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【ネタバレ】雪之丞変化 4Kデジタル修復版<レターボックスサイズ>

1963年 日本

 

あらすじ

奉行一味の謀略で幼い頃に親を亡くし、歌舞伎の女形となって江戸は市村座の舞台に立った中村雪之丞。客の中に敵を見つけ、その娘が自分に思慕を抱いていることを利用して復しゅうに乗り出すが…。何度も映画化された三上於菟吉の原作を、雪之丞と義賊・闇太郎の二役を演じた長谷川一夫の300本記念映画として豪華キャストで製作され、市川崑監督が極彩色の様式美あふれる華麗な映像で描く時代劇。4Kデジタル修復版での放送。

2025.1.17 NHK BSP4K録画。1月放送の4Kデジタル修復版はこれで終わり。

 

大映株式会社製作

 

製作:永田雅一

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長谷川一夫 三百本記念

むらさき小唄

むらさき小唄

  • provided courtesy of iTunes

歌舞伎の芝居を見ている客の女性が芝居に見入って胸に手を当てる。

 

舞台上でお芝居をしながら客席を見た雪之丞が父上に語りかける。

 

<あれが父上を狂い死にさせた者たち。隠居風のは土部三斉(どべさんさい)。その隣の商人姿は川口屋。広海屋の姿は見せませぬが、20年に近いこの年月(としつき)、父上、母上の敵と思うばかりで雪之丞、顔を見覚えたのは今日が初めて。もう金輪際、たとえ闇夜で会ったとて、やつらの顔を忘れるものではありませぬ。どんなことがあろうともご両親様の恨み、誓って晴らしてご覧に入れます>

 

倒れ込み、顔を上げた雪之丞。

 

<父上、ご覧なさい。三斉のそばにいる女の私を見る目を。浪路(なみじ)という三斉の娘。まずあの娘に近づきましょう>

 

ポーっとした目で雪之丞を見つめる浪路。

 

芝居が終わり、拍手が起こる。幕が降り、舞台上で僧侶役の男が雪之丞に見たか?と聞き、雪之丞が「はい」とうなずく。

 

客席

もう出ようと言う女。あんなデロデロした芝居は大っ嫌いだ、男だか女だか分からねえ雪之丞なんて野郎は薄気味が悪いと連れの男に言い、出て行った。隣の席の男たちは、たまらねえなあとうらやましがる。

 

企画:市川崑

   藤井浩明

   高森富夫

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原作:三上於菟吉(毎日新聞連載)

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脚色:伊藤大輔

   衣笠貞之助 

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シナリオ:和田夏十

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音楽:芥川也寸志

   八木正生

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中村雪之丞(闇太郎):長谷川一夫…字幕黄色

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お初:山本富士子

浪路:若尾文子

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門倉平馬:船越英二

ムク犬:林成年

広海屋:柳永二郎

中村菊之丞:市川中車(東宝)

土部三斎:中村鴈治郎

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町人風の男:中村豊

町人風の女:真城千都世

浪人:千葉敏郎

三斎の家臣:水原浩一

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川口屋:伊達三郎

岡っ引:大辻伺郎

脇田一松斎:浜村純

お三婆:毛利菊枝

奥役:加藤嘉

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将軍:尾上栄五郎

岡っ引:沖時男

雪之丞の父:菊野昌代士

越川一

男衆:志賀明

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平代:木村玄

浪人:井上武夫

雲助の丑:薮内武司

有村淳

小南明

老女:小柳圭子

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昼太郎:市川雷蔵

島抜け法印:勝新太郎

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監督:市川崑  

 

オープニングクレジットの間も市村座の話をする。江戸っ子たちは評判の雪之丞を見に来た。おお、不景気だの米相場だの「俄」と同じ時代か?

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おいらとやりあえるのは闇太郎だと威勢のいい姉御が言う。

 

菊之丞親方が小さな包みを雪之丞に渡した。座元が土部などに会うように言うが、雪之丞は酷く頭痛がすると断った。菊之丞はなぜ断った、少しでも先方に踏み入って懐に入ったほうがよいではないかと責めるが、先方から踏み込んでくる気がすると雪之丞が答えた。

 

夜道を歩いていて、道に迷った雪之丞は突然刀で斬りかかられた。

 

回想

剣の師匠の脇田一松斎と話している雪之丞。おお、浜村純さん若いな。 

 

雪之丞を襲ったのは元・兄弟弟子の門倉平馬。勝手に雪之丞を逆恨みしている。しかし、男が通りかかり勝負がつかなかった。

 

男は雪之丞を斬りかかった相手を聞き出そうとしたが、雪之丞はただの辻斬りとごまかした。雪之丞が男の名を聞き出そうとしたが、男は夜の一人歩きは危険だとかごを呼んだ。しかし、闇太郎を捕まえようとした男たちが来て、闇太郎は逃げた。

 

男は岡っ引きに昼太郎と名乗った。

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化粧したり、カツラだとホントに分かんないなあ。

 

土部は川口屋に浪路をどうするつもりだと怒り、雪之丞を呼べと命じた。雪之丞に二度か三度会ううちに嫌気がさすだろう。浪路がいるから将軍様も言うことを聞くため、大事な娘だ、大奥に手を出すなとくぎを刺す。米を買い占めろって言ってる。やっぱり江戸の商人の仕業だったか。

 

川口屋の招きに応じ、土部の屋敷に行くことにした雪之丞。浪路の病気見舞い。

 

土部の屋敷に雪之丞が来た。土部の前に雪之丞が座っていたが、土部は一言もしゃべらない。川口屋が雪之丞を浪路の部屋まで案内した。川口屋は雪之丞と浪路をくっつけようとしていて、心の中で川口屋のことを下衆の塊と評する雪之丞。

 

浪路の部屋に行った雪之丞。浪路は布団から身を起こし、雪之丞が挨拶した。浪路は雪之丞に酒を勧めた。浪路の病気は雪之丞を一目ぼれしたこと。雪之丞は一時のお弄びなら許しませんと浪路を抱き寄せた。雪之丞は罪も咎(とが)もないのに浪路にこれ以上のことをするつもりでいる。

 

外に誰かいることを察する雪之丞。浪路はもう”雪様”呼び。

 

雪之丞は女の泥棒を捕まえた。女泥棒は「市村座の…」と顔を見て驚いたが、雪之丞がさっと戸を閉めて追い出した。雪之丞は浪路に小泥棒でしたと報告した。外で見ていた闇太郎は浪路は将軍のめかけなのになぜ雪之丞が手を出す?と理由を探す。

 

菊之丞に呼び出された雪之丞は浪路に心を奪われたのではあるまいなと問い詰めた。当時の長崎奉行の土部と川口屋、広海屋の3人が術策をし、雪之丞の父は狂い、母は自殺した。長屋暮らしになった雪之丞と菊之丞が知り合い、雪之丞の恨みを晴らしてあげようと考えた。今がそのときだと言うが、ひと思いではなく、じりじりと苦しめたい雪之丞。

 

江戸で指折りの豪商・広海屋の屋敷に招かれた雪之丞。広海屋は土部と川口屋は注意深い性格であまり屋敷に呼ばないのになぜ雪之丞を呼んだのかと聞いた。雪之丞は部屋の珍しい時計に見入った。南蛮渡来の珍品だと言うと、長崎で手に入れたのか聞いた。雪之丞は長崎は憧れの地と言い、広海屋も川口屋も長崎の生まれという。

 

雪之丞は広海屋がお重役筋の間で米の買いだめしたことが噂になっていると話した。関東の凶作、底知れぬ米の高値、その米を一堂に関東に集めて、こちらの米価を引き下げたら、名前が広がるばかりか、関東米相場の神様に祭り上げられる、江戸一の勢いを示されるとお重役筋が話していたと言う。広海屋は土部や川口屋がこの話を知らないと知り、いいことを聞いたと川口屋を裏切るつもりでいる。

 

雪之丞の部屋に文が投げ込まれた。待乳山(まつちやま)で待つという女は女泥棒のお初だった。雪之丞に捕まえられて、雪之丞にぞっこんになったと告白。えー、どういう心境だ? 雪之丞は女の肌に触れない誓いを立てていると断ったが、お初は敵討ちのことを知っていると脅す。

 

お初は全てを知っており、雪之丞はあとを追った。しかし、通りかかった門倉に再会し、刀を向けられた。男3人のうち、1人から刀を奪った雪之丞は男2人と勝負し、お初を追いかけたものの逃げられた。

 

舟に隠れていたお初は闇太郎に見つかった。昼太郎も雪之丞が敵討ちしようとしていることが分かり、お初を舟から川に落とした。

 

町では米を食わせろと騒ぎになっていた。米をバラまくなよ、もったいない。

 

浪路の部屋を雪之丞が訪れた。浪路は雪之丞に逃げようと提案。もう城には戻りたくないと話す。私はそなたと夫婦になりたいと体を預ける。

 

広海屋から雪之丞へ自鳴鐘を贈った。広海屋は噂通り、米を仕入れて売った。元々安く仕入れた米なので安く売っても儲けはできた。川口屋が乗り込んできて、広海屋が安く米を売ったため、店が潰れたと怒鳴り込んできた。しかし、その後は助けてくださいと泣きついた。もみ合ううち、川口屋は階段から落ちた。その夜、広海屋も店に火をつけられた。

 

縛られていた川口屋の前に雪之丞が父になりすまして近づき、首をくくって死ねとささやく。川口屋が広海屋の手代を殺し、火をつけた。うめき声をあげて壁に頭を打ちつける川口屋は声をかけた広海屋を雪之丞の父である松浦屋と呼び、すっかり狂ってしまった。広海屋はさるぐつわをして縛り上げたが、川口屋は死んでしまった。

 

そんな復讐劇を見ていた闇太郎は雪之丞を哀れんだ。

 

浪路は乳母のいる小さな家に移ったと書かれた手紙を雪之丞が受け取った。雪之丞はかご代を包んで使いの者を帰した。

 

貧乏な長屋に小銭を包んだ包みを置いた昼太郎だったが、闇太郎だと思う町人に昼太郎はがっかり。

 

広海屋がだまして浪路を呼び出した。霧の中、広海屋は浪路に近づき、道連れにしようとしていた。しかし、浪路がきつく握りしめていた刀で広海屋を刺した。

 

雪之丞と門倉はまた勝負していた。あ、死んでなかったのか。門倉は土部に雇われ、雪之丞を斬りに来ていた。土部が浪路をかどわかしたというのが理由ではなく、ただ怪しい者だと言っていたと門倉から聞き、雪之丞は全て知られてしまったと悟った。

 

お初が陰から見ていて銃を撃とうとし、闇太郎に止められた。あれ? お初も生きてた。

 

銃声に驚いた門倉と雪之丞。門倉は隙だらけのお前は斬れぬと刀を置いた。

 

浪路は何者かに捕まり老婆のいる屋敷に連れてこられた。しかし、浪路を連れてきた男たちは浪路を連れ出そうとし、家にいた島抜け法印が男たちを追い払い、浪路を家に帰そうとしたが、今度は老婆が反対し、法印が老婆を縛り上げた。

 

法印は浪路を連れて闇太郎の家に助けを求めた。女は入れないといっていた闇太郎だったが、”雪様”とうわごとを言う浪路を見て、ハッと気づく。

 

雪之丞の屋敷に入り込んだ闇太郎は勝手に雪之丞を弟のように思っていて、浪路が哀れだと知らせに来た。浪路が広海屋を殺したことも話した。雪之丞のことをうわごとで言っていると聞いた雪之丞は闇太郎についていくことにした。

 

土部の家に雪之丞が入った。浪路は寝かされており、目を覚ました浪路は「雪様…」と声をかけた。しかし、再び目を閉じてしまった。雪之丞は復讐の生贄になったと浪路の人生を憐れみ、来世というものがあるのなら夫婦になりましょうと語りかけた。

 

雪之丞は土部に会いに行った。雪之丞が土部が長崎にいたことを知っていて驚く。脇玄関に浪路の遺体が置かれていて、土部は浪路の死を知り、雪之丞にオランダ渡来の毒薬を飲むよう強要した。

 

雪之丞は松浦屋の雪太郎と名乗ると、土部は雪之丞に差し出していた毒薬を一気に飲み干し、うめき声を上げて倒れた。

 

舞台で芝居をする雪之丞。

 

楽屋で菊之丞は雪之丞の芝居を褒めた。雪之丞が表舞台から去る決意をしたので、菊之丞は恨みを晴らすよう導いたことが間違いだったのかと後悔した。

 

お初が闇太郎と芝居を見に来ていた。短筒(銃)で狙っていたのは雪之丞ではなかったらしい。お初は闇太郎の横顔が雪様に似ているとおかみさんにしてと迫った。

 

華々しい成功を飾り、西へ下る菊之丞一座に雪之丞の姿はなかった。出家したとか旅一座に紛れ込んだ、などと噂が立ったが、次第に忘れ去られていった。(完)

 

雪之丞と闇太郎が長谷川一夫さんの二役なのを雪之丞が夜は闇太郎に成りすましているものと映画が終わるまで勘違いしていた。闇太郎が雪之丞の芝居を見に来たりしてるのにね。また昼太郎なんて出てくるからすっかり混乱してしまって…。

 

それにしても昼太郎役の市川雷蔵さんと「剣」の主演だった市川雷蔵さんが重ならなくてまた混乱。

 

浪路は女形の雪之丞が好きってどういうこと? 雪之丞は芝居で女形を演じてるだけで中身は普通の男で、浪路が一目ぼれしたのは雪之丞の姿で普通の男の姿になって夫婦になりたいと思うものなのかなあ?とか。この映画の中で雪之丞は男の姿に一度もならないから、また分かりにくい。浪路に会いに行くときは男の姿だったりすると分かりやすいのに…? もしかしたら全然違う解釈してるのかもな(-_-;)

 

それにしても昨日見た「俄」4話の米相場の話とリンクしてて面白かった。同じくらいの時代だったのか江戸時代には何度かあったことなのか。

 


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