1995年6月4日~7月9日 NHK BS2
あらすじ
(1)「烈の誕生」
新潟の大地主で酒造業を営む田乃内家の嫡男・意造(鹿賀丈史)は、賀穂(高橋惠子)と結婚したが、生まれてくる子はいずれも早産、死産。結婚十五年目に生まれた子は、強く生き抜くようにと「烈」と名付けられた。賀穂は病がちのため、妹・佐穂(檀ふみ)が田乃内家に入り、烈の世話をすることに。烈(井上真央)が六歳の時、次第に視力を失う病にかかっていることがわかったが、治療法はないという。失意の田乃内家に…。
(2)「烈の苦難」
新潟の大地主で酒造業を営む田乃内家の一人娘・烈(井上真央、河野由佳、松たか子)は、次第に失明する病にかかっていた。治療法はない。母の賀穂(高橋惠子)が病で亡くなり、賀穂の後妻には意造(鹿賀丈史)を慕っている佐穂(檀ふみ)を、と祖母のむら(香川京子)は願っていたが、意造が選んだ後妻は十八歳の芸者・せき(洞口依子)。せきは待望の長男丈一郎を出産したが、丈一郎は事故死し、烈は完全に失明。失意の意造は…。
(3)「烈の決意」
完全に失明した烈(松たか子)だが、酒造りがしたいと意造(鹿賀丈史)に訴える。意造は女には酒造りは無理だと反対するが、烈が結婚して婿を取ってでも蔵を継ぐと言い張るので、酒造りを諦めきれなかった意造も、野積から蔵人を呼び酒造りを再開する。野積で手を貸してくれた青年・涼太(前田耕陽)の感触が忘れられない烈は、見合いして婚約までした征義(青山裕一)との縁談を断ってでも涼太と一緒になりたい、と言い出して…。
2022.2.13 BSプレミアム録画。
以前、「櫂」を見ていたので、松たか子さんの時代ものは間違いないと思い、録画しました。ナレーションは柳生博さん。
1話
田乃内家は新潟県中蒲原郡亀田町の江戸時代からの大地主で小作人150人、家屋敷、約5,000坪、田畑222町歩。亀田町の半分が田乃内家。
意造(鹿賀丈史)の父・三左衛門(大滝秀治)が酒造業を始めた。三左衛門の妻・むら(香川京子)は女学校を見に行き、息子の意造の嫁探しをし、新発田のろうそく屋の娘に目をつけた。意造は大学で研究していた方が楽しかったと結婚は母任せ。帝大出の28歳。
新発田のろうそく屋に行ったむら。次女の佐穂だと紹介されたのは、むらが気に入った娘ではなかった。むらは名前を勘違いしていて、むらが気に入っていたのは姉の賀穂だった。それを話すと姉妹の祖母(鈴木光枝)が怒り出した。鈴木光枝さんは「マー姉ちゃん」の酒田のおばあちゃま。「マー姉ちゃん」の頃より当たり前だけど年取ってたし、ふくよかにもなっていた。
佐穂は以前、店頭で意造を見かけて一目惚れしていて、お見合いの話に喜んだが、祖母からこの話は、なしだと言われた。それからいくつも意造に縁談が持ちかけられたが、ろうそく屋の娘が忘れられないむら。佐穂役の小島聖さん懐かしいな。
ある夜、一番搾りの利き酒に行った三左衛門が戻らない。意造はじめ使用人たちで探すと、雪に埋もれた三左衛門を意造が発見した。
明治38年4月 再びろうそく屋を訪れたむら。三左衛門が亡くなった話からばば様も同じ2月27日に亡くなったことを知る。滅多にない仏縁として意造と賀穂の結婚が決まる。おばあちゃま、あれだけか。
秋、両家の婚礼が行われた。婚礼の祝いは三日三晩。翌年、賀穂(高橋惠子)は子供を産んだが、死産。15年の間、8人も流産、死産した。
大正8年12月 9人目の子供が産まれた。死神に負けないように名前は“烈”。1歳になる頃、身体の弱っていた賀穂は佐穂(檀ふみ)に子育ての手伝いを頼んだ。賀穂に代わって子育てをする佐穂。幼い烈は井上真央さん。
「マー姉ちゃん」のマリ子が大正6年8月生まれ。マチ子が大正9年1月生まれ。烈はマチ子と同学年か。
正月には150人の小作人が代わる代わる挨拶に来る。烈は佐穂に羽根付きをしようと言うが、天井に上がった羽根が見えないという。病院に行くと、黒そこひという診断。いずれ目が見えなくなると言う。医師は品川徹さん。
家に帰った意造は賀穂に先祖に目の悪い者がいたんじゃないかと責めた。八つ当たりはやめろとかばうむら。
大正14年3月
烈の小学校就学前に近代的な治療を求めて帝国大学附属病院に行った。症状は網膜色素変性症で緑内障を併発。先生は矢島健一さん。ここでもやはりいずれ失明するという診断。
むらは茶断ちをし、賀穂は身体が弱いのだから何もしなくていいと言う。夜、賀穂は雪の中、水垢離をするむらを目撃。
メガネを嫌がる烈に佐穂は洋服を着ておかっぱにすれば都会風の女の子になると言って、機嫌を直させた。
勝ち気でこんな目では一番になれないから学校には行きたくないという烈。盲学校の寄宿舎行きも拒否する。
賀穂は意造に内緒で三十三ヶ所観音詣でに行くために遺言を残すと佐穂に言った。
番頭から酸っぱいような匂いがすると言われ、蔵を見に行くと、腐造で蔵の酒を全て捨てることになってしまった。
烈と寝ていたはずの賀穂は意造に手紙を残して三十三ヶ所観音詣でに出かけてしまった。腐造を出した杜氏は辞める決まりになっていて手当も受け取らずに丹波へ帰って行った。
芸者遊びをしていた意造は、せき(洞口依子)という若い芸者と知り合う。生まれは野積。野積は漁師町で蔵人としても有名。せきに旦那になって欲しいと頼み込まれた。
朝帰りした意造は賀穂が塩沢の病院に入院したとむらに聞かされた。烈は賀穂が巡った寺の名前を漢字で帳面に書いていた。
むらの夢枕に賀穂が立ち、「お先に逝かせていただきます」と言っていたと佐穂に告げた。賀穂は39歳でこの世を去った。むらは最初から最期まで優しい姑だったな。
2話
むらは佐穂を意造の後添いにさせようとしたが、意造はのらりくらりとかわす。
大正14年10月 野積から蔵人を呼んだ。杜氏の平山は東野英心さん。
二郎の同僚・関根役だったね。
果穂の代わりに奥を取り仕切る佐穂。意造に話があると言われ、増築したのは、この家の空気を変えたい、野積の若い女の子を後添いにしたいと言い出した。佐穂のことはこれからも妹として大事にする、後添いが来ても烈のために佐穂にいてほしいと勝手ばかり言うので部屋を飛び出した。せきは18歳。意造は50歳。
耐え切れず家を出て行った佐穂。むらは意造に激怒。意造の枕元には賀穂が立ち、読経するので意造はうなされた。
意造は烈に「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」という鈴木牧之という江戸時代の人が40年かけて書いた本を渡し、目が悪い烈に読み聞かせをしたが、叔母様に勉強を教えてもらうと意造を拒絶した。
新発田に行くといって、一人屋敷を出た烈に、おつまという女中がついて行った。新発田まできた烈に謝る佐穂。
大正15年4月
意造とせきの祝言。むらは寝込んでしまい、佐穂は烈と新発田の家で過ごした。
芸者のおっかさん・昌枝(渡辺えり)がせきのもとに遊びにきて使用人に金を握らせて、せきにあれこれ言った。
佐穂の家に行った意造は賀穂、佐穂の弟の武郎(平田満)は佐穂を入籍して本妻にし、せきを妾にすればいいと決断を迫る。
せきのもとに来ていた昌枝も妾として旦那とたまに会う方がよかったんじゃないかと言うが、せきは自慢ができないので本妻がいいという。
武郎が本妻にしろと迫っていたところ、佐穂が立ち聞きしていて、烈と離れて暮らすことはできないと本妻という立場ではなく意造の提案通り烈の世話役として田乃内家に戻ることにした。
意造、せき、佐穂、烈という気まずい食事。
大正15年7月
烈の手鏡がせきの部屋にあった。意造が研ぎに出してそのままになっていた。誤解だったが、烈に泥棒呼ばわりされるせき。
昌枝は芸者の職場上の上司?と思ったら、おっかさんて本当のおっかさんなのか?? せきは妊娠した。
秋になり、また蔵人たちがやってきた。せきのお腹は大きくなっていた。佐穂はもうすぐ母親になるのだから、もっと化粧を控えた方がいいとやんわり注意するが、男の気持ちが分からない、いっぺんも嫁に行ったこともないくせにと反撃された。
昭和2年2月
むらは78歳で死去。間もなくせきは男の子を産んだ。
昭和6年5月
丈一郎は4歳になり、端午の節句を迎えた。大人になったら兵隊になりたいという腕白な男の子に育った。
佐穂と烈は別室で縫い物をしていた。少しずつ視力が低下していて、目が見えるうちにと丈一郎のために着物を仕上げた。
丈一郎は烈に懐いていたが、せきは気に入らない。
昭和6年9月
せきは丈一郎を探し回っていると、丈一郎は裏門の木から落ちていた。医師にはもう手遅れだと言われ、意造はお前がついていながら!とせきを殴った。
昭和6年11月
米の不作で争議になるため、蔵は一旦閉鎖することになり、小作人と話し合いをしていた意造が脳卒中で倒れた。一週間、佐穂が必死に看病した。
昭和7年4月
意造のリハビリにつきっきりの佐穂を見ているせき。
昭和7年5月
ラジオから満洲国ができたというニュースが流れる中、烈が視力を失った。目が見えなくなったことを佐穂に打ち明けた。烈は目が見えなくなったことを誰にも言わないでほしいと佐穂に言った。もう一度病院に行こうと意造が言うが、烈はこれからはなんでも一人でやると宣言。
野積に里帰りにしたせき。昌枝が意造の元にやってきて、せきがまた芸者として働きたいと言ってるから去り状を書いて自由にしてやってくれと頼むが、絶対離縁はしないと拒む意造。
昭和8年10月
烈は15歳。ここから松たか子さん。気分を変えようと意造と一緒に分家の披露宴に出かけた。その披露宴で海運業の24歳、次男が烈に一目惚れしたという。意造はからかわれているんじゃないかと戸惑うが、佐穂は涙を流して喜んだ。
3話
昭和8年12月
一人外に出ていた烈。蔵に入ってはいけないと佐穂は注意するが、烈は蔵を復活させたいと意造に話す。意造は本気で取り合わない。女は穢れがあるから蔵に入ってはいけない、女の作った酒なんか飲めないという。
田畑220町歩でゆったり暮らせという意造にこのまま死ぬなんて嫌だ、婿を迎えて子供を産み、蔵を継がせると泣いて頼んだ。
昭和9年3月
「マー姉ちゃん」と時代が並んだ。同じ時代とは思えない。
京都の松尾神社に意造と烈で出かけた。神社側の計らいで男神様と女神様に拝むことができた。
せきは肩が凝ると言って朝から酒を飲んだ。肩こりで飲酒!?
意造と烈は野積の杜氏・平山の元を訪ねた。平山は烈が女性であることは全く気にしておらず歓迎した。
砂浜でお付きの人を見失った烈は涼太(前田耕陽)と出会った。涼太は目の悪い妹がいたと烈に親切だった。
家に帰ってからも涼太の手の温もりを思い出す烈。意造は烈に酒造りを教え始めた。
平山が蔵に烈を案内した。蔵人の中に涼太! 烈はもちろん気付かない。
意造から烈の縁談話をした。柏崎の海運業、北斗屋の次男坊・篠山征義。24歳。北斗屋は新潟で洋食屋もやっている。慶応出で男3人兄弟の真ん中で本妻の子ではないので、他の兄弟と折り合いが悪く養子に出してもいいという。意造は慶応出というインテリが気にいった。
北斗屋の洋食屋で食事をすることになった。佐穂がステーキを切り分け、烈が食べ始める。食事が終わり、2人きりでカウンターで話をする烈と征義が話をする。征義は烈の見た目に一目惚れしたといい、カメラを構えたとき、よろけた烈の手を取った征義。烈は涼太を思い出す。
烈は意造にはこのまま見合い話を進めてほしいという。
蔵から歌声が聴こえた。せきに野積の若い衆の涼太だと教えてもらい、蔵に行くと、涼太に再会。再び手を取られて、あの時の青年だと気付いた。
婚礼の衣装が届くと佐穂が言っても上の空。夜、こっそり起きて蔵に向かったところをせきが見ていた。
一番搾りを試飲。烈が蔵に入って初めての酒ができた。3月の終わり、蔵人たちが野積に帰って行った。
烈は熱心に浴衣を縫っていた。佐穂は征義のために縫っていると思っていたが、烈は涼太に着せたいと思って縫っていた。征義のことは嫌いじゃないけど、涼太の手触りが忘れられないと言い出す。ええ〜! ここまで来て!
烈は意造に結婚を取り止めたいと言った。涼太は学歴がないという意造に烈だって学校に1日も通ってないから同じことだというけど、まあいろいろ付き合いもあるしねえ。
夜、意造は佐穂にお茶を入れてもらい、話をした。佐穂は涼太がかえって辛い立場になるのではと心配した。ここにきて意造が本音を明かす。貧しいせきをもらったのは、地主と小作とつながりを持ちたかったからだと明かした。一人の女を不幸にした。いや、一人じゃないと佐穂を見て言った。一人どころじゃねえぞ!!
せきが妊娠した。もちろん意造の子ではない。せきは父親の名を明かさず、離縁を願い出た。父親の名を言わないので杖で叩いたところを佐穂がかばった。世間の目を気にした意造はこの家で産むように言い、離縁はしないと言った。
せきは流産するよう重い石を持ち上げた。血を流しながら、この家から出して欲しいと懇願した。
昭和10年9月
意造はようやく離縁し、せきはホッとした表情で里に帰った。
昭和10年10月の終わり
蔵人たちがやってきた。涼太を待ちわびていた烈だったが、涼太は来なかった。平山に聞いてもいろいろあって遠慮してもらったとはっきりしたことを言わなかった。
涼太と一緒にお父様にお願いしようと思っていたのにと佐穂に泣きつくが、叔母様は何もしてあげられないとオロオロ。いや〜、思いを伝えあったわけでもないし、涼太だって急にビックリじゃない!?
烈は夜中、1人出て行こうとしていた。佐穂が見かけて、お光という女中に後をつけるよう命じた。烈は、お光と野積へ。涼太の家に行き、夫婦になってくださいとお願いした。
間に入っていた者が怒り、この縁談は壊れると匙を投げた。
涼太の母・ツルは涼太をやるから下男として雇ってくださいとお願いした。涼太は蔵人の修行を続けさせてくださいと烈に頭を下げた。
平山から涼太はいいやつだと説得され、意造は体面も体裁も見事に粉々に砕かれたと呆然。
涼太の家には平山が迎えに来ていた。意造が折れたと結婚の承諾を得たことを言いにきた。
意造と佐穂が語り合う。佐穂に幾つになったか問う。49歳。意造は一緒の墓に入ってほしいと佐穂に言った。ええ〜! 勝手すぎる! でも佐穂さん嬉しそう。
昭和11年4月
烈と涼太の結婚式。小作人、野積の漁師も集まって盛大に開かれた。
昭和12年6月
烈、輪太郎を出産。涼太召集。
涼太、徐州にて戦死。えー!
戦後、田乃内家は農地改革令で小作人に田畑を手放し、意造、幸せな晩年を過ごす。
昭和41年
意造、90歳で生涯を終え、佐穂も同年79歳で後を追うように旅立った。
“冬麗”は烈と輪太郎によって越後の銘酒として引き継がれていった。(終)
うーん、しっとりとした時代物で好きは好きだけど、ヒロインの男に対する情熱についていけない。「マー姉ちゃん」や「あぐり」はツイッターで共感できないなどと批判されがちだけど、私は烈、あるいは「澪つくし」のかをるや律子みたいにお見合いぶっ壊してでも自分の思いを貫き通す女性の方が苦手かな〜。
人の思いを無碍にするという点で同じなのかもしれないけど、なんでかな〜。