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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(1)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

昭和19年夏。日本橋の老舗紺屋「吉宗」の娘・桂木元子(原日出子)が速い足取りで日本橋を闊歩する。着いた先は水天宮。お賽銭をして手を合わせたところへ芸者・金太郎(木の実ナナ)が駆け寄って来て、父の宗俊(津川雅彦)が病気でひっくり返ったと言う。大慌てで帰ると、母のトシ江(宮本信子)は平然としている。宗俊は兄の正大に陸軍の入営通知が来たショックで布団をかぶって拗ねていたのだった。元子のお願い事とは…

実在の人物がモデルですが、原作本みたいなものもなし、DVDなども出てない。↑こちらの本は朝ドラ後というかずいぶん後に書かれたみたい。

 

オープニングは女性のスキャット?というのでしょうか。歌詞のない歌というか。音楽は「はね駒」と同じ三枝成彰さん。「はね駒」とは違い、軽やかな感じ。

 

東京・日本橋

 

1981年のビル街を歩く、もんぺ姿の原日出子さん。今にして思えばこの日本橋も40年前の風景で、それがカメラにおさまってるのがいいよね。

 

マー姉ちゃん」の初回と似た感じ。厳密に言えば、初回はマリ子たちがジャージ姿でマラソンし、102話はもんぺ姿のマリ子が1979年の車がガンガン走る福岡の街を歩き、福岡市役所に向かっていました。

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やって来ました、桂木元子(もとこ)さん。生まれは昭和元年。だから、あだ名は「ガンコ」で花も恥じらう数えの19…。少々クラシックすぎるいでたちについては後で説明するとして、ここはお江戸の日本橋

 

ナレーションは元NHKアナウンサーの青木一雄さん。字幕だとナレーションが緑色。「純ちゃんの応援歌」もナレーションが緑だったけど、何か法則あるのかな?

 

モデルになった近藤富枝さんは、1922(大正11)年生まれ。ヒロインの生誕100年でこの作品が選ばれたと思ったら全然違った。昭和元年は1926年の12月25日から12月31日まで。植木等さんは1926年の12月25日生まれだそうです。

 

今は、橋の上から少し横に移されましたが、これが東京市道路元標。慶長9年、ここが全国各地に通じる街道の大本と定められるや「お江戸日本橋七つ立ち」と歌にも歌われて、この日本の真ん真ん中の印となりました。

 

高速道路に覆われて、ちょっと薄汚(うすぎたの)うございますが、これが日本橋川。その昔は、東京湾からこうした水路を利用して全国の産物が船でこの界わいの問屋に出たり入ったり。

 

それで出来たのが、兜町証券取引所。そのぐるりには大小の証券会社がごまんとあって、さしずめニューヨークのウォール街、ロンドンのロンバード街といったところ。この取引所も近々、近代ビルに衣がえするために取り壊されるとか。

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1988年竣工。

 

ちょっとお名残り惜しいんですが、何せ、もっちゃんの足が速いもんで…。大急ぎで鎧橋を渡り、新大橋通りで追いつきますと、右が蛎殻町で左が我らの人形町というわけです。

 

今は、お二階に上がってしまわれましたが、水天宮さんは安産と水難、水商売に後利益のある神様です。

 

元子は穴の開いた10銭硬貨を賽銭箱に入れ、紙を見て、脇に挟んで手を合わせる。「お願いがあるんです、水天宮さん。あのお父さんのことだから…」

金太郎「ちょいともっちゃん! もっちゃんじゃないの」

元子「あら、金太郎ねえさん」

金太郎「『あら』じゃないわよ。一体、何をしてんのさ、こんな所で」

元子「うん、ちいっとね」

金太郎「ちいっともへったくれもあるもんか。あんた、お父っつあんがひっくり返ったの知らないのかい」←”しっくり返った”と発音。

元子「え~!」

金太郎「そこらで頭(かしら)にばったり会ったら、ちょうどお宅へ吹っ飛んでいくところだったんだよ」

元子「分かった。どうもありがとう!」

金太郎「気をしっかり持つんだよ! 私もすぐすっ飛んでいくからね! あの子、何を拝んでたんだろう。まあ、いいわ。おさい銭、払っちまったんだから、途中でやめて水天宮さんに恥をかかしちゃ悪いから、私が代わりにね、フフ」

 

金太郎は木の実ナナさん。着物のようでいて下は紫の派手なもんぺ。芸者さん。

 

人形町の標識が下がっている信号が青から黄色に変わる。

 

どうも話ののっけから父親がひっくり返ったなんて、この先、どうなることやら。何はともあれ、お釈迦様でもご存じないという切られ与三郎とお富の話のあったのが、ちょうどここ玄冶店(げんやだな)でした。

 

冒頭5分で人形町の紹介。

 

昭和十九年夏

日本橋人形町

 

ここからはセット丸出しの路地。

 

飛んで帰った元子の我が家。江戸染紺屋(こうや)の吉宗(よしそう)です

 

家の前に人だかりができている。

元子「すいません! ちょっとごめんなさい!」

人をかき分け、玄関へ。

元子「あっ、長谷川のおじいちゃん」

芳信「おう、もっちゃんかい。お父っつあんなら2階だよ。頭っから布団ひっかぶっちゃって、もういけねえや」

元子「え…。お父さん!」靴を脱ぎ捨て2階へ。

 

芳信「何だ何だ、若い娘が履きもんとっ散らかしちまってよ。おう、どうしたい」

彦造「へい。酒2本ともち米に砂糖、それから、ありゃあ魚が特配でもらえるそうで」

芳信「おお、そりゃ、ご苦労だったな。何はともあれ、めでてえことなんだから方々かき集めてなんとかしねえことには」

彦造「へえ。まあ、そっちの方は多分、おかみさんが」

芳信「全くかみさんかけずり回らせて大の男がなんてことだ」

 

芳信役の白髪のおじいさん、何か見たことあるなと思ったら、増田順司さんといい、「3年B組金八先生」第2シリーズの荒谷二中の飯田校長先生! 他には「ザ・商社」の鍋井常務、「けものみち」の岡橋道路公団理事など。金八キャスト早速発見!

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2階

布団をかぶっている人に語りかける男たち。

幸之助「おい、いいかげんにしろよ。このクソ暑いのに」

友男「気持ちはよく分かるけどよ、今度ばっかりはこんなのひっかぶったって駄目なんだよ」

幸之助「引っぺがせ、引っぺがせ」

友男「ガキだな、あんた…ほらよ!」

 

幸之助は牧伸二さん、友男は犬塚弘さん。

 

元子「何すんのよ、おじさんたちは!」

幸之助「何だ帰(けえ)ってたのか、もっちゃん」

元子「もういいから、そこどいて! お母さんどうしたの? お医者さんまだなの?」

友男「お医者さんだ!?」

元子「と…とにかく水くんできて。裏の井戸なら冷たいの出るから」

幸之助「分かったよ。おい、水だってよ」

友男「なんで俺に言うんだよ」

幸之助「バカ野郎。俺とこいつは竹馬の友だしよ」

友男「べらんめえ! 俺だってそうだよ!」

元子「やめてください! 病人の枕元で!」

幸之助「病人!?」

元子「倒れたら静かにして動かさないってのが常識でしょ。それをおじさんたちったら…」

友男「ちょっ…ちょっと待ちなよ、もっちゃん。お前さん、何か勘違いしてんじゃねえのかい?」

 

トシ江「どうぞ。下には冷たいの用意しときましたから」

元子「お母さん!」

トシ江「帰ってたの。ちょうどよかった。おキンばあやがね、千人針の支度してるから早速行ってやってきておくれよ。ね」

元子「千人針?」

幸之助「おお、そうか。とら年だったね、もっちゃんは」

友男「19だったか。一遍に19もやっつけりゃこいつは豪気だ」

幸之助「ああ。『虎は千里行って千里帰る』ってな。お前が心を込めて刺してやりゃ、あんちゃんの何よりのはなむけだ」

 

トシ江は宮本信子さん。昭和元年は大正15年末でもあるから寅年なんだね。「おしん」の初ちゃんと同じ年。

 

元子「何のことよ、一体」

トシ江「あんちゃんがね、兵隊に行くんだよ」

元子「どうしてぇ!?」

幸之助「入営の通知が来たからさ」

元子「そんな」

友男「そんなもこんなも来ちまったんだからしかたねえだろうよ」

 

元子「じゃあ、お父さんが倒れたっての病気じゃなかったの?」

トシ江「病気は病気でも苦手に出合うとすぐ布団ひっかぶっちゃうあの病気」

布団を自らめくる。

友男「おっ」

宗俊「てやんでぇ! 何がいつもの病気だ。俺ぁ銃後の父として、やつにどう恥ずかしくねえ、はなむけの言葉を贈ってやろうかと考えてたとこなんだ。人(しと)の気も知らねえで黙って聞いてりゃ何だ。冷てえ水をくんでこいだと? そろいもそろいやがって、そそっかしいのも大概(てえげえ)にしやがれ!」

 

宗俊は津川雅彦さん。この時、まだ40過ぎ。角刈りが伸びた感じの短髪。1977年の「岸辺のアルバム」では30過ぎの独身教師。1985年の「澪つくし」では大店の旦那様。

 

そうです。これは太平洋戦争も庶民の生活に日々厳しさを増してきた昭和19年夏のお話です。

 

1階

座布団を運んでいるトシ江。

元子「あっ」

トシ江「よいしょ」

元子「千人針ね、あとはやってくれるって。秀美堂のおばさんが駅前持ってってくれました」

トシ江「あっ、そう。ところであっちの方どうだったの?」

元子「うん、工場の方はちょうど国文科の先生がいらして暇(しま)をもらってくれたから、その足で学校へ行って書類そろえて願書は出してきた」

トシ江「ああ、そう。そんならよかった」

元子「だけどまさかこんなことになってると思わなかったから」

トシ江「大丈夫。父さんの方、私が何とかするから。ね」

 

金太郎「おかみさ~ん! 金太郎ですぅ!」

 

トシ江「は~い! じゃあ、後でね。これ、そっちの隅っこへ置いといて」

元子「はい」

 

台所

天ぷらを揚げている金太郎、トシ江。奥では男たちの話し声や笑い声が聞こえる。

 

勝手口

絹子「もう始まってるわ。こんにちは!」

トシ江「はい」

絹子「まあ、義姉(ねえ)さん。本当にこの度はどうも」

トシ江「お絹さん、嫌ですよ、こんな所から。洋三さんも。皆さん、あちらでやってますから、どうぞお上がりになってくださいな」

洋三「いやいや、遊びに来たわけじゃないですから。何か手伝うことがあったら言ってください。なあ、絹子」

絹子「ええ、そうですとも。あら、豪勢じゃない。かぼちゃの天ぷら?」

トシ江「ええ。金太郎ねえさんがね、手妻使って、油を一升、見つけてくれたんですよ。もう」

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金太郎「そそっかしいからね、私って、もう。宗俊旦那がひっくり返ったって聞いたもんだから、もうてっきり病気だと思ってさ。もっちゃんを驚かしたおわびのしるしなのよ」

洋三「いやいや、それにしても今どき油一升、大変なことですよ」

金太郎「ある所にはあるのよね。悔しいったらないじゃないの」

絹子「まあ、おいしそう」

金太郎「おいしくなくってさ、上等の夏帯が化けちまったんだから」

トシ江「まあ、金太郎さん」

金太郎「あ、いや…いけない、あの…。どうしてこの口は、こう軽いんだろう、もう…」

頭を下げる絹子。しゃべってる間に前掛けかけて手伝う準備してる。

洋三「義姉さん、それじゃあ、僕、そっちの方へ失礼します」

トシ江「あっ、どうもすいません」

演技しながら天ぷら揚げてる金太郎ねえさん。洋三は奥へ。

 

宗俊の笑い声が台所まで聞こえてくる。

絹子「飲んでるの? 兄さん」

トシ江「ええ」

絹子「まだ表、明るいってのに」絹子も手伝い始める。

金太郎「飲まずにはいられないんじゃないですか。ご自慢の惣領息子、持っていかれちまうんだから」

台所で座って千人針をしているひっつめ髪のキン(菅井きんさん)が鼻をすする。

 

絹子は金八の理科の国井先生(茅島成美さん)、洋三は社会の服部先生(上條恒彦さん)。絹子が宗俊の妹で、洋三がその夫。国井先生と服部先生が夫婦役か。面白い。

 

茶の間

ちゃぶ台で友男は思い切りカメラに背中を向けている。

幸之助「あ~、どうぞどうぞ」

洋三「どうもすいません…。それで、正大(まさひろ)君は?」

宗俊「ああ、電報が着き次第、汽車に飛び乗ってるだろうよ」

幸之助「まあ、それにしても北海道(ほっけえどう)ってのは遠いよなぁ」

友男「けど、何でまたあんな遠い所の大学入れちまったんだよ」

宗俊「若(わけ)え衆よ、でっけえことを考えろなんてな、おだてるやつがどっかにいたらしいんだよな」目線は洋三へ。洋三はいたたまれない。

友男「それにしても遠いよな。乗り継いで帰ってきても出発までにはいくらもいられねえんだから、うちには」

宗俊「それを言うなと言っただろ!」ちゃぶ台をたたく。

友男「あ~、悪かった、悪かった…」

幸之助「まあまあ、まあまあまあ。ほら、グ~ッといけよ、グ~ッと、ほら。よいしょ…」一升瓶から湯飲みに直接注ぐ。

洋三「どうも」

幸之助「♪『酒は涙か』って、ほらほら…。♪『溜息か』」

酒は涙か溜息か

酒は涙か溜息か

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宗俊「バカ野郎。『溜息』なんて歌、歌っちゃいけねえ!」

幸之助「じゃあ、あの『貴様と俺』。」

宗俊「よし…」

幸之助「せ~の」

 

♪貴様と俺とは同期の桜

同じ兵学校の庭に咲く

咲いた花なら散るのは覚悟

みごと散りましょ国のため

同期の桜

同期の桜

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歌い終え、歓声が上がる。洋三は歌ってなかった。でも何気にこの人たち、ミュージシャンぞろいなのね。

 

彦造はその輪に入らず、勝手口へ。

 

2階から降りてきた元子。父たちはまた違う歌を歌っている。

 

元子「彦さん、お祝いなんだから、あんたも向こうで一緒に飲んだらいいのに」

彦造「何が祝いだい、べらぼうめ」外へ行ってしまう。

元子「彦さん…」

 

トシ江「寂しいんだよ、彦さんは」

元子「お母さん…」

トシ江「何たって正大には、おんぶした背中をおしっこでぬらされちゃったてのが自慢の彦さんだから」

元子「うん…」

 

順平「ただいま!」

巳代子「ただいま!」←へび年生まれかな?

トシ江「お帰り」

巳代子「ねえ、そこで順平から聞いたんだけど、あんちゃんが兵隊に行くって本当!?」

トシ江「本当だよ」

 

順平がトシ江が持っていた食べ物を持っていく。

元子「こら! 何よ、意地汚い!」

トシ江「順平!」

元子「順平!」

 

学徒出陣の映像

陸軍分列行進曲

陸軍分列行進曲

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この前の年、徴兵適齢が1年引き下げとなり、それまで猶予されていた大学生の徴兵制度も学部によっては撤廃され、8代続いた日本橋の江戸染め紺屋・吉宗の跡取り息子も北海道の大学から呼び返されたというわけです。

 

元子たちの部屋

元子「お父さん、あのとおりだもん。私、あのこと言いだし損なった」

巳代子「どうするのよ。こんなことになったら、お父さんちょっとやそっとじゃ『うん』って言わないから」

元子「覚悟はしている」

巳代子「あんちゃんが北海道に行く時だって大騒動だったんだもの。これが兵隊に行くんじゃ頭に血が上りっぱなしだろうし間が悪すぎるわね」

元子「参ったなぁ。せっかく水天宮様におさい銭あげてお願いした…。あ! いっけない! 途中までしかお願いしなかった!」

巳代子「もう本当にそそっかしいんだから。お姉ちゃんはガンコさんでしょ。こうと思ったら、どこまでも頑張らなくてどうするの」

 

さて、元子が言いだせなかったこととは一体何だったのでしょうか。

 

窓の外を見る元子。

 

いや~、さすがに怒涛のセリフ量! 小山内美江子さんは1979年春に「マー姉ちゃん」、秋に「3年B組金八先生」の第1シリーズ。1980年秋に第2シリーズ。そして、1981年秋から「本日も晴天なり」とすごいスケジュール。さらに調べたら金八の第2シリーズ後、TBSの夏クールで3か月「父母の誤算」を13話やってからの朝ドラなんだね。

 

いい声の人が多くて聞きやすい。原日出子さんは声質的にギャーギャー騒いでもうるさくならないタイプ。あと演技も安定している。”ほっけえどう”とか”しっくり返った”とかテンポのいい江戸弁がいいねえ~。

 

初回から太平洋戦争真っただ中というのもすごい展開。

 

金八先生は第6シリーズまでは視聴しましたが、一番好きなのは第2シリーズなので、wiki見て原日出子さんが第5シリーズのデイサービスセンターの職員というのはすっかり忘れてたなあ。ついでに第6シリーズでカンカンと結婚!? 原日出子さんも金八ファミリーとは気付きませんでした。

 

wikiもまだまだ寂しい。ナビ番組であらすじは大体わかったので、これからどんな人が出るか楽しみだな~。