎。

麗子「バカ!」

 

一郎「とにかく俺は反対だな。まあ、そう焦ることはないさ。いい娘はいくらでもいるよ」

サク「そんなにいるかしら?」

 

道夫が口を挟むのをピシャリと拒絶する一郎。

peachredrum.hateblo.jp

1972年の「幸福相談」では小倉一郎さん20歳、倉石功さん27歳の役。1982年の「ちょっといい姉妹」で小倉一郎さんは25歳、倉石功さんは30歳の役だけど、実年齢は小倉一郎さんも倉石功さんも「幸福相談」の役年齢より1歳上。「ちょっといい姉妹」は全体的に実年齢より若い役を演じている。山村聰さんが当時70過ぎで50代とか!

 

倉石功さんの年齢を調べようと思って最近の写真を見ると、高円寺のおばちゃんに似てない? 新田兄弟の中で一番の母親似だと思う。

 

道夫の働くレストラン

南がおしぼりを運んできた。深刻な顔をしている道夫は研二の縁談にも反対する一郎に研兄さんだってダメなんだから、僕なんか…と弱音を吐く。

南「関係ないわ。私たちは私たちでしょ?」

 

一郎は今晩から業者仲間と一泊旅行で不在。あしたにでも兄弟で会議をする予定。一郎兄さんの専制政治はきつすぎる。

 

南はとにかく自分で独立しなくちゃとバーかキャバレーのホステスになると言い、道夫を驚かせる。ん? レストランのシーンこれだけなら、チーフの名前が出てたけど、出番なしか。

 

仕事をしている一郎にサクが夏目と映画に行ったことを聞いてきた。「ランデブーだね」

 

サク「楽しかったかい?」

一郎「あんなつっけんどんな娘と一緒で楽しいわけがないじゃないか」

 

サクは夏目に占いを見てもらおうと話す。一郎は夏目を随分悪く言うけど、ちゃんとした人でお客様にはちゃんと挨拶なさるし、女らしいところはあるし、部屋だってきちんと片づいていて、立派な娘さんだとべた褒め。つっけんどんでもなかった。

 

一郎のことではなく、研二のことや商売のことを見てもらいたいのだと言う。

 

夏目の働くオフィス

妙子から北見さんという人から電話があったと聞かされた夏目。着信音が鳴る。

 

夏目「もしもし」

一郎「ああ、僕です。すいません」

夏目「あなた、どうして度々、会社へ電話するんですか?」

一郎「えっ? 度々?」

ここでやっと一郎だと気付いて、北見さんだと間違えましたと謝る夏目。

 

一郎「どうしていつもあいつと間違えるんですか?」

夏目「すいません」

一郎「気に入らないな」

夏目「今、北見さんの電話、待ってたもんですから」

一郎「待ってた? あいつの電話を?」

 

夏目が一郎の用件を聞きだす。うちのおふくろが君んとこへ行くかもしれない、南と道夫のことではなく別の縁談だと言う一郎。「つまり、当たるも八卦、当たらんも八卦でしょ?」という一郎の言葉に返事もせずガチャ切りした夏目。

 

北見さんのほうがまだいいと妙子にこぼす。

 

電話ボックスから出た一郎は「何が北見さんだ、あんなヤツ」と悪態をついて歩き出す。歩き出したが、セカンドバッグを忘れて引き返す。ああいう薄っぺらい四角いバッグあるよねえ。クラッチバッグって言うんだ?

地下5階まである夏目のオフィスのエレベーター。

 

夏目が会社帰り、外に出ようとすると北見から声をかけられた。断られるより待ってたほうがいいと言う北見と歩きながら話す。映画やお茶に誘う北見を厚かましい人は好きじゃないと言う夏目。初めはみんなそう言うと気にしてない北見。

 

夏目「私、デートがあるんです、今夜」

北見「ああ、そう。あの男ですか? 新田一郎、あのヤボな」そのヤボなところが彼の取り柄だと付け加える。

 

夏目は、あなたの取り柄はなんですか?と聞いといて、図々しいだけと言って立ち去った。主題歌が流れて、夏目が街を歩いているところでつづく。

 

だんだん距離の近付く2人。一郎も少しはデレるようになるんでしょうね?

 

「おやじ太鼓」46話。帰ってこない洋二と三郎。夫婦並んであんパンを食す。

peachredrum.hateblo.jp

鶴家の7人きょうだいと新田家の5人きょうだい。なぜ鶴家のほうが統一感があるように見えるんだろう。