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ドラマの感想など

【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (68)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

朝男(前田吟)の出征日。ウメ(鈴木光枝)は水の神の水天宮のお守りを朝男に渡す。皆で朝男を囲んで記念撮影をする。揺れる日の丸と響き渡る軍歌の中で、朝男はマリ子(熊谷真実)たちとの別れに思いを巡らす。程なくして三吉(福田勝洋)が兵に志願する。マチ子(田中裕子)に闇の料亭に連れ出された三吉は、食料不足の中、自分の食い扶持のことでウメたちに迷惑かけまいと志願したと言う。マチ子はのらくろのお守りを渡し…。

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さて、出征当日の朝となりました。

 

天海朝男はスーツ姿に赤いたすき。立ち見台?などを準備する均や新八郎。智正は写真の準備。そこにウメと大造が駆けつけた。大造さん、結構久々!? タマは今日もたどん屋さんと言っている。

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ウメ「それじゃあ、天海さん、これは水天宮さまのお札なんだからね」

新八郎やマドカが水天宮は安産の神様だとツッコむ。

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ウメ「冗談言っちゃいけないよ! 何を言ってんだい、あんたたちは!」とキレる。

ウメ「ちっ! それで江戸っ子が聞いてあきれるよ!」大造が止める。

 

ウメ「てやんでえってえんだよ! ええっ? いいかい? 水天宮様ってのはね、昔っから水の神様なんだ。ええ? だから船乗りはもうずっと前から、ねっ? 海路の安全のためにこのお札を受けるもんなんだよ!」

タマ「そのとおりですとも! ご隠居様、ありがとう存じました。このとおりです」

ウメに頭を下げるタマ。

ウメ「頑張ってくるんだよ。ええ? 船が沈んでもね、これさえ首にかけてれば溺れることはないんだから。ええ?」

朝男「へい、ご隠居さん。このお札さえあれば百人力だよ。どんなべっぴんな乙姫様が海の底からおいで、おいでをしなすっても、あっしは行きません!」

ウメ「いいこと言うよ、色男! ありがとう!」

朝男はいつものように豪快に笑い、智正は見送りの方々が来る前に写真を写してしまいましょうと言った。

 

記念写真を撮るために並ぶ人々、中心は朝男、右隣はタマ。左隣は均が「天海君の一番の妹なんだ」とマリ子を横に並ばせた。

 

はるは家で夫の家に向かって「どうぞ天海さんをお守りくださいまし。あのすばらしい天海さんにどうぞ人殺しをさせないでくださいまし。そのためには私のこの命を分かち合うことをいといません」と祈りをささげた。

 

在郷軍人「それでは天海朝男君の武運長久を祈って万歳三唱を行います。天海朝男君、万歳~!」

一同「万歳~! 万歳~! 万歳~!」

一同「♪天に代りて 不義を打つ

忠勇無双の我が兵は」

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朝男の心の声「マリッペ、俺はな、おめえさんたちの幸せを守るためにゃあ、この命、惜しいたぁ、ちっとも思ってねえんだぜ。そのかわり、どんなことがあってもへこたれるんじゃねえぞ。それからマチッペしっかりな。ヨウ子ちゃん、おっ母さんを頼んだぜ。均五郎さんよ、俺はもう何も言うことはねえ。行ってくるぜ、潔くな」

 

お国のためは、すなわち愛する人々のためだと天海朝男は出征していったのですが、銃後の生活は厳しくなるばかり。

 

磯野家の前を新聞紙の兜をかぶった男の子たちとたすきをかけ、割烹着を着た婦人たちがすれ違う。

 

明けて昭和15年、政府は米、みそ、しょうゆのほか、砂糖、マッチ、炭など切実な生活必需品に切符制採用を決定しました。

 

家庭用石鹸註文券、家庭用綿購入券のアップ。

 

翼賛食堂

うまくて

  榮養滿點

御家庭でも

 まねしてください

■月曜…大豆入り昆布めし

■火曜…南瓜めし

■水曜…鯡(にしん)入り饂飩(うどん)めし

■木曜…志のだ入り大根めし

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志のだって何さ?と思ったら油揚げを刻んだもの?

 

■金曜…榮養めし

■土曜…麥(むぎ)めし

 

マリ子「うまくて栄養満点。御家庭でもまねしてください」

マチ子「月曜、大豆入り昆布めし。火曜、南瓜めし」

マリ子「水曜、鯡入り饂飩めし。どこでもらってきたの? こんな広告」

マチ子「神田。陽談社の帰りにね」

マリ子「花のお江戸の江戸っ子がね」

マチ子「ぜいたくは敵です」

 

♪とんとん とんからりと 隣組

格子を開ければ 顔なじみ

廻して頂戴 回覧板

知らせられたり 知らせたり

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新聞の見出し

 

生活の新記録「七七禁令」

贅澤品、さやうなら

     あすから閉ぢる”虚榮の門”

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あぐり」にも出てきた奢侈品(しゃしひん)等製造販売制限規則=七・七禁令

 

昭和16年 春

 

大造が磯野家を訪れ、三吉が志願兵になったことをマリ子に知らせた。兵役まであと1年あるのにどうしても志願するというので、お国のためなのでバカ野郎とどなりつけるわけにもいかなかった。若い衆で残っていたのは三吉だけで、酒田燃料店は、ウメと大造と妻だけの暮らしになる。

 

大造「まあ、男だ、若者だ。一度は軍隊の飯を食わねえようじゃ半端者っていうはんこを押されちまうけど、ひとつ、マチ子さんからくれぐれも体だけは大切にするようにと言ってもらおうと」

マリ子はマチ子が陽談社の会合から帰ったらすぐに知らせるといった。

 

マリ子「でも、もう4年でしょう、戦争も。いつになったら終わるんでしょう?」

大造「まあね…。全く『どこまで続く ぬかるみぞ』」

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「とうひこう」という歌の一節だったのね。

 

マリ子「そんなぬかるみにわざわざ三吉さんが入っていくなんて…」

 

夜になり、新八郎のコネであるところに三吉とマチ子が出かけていった。

マリ子「じゃあ、私の願いなら何でも聞いてくださる?」

新八郎「当たり前ですよ。よ~し、じゃあね今すぐ結婚してくれって頼んでごらんなさい。万難を排して、たちまち明日の朝には…! ♪高砂や こういう段取りになってますからね」

マリ子「残念でした。台所の棚が怪しいの。ちょっと見てくださる?」

新八郎「えっ? ちぇ~…」ぐいぐい来るな~。

 

仲居「申し訳ございません。当節、これが一番上等のお献立になりますので」

マチ子「いいえ。本当にどうもご無理申し上げまして」

 

お偉いさんご利用のいわゆるここはヤミの料亭です。

 

新八郎、すごいコネを持ってるね~。

 

仲居がいなくなり、マチ子が三平に笑いかける。

マチ子「当節も何もすごいごちそうじゃないの。このトンカツの厚いこと」

三吉「へえ、ある所にはあるんですね」

マチ子「それがまた悔しいんだけどめったにないことだもん。遠慮なく食べちゃおう」

三吉「はい」

マチ子「ごはんはおひつで来るからお代わりしても大丈夫よ。銀シャリっていうのよ、それを」

三吉「はい」

 

マチ子「まあおいしそう。熱いうちに早くおあがり」

三吉「はい、では頂きます」

ご飯を食べ始めたが箸が止まる。

マチ子「三ちゃん?」

三吉「こんなごちそう…私はご隠居さんにも食べさせたくって」

マチ子「駄目よ…おばあちゃんは入れ歯でしょう? こんな分厚いトンカツはとても無理」

三吉「それじゃあこのごはん1杯分、握り飯にしてもらって帰っちゃいけないでしょうか」

マチ子「三ちゃん…」

 

三吉「もう、私だって子供じゃないんです。末は大将か元帥になりたくて志願したわけじゃないんですよ」

マチ子「うん」

三吉「私がお店にいなくなったら、旦那さんやおかみさんたちが大変になることは重々分かっています。だからといってどうしても私を置いておかなければならないほどの仕事があるわけじゃなし…。早い話が三度の飯にしたって旦那さんたち3人なら有り合わせで間に合わせられるのに、私がいるばっかりにご隠居さんが高いお金を払ってヤミのおかずをつけてくれるんですよ」

マチ子「三ちゃん…」

三吉「まるで本当の身内みたいに…」

マチ子「身内なのよ。あそこには子供さんもいないし、おばあちゃんにとっては三ちゃんが本当の孫みたいに思えるんじゃないかしら」

 

三吉「ええ。国じゃあ兄貴が猫の額ほどの田んぼを継いでいるだけでばっちゃんもおふくろたちももう墓の中へ入っちまったし…。姉さんたちもそれぞれ嫁に行ってもう随分長いこと帰っていません。だって小僧に出されたのが13の年ですからね。もったいない話ですが、私にとっての親元はご隠居さんや旦那さんだと思えてならないんですよ」

マチ子「そうですとも。それでいいのよ。それが人間の情っていうもんでしょう?」

三吉「だからなおのことつらいんですよ。一日一日せちがらくなっていくのに、それに甘えるのが…。それにどっちみち来年は行かなきゃならないんだし、このままだと下手すれば徴用に取られるでしょう? それぐらいなら俺…俺が兵隊に行くことで一日でも早くご隠居さんやマチ子さんに昔のような暮らしが戻ってくるんなら、俺、喜んで志願しようと思って」

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澪つくし」でも徴用って出てきたね。

 

マチ子「バカね…なんてこと言うの、三ちゃんは…」

三吉「マチ子さん。楽しかったですね、あのころが!」

マチ子「あのころか…」

三吉「田河先生のお宅へ連れていっていただいたこと、三吉、一生忘れません!」

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三吉「驚いたな、あの時は。でもうれしかった。天にも昇る気持ちでした」

マチ子「まあ!」

 

マチ子「必ず元気で凱旋してくるのよ。今に自分のお店を持ったら店の小僧さんたちに『少年倶楽部』買ってやるんだっていう私との約束、破ったらマチ子さん、承知しないからね」

三吉「はい」

 

マチ子「それから…これ、持っていって。私が作ったお札が入ってるの」

三吉「マチ子さんが作った?」

マチ子「のらくろの絵よ。でも三ちゃんだったら子供だましじゃないと思ってくれると思って」

三吉「マチ子さん…」

 

マチ子「私は三吉君のおかげで水泡先生のお弟子さんになれたのよ。これは私の本当の気持ちなの。一生懸命描いたのよ。三ちゃんが無事凱旋してくるところを」

三吉「大事にします! 決して肌身離しません!」

マチ子「三ちゃん」

三吉「だってこんなすごいお守りは俺だけですよ。のらくろは絶対死なないもの!」

マチ子「ありがとう、三ちゃん」

三吉「お礼を言うのは私の方です」

 

マチ子「よし! 『腹が減っては戦ができぬ』。三ちゃん、食べよう!」

三吉「はい!」

マチ子「こんなごちそう、お偉いさんにだけ食べさせることはないのよ。戦う人間こそ食べなくちゃ!」

三吉「はい!」

 

マチ子に対し、少年の日の淡い憧れを秘めたまま、天海朝男の後を追うように三吉が志願兵になって軍隊へ入ったのは、それから間もなくのことでした。

 

うぅっ…三吉絡みのエピソードは泣けて泣けて…。