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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(31)「思いやる心」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

執筆と家事で慌ただしい町子(藤山直美)を見かねた健次郎(國村隼)は、初老の家政婦、近藤ヌイ(西岡慶子)を雇う。だが、少しとぼけたところがあるヌイは、かえって町子の足手まといとなり、町子は執筆の仕事に集中できない。一方、徳永医院に腰痛の寅彦(芝本正)がやってくる。診察する晴子(田畑智子)に湿布を求めるが、晴子は内科検査を強要し、腰痛につながる内臓の病気をいくつか挙げて危険性を話すのだが…。

先週の振り返り

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町子「引っ越してきていい?」

健次郎「え?」

町子「私、ここに越してくるわ」

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町子「ミニカーどないすんの? あ…ミニカー、タイヤ全部取れてるからあかんわ。これ、捨てて…」

登「あっ、初めておじいちゃんに買うてもろたやつや。置いといて」

町子「置いとくの? ふ~ん。よいしょ。これ、もう、知~らないっと」

登「あかん! 置いといて!」

清志「そんなん言うてたら片づけへんやんか!」

町子、ため息。

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町子「弱肉強食やね。一生懸命、心を込めてきれいに盛りつけてんのにな~、私」

健次郎「ハハハ! 残念やったな。うちは見た目より量や」

清志「お代わり!」

町子「あ、はい! おっ、フフフ!」

振り返りここまで。引っ越してきたのって随分前のように思ったけど、先週月曜のことだった。

 

徳永家の毎日の家事を引き継いだ町子です。

 

台所

町子はお昼にきつねうどんを作っている。

亜紀「大きい揚げにしてや」

町子「は~い。今日のお揚げさんは大きいですよ! はい。どうぞ」

健次郎「お~、うまそやな~」

町子「亜紀ちゃんの!」

健次郎「あれ? おやじらは?」

 

町子「あっ、お父さん、朝から出かけてはります。お母さん『ちょっとコーヒー飲みに行ってきますわ』て」

健次郎「あんたがいてるから安心しきっとるな」

町子「お昼休みやもん。いただきます」

健次郎「いただきます」

亜紀「いただきます」

 

電話が鳴る。

町子「あら~、ちょっとごめんなさいね。(電話に出る)はい、もしもし徳永でございます。あっ、花岡です。いえいえ、どうも先日はありがとうございました。お世話になりまして、はい。えっ? 対談ですか? はあ。いえ、それは…それは聞いたことないですけども。うん、はいはい、それ聞いたことないです。あ~、なるほど。そしたらすいません、詳細決まりましたら、また改めて連絡していただけますでしょうか。はい、お待ちしております。はい、よろしくお願いいたします。失礼いたします。はい、すいません。(電話を切る)よいしょ」

 

健次郎「ほな、食べよ」

町子「ごめんなさいね。急にかかってくるもんやから。いただきます」

健次郎「いただきます」

 

またしても電話。

町子「はあ…」

健次郎「もうほっといて食べたらええがな」

町子「けど、そういうわけにいかへんもん。ごめんね、亜紀ちゃん。なっ。(電話に出る)はい、もしもし徳永でございます」

 

亜紀「もっと入れて」

健次郎「うん」

 

町子「あ~、どうも! いいえ」

 

仕事部屋

執筆している町子。「『忘れて…』『いつ…』」

目覚まし時計のベルが鳴る。

町子「あ~、もう、こんな時間や…。『いつ…』『いつまでもいつまでも忘れ…』」

ため息をつきながら、執筆を切り上げた。

 

台所

早送りの町子がにんじんを切り、味見をし、卵を割り…。

 

茶の間

テーブルの上の空の食器をお茶を飲んで一息ついた町子が「よし!」と片づけ始める。ここもまた早送り。どっかり座ったままの健次郎さんと忙しく食器を片づけ、テーブルを拭く町子。まあ、それぞれが食器下げるくらいはしていいと思う。

 

健次郎「その宿直の担当医がアホでな。聞いてんのかいな?」

町子「聞いてるよ。ちゃんと聞いてるって。健次郎さん、ちょっと待って。待って。朝のおかずね、今、炊いてんのんよ」

話し相手の町子が相手してくれなくてつまらなそう?

健次郎「来週から来てもらうからな」

町子「え? 何が?」

 

健次郎「お手伝いさん、頼んどいた」

町子「何で!? ねえ、私、全部やってるやん。ねえ」 

健次郎「あかん」

町子「私、あかんの?」

健次郎「違う、違う。とにかく掃除、洗濯、それと昼ごはんの支度と買い物はお手伝いさんに頼む。ええな?」

 

町子「いや、ちょっと待って。そんなぜいたくせんといてて。ねえ」

健次郎「金の問題やないやろ。この間からな、あんたをず~っと見てて思たんや。あんたは何でもかんでもキチンキチンとせなあかん性分や。なあ、そんなんでは体がもたん。なっ」

町子「いえ、ちょっと待って。だから、私ね…ちょっと待って。そんなぜいたくせんといてって。ちょっと待ってって」

健次郎「オシッコや!」

 

町子「私、そんなヤワと違いますよ。う~ん、もったいないわ、もう…」

健次郎さんが家事を分担することはなくても、町子をどうにかしてあげたくてお手伝いさんを雇うというのはいいと思う。ただ、イシさんが一人でやってる頃も考えてほしかった。

 

翌週、早速、家政婦の近藤ヌイがやって来ました。

 

ヌイさん…「純ちゃんの応援歌」の寺内ぬひさん! どちらも西岡慶子さん。

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18年後の作品なので、白髪が随分増えている。同じ名前なのは、朝ドラファンに向けたちょっとしたお遊びなのかな。

 

町子「という具合ですので、よろしくお願いします」

ヌイ「え~っと掃除と洗濯とお昼ごはんと…あの~、買い物だけでよろしおまんねんな。晩ごはん、どないしまんねん?」

町子「晩ごはんは私が作ります。分からへんことがあったら聞いてください。うん?」

ヌイさんの金歯がキラ~ンと光る。「そしたら、洗いもんからかからしてもらいまひょか」持参の割烹着を着る。

町子「お願いします」

ヌイ「はい」

 

仕事部屋

町子が執筆していると電話が鳴る。「近藤さん、電話ですよ。いてはらへんの? 近藤さん! はあ…よいしょ」

 

茶の間

ヌイ「♪出船の ドラの音愉し」

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ヌイは台所で皿を磨きながら歌っていた。

町子「あの…」

ヌイ「何でっか?」

町子「電話、鳴ってるんですけど」

ヌイ「誰から?」

町子「いや、そやから『誰から』て、電話出えへんかったら誰か分かりませんわね」

 

ヌイ「電話て…電話出まんの? ワテ。電話も」

町子「普通、電話て鳴ったら出ません?」

ヌイ「かなんな~。そんなもん最初から言うといてもらわんと」

町子「はあ…えらいすいませんね」

これはヌイさんの言うことの方が分かるな。家によっては絶対出るなという人もいそう。

 

徳永醫院

健次郎「はい。ほな、あとよろしく」

鯛子「はい」

晴子「はよ、帰ってきてね」

健次郎「往診ちょっと時間かかるから午後も頼むで」

晴子「はい、はい」

 

健次郎「たまには一日びっしり手伝え」

晴子「大学病院でこき使われて、休みは家でもこき使われて…」

健次郎「研修医は場数を踏む」

 

ヌイ「♪希望はてない 遥かな潮路」バケツ持参で待合室で掃除を始めようとした。

ヌイ「♪あゝ 憧れの ハワイ」

 

健次郎「あ~、ちょっとちょっと近藤さん」

ヌイ「は?」

健次郎「あの掃除は家の方だけでええんですわ」

ヌイ「あっ、お店の方はよろしおまんの?」

健次郎「まあ、そういうことですわ」

ヌイ「ああ、さよか」

 

晴子「今日から来てはんねんね」

鯛子「養安寺の一真さんとこのお知り合いやそうですね?」

健次郎「うん。長いこと飯場で飯炊きしてはったらしいんやけどな、そろそろ体きつういうことで一般家庭で働きたい言うて」

 

鯛子「いや、結構ため込んではりますよ」

健次郎「え? 何で?」

鯛子「あの金歯高いんです」

健次郎「ふ~ん」

 

仕事部屋

ヌイ、突入! 「ごめんやっしゃ!」

町子「あ~、びっくりした! ちょっともう…」

ヌイ「奥さんの部屋から掃除さしてもらいますね!」窓を全開にする。

町子「あ~、やめてください! ちょっと風で飛ぶから、ちょっと閉めて、早く!」

ヌイ「何で?」

町子「閉めて。もうここ結構ですから、ほかんとこお願いいたします。ほかんとこに」

 

ヌイ「『結構』て汚い! 散らかってまんがな!」

町子「初めて見たから散らかってるかも分かりませんけどもね、そやね、あのこれ、大事なもんがみんな置いてあるんですよ。どれ一つなかっても仕事できないんですから。動かさないで、絶対、このままで、お願いいたします。絶対、触らないで! 何も触らないで! お願いします」

 

ヌイ「ぎょうさんな手紙書いてどこへ出しはりまんの?」

町子「手紙と違いますよ。これみんな小説ですよ」

ヌイ「小説?」

町子「はい」

ヌイ「あの小説ていうたら、どんなふうなもんで?」

町子「いや、こんなふうなもんですよ。これ」町子の本を手渡す。

 

ヌイ「あ、これ?」

町子「はい」

ヌイ「へえ~、これね。これ書き写して何しはりまんの?」

町子「書き写すて、私、別に写経してるわけやないんですよ。ねっ。修業中やないんですよ。小説書いてるんですよ、これ。私が小説を丁寧に書いてるんですよ。これ一つ心を込めてですね」

写経とか修業中とかいちいちワードが面白い。

 

ヌイ「あ~! ほたら、奥さん!」

町子「え?」

ヌイ「ほたら、奥さん、これ、あの何も見んと…見んと奥さんが一人で…一人で一から書いてはるもの?」

町子「一からなにも…物語を私は書いてるんですよ。物語。ちょっとだけ静かにしててください。今、一番ええとこなんですから」

ヌイが本からカバーを外していた。

町子「あ~っ、何すんの? やめてください! あ~、何をしてくれるんですか? この人。これちゃんとこうしとかな、あかんのんでしょ、これ、本というのは。これをこうするんですよ、これ。ビシ~ッとこうですね。ゆがまんようにビシッとこうしてちゃんと置いといてくださいね。ちゃんとして。もうかなわん、ほんまにもう」

 

待合室

山内「まだかいな…。これやさかい病院は嫌いや。もう。あの…まだでっか?」

イシ「あとお一人です」

山内「あと10分で呼ばれへんかったら帰るぞ! こっちは仕事があんねや! 辛気くそうて待ってられ…。あ~、痛…」腰を押さえる。

 

イシ「座ってお待ちください。どうぞ」

山内「湿布だけくれたらええねんて。金払うさかいに、もう」

イシ「診察しないと何も出せません」

山内「偉そうに…」

 

鯛子「山内さん、どうぞ」

山内「はい」

 

診察室

晴子「だんだん痛くなるんですね」

山内「大したことあれへん言うてんのに嫁はんのやつが『病院行け、病院行け』てうるそう…。うわっ! ああ…。これ筋違いか何かですわ。あの~、湿布頂戴。工場へ帰りまっさ」

晴子「尿検査」

鯛子「はい」

 

山内「アホな! ばんそうこうでも貼っときまっさ。あ~、おおきに」

晴子「どこか内臓の病気かも分かりませんよ」

山内「内臓? ワシ、体、どっこも悪いことおまへんで! 酒は飲まんし、毎日ホウレンソウとか体にええもん、いっぱい食べてるし…」

晴子「血尿出てませんか?」

山内「え?」

 

晴子「腰痛は病気のサインっていうことがあるんです。胃、腎臓、膵臓の疾患、尿路結石、腹部大動脈瘤、脊椎の転移がんや多発性骨髄腫なんかでも腰痛が出ます」

山内「先生、そんな…脅かすのなしや」

晴子「血液検査受けてください。何かあったら早めに治療にかからないと」

山内「ワシ…そんな悪い病気でっか?」

 

鯛子「お便所、この奥にありますから終わったら渡してくださいね」

山内「あ…は…はい。あの、ちょっとあの時間があれへんので夕方、出直してもよろしおまっか?」

晴子「まあ、それはかまいませんけど」

山内「ああ、ほな、おおきに…」

鯛子「必ず来てくださいね」

山内「はい…」

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山内さんは「純ちゃんの応援歌」の昭の大学の野球部の監督だった。へえ~、イメージが重ならないな。

 

茶の間

電話で話している町子。「あっ、え~、ゲラの到着が来週で、で、すぐ校正ですね。はい、ありがとうございます。はい、お願いいたします。私ね、今回の原稿、力が入ってるんですよ。いろいろな思いをぶつけてみようと思ってるんですよ。ええもう、バシ~ッと! ええ!」

町子の会話を聞いて恐れをなすヌイ。

 

玄関

ヌイ「あ~、えらいお待っとおさんでしたな」

編集者「こらどうも」

ヌイ「まあ、おぶ一つどうぞ」

編集者「どうも」

ヌイ「上がりはったら?」

編集者「いや、もうこれをお渡ししたら、すぐに失礼しますんで」

 

ヌイ「けどね…」

編集者「はい」

ヌイ「小説家っちゅうのは厳しいもんでんな」

編集者「そらもう作家というのは厳しい仕事です」

ヌイ「あんな、あんたな穏やかな顔してて乱暴なことしはりまんねんな」

編集者「乱暴?」

 

ヌイ「はあ。何やねゲラが来て、偉そうに『こうせい』て言ったさかい、あんた、力入れてゲンコぶつけるんやて」

編集者「はあ?」

ヌイ「あんたもな…」

編集者「はい」

ヌイ「気ぃ付けなあきまへんで」

編集者「え?」

ヌイ「先生の前でむやみやたら笑たらあきまへんで。なっ。大丈夫や。けがしてもね、隣、お医者はん。ヘヘヘヘヘヘヘ! ねっ。よいしょ」

 

仕事部屋に入ってきた町子。「よいしょ…。さあ!」

町子の本がきれいに積まれているのを見つける。

町子「うん? え? (本のにおいをかぐ)のり? ちょっと…。何? これ。ちょっと…ちょっと…。これ…。全部貼ってあるやないの! 何してくれんのよ~!」

本にカバーと帯をのりでキレイに貼りつけていた。

 

台所

大きな皿を拭くヌイ。笑顔になると金歯が光る。

 

ヌイのおかげで余計に仕事に集中できない町子でした。

 

ミニ予告

町子二度見。

 

ぬひさんは「純ちゃんの応援歌」だとチャキチャキしたおばちゃんで、接客業に慣れないももさんについて純ちゃんとけんかしてたりしてたから、仕事の出来ないおばあちゃんとは思いたくない。

 

家事のことはもうちょっと分担をしてもいいと思う。でも、町子みたいな出来る人はそれはそれで嫌なのかな。