TBS 1968年2月27日
あらすじ
正子が鶴家に持っていくケーキを選んでいると、ばったりと神尾に出くわす。聞けば、亀次郎に挨拶に行くところだという。しかし、鶴家では亀次郎がまだ会ってもいない神尾のことを、気に入らないとどなり散らしていた。武男をはじめ、子どもたちは皆心配していたのだが…。
2023.7.20 BS松竹東急録画。11話までモノクロ。
鶴家
亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。2月5日で61歳。
妻・愛子:風見章子…5月で56歳。
長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社の社長秘書。3月3日で30歳。独身。
次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。27~28歳。
長女・秋子:香山美子…出版社勤務。26歳。
次女・幸子:高梨木聖…女子大生。1月に成人式に出席。
四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。
三女・かおる:沢田雅美…4月から高校生。
*
お手伝いさん
初子:新田勝江…亀次郎と同じ誕生日2/5で30歳。
お敏:菅井きん…愛子の4つ下。6月で52歳。
*
正子:小夜福子…亀次郎の兄嫁。高円寺の伯母さん。
*
神尾光:竹脇無我…秋子の恋人。テレビ局勤務。
田園調布駅から出てくる正子。ネットで見ると今も駅舎の形がそのままなんだ。かわいい感じ。たまには買っていこうかしらとケーキ屋に立ち寄る。実際に田園調布駅前にあった「チロリアーン」という店がロケ地らしいです。
店に入ると奥の喫茶スペース?で休んでいた神尾が正子を見かけてにっこり。正子は神尾に気付かずケーキを選ぶ。お父さんお母さん子供たち7人と自分の分で10個。それと女中の分2個。あとから若い女性客が入ってくるが、店員に話しかけ続ける。
奥で待つように言われ、正子が移動すると神尾からあいさつされた。神尾は鶴家を訪れる前に早く着きすぎたので時間つぶししているという。店員に呼ばれた正子が箱の中身を確認すると「あら、ちょっとガサガサじゃない?」←スペースがあるということ?であと2つ3つ追加購入。50円のものじゃなくイチゴの乗っかったおいしそうなやつ。1つ50円としても家族が多いと結構な値段だね。
ケーキの箱を持った正子と神尾が歩いている。神尾、手土産もなし? 毎日、「道」を見てると一切外の風景が出てこないので、こうやってロケ地が出てくるのいいわ~。こんなにいい天気だから雷なんか落ちないようにしてくださいよという正子に素直な気持ちで会うだけという神尾。
道ばたで寿司屋と出くわし、「今日、トロのいいのがありますよ」と声をかけられた。正子はこの間はきゅうり巻きばっかり持ってくるんだものと文句を言うと、寿司屋は聞き違いじゃなく、あのおばちゃんはついつい間違えちゃうんだからと話す。雲行きがどうなるか分からないから、あとで電話すると別れた。
あなたに会うとろくなことはないと言われた神尾は正子が先に進むと「ハァ…ばばあに雷か」とやっぱり口が悪い。
秋子の部屋
幸子「現代の恋愛ってそういうものじゃないのかしら。もう恋に狂うなんていう恋愛は、むしろ無知か劣情かどっちかよね」
やっぱり学生運動にハマるタイプの人ってこういう難しく考えるタイプの人が多かったのかなーなんて思ったり。
秋子は神尾には冷静過ぎると言われているが、幸子は男は身勝手、相手も自分のようにならないと不満、それに年も下だからと指摘する。秋子はまるでやんちゃ坊主みたいとそういうところもかわいく思ってる?
武男が秋子の部屋に来て茶の間に来るよう声をかける。同じく隣の家にいた三郎にも声をかけた。隣の家は秋子、幸子の家らしいけど、三郎、敬四郎も勉強のためかこっちの家にいることが多いような。勉強している敬四郎にも声をかけ、台所にいる初子やお敏にも声をかけた。
約束の時間まであと5分。武男だけソワソワ。亀次郎は揺り椅子に揺られながら年下なのが気に入らないと話す。階段を下りてきたかおるはこの服どう?と両親や武男に見せるが、亀次郎はなんです? そのスカートは、と言い、バカ者! まだ子供のくせに!と怒鳴る。
インターホンのブザーが鳴り、初子が出ていく。
「なんだあの戸の開け閉(た)ては。お前から厳しく言っておきなさい」と亀次郎は愛子に言うが、よく言っておきますと返事したのは武男。しかし亀次郎は男がいちいちそんな細かいこと言わんでもいい!とまた怒る。どうしていちいちこうなんでしょうとあきれる愛子。
裏口から正子と神尾が訪問。しかし、さっそく亀次郎の雷が落ちる。
「バカ者! わしはそんな裏口からコソコソ来るようなやつとは会わんぞ!」
武男にも娘を嫁に欲しかったら正面玄関から正々堂々と来るもんだ。愛子はおばちゃんと一緒だったからとフォローするが、「あんなばあさんと一緒になるか。男はもっと正々堂々と正門から入ってくるもんだ。そんな卑屈な了見でこの鶴家の娘がもらえるか。とっとと帰ってもらいなさい」という怒鳴り声を聞いていた神尾(このシーンずっと無我さんのアップ)は怒って帰ってしまう。
正子「カメオさん…もしもしカメオさん!」
それを聞いた亀次郎に人をバカにしたつもりか!と怒鳴られる。
武男は正面玄関から神尾を追いかけ飛び出していった。このあたり、いつものあおい輝彦さんの歌唱じゃない男女コーラスの「おやじ太鼓」が流れていて、面白い。
すっかり機嫌を損ねた亀次郎。正子は今日はもう帰った方がいいかしらと言うが、せっかくだからお茶でも飲んでいってくださいと愛子が言う。ケーキを買ってきた正子に「そんな珍しいことするからよ。今に雨が降るんじゃない」と言っちゃうかおる。
愛子にケーキを取り分けてきてと言われ、席を立ったかおるは秋子からどうして神尾さんが来たのにどうしてすぐ教えてくれなかったの?と聞く。かおるに出くわした亀次郎は「スカートが短いです!」と怒鳴る。かおる「失礼しちゃう」。亀次郎、結構子供たちに対して敬語なんだよね。神尾と違って口は悪くない。
スリッパのまま家を飛び出した武男は神尾と歩きながら話をする。弟や妹のことで自分の事を心配する暇がないという武男。しかし、目の前の通りを歩く女性に見とれ、この間からちょいちょい見かけて気になってた、一緒にあとをつけようと提案する。神尾にスリッパでですか?と指摘され、僕と秋子さんはどうなるんです?と言われ、全くつらいよ長男はとあきらめた。武男はちょっとやべー奴?
また香山美子さん出演のいわしせんべいのCMやってる~。
愛子たちは広間に集まり、ケーキを食べることにする。イチゴの乗ったケーキがないと指摘する正子。愛子は亀次郎におばちゃんがケーキを持ってきたから食べましょうと誘う。紅茶かコーヒーどちらがいいと聞かれ、「日本のお茶だよ」。
亀次郎はあんな男のどこがいいんだ?と秋子に聞く。
亀次郎「盗人猫(ぬすっとねこ)じゃあるまいし、裏玄関から入ってきよって」
愛子や正子がフォローするが聞かない。秋子になんであんな男と結婚しようと思ったのかと聞く亀次郎にかおるは「愛しちゃったんじゃないかしら?」と言うが、歌の歌詞じゃないんだと返されると、台所でいただいてきますわと紅茶とケーキを持って台所へ行く。
亀次郎「スカートといい、色気といい、あれでも中学3年生か」
さらにお前の教育がいけない、3人が3人、女の子はろくなことにならんと愛子を責める。幸子は幸子で鉄兜をかぶって出かけていくしと文句を言っていると、秋子が席を立ち、「よく考えてみます」と部屋を出て行った。
お敏が持ってきた亀次郎のお茶に茶柱が立っていた。いいことがあると愛子がフォローしたのに、お敏がいいことがあるのは朝の茶柱じゃないんですか?と口をはさみ、愛子に余計なこと言わないでと注意される。
初子は正子に寿司金から「中トロが売り切れてしまうから今のうちならある」と電話があったと伝える。亀次郎の手前、断る正子。きゅうりがちょうどいいと言う。
亀次郎「きゅうりだって安かないよ。安いものなんか今の日本にあるか」
正子「そりゃあ、もう…フフフッ。なんでもかんでもお高くなりましたね」
亀次郎「そう思ったらもっとしっかりしなくちゃダメだよ! 無知だから愚痴ばかり一人前で、一体誰が選んだ政府だと思ってるのかね。無知で話にならん」
無知、無知言うなよ~。今なら政治批判と炎上するかな? いやそれよりタバコか。私なんて半人前とへりくだる正子にその割に寿司もウナギも1人前だと指摘する亀次郎。
洋二が部屋に入ってきた。愛子はおばちゃんにケーキをいただいたから食べなさいと話しかける。正子が私が持ってくると部屋を出て台所へ。一服させてちょうだいとテーブルにつくが、イチゴが乗ったケーキをお敏と初子が食べていることに気付き、一番高いケーキだったため悔しくなったのか二人のイチゴを口に入れる。面白いなあ。台所を出ようとした正子と亀次郎がぶつかる。
広間
洋二「お父さんって僕の顔まともに見ないね」
愛子「てれるのよ、あんたにはなんとなく」
洋二「今だって僕が帰ってきたらすぐに出ていっちゃったでしょ。ちょっとそういう気持ち分からないことはないけど」
愛子「あんたのこといちばん気にしてるのよ。そりゃどの子がいちばんかわいいってことはないけど、それでもあんたは特別ね」
洋二「僕がいちばん苦の種だからでしょ」
愛子「そんなことありませんよ」
かおるも以前、日曜日でも早起きする亀次郎が洋二だけは起こさないとか言っていたし、今日も出かけてたみたいだけど、蚊帳の外だったしねえ。大切にはされてるけど洋二には微妙に感じられることもあるのかな。
正子が洋二にケーキと紅茶を運んできたところに、武男から「お母さんいないの?」と声がかかる。
武男が正面玄関から神尾を連れてきた。神尾は裏玄関から入ったことを謝りに来たわけじゃなく、尻尾を巻いて逃げたと思われるのが嫌だから来たと言い訳。正子は今日はこのままにしたらいいんじゃないの?とあきれ顔。これ以上巻き添えを食うのはごめんですよとうんざり。
神尾「僕はなにもあんな雷おやじの機嫌を取りに戻ってきたんじゃありませんからね」
武男「まあ、そう言うなったら」
神尾「いえ、僕にだってプライドはあります。あんな無礼なおやじにペコペコすることはないんです。大体僕は24だし、秋子さんは2つ上の26です。恋愛も自由なら結婚だって自由です。誰も僕たちの仲に干渉する権利はないんです」
愛子は感心したようにうなずくが、正子は気の強さに驚く。
玄関には敬四郎、三郎、かおるも集まる。秋子が部屋にいると知ると、その前に秋子さんに会ってきますと出ていく神尾。入れ違いに玄関に来た亀次郎は頭と背中と足を揉みなさいと言った。
隣の秋子の部屋を訪れた神尾。秋子は部屋のドアを閉めるのを拒否する。神尾はおばあちゃん子で君みたいにいじけちゃいないよと言う。あんな無礼で非常識なおやじに平気でいる秋子が気に入らないみたい。ましてこの僕にさえ頭を下げろって言うんだと偉そうだな。秋子は誰にも頭を下げない人間が好きだと亀次郎を擁護する。
神尾への気持ちが分からなくなったという秋子の手を取り、自分の頬に充てる神尾。そのイチャイチャっぷりを幸子に見られて、幸子は驚き、秋子は慌てる。神尾は「今、僕がこのドアを出ていったらもう二度と君は僕みたいな男には会えないからね。僕みたいに君を愛した男には」と出ていったところでつづく。
神尾が竹脇無我さんじゃなければ、なんなんだよ、お前ー!って感じの傲慢な奴だな。亀次郎はすごく偏った間違ったことを言う人ではないんだよね。そこが「道」のわかとは違うところ。こちらのドラマは金曜日も放送があってうれしい。すっかりハマっています。