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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (115)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

食材の仕入れ値が少し高いと気づいた純子(山口智子)が、垣本(岡八郎)を問い詰めると、垣本は板場の給料は安いし、ピンハネは誰でもやっている、と開き直る。垣本の嫌がらせはエスカレートし、純子に相談されたあき(伊藤榮子)も困ってしまう。芦屋の旅館に断られた北海道の高校から、春のセンバツに出場するため、野球部35人の宿泊の申し込みが入るが、来訪を翌日に控え、垣本やキク(紅萬子)たちは辞めると言いだし…。

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昨日は高校野球の試合が長引いて結局休止。1話くらいやってよ。夕方の再放送は好きだった「ゲゲゲの女房」と「カーネーション」くらいしか見てないけど、度々1話しかやらない日もあって、何度もずれたりしたもんだけど、今んとこ「純ちゃんの応援歌」は1話だけ放送した回がない。というか潔く休止し過ぎてる気もする。

 

浜風荘板場

純子「この伝票やけど、みんな実際の仕入れ値よりも2割から3割高うなってんのと違います?」垣本に伝票を手渡す。

 

そうなんです。おかしなことになりました。板場の垣本が仕入れ値をごまかしているのに純子が気が付いたのであります。

 

純子「私、おかしい思て市場に行って聞いてきたんです。そしたら…」

あき「純子、どないしたんや?」

純子「浜風荘の板場さんにはそうするように頼まれてますて言うてはったけど」

垣本「そうでっか」

 

純子「そのサバ、キロなんぼで買うたんですか?」

垣本「あれでっか? これ見とくなはれ。書いてありますわ」

純子「これほんまはキロ当たり60円と違います?」

垣本「ほんまはね」

 

純子「それやったら何でこんな数字になるんですか? 毎日のことやから1か月1年とたったら、だいぶ違うてきますやろ」

垣本「そら、そうなりまっしゃろな」

純子「これからはほんまの仕入れ値を書いてほしいんです」

垣本「女将さん、何を怒っとってんでっか?」

 

純子「怒ってるわけやないんです。これからはちゃんとした数字を書いてほしいて頼んでるんです」

垣本「何を言うとってんでっか。こういうことがあるさかいに多少給料が安うても板場が居ついてんのとちゃいまっか? これやめちゅうのやったら、もうちょっと給料考えてもらわな。小ぼんちゃん」

石田「はい」

 

純子「私、おかしいと思うんです」

垣本「いや、おかしいとかね、おかしないの問題とちゃいまっしゃろ。習慣ちゅうかな、そういうもんでっせ。誰でも多少はやってることとちゃいまっか?」

純子「とにかく私が知った以上はやめてほしいんです。私は旅館の仕事は初めてやし何も知りません。そやけど、伝票の数字が初めから間違うてるいうのは理屈に合わんと思うんです。垣本さんのお給料のことは後でまた考えさしてもらいますさかい、仕入れ値の上乗せはやめてほしいんです」

 

垣本「ああ、そうでっか。女将さんがそない言わはんのやったら、これからそないさしてもらいます」

純子「すんませんけど、よろしゅうお願いします」

毅然とした純子の態度、いい! 純子に続き、あきも板場を後にする。

 

キク「これやもんなあ。そやから素人はかなんわ」

垣本「知ってて知らんふりするのが女将さんちゅうもんや。ああ、女将さん知ってはんねやと思えばこそ恩に着るんや。はあ~。アホ! 焦げ臭いやないかい!」

石田が鍋をひっくり返した。

垣本「拾わんかい! はよせえ!」

石田の頭を小突く。石田は熱々の野菜を鍋に戻す。

垣本「鈍くさいガキやで」

ヨシ子もピリピリした板場の雰囲気に必死に皿を磨く。垣本もキクもなまじ仕事ができるもんだから、「おしん」の最初の奉公先の女中頭のツネみたいに女将さんより偉そうになっちゃうんだよね。

 

あき「大丈夫やろか」

純子「何が?」

あき「板場さんとは、これからずっとつきおうていかなあかんのやから」

純子「そやけど、こういうことはちゃんと言うといた方がええんや。前の旦那さんが板場さんとキクさんに任せっぱなしにしてはったさかい自分たちのええようにしてんねや」

あき「そやけど最初からあれもこれも言わん方がええんと違うか?」

純子「時間がたったら言いたいことも言えんようになってしまうやろ。そやから気が付いた時に一つ一つ片づけていかなあかんのんと違う?」

確かになんじんだ後の方が言いにくいかも。

 

あきと純子が話していると物音がした。

秀平「じゃあ、僕出かけるから」

純子「今夜はどないなってますのん?」

秀平「今夜はね、現像の仕事がたまってるからわらべ出版の暗室で徹夜するかもしれない。明日の朝、帰るよ」

純子「分かりました」

 

玄関

秀平「どうした? 板場さん」

純子「言うだけ言うといたわ。板場さんは分かった言うてくれはったんやけど」

秀平「そう。もし僕が出ていって役に立つことがあったら言ってよ。ねっ? 力になるから」

純子「おおきに」

秀平「じゃあ」

純子「行ってらっしゃい。気ぃ付けて」

 

夜、廊下を久美子やヨシ子が食事を運んでいる。

 

純子「ご挨拶が遅なりました。女将でございます」

客「あんたが女将さんか。この料理な、これ、どないなってんねん」

純子「は?」

客「辛うて食べられへんわ」

純子「辛いですか?」

客「あのな、田舎のばあさんの手料理なら我慢もするけど、仮にも料理自慢の浜風荘やないかい。それがこんなもん客に食べさしてどないすんのや。板場呼んでんか」

純子「すんません。ただいま」

 

板場では石田が「何やこのかつらむきは! こんなもんお客さんに出せへんで」と垣本に叱られ、ごみ箱に捨てられていた。「ダシの取り方も何べん言うたら分かるんや、このドアホ! こんなダシ、ほかしてしまえ」

 

純子が板場へ。

垣本「女将さんは口出しせんといてください。仕事、教えてまんねや。おい、ダシ、ほかさんかい」

純子「垣本さん」

垣本「へえ、何だす?」

純子「松の間のお客さんがな、お料理が辛い言うて怒ってはるのやけど」

垣本「辛い? そんなことおまへんやろ」

純子「けど、そない言うてはんのや。板場さん呼んでくれ言わはって」

 

垣本「そら、やめといた方がええのちゃいまっか?」

純子「何で?」

垣本「わいかて多少は腕に自信のある男だ。目の前で料理にケチつけられたら、お客さんとけんかになります」

純子「そやけど…」

垣本「ま、ここは女将さんあんじょう収めとくなはれ。それが女将さんの腕だっしゃろ」

純子「分かった。そうします」

 

純子がいなくなるとすかさずキクが「わざとやりはったんか?」と聞く。

垣本「わいがそんなことするわけないやろが」とは言っていたが…?

 

純子「すんません。お口に合わん料理を差し上げまして、ほんまにこのとおりおわびを申し上げます。お料理の方は早速取り替えさせていただきますよって、どうぞお許しを願いとう存じます」

客「板場は何でここへ来んのや」

純子「すんません」

 

客「あんたな、板場にイケズされてんのと違うか?」

純子「いえ、あの…ほんまにようやってくれる板場なんですけど、今日はどういう加減か…」

客「まあよろし。待ちまひょ」

純子「すんません。おおきに」

 

居住スペース?

あき「そうか」

純子「お客さんが待ってくれはったからよかったようなものの、これではとても宿代いただくわけにはいかへん」

あき「困ったなあ」

純子「お料理が遅れんのもわざとやってんのかもしれん」

 

あき「どないしよ」

純子「一遍集まってもろて、お互い言いたいことをきちんと言うた方がええのかもしれんな」

あき「私らが世間知らずやったんかも分からへん。今まであんまりええ人に囲まれてきたさかい」

そうだねえ。

 

そこに電話がかかってきた。一旦落ち着かせて「はい、浜風荘でございます」と明るい声で電話に出る純子。「はい。3月ですか? はいはい…え~今のとこ空いておりますけど。何人さんでっしゃろ? 35人から40人? あ、高校野球の。センバツですか? はい。あ、そうですか。はい、はい」

笑顔で見守るあきと帰ってきた雄太。

純子「はい、分かりました。お引き受けさしてもらいます。はい。ご予算はそれで結構でございます。ご連絡先は? はい。はい、分かりました。お待ちしております。おおきに」

 

あき「どこや? 高校野球か?」

純子「うん。北海道の北嶺高校というとこがセンバツに来はんのやて」

あき「ふ~ん」

ja.wikipedia.org

北海道に北嶺高校というのは実際あるけど、すごい進学校みたい。1986年にできた割と新しい学校だから、ドラマに出てくる学校とは違う。昭和30年のセンバツの北海道代表は北見北斗高校でした。

 

雄太「センバツ? 引き受けたんか?」

純子「うん、引き受けた。35人ぐらいで来はる言うからどないしよ思てたら、雄太が帰ってきたやろ。雄太の顔見てたら突然引き受ける気になってしもたんや」

あき「それやったらその間、ほかのお客さん、断らんといかんな」

 

純子「うん、そやな。ただな、学校やから予算がない言うてはんねん。私はそれで結構です言うてしもたんやけど」

あき「どれぐらいや?」

純子「一人600円ぐらいや」

 

雄太「でも、何でうちに来ることになったんやろ」

純子「それがな、4年前までは芦屋の旅館を使うてはったんやけど、今年は別の団体が入ってしもてあかんようになったんやて。そやけど、今どき35人もの団体を引き受けてくれる所がない言うて、えらい困った声出してはるねん」

雄太「甲子園に出る連中か。羨ましいなあ。お姉ちゃん、出来る限りサービスしたってや」

純子「当たり前やがな」じゃれ合ってるぅ~。

 

ところがいよいよセンバツの開会式が10日後に迫り北海道代表北嶺高校の一行が明日来るということになったある日、思わぬ異変が起こったのであります。

 

板場

純子「どないしたんですか?」

垣本「突然ですんまへんけど、お暇いただきます」

あき「訳を言うてください」

垣本「いえ、ま、とにかくこういうわけですわ」

キク「私らも右にならえですわ。短い間でしたけども、どうもお世話になりました」

 

あき「待ってください。明日はセンバツの生徒さんたちが来はるんです。今、あなたたちにやめられたら…」

垣本「いえ、女将さんとはね、考えが食い違うとりますさかいな。それやったら早い方がええと思いまして」

秀平「あんたたち、ひきょうじゃないですか!」

垣本「ひきょう?」

 

秀平「そうでしょう! こんな時にやめるなんて言いだして人の足元見てるじゃないですか!」

垣本「そらね、わいらかてやめたないですよ。けど、今のままではどうもやりにくいんですわ。もう少し考えてもらわんと」

あき「それやったら相談しましょ。なっ? とにかく荷物ほどいて」

キク「まあ、私らのような古うからおるもんの考えも聞いてもらわんことにはねえ」

垣本「どうでっしゃろ」

 

純子「いえ、分かりました。ほな、残念やけど、引き取ってもらいまひょか」

垣本「何やて? ほんまによろしいんか?」

純子「はい。やめる言わはんのやったら引き止めません。お給料は清算しときますさかい、後で取りに来てください」

キク「あ…明日からどないするつもりです?」

 

純子「それはこっちでなんとでもします」

垣本「さようか。ほな、失礼しますわ」

キク「35人ものお客さんが来たら、そら騒動でっせ。知りまへんで!」

垣本、キクも出ていき、久美子たちも一礼して出ていった。

 

秀平「いいんだ。これでいいんだ」

純子「どないしよ。明日35人も来はんのや」

あき「純子…」

純子「どないしよ…」

 

山口智子さんが出ていた「王様のレストラン」ではやめるまではしなかったけど、ボイコット事件はあったな~。山口智子さんは「王様のレストラン」だとボイコットする側だったけどね。

言ってしまってから、「どないしよ」ってなってるのも純子らしい。でも、あんなベテランならいらないよ。