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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (116)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

従業員が辞めてしまって、途方に暮れる純子(山口智子)たちだが、今いる人数で乗り切ろうと、35人を相手の対応の予行演習をする。手伝いに来たもも(藤山直美)は、1人で大量の皿を運ぼうとして、落として割ってしまう始末。皆が忙しく働いていると、雜賀(桂枝雀)が旅に出る、とあいさつに来る。あと2、3人手伝いがほしい、と言っていると、石田(戸田都康)とヨシ子(川田陽子)がここで働かせてほしい、と戻ってきて…。

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続きから。この回はオープニングが長いから月曜日回なんだよね。

純子「やめる言わはんのやったら引き止めません。お給料は清算しときますさかい、後で取りに来てください」

キク「あ…明日からどないするつもりです?」

純子「それはこっちでなんとでもします」

垣本「さようか。ほな、失礼しますわ」

キク「35人ものお客さんが来たら、そら騒動でっせ。知りまへんで!」

 

昭和30年3月。春のセンバツ高等学校野球大会の北海道代表校・北嶺高校がいよいよ到着する日の前日、板場をはじめ、仲居頭やそれまでいた従業員全員がやめてしまったのであります。

 

板場に集まる純子、秀平、あき、清原。

 

残ったのはこの4人。そして勤めている雄太、それだけであります。

 

純子「私、やめんねやったらやめてもろて結構ですて言うてしもたけど間違うてたんやろか」

秀平「何言ってんだ。君は間違ってないよ。こんな時に足元見て嫌がらせするような連中は、やめてもらって当然だ」

純子「そやけど明日はもう北嶺高校の選手の人たちが来はるのやし…」

あき「なんとかなるて。ももさんや小百合ちゃんたちかて応援に来たる言うてんのやから。なっ?」

 

清原「僕も多少の戦力にはなると思うがね」

秀平「いや、おじいちゃんはいいんですよ。おじいちゃんは心配しないでください」

あき「とにかくやれるだけやってみよ。考えたってどうにもならへんやろ」

純子「そやな…」

 

秀平「僕も手伝うから」

純子「けど、秀平さんは仕事があるのと違う?」

秀平「大丈夫。そこは自由業の強みだね。仕事はなんとかあとに回すよ」

純子「ほんま? けど何や申し訳のうて」

秀平「いや、平気平気」

 

もも「こんにちは! 応援部隊、来たで!」

小百合「こんにちは!」

いや~、ももさん! こんな頼もしい存在になるとはな~。

 

純子「いや~、おおきに。すんません」

あき「おおきに」

もも「こいだけしかおらんのか」

純子「そうなんや。もうほんまにどないしよか思てたとこやったからほんまにうれしいわ」

 

もも「こがな時にやめるらて、なんちゅう板場な。えげつないにも程があらよ」

あき「小百合ちゃん。お母さんもお姉さんもええて言わはった?」

小百合「はい。しっかりお手伝いしておいで言うてました」

あき「いや、おおきに」

小百合ちゃん、小さい頃から一貫していい子だなー。

 

秀平「さあ、手がそろったんだからぼんやりしててもしかたないだろ」

純子「そやな。ほな35人一遍にお世話すんのにどれぐらい時間がかかるか、どんな段取りでしたらええのんか一遍予行演習してみよか」

秀平「よし、やろう!」

 

板場

衛生第一

手洗い勵行

という貼り紙

 

豚カツを揚げるふり。

あき「豚カツは一回に8枚から9枚。4回か5回に分けなあかんな」

純子「ほうれんそうが湯がけたと。ジャ~ッとあけて、水を出してさらして絞って切りますと。ももさん、そっちはどないですか?」

鍋を運んで流しに流す。水を流して絞るふり。清原先生はゴマすり。

 

もも「煮豆は一人2さじちゅうとこかな」

あき「生徒さんやからな、多い少ないがないようにな」

もも「はい、分かったある」

秀平「小百合ちゃんは何やってるの?」

小百合「私はキャベツの盛りつけです」

 

あき「はい、豚カツが出来たよ」

純子「お皿にとって」

あき「はい」

皿に載せるふり…なのに「あっ、おばさん、ここはさっきのせました。今度はここからです」と小百合ちゃん。

あき「あ、そやった? はい。ほんならここから3枚、4枚、5枚、6枚。はい、出来上がり」

 

純子「ももさん、運んでください」

もも「はいはい」

純子「秀平さん。豚カツ揚げ始めてから今まで何分かかった?」

秀平「えっ? あっ、計るの忘れてた」

純子「もう、あかんやんか。練習の意味がないやん」

 

清原「始めたのが22分、今が46分。従って所要時間は約24分」

秀平「すいません」

純子「おおきに」

 

もも「よいしょ」

純子「あっ、ももさん、ももさん、そないに一遍に運ばんかて一つ一つでええやんか」

もも「いや、一つでもな、ようさん運んだ方が時間の節約にならよ。うん。小百合ちゃん、上、一つ減らいて」

小百合「大丈夫?」

もも「大丈夫、大丈夫。小百合ちゃんも気ぃ付けてな。ついてきよし」

小百合「は~い」

 

もも「足元、気ぃ付け…あ~っ!」

皿が割れた。

純子「そやさかい、無理せんといてって言うたやんか。けど、よかったわ、お皿が空で」

あき「お料理がのってたら、また作り直さんとならんとこや。気ぃ付けや」

もも「すんません」

 

電話

あき「はい、浜風荘でございます。はい、4月6日5名様。いや、すいません。ちょうどその時、高校野球の生徒さんが来てはって。はい。そやけどやっぱり決勝戦までお部屋を押さえときませんと。はい、すんません。またどうぞよろしゅうお願いします。はい、すんません。おおきに」

そうか~、1回戦で負けられたら損だね。でも4月まで試合してたんだ? あきが電話を切って、ふと外を見ると、見慣れた人影があった。

 

あき「雑賀先生!」

久助「あっ、びっくりした」

あき「びっくりしたのはこっちですがな。どないしはったんですか?」

久助「はい…あ~…。ちょっとご挨拶だけしていこかと思いまして」

あき「ご挨拶と言わはりますと?」

 

久助「ちょっと私、旅に出ますねん」

あき「えっ?」

久助「あっ、いやいや、あちこちの昔話、集めてこうかいなと思てますねん」

あき「そうですか。ほな、まあどうぞ上がってください」

 

久助「あっ、いやいや汽車の時間もありますので今日はこれで」

出ていきかけたが、何かを思いついたように振り返る。

久助「あのですね…」

あき「はい」

久助「ひょっとしたら誰かが私をここへ訪ねてくるかも分かりません。その時は私、何も知らんと言うといてもらえます?」

あき「はあ」

久助「それだけちょっと言うとこと思て」

 

板場でお皿を数える純子。「いや…これは皿洗いが大ごとやね」

秀平「任せといてよ。一日に2000枚以上もアメリカで洗ってたんだからね」

純子「そやね」

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あきが板場に入ってきた。

純子「電話は?」

あき「電話はな、お部屋の予約でお断りしたからええんやけどな。それよりな、雑賀先生が来はって」

純子「ほんま?」

 

あき「それがな、玄関でひと言ふた言話しただけで帰ってしまわはって」

秀平「お帰りになったんですか?」

あき「そうなんや。誰かが訪ねてきても知らん言うてくれ言うて」

純子「どういうことやろ」

 

もも「全部でけたで。35人分いうたらな、大した量や」

純子「行きます」

もも「見に来て、見に来て」

長テーブルにきれいに並んだ35人分の食器。

 

もも「ちょっと見て、ちょっと見て。ちょっと見て、ほらほら。ダ~ッとこがな具合や」

純子「いや~、これは並べんのも大変やけど、これ片づけんのも時間かかるな」

もも「なあ」

純子「よし、ほな、片づけようか」

 

もも「今、並べたばっかりやらよ」

純子「うん、そうや。ももさんもな」

もも「ももさんも…」

きれいに並べたばかりの皿を片づける純子たち。

 

布団を運んで敷く雄太。「よ~し。今、何分?」

小百合「ここまで14分。はい、片づけて」

雄太「くそ~。よし…」

ま、布団ぐらいセルフサービスでいい気もする。

 

板場

もも「は~あ。もう10時や」

秀平「まだまだ。明日からはこのあと洗濯もあるし、風呂場の掃除もあるし」

純子「お母ちゃん。選手の人たちが来はったら朝は5時起きやな」

あき「そうやな。第一試合やいうことになったら、もっとはよう起きなあかんかも分からへんで」

 

純子「ほんまにやれるんやろか。やっぱりもう2~3人おらんととても無理やわ…」

秀平「今からそんなこと言っても来てくれる人なんていないよ」

純子「そやな」

 

あき「ももさんと小百合ちゃんは今夜からうちの部屋で寝て。おじいちゃんには雄太の部屋へ行ってもらうさかい」

もも「(あくびしながら)すんません」

 

雄太「終わったで」

純子「雄太、えらい遅かったやんか」

雄太「何言うてんのや。布団敷いてまた片づけなあかんかったんや。時間、倍かかるわ」

あき「大変やな」

雄太「大変どころやないで。重労働や」

あきと雄太が並ぶと親子っぽいな。唐沢さんが子役の昭と雰囲気似てるからかな。

 

秀平「頑張れ頑張れ。今から音を上げてどうする」

純子「そうや。とにかく頑張ろ。やるしかないのや」

 

そこへ誰かが訪ねてきた。

純子「石田君…。ヨシ子ちゃん…どないしたん?」

石田「あの…。僕ら置いてもらえまへんやろか」

純子「ここへ?」

石田「今朝は板場さんに言われて出てったんやけど行くとこないし、ここで働かせてもらいたいんです」

 

純子「ここでかまへんの?」

石田「はい」

純子「ヨシ子ちゃんも?」

ヨシ子「うち、高校野球好きですねん」

石田「2人で駅まで行ったんやけど、そこでどないしよ言うて相談して…」

 

純子「いや、おおきに。ほんまにうれしいわ。よう帰ってきてくれたな。もう手が足らんでどないしよか思てたとこやったんや。ほんまにおおきに。助かるわ」

石田もヨシ子も笑顔になった。

 

そして翌日の夕方。

 

清原先生の書

歓迎 選抜北海道代表

   北嶺高校野球部

 

清原先生が旅館の法被を着て水をまいている。

ヨシ子「女将さん、女将さん、お越しです! 女将さん! お越しです」

今日は着物でお出迎え。

部員たち「よろしくお願いします」

純子「はい、一生懸命お世話をさしてもらいます」

部員たちを笑顔で迎え入れた。

 

はあ~、楽しい雰囲気になってよかったな。ヨシ子ちゃん、明るくなった気がする。