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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(128)「山があるから...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

時は流れ、平成3年春。63歳になった町子(藤山直美)だが、まだまだ若々しく徳永家で執筆を続ける。健次郎(國村隼)も相変わらず診療所を続け、矢木沢純子(いしだあゆみ)も町子の秘書のまま。子どもたちは独立し、晴子(田畑智子)は勤務先の病院の外科主任になっていた。そして、ひざを悪くした町子の母・和代(香川京子)が同居のため徳永家に引っ越してくる。そこへ結婚した由利子(邑野みあ)が里帰りしてくるのだが…。

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86話が昭和45年春。由利子が高2、清志が中3、登が中1、隆が小6、亜紀が小2。

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先週末の127話は、昭和45年末だと思います。結構長く同じ時期を描いていたと思ったら、いきなり時が飛んだ。

 

1991年、平成3年、春

 

玄関

徳永家に荷物が運び込まれる。

引っ越し業者「どうもありがとうございました!」

 

町子63歳。まだまだ若々しくフットワークも軽やかです。

                                

町子「これ、少しですけども、お茶でも飲んでください」

引っ越し業者「あ…どうもすんまへん。ほな、行こか」

男「はい」

 

廊下

和代「あっ、帰りはった?」

町子「ねえ、お母ちゃん、座ってる方がええわ」

和代「そやけど、お部屋片づけな」

町子「健次郎さんが大きいの置いてくれてるから、あとはボチボチやりましょ。ねっ」

 

茶の間

和代「思たより荷物あったなあ」

町子「うん」

和代「はい」

町子「ねえ、お母ちゃん」

和代「うん?」

町子「お仏壇も一緒に引っ越ししましたから、いっぺんお寺さんに来てもらわなあきませんね」

和代「そやな。けどまあ、ええお天気でよかったこと」

 

この日は休日。町子の母・和代が同居のために徳永家に引っ越してきました。

 

健次郎「お疲れさん」

純子「お疲れさまでございました」

和代「お疲れさまでした」

町子「いろいろとありがとうございました」

純子「いいえ」

 

健次郎「段ボール開けといたから、後でまたボチボチやろか」

純子「あっ、あの、タンスの引き出しもきれいに拭いておきました」

和代「ありがとうございます」

町子「ほな、お昼にしましょか? もう、おすし来てますねんわ」

 

和代「今日からどうぞよろしゅうお願いします」

健次郎「いいえ、こちらこそ。いや~、あれだけにぎやかやったのに皆、出てってしもて…。何や…調子狂うてしもてね」

 

純子「亜紀ちゃんも札幌の獣医さんの大学に行ってしまわれましたし、大先生、このところお寂しそうですね」

時期的にもハムテルたちと同時期に同じ大学にいたりして。21年後なら亜紀ちゃんは大学生というより先生!? 

 

健次郎「けどまだうるさいのが一人居残っておりますけどね」

町子「アハハハハハハ! はい、どうぞ」

健次郎「ほな、いただきます」

一同「いただきます」

 

晴子「はい、うるさいのが帰ってきましたよ」

健次郎「お~、お帰り。夜勤明けか?」

晴子「うん。お膝、どないですか?」

和代「ありがとうございます。ここんとこ調子ようて。手術や言われたらどないしよか思てましたけど」

晴子「その調子やったら大丈夫です。何かあったらすぐ言うてくださいね」

和代「晴子さん、今日からよろしゅうお願いしますね」

晴子「こちらこそ」

 

純子「おうちに名医さんがいらっしゃると安心ですよねえ」

晴子「いや、名医やなんて、そんな、純子さん…」

町子「名医さんですよ。大きな大学病院の外科主任さんですもんね。いや、遠いとこからね、『徳永先生、徳永先生』て来はるんですて。まあ、そんな立派な主治医さんに診てもらえるて、お母ちゃん幸せもんやねえ」

健次郎「まだまだヒヨッコや」

町子「あっ、すねてる。健次郎さんも名医ですから、名医」

健次郎「アホ」

 

晴子「ほな、着替えてきます」

町子「はい。あっ、そう、今夜はね、山菜の天ぷらですから」

健次郎「あ、そう」

純子「わ~、山菜!」

町子「丹波の中川さんがね、また送ってきてくれはったんです」

和代「丹波にお友達いてはんの?」

純子「あの、ツチノコの取材で伺って以来、時々、遊びに行ってるんです」

健次郎「ツチノコはいまだに見つからんのですけどね、もうすっかり長いつきあいになりましたわ」

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町子「あの、清志君がね…あれ、あの、長男の清志君が、あの人、えらい山好きでね、お休みのたんびに行かせてもろてるみたいやの」

和代「へえ~」

 

電子音の電話が鳴る。黒電話の隣にプッシュ式の白い電話が並んでいる。

健次郎「うん? そっちか…」

純子「あっ、こっち。あ、もしもし、花岡でございます。あっ、陽春社さん。はい。お世話になっております。ええ。あの、長編連載の件で明日…」

町子「大丈夫です、大丈夫です」

純子「はい。はい、よろしくお願いいたします」

 

和代「長編て、あんた、また長いの書く気かいな?」

町子「はい」

和代「まあ、その年になって、むちゃはあきませんで」

町子「その年て…。けど、よう考えてみたら、私、お父ちゃんの年、追い越してしもたんやわ」

健次郎「うん。ほんまやなあ」

町子「そうやねえ。あら~」

 

受付裏

晴子「うん、そやからね、東條先生、今朝のは東條先生が悪い。『何で?』て…。オペの責任者のドクターがいてへんのに手術勝手に始めるもんやない。待ってたらええやないの。半時間も遅れたわけやないんでしょ。何かあったら誰が責任とるの? 第一あなた契約職員やいうこと忘れたらあかんわ。とにかく部長がカンカン。部長には明日私から話、してみるから。ねっ。はい」こちらの電話もプッシュ式になったみたい。

 

健次郎「何や、ため息ついて」

晴子「こないだから外科に契約で来てるドクターがね、ちょっと部長怒らせしてしもて」

健次郎「ふ~ん。若いの?」

晴子「私より2つ下。去年まで海外青年協力隊でネパールに行っててね」

健次郎「へえ~」

晴子「今朝もオペの責任者が5分遅れたからいうて、先、勝手に始めてしもて…」

健次郎「それは、でも遅れる方が悪いがな」

 

晴子「そら、そうやねんけど…。初めてやあれへんのよ。上の人に食ってかかることも多いし、助手で入っててもチーフの指示に従わんと別の処置始めたり…。大病院いう組織のルール守らへんから、いろんな部署から私にクレームが来てね」

健次郎「腕は?」

晴子「それがええから困ってるんやないの」

健次郎「へえ~」

晴子「結果的に彼の処置の方が正しいことの方が多いの。そやからメンツ潰されて上がカッカカッカしてしもて」

健次郎「メンツよりも患者さんの安全が優先やろ」

 

晴子「分かってるよ。そやからカバーできるとこは私がしてるけど…。まだネパールにいてる気分なんかなあ…。とにかくカッとなったら、相手が院長であろうが理事であろうが自分の思たことポンポン言うもんやから、かばいきれへん時あんのよ」

健次郎「うん。上司もしんどいこっちゃな」

晴子「お兄ちゃんもご存じのとおり大病院いうのは、そういうとこ厳しいんです」

健次郎「ほう。まっ、頑張り」

 

和代の部屋? 1階の喜八郎さんたちがいた部屋かな。

町子「嫌や、お母ちゃん、これもう穴開いてるやん。ほかそうほかそう、これもう」

和代「もったいない。繕うたら着られます。入れといて」

町子「は~い。えっ? これ私がうちにいてる時からあるやないの。まだ着てんの?」

和代「着てへんけど、あんたが初めてのお給料で買うてくれたもんやさかい」

町子「これからあとも何かいろいろほれ、プレゼントしたやん」

 

純子「フフッ!」

町子「何がおかしいんです?」

純子「先生も子供時代のほら、かわいいワンピース、いまだに取ってらっしゃるじゃないですか」

町子「ああ」

和代「ああ…あれ。お父ちゃんが心斎橋の志光で買うてくれた、あの赤いの。あんた、あれ好きやったもんねえ」

町子「うん。もうさすがに着られへんけれどもね。もうあの服好きやってん。ものすごいかわいかった。案外着たらね、似合うのよ。近所の人がね『こんなかわいい子見たことないわ』て言わはるから…」

和代「おしゃべりしてたら今日中に片づきませんよ」

町子「そやね。はい」

 

夜、茶の間

健次郎「純子さんも食べていったらよかったのになあ」

町子「お父さんの法事のことでね、親戚の人に会わなあかんのやて」

健次郎「ああ、もう、十三回忌か…」

町子「うん」

 

1991年で十三回忌ということは純子さんのお父さんが亡くなったのは、1979(昭和54)年かな。

 

健次郎「あっ、あんた、講演やな? 明日。京都やった?」

町子「最終で帰ってきますから」

健次郎「1泊ぐらいしてきたらええがな」

町子「締め切り迫ってますもん」

 

玄関から入ってきた登山スタイルの青年。

 

勤め先の寮で一人暮らしをしている長男の清志です。

 

清志が尾上寛之さんに変わった。「カーネーション」の勘助、「ROOKIES」の今岡役…でも、初めて知ったのは恐らく2001年の「少年H」かな~。子供の頃から演技がうまい。

 

茶の間

清志「こんばんは!」

健次郎「おう!」

町子「清志君!」

清志「こんばんは」

和代「しばらく」

 

清志「あっ、引っ越し今日やったんや。言うてくれたら手伝うたのに」

町子「そんなんええねんて。ねえ、山、行ってたの?」

清志「うん」

町子「ねえ、おなかすいた? ごはん食べよう。食べよう、食べよう」

 

健次郎「これな、中川さんがまた送ってくれはったんや」

清志「すごいやん! あっ、おっちゃん言うてたで。『お父ちゃんとおばちゃんに蛍の季節にまた来て』言うて」

町子「蛍か…。ええな。また行きたいわ~。あっ、おビールでいい?」

清志「うん、ありがとう」

町子「よいしょ」

 

和代「それでそれでツチノコは見つかりそう?」

町子「お母ちゃん、ツチノコのこと忘れてって。清志君ね、なにもツチノコ研究家と違うねんから」

和代「あ…何や、そやの」

 

町子「はい」

清志「あっ、ありがとう。あ…晴子叔母ちゃん、仕事?」

町子「ううん。何や電話してはるわ」

 

受付裏

晴子「え? 9時ですか? はい。東條先生には私から申し伝えておきますので」

 

茶の間

清志「これか~」

健次郎「イワナか。また釣りに行かなあかんな」

清志「もう、中川のおっちゃんとこの孫も『こんな大きいの釣った』言うて自慢してたもん」

健次郎・町子「へえ~」

 

清志「おばちゃん」

町子「うん?」

清志「久しぶりに来週の土曜辺り、これ、どない?」リールを巻くジェスチャー

町子「おばちゃん、土曜日ね、博多で講演会やねん。その足で徳島へ飛んで、で、次の日、徳島で講演会」

清志「ハードやなあ!」

町子「あ、そや。イチゴあったんや。ちょっと待って。持ってくるわ。なっ」

 

清志「おばちゃんて変われへんな」

健次郎「うん?」

清志「ずっと好きなことやってるから若いねやろなあ」

 

黒電話の音が鳴る。でも、音、替わった? 少し軽やかになったような。

健次郎「あっ、こら、僕やな。はい、もしもし? あ~、今村さん。どないしました? ああ、分かりました。ほな、すぐ行きます。はい。ちょっと往診行ってくるわ。今村さんとこ」

町子「はい」

健次郎「清志、ほな、またな」

清志「うん」

健次郎「あっ、お前、何か用事あったんか?」

清志「ううん」

健次郎「うん。ほな…」

清志、ため息。

 

玄関

町子「よいしょ」清志を送りに行ってたのかな。

 

廊下

町子「あ~、晴子さん」

晴子「清志、帰ってしもた?」

町子「ええ、今。ごはんのあともお電話ですか?」

晴子「そうやの。朝一から臨時の会議に召集された。上に気ぃ遣い、下には勝手なこと言われ…。はあ…。お風呂、入ろ」

町子「あっ、お風呂まだ入れてませんのやわ」

晴子「あ、そう。お手洗い」

町子「あ、今、母が…」

晴子「漏れそう」

 

そして翌日です。

 

仕事部屋

資料を見ながらメモを取る町子。

 

茶の間

お茶をいれる純子。

健次郎「あれ? 仕事してんのかいな? 出かけるんやなかった?」

純子「編集者の方が打ち合わせに見えるんです。次の長編連載のことで」

健次郎「長編? ほなまた半年大騒動やね」

純子「でも、驚きですよね。先生の初めての長編連載『降ったり照ったり』を子供の頃に読んでた読者が担当の編集者だなんて…」

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健次郎「へえ~、早いねえ、時の流れは…」

純子「ねえ。フフフ!」

健次郎「内容はもう決まってんの?」

純子「ええ。先方は『ツチノコ研究家が出てくる「よっこらしょ」みたいな家庭小説がいい』っておっしゃってるんです。で、先生もその方向で決められたみたいです」

健次郎「ふ~ん」

 

新聞紙面

 

湾岸戦争で活躍

パトリオットミサイル発射されなかった?

                    米軍宿舎爆発事件

 

健次郎「ほんまによう戦争のネタ見つけるもんやで」

 

診療所では結婚して退職した鯛子の代わりに新しい看護師が来ていました。

 

パソコンの画面を見ている看護師の若子と藪下。ヤブちゃんいたんだ。

健次郎「ほな、始めましょか」

若子「はい」

 

アムールに配達を終え、出てきた工藤夫婦。

貞男「毎度おおきに!」

タエ「おおきにね!」

貞男「おっ、由利子ちゃんやんか!」

由利子「あ~、こんにちは!」

タエ「いや~、久しぶり。元気? 守の結婚式以来やねえ。お仕事忙しいのにありがとさんやったね」

由利子「守君、元気にしてはる?」

貞男「もうすぐ産まれんねんで、初孫!」

由利子「ええ! おめでとう!」

貞男「また遊びに来てな!」

由利子「はい。じゃあ」

タエ「さいなら」

 

タエ「やっぱりおしゃれな服着てやるなあ」

貞男「そら、お前、ファッション関係のお仕事してんねやからなあ」

 

結婚した長女の由利子の久しぶりの里帰り。何やら事情がありそうです。

 

大きなカバンを持って玄関から入る由利子。

 

ミニ予告

町子、ため息。

 

町子の髪型がおばちゃんパーマになっていた。戦争時代の町子と由利子の役は直前で入れ替わったと前に聞いて、由利子役の邑野みあさんは低音でどちらかというと藤山直美さんの少女時代を演じるにふさわしい感じがしたけど、今日の回を見て、高校生から幅広く演じるから邑野さんが由利子になったのかと私の中で納得した。少女時代の町子を演じた尾高杏奈さんは少し幼い感じもあったから。

 

こんな一気に時が飛ぶのも珍しい。「マー姉ちゃん」にしろ「あぐり」にしろそれぞれモデルになった方は長生きだったけど、そこまで年老いたところまでやらなかったもんねえ。「カーネーション」も残り1か月が老年期だっけか。BKの特徴なのかな。