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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(149)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

大介(木下浩之)のアフリカへの出発の日が近づいてきた。トシ江(宮本信子)は水天宮にお参りし、元子(原日出子)はバタバタする前に原稿を仕上げ、ついでに書きかけの自分史を福井(三木弘子)に渡す。大介は道子(川上麻衣子)に手伝わせて自分の部屋のものを整理し、荷造りを進める。家を出る直前、正道(鹿賀丈史)は大介に一つだけ頼みがあるという。ヒマをみつけて、最低月に一度は元子に手紙を出してやってくれ、と…。

オープニング

宗俊(回想)…津川雅彦とある。

 

信号機のアップから。人形町の標識が下がっている。

 

昭和48年 春

 

年が明けて昭和48年。大介は、せっせとお金をためてアフリカ行きの準備も整い、いよいよ出発の日が近づいてきました。

 

玄冶店(げんやだな)の石碑の前を歩いている元子。

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初回の演出を踏襲した感じになってるんだね~。初回はもんぺ姿の元子が現代の町を歩く演出でしたが、舞台は昭和48年になり、周りの街並みにも違和感がなくなったということでしょうか。

 

吉宗

元子「ごめんください」

福代「はいい…あら、お義姉(ねえ)さん」

元子「お母さん、いる?」

福代「ええ、今までいらしたんですけれども、ちょっと近くまでって、お出かけになられたんですよ」

元子「あ~、じゃあ入れ違いね」

福代「ええ。お義姉さんも大介さんのお仕度でお忙しいんでしょう?」

元子「お仕度っていったって裸で暮らせる国へ行くんですもの。そろえてやるものもなくて大助かりよ」

 

今ならケニアから抗議が来てもおかしくないかも? でも、昔のドラマってこうだったね。田舎をバカにするような普通に発言もしてたしねえ。

 

福代「今、お茶いれますから、どうぞ」

元子「あっ、ありがとう。でもね、また帰りに寄ってみるから」

福代「そうですか」

元子「それじゃ、お邪魔さま」

福代「ごめんくださいまし」

 

本日、2か所目のロケ

水天宮

トシ江が水天宮で手を合わせる。初回は元子と金太郎ねえさんが出会った場所。

 

女性時代編集部

福井編集長が入ってくる。

元子「あっ、待たせていただいておりました」

福井「息子さん、いよいよなんでしょう? 出発はいつ?」

元子「はい、あさってです」

福井「そりゃ大変だ」

元子「いえ、別に私が出かけるわけじゃありませんから」

福井「その調子よ、大原さん」

元子「はっ?」

 

福井「今もね、会議で出たんだけど、70年代の婦人の大きいテーマの一つは母親の子離れだろうということだったわ」

元子「はい」

福井「でね、息子さんが出発して落ち着いてからでいいんだけど協力してもらえないかな、インタビューに」

元子「はい、おっしゃられればどこへでも」

福井「ううん、今回は、その反対。あなたがインタビューを受けてほしいの」

元子「あっ…私がですか?」

福井「うん。企画が具体化したらね、詳しいことは、あとで連絡します。で、今日は?」

 

元子「はい、あんまりガタガタする前にと思いまして、ダイジェストをまとめたものを持ってまいりました」

福井「それははやばやとご苦労さま」

元子「それから…」

福井「うん?」

元子「まだ全体の3分の2ほどしか書けてないんですけど、こんなものを書いてみました。お暇な折にでも読んでいただけたらと思いまして」

福井「随筆?」

元子「というよりも、あの、強いて言いますと自分史とでも言いましょうか。今まで生きてきたあれこれを私の戦後史というようなつもりで」

福井「分かったわ。お預かりしておきます」

 

自分史は引き出しにしまわれ、ダイジェストのチェックを始める編集長にちょっぴり不満げ?な元子。

 

大介の部屋

道子「このノートやスクラップブックどうするの?」

大介「うん、山になってる分ずつ、そのひもで縛っといてくれ」

道子「はい」

大介「しっかりやれよ、グズグズにすると崩れるからな」

道子「分かってるってば」

 

大介「はあ~。あ~あ」

道子「でも、とうとう行っちゃうのね」

大介「ああ」

道子「いいなあ。私も早く大人になりたい」

大介「おい」

道子「何よ」

大介「頼むからしばらくそういうことは言わないでくれよ。そんなことおふくろさんが聞いたら何て言うと思う?」

道子「勝手なお兄ちゃん」

大介「だからそのことだけはこれでも考えただけで胸が痛むんだぞ」

道子「本当に?」

大介「ああ、本当さ。あれから約1年、こっちはずっと身構えてたけど、とうとうおふくろさん僕の恐れていた蒸し返しだけはしなかった。それだけに申し訳ないと思ったり、助かったと思ったりで、これでもいろいろ大変だったんだからな」

道子「変なの。申し訳ないと思うんなら何で行くのよ」

大介「それは青い海が俺を待ってるからさ」

道子「フッ…キザ」

笑い声

 

大介「おふくろのこと頼んだぜ」

道子「うん」

 

二人の視線の先は宗俊の写真。

 

ダイニング

正道「それで荷造りできたのか?」

大介「ええ、道子が手伝ってくれたし」

道子「あとはお母さんからの梅干しの瓶をもらったら、それで全部よ」

正道「おい、そんなもんまで持っていくのか」

元子「ええ。それがたった一つ、アフリカ行きに私が出した条件ですから」

 

正道「それで、明日の予定どうなってるんだ?」

大介「ええ、母さんと一緒におじいちゃんのお墓参りに行って帰りに人形町に寄って、おばあちゃんに会ってこようと思ってます」

元子「そのあとみんなで食事することになってますから時間遅れないようにお願いしますね」

正道「あ~、分かった分かった。それで圭子さんも来るのか?」

道子「もちろん」

大介「おい、なにもそこで力を入れなくたっていいだろう」

道子「だって、留守の間にすてきな恋人が現れてさらっていかれたら、お兄ちゃんがかわいそうだもん」

大介「おい…あんまりグラつかせるようなこと言うなよ」

元子「あら、大介はもっと自信のある男性じゃなかったんですか」

大介「父さん、何とか言ってよ。最後になっていびられると思わなかった」

正道「しかたないさ。向こうへ行けばなエビがたらふく食えるんだから」

大介「あら…。ブルータス、お前もか」←いい声。

oggi.jp

ユリウス・カエサルの言葉。

 

正道「ん?」

笑い声

 

本日3か所目のロケ

墓地

元子と大介が歩いている。

元子「来年でもう30年だわ」

大介「えっ?」

元子「正大伯父さんが戦争に行く前の日に母さんこうしてやっぱり一緒にお墓参りに来たの。伯父さんは、ちょうど今の大介と同い年で母さんは数えの19だった。ちょうどその時ね、母さん、おじいちゃんにないしょで女子放送員受けようと思って、あんちゃんに相談したら、こういう時代だ、思い切ってやってみろって言ってくれたわ」

大介「うん」

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墓前

元子「母さんもね、大介」

大介「はい」

元子「正直言って、圭子さんのこともあるし、今日まで何度思い直してくれたらなって思ったか分からない。でもね、母さんも自分のやりたいことやってきたんだし、母さん大丈夫だから、頑張ってらっしゃい」

大介「はい」

元子「正大伯父さんの場合は戦争だったし、もう二度と帰られないかもしれないって覚悟してたと思うけど、あなたは自分のやりたいことをやりに行くんですもの。何も心配することないわね」

大介「うん」

元子「じゃあ、おじいちゃんに報告してちょうだい。しばらくお別れですが、元気で行ってきますって」

大介「うん。でも、おじいちゃんのことだからきっとついてきてくれるさ。アフリカまで」

元子「えっ?」

大介「はい、お酒だよ、おじいちゃん。(墓石に酒をかける)だから僕は、お別れというより連れに来たんだよ。だっておじいちゃんは僕をいろんな所へ連れていってくれたから、今度は僕が見物をさせてやる番さ。ねえ、おじいちゃん」

 

鼻の頭も赤く、吐く息も白く、寒そう。

 

そうです。大介の誕生に一番気をもんだのも躍り上がって喜んだのもこの宗俊でした。

 

お墓というと大体セットで、「おしん」の時などズレたりもしたもんだけど、元子と大介が手を合わせたお墓は最初は後ろや側面ばかりが映し出されるので、正面を見せないようにするためかと思ったけど、正面が映し出されると”桂木家之墓”とある。そこの墓地の本物を使わせてもらったんだろうか。この墓石、作り物には見えない。

 

桂木家茶の間

仏壇の宗俊の遺影がアップになる。

トシ江「かわいいかわいい大介と2年もの間、離れ離れに暮らしてたでしょう。松江に会いに行く前の晩にね、大介がもし忘れて『この人(しと)だあれ?』なんて言ったら、俺はその場で死んでしまうって、まあ、ごてだしてさ。それがいらぬ心配だって分かった時のあの人のうれしそうな顔ったらなかった。河内山にとってね、大介はやっぱり目の中に入れても痛くない孫だったんだね」

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音声はなかったけど、この回で松江についた宗俊に大介が「おじいちゃん!」と呼びかけるシーンが流れた。表情だけで分かるからね~。

 

大介「僕も覚えてるよ。僕がひいばあに教わったとおりに挨拶したら、えらく行儀がよくなりやがってとつまらなそうな顔されたこと」

トシ江「だだっ子だったからね、おじいちゃんって人は」

大介「けど、好きだなあ」

元子「しかたないわよ、おんなじ血が流れてんだもの」

 

さっきの墓場のシーンは相当寒そうだったけど、茶の間全体が映るとコタツではなくなってるので、春先くらいの季節だろうか? 

 

トシ江「本当、何でも珍しいことが好きでさ、大介が誘わなくてもね、あの人なら勝手にヒョコヒョコ、アフリカまでついてくに決まってるわよ。そいで、あげくの果てにね、私の夢の中に出てきてさ、おい、トシ江、アフリカはこうだぞ、ああだぞってね、いちいち説明してくれるに決まってるよ」涙を浮かべ、うつむく。

大介「おばあちゃん…。2年たったら、一度帰ってくるから」

トシ江「ああ、そうしておくれ。きっとだよ」

大介「はい」

トシ江「そうそう、お守り頂いてきた。よいしょ。水天宮さんのね、お守りだよ」

大介「はい」

トシ江「飛行機(しこうき)に乗っても、船に乗ってもね、水天宮さん、水の神様だから大介のこときっと守ってくれるよ」

大介「はい」

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ウメさんが出征する天海さんのために水天宮のお札を渡すと、水天宮は安産の神様だって周りに一斉に突っ込まれるけど、水の神様だとキレたことがあった。

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後にヨウ子のためにも水天宮に行くウメさん。

 

トシ江「決して無理しないこと。ね。もう駄目だと思ったらね、もう、あっさり帰っておいでよ」

大介「うん。大丈夫だよ、おばあちゃん。分かってるよ」

トシ江「ああ。くれぐれも気ぃ付けてね」

大介「はい」

 

大介の手を握るトシ江の姿を見て、元子も涙。

 

さて、今日はいよいよ大介の出発する当日です。

 

順平と善吉がスーツ姿で大原家前の路地を歩いてくる。

 

大原家玄関

順平「こんにちは」

 

⚟元子「は~い」

 

善吉「へい、今日はまたおめでとさんでございます」

元子「まあ、善さんまでが?」

善吉「ええ、もう彦さんのやつがね、どうでも飛行機が小さくなって見えなくなるまで見送ってこいってきかねえもんですからね」

順平「おかげで今日は早じまいだよ」

元子「まあどうぞ上がってくださいな」

善吉「へいへい、そんじゃ失礼して」

元子「どうぞどうぞ。大介! 大介! 人形町から順平叔父さんと善さんお見えですよ」

大介「は~い、今行きま~す! じゃあ、おじいちゃん、しばらくの間、窮屈だろうけど、まあ密航させてやるんだから我慢してよな」宗俊の写真、圭子と冬彦の写真をハンカチに包んでかばんに入れる。

 

正道「皆さん見えたけどな、もういいか?」

大介「はい」

正道「うん。そいじゃあな、私から一つだけ頼みがあるんだ」

大介「はい?」

正道「暇を見つけてな、最低月に一度は母さんのところへ手紙を出してやってくれ」

大介「はい」

正道「うん」

 

大介「父さん」

正道「ん?」

大介「いろいろありがとうございました」

正道、大介を肩ポン。

 

飛行場

日本航空の飛行機が飛んでいく。

 

見送る人たちは本物の飛行場じゃなく、手すりと後ろはグレーの背景のセット。

道子、圭子と冬彦、元子と正道が見送る。

 

つづく

 

追いついたー! 大介、えらくあっさり行っちゃったなあ。そして今日は、初週を思い出すロケ地巡りだった。あの頃は正大あんちゃんがいて、金太郎ねえさんがいて、宗俊がいて…。

 

残り4回。心してみよう。