1967年5月7日 TBS
あらすじ
旅芸人一座の娘として育ってきた若尾(江利チエミ)は、岡崎藩の家老・弘田平右衛門(野々村潔)の養女になる。粗野な若尾だったが、武家の教養を身に付けていき、義兄の和次郎(津川雅彦)に恋心を抱く……。
2025.11.16 時代劇専門チャンネル録画。懐かしの『日曜劇場』時代劇。白黒。
塀の上に乗って、お隣から伸びてきた柿の枝に実る実を取ろうとする若尾だが、怒鳴られて塀から落ちた。
原作:山本周五郎
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脚本:小松君郎
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プロデューサー:石井ふく子
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若尾:江利チエミ…字幕黄色
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弘田和次郎(わじろう):津川雅彦…字幕水色
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西岡万:宝生あやこ
小菊:波乃久里子
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弘田豊:風見章子
弘田平右衛門:野々村潔
谷口修理(しゅり):小林勝彦
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大鹿次代
久助:近江俊輔
片岡平蔵
山岡徹也
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田坂雅子
橋本菊子
大川真由
増田愛子
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園浦ナミ
秋山早苗
中村山左エ門
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松井博子
生田三津子
寺岡弘子
小島たけ子
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海老一染ノ助
海老一染太郎
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演出:川俣公明
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制作:TBS
今回、役名併記なしか~。
西岡道場
万(まん)からお叱りを受ける若尾。
万は十七子のお母さん役の宝生あやこさんだね。声で分かる感じ。
万は道場の先生で、若尾は、もいだ柿の実を渡す。万は猿か猫の生まれ変わりのようだと笑うが、すぐ表情を引き締める。「あなたは岡崎藩、次席家老・弘田平右衛門(へいえもん)どのという、れっきとした名家の養女なのに、一体、弘田家へもらわれてくる以前は、どんな育ち方をなすってたんでしょうねえ?」
回想
芸を披露する海老一染ノ助さん、海老一染太郎さん。若いね~。
男<<え~、ただいまのは「花籠鞠の曲」にござりまする。さて、これよりご覧に入れまする、お待ちかね若美太夫の長刀(なぎなた)は、くるりくるくる、みずぐるま、落花の返し。外山(とやま)のこずえ、風立ちて瀬に舞い狂う桜花。打っては返し、打っては返す、みずぐるま。首尾よくまいりましたれば、拍手ご喝采のほど。はいっ!>>
若尾が出てきて長刀を操り芸をする。
楽屋に武家の男たちが3人いた。
修理<<おじ上、あの若美太夫という娘は亡くなった深江(ふかえ)どのにそっくりでしょう?>>
平右衛門<<ああ、実によく似ておるのぅ>>
和次郎<<父上、姉上は、もっと細作りでした。そして、もっと沈んだ憂え顔をしていました>>
平右衛門<<そうかな?>>
和次郎<<しかし…あの長刀は、うまいですね。あれは旅芸人の芸じゃない。筋の通った稽古をしている>>
平右衛門<<うむ…>>
平右衛門が野々村潔さんで和次郎が津川雅彦さんというのは分かる。修理は小林勝彦さんかなあ?
座頭の岩本新之丞(しんのじょう)が来てあいさつした。このお方は誰?
久助が若尾太夫に客が来てるよ、と別の楽屋へ呼びに行った。久助は多分、近江俊輔さん。
お武家さまが養女にもらいたいような口ぶりだったという久助に「養女だなんつったって、本当はお妾なんだよ」と本気にしない若尾。小菊は「お妾になっちゃ嫌だよ」と嫌がる。波乃久里子さんは全然変わらないからすぐわかる。
新之丞<<若尾は、私の娘として育ててまいりましたが、実は、れっきとしたお侍の子なんでございます。ちょうど今から15年前に東海道の清水で公演をいたしておりましたが、長雨にたたられて鳥屋(とや)について木賃宿に泊まっておりました。その木賃宿に赤ん坊を抱えて病気のお侍さんがおりやして…もう三月(みつき)から患って…「助からねえ」って、こう言うんだ。お名前は河内伊十郎(こうちいじゅうろう)さまとおっしゃいました。どういうわけでございますか、大変私をご信頼くださいまして、その赤ん坊を私に預けて育ててくれとこう、おっしゃるんです。手前もまだその時分、家内が達者だったもんでございますから、それにそのお侍さまがあまり真剣におっしゃるんで、お預かりいたしまして。清水をたって小田原で公演をしているときでございました。その宿屋から手紙がまいりまして、その河内伊十郎さまは亡くなったっつうんで…で、ございますから、確かにれっきとしたお侍の子なんでございます>>
立ち聞きしていた若尾が楽屋に入ってきた。<<嘘だ! 嘘だ! 若尾は、お父っつぁんの子だ! 帰ってよ、あんたたち! あたいは、このお父っつぁんのそばから離れっこないんだから!>>
新之丞は箱にしまっていた風呂敷包みを広げ、臍緒書(ほぞのおがき)と河内家の系図を見せるが、若尾は離れることを嫌がる。新之丞は若尾が大きくなりすぎて、うっとおしくなった、子供の時分みたいにかわいくないと突き放した。
若尾<<フン…その手は桑名の焼き蛤だ! そんな愛想尽かしして追っ払おうったって、そんな古い手に乗るもんか!>>
嫌がっていた若尾だが、結局は弘田家へ。しかし、ご飯を拒否して、平右衛門は早まった、軽業の芸人などをうかつに養女にして取り返しのつかぬことをしたと後悔した。和次郎は武士の娘ではありませんかとフォローする。
平右衛門「しかし、氏(うじ)より育ちというではないか」
深江が亡くなり、妻・豊が何も食べずに瘦せ衰えていくのを見るのがつらいのだという。妻は「おやじ太鼓」の愛子さん! 津川雅彦さんのお母さん?って思うけど、津川雅彦さんって「おやじ太鼓」の洋二くらいの年なんだよね。貫禄あるんだよな。
和次郎が言って叱るというが、豊が若尾の部屋に行き、「かわいそうに…」と一緒になって涙を流した。豊が泣いてびっくりした若尾は「うるさい!」と黙らせ、今度は一緒になって笑った。豊がご飯を一緒に食べましょうと誘い、廊下に出たところ、「奥さん、あたいがおんぶしてあげる」と背中を向けた。
豊は「奥さん」じゃなく「お母さま」でしょう、と「お母さま」と呼ばせた。
お父っつぁん→お父上
おっ母さん→お母さま
兄(あん)ちゃん→兄上
おまんま→お食事
あたい→わたくし
和次郎に言葉遣いを教わる若尾。ちゃんちゃらおかしいと笑ってしまう。
和次郎「言葉が正しくなると、だんだん立ち居振る舞いもしとやかになる。もう子供ではないんだから廊下を跳んだり木登りをしてはいけないよ」
若尾「はい、これからは気をつけます。兄ちゃん。ハッ…お兄さま」
江利チエミさんと津川雅彦さんって、実年齢は江利チエミさんのほうが年上なのね。
平右衛門、豊とも若尾が旅芸人の子ということは周囲に知られたくない。幸い、谷口修理は今、江戸へ行っているので藩中では誰も知らない。豊は早く武家娘にしたい。和次郎は近頃は言葉遣いも改め、礼儀作法も学ぶようになったと言っていたところ、ドラ猫を追いかけ、廊下をドタバタ走る若尾。元気のいい若尾に笑顔になった平右衛門。
若尾を最初に見つけたのは和次郎。2年前に亡くなった和次郎の姉に似ていると若尾は豊に聞いた。しかし、和次郎は姉上の話をしてはいけないよと深江の話を禁じた。
いとこの修理も平右衛門もよく似ているというが、和次郎はそんなに似てるとは思っていない。見込みをつけたのは若尾の長刀の腕。みっちり稽古をすれば相当な腕前になる。天道流の長刀では江戸にも聞こえた達人・西岡万という人がいて、姉も教えを受けたので、若尾も入門させようという。免許でも取れば河内の家名が立つ。
西岡道場で長刀を習い始め半月になった若尾。基礎ばかりでなく稽古をしてくださいと頼み、叱られた。それから稽古を重ね、師匠である万と対戦し、万に勝つほどになった。稽古仲間の小夜や琴には先生がわざと負けてあげたのかもしれないわと笑われた。小夜、琴、初音など字幕にも出てるけど、どの人か分からない。
和次郎に「あの人は、ものになります」と断言する万。あれほど恵まれた素質を持ったものはいない、養女にしたいぐらいだという。苦笑いの和次郎に「冗談です。あれは、こなたさまがお嫁になさるのでしょう?」という。えっ!
若尾は道場に来て和次郎の自慢話ばかりして、万は”のろけ”だと思っている。しかし、恐ろしいくらい乱暴ないたずら者なので、よくしつけないといけないという。弘田家のご親戚なら由緒正しいお家柄のはずなのにどんな家に育ったのでしょうと不思議がる。柿をとったり、塀に上ったり、まるで軽業の芸人のようだという。
よく言って聞かせるという和次郎に「そうしてください。私もせっかんします」って! そんな言葉が出てきたことにギョッとした。しかし、お隣の柿は、やけにおいしいのですよと万は笑う。
生け花をしている若尾のもとに和次郎が「西岡道場に行ってきた」と部屋に入ってきた。
若尾「お兄さま、噓なんです、みんな嘘! お師匠様が大げさなんです。このぐらいのことをすごく言うんです。何ておっしゃいました?」
恥ずかしくて顔が赤くなったという和次郎に謝る若尾。和次郎は私のことなんぞ、あんまりみんなに話すんじゃないよと注意した。
ん~、かっこいいな~、和次郎。
久助は新之丞にあしたは、いよいよ岡崎ですねと話しかけていた。2年ぶりに若坊に会えるかと思うと夜も眠れないというが、新之丞は岡崎へ行くつもりはない。今じゃ、れっきとしたご家老のご息女で和次郎さまと一緒になるかもしれない娘が軽業小屋にいたと知られるのはよくない。これから浜松に逆戻りするという新之丞。
琴を弾いていた若尾のもとに和次郎が来て、我が藩の石州・浜田へのお国替えが本決まりになったという。若尾は兄上と一緒に浜田へお引越しだと喜ぶが、万の推挙で姫君の長刀の手直し役として江戸へ召されることになった。
江戸行きを拒否する若尾だったが、河内の家名を再興できるかもしれないと和次郎が江戸行きを勧めた。両親や和次郎の願いでもあると知り、江戸行きを承諾した若尾。
岡崎から江戸まで77里。石州・浜田へ250里。
距離の遠さに江戸行きを嫌がる若尾だったが、結局は江戸へ。和次郎のもとには若尾から手紙が届いた。豊が早く読むようせがむ。
「謹んで一筆啓上、申し上げます。父上さまも母上さまも兄上さまもお元気ですか? 若尾はこの前の手紙にもお知らせしたように中屋敷にお住まいをいただきました。道場がついているんですよ。そして、17人のお弟子が通っております。みんな、家柄のある娘たちで田舎者の私を軽蔑しているらしいので、びしびしと容赦なくお稽古をして、ぐうの音もでないようにしてやります」
厳しく稽古をつける若尾。
「菊姫様のお稽古には上屋敷へ伺います。1回に半刻(はんとき)と決められております。それも、ごく控えめにやらなければなりません」
やる気なさげに立っている菊姫。若尾が「清真(せいしん)の構え」をするように言っても、「八相(はっそう)の構え」をしたり、「無変(むへん)の構え」をしたり。注意すると稽古しとうないと長刀を投げ出した。姫に過保護な家老や奥女中たち。
「…というようなわけで、ちょっとでも厳しいお稽古をすると、あとでやかましく叱られるのです。兄上さま、若尾は江戸にまいってから、思い出すのは兄上と暮らした岡崎のことです。1日も早く御用が済んで兄上のものへ帰りとうございます。若尾は…」
和次郎が続きを読みたがらないので、察した豊が若尾が元気でよかったと安心して、部屋を出ていった。
手紙を読んで、微笑む和次郎。
姫君の長刀の稽古が終わり、修理が現れた。弘田よりも先にあなたを見つけたという。話があると言い、明後日の暮れ六つ、中屋敷の塀外で待ってますと言って帰った。
待ち合わせ場所に現れた若尾は、本郷のほうが火事で上屋敷は大丈夫か聞いた。
修理は若尾が軽業にいたことなど誰にも言いやしない、私はあなたの味方と言いたかったのだという。昨日、両国へ行くと、若尾のいた一座が小屋掛けをしていて、座頭に若尾のことを伝えると、若尾などという娘はこの一座にいたことがないととぼけていたと笑う。
弘田に会わせず、私だけのものにしておけばよかったという修理。おぇぇ…
風向きが変わり上屋敷のほうにも火がついたというので、若尾は上屋敷に向かった。
上屋敷は焼けて、姫君ほか全部、中屋敷に移ったという手紙を受け取った和次郎。早駆けで江戸まで15日あれば着くでしょうと江戸へ行くつもりでいる。豊は若尾に会えることをうらやましがり、若尾を連れ帰るように言う。
出立の前に和次郎は「姉上は、なぜ自害されたのですか?」と豊に聞いた。
旅一座の楽屋
同じ日に目黒の行人坂と本郷の丸山という別々のところから火が出たのかという話をしていた。御門や御門内の大名屋敷も丸焼け。若尾を心配する小菊。
そんなとき、若尾が新之丞に会いに来た。新之丞は嬉しそうな表情を浮かべたものの、ここは、あなたなんぞの来る所じゃねえと追い返そうとした。
若尾「お父っつぁん、若尾は武士の暮らしが嫌になりました。お父っつぁんがここにいらっしゃると伺ったので家出をしてまいりました。お父っつぁん、蛙の子は蛙。お願いします。お父っつぁんのおそばへ置いてください」
新之丞「馬鹿野郎! 俺は、お前のお…親なんかじゃねえ! お前は今、れっきとした弘田さまのお嬢さまなんだ。こんなとこに二度と足を踏み込むこたぁねえ! さあ、はやく帰れ!」
小菊や久助は若尾を気遣う。若尾から家出の事情を聞いた新之丞も火事の2日前に来た修理に嫌な気がしていた。修理は中屋敷へ移ってくると、毎日、若尾の道場へ来て、言うことを聞くよう強要している。「私は和次郎さまをお慕いしてます」とはっきり言うと、言うことを聞かないと軽業にいたことをみんなにしゃべるぞと脅し始めた。
平右衛門は姉上が自害されたために、しばらくの間、次席家老の職から除かれており、やっと元のご家老に戻られたときに若尾の出自が分かると…
若尾は、お父っつぁんのそばへ置いてくれますか?と頼み、ようやく承諾された。いつもお母さまの肩をもんであげていたから按摩がうまくなった。しかし、豊のことが気になる。修理が言うには、深江は懐妊していたらしい。三月の身重でそれを恥じて自害した。
新之丞は明日から旅に出ようと提案した。京や山陰…しかし、浜田は嫌だという若尾。
夜、長刀の稽古をする若尾。新しいみずぐるまの手を編み出そうと思っていると小菊に話す。足かけ5年も長刀の修行をしたので、あっという手を考えなくては。
あしたは川崎に出発する。
和次郎が新之丞を訪ねた。「若尾の素性が分かっても、その始末をするぐらいの力は私にあります。私は若尾を幸せにしてやりたいんです」とはっきり言う。若尾の気持ちを知っている新之丞は和次郎に感謝した。
若尾のもとへ顔を出した和次郎。威張って帰んなと新之丞が後押し。嫌がる若尾に素直になれと諭す。
新之丞に抱きついて泣く若尾だったが、結局は和次郎と帰ることに。若尾が行って、小菊たちの前であれでいいんだよと泣き笑いする新之丞。
和次郎は修理に姉が懐妊して三月目だということをどうして知っていたのか問い詰め、最初は誰かに聞いたとごまかしていた修理。和次郎は修理を斬ろうと思ったが、一度は姉の愛した人間で、姉は、その愛が過ちだったことに気づいて死んだのだろうと結論付けた。自分の罪は自分で償え、修理さん、見てるぞと告げると、修理は道場を出ていった。
長刀を持って、若尾が道場へ入ってきた。和次郎は、新しいみずぐるまを編み出さないでよかった。菊姫様にもみずぐるまを教えかねないからなと笑い、若尾の前に正座し、羽織を脱ぎ、「長刀をひと手、ご教授願いたい」と頭を下げた。
若尾「では、ふつつかながら」
ふたりで長刀を持って向き合う。和次郎の長刀を取り落とし、足先を痛がる和次郎だが、謝る若尾を見て笑い出した。(おわり)
すてき! 養子として引き取った子供を自分の子供と結婚させるパターンって、前も見たことあったな。今はちょっとね…でも、ま、津川雅彦さん、かっこいいわ~。顔もいい、声もいい、所作も決まってた。
青空文庫に原作があった。結構、はしょった部分もあったんだね。
