TBS 1968年4月6日
あらすじ
1968年―我が国のテレビ界に、後に伝説となる珠玉のアクションドラマが誕生した。それが、丹波哲郎・千葉真一・野際陽子らの出演による『キイハンター』である。国際警察の秘密捜査グループである彼ら“キイハンター”は、世界の平和を揺るがす陰謀や暴動の渦中に、果敢に飛び込んでいく。
テレビ番組の常識を超えたスケール感豊かなストーリーと華麗かつダイナミックなアクションは視聴者の度肝を抜き、5年間・全262話に亘って放送されるほどの大ヒット作となった。
2025.10.1 J:COM BS録画
昭和のホームドラマ好きなので、正直、あらすじにひかれるものはないんだけど、「おやじ太鼓」と同時代のTBSドラマということでキャストクレジットだけでも記録するつもりで見てみようと思います。「おやじ太鼓」は1968年1月スタートで4月放送分の12話からカラー放送になっていますが、「キイハンター」は4月スタートなのに白黒なんだね。
ありがたいことに字幕付き! 先月末、以前、CSで見た浅見光彦ミステリーという水谷豊主演の火サスがJ:COM BSで放送されたので、キャストクレジットをチェックしようと録画したら字幕がついてなかったから、BS松竹東急とは違うんだな…とガッカリしてたので、これは本当にうれしい。
この作品には現在では配慮すべき表現が含まれますが、制作者の意図を尊重し、可能な限りオリジナルのまま放送します。
↑こういう注意書き、BS松竹東急での木下恵介アワーには、なかったんだよね。だからよく言葉が消されてた!?
ナレーター<この部屋のグループは5人>
5人のショットから1人1人の紹介。
元 諜報部員・黒木鉄也:丹波哲郎
元 諜報部員・津川啓子:野際陽子
カー狂・島竜彦:谷隼人
記憶の天才・谷口ユミ:大川栄子
元 新聞記者・風間洋介:千葉真一
<彼らの愛するものは自由。求めるものは平和>
国際警察特別室
UNIPOL JAPAN
村岡室長:仲谷昇
<彼らの活躍がここに始まる。彼らの行くところ不可能の文字なく、彼らを遮る国境もない。彼らは、こう呼ばれる…>
KEY HUNTER
制作:東映株式会社
TBS
1968年3月
スイス ジュネーブ
男たちが車の脇でボストンバッグの札束とコイン数枚と交換。コインを持ってきた白人男性は銃殺された。
10日後 スイス国道
車が転落し、炎上。←東映っぽいなー!
さらに10日後 東京
街は大雨、金髪女性が傘もささずに英語で道行く人に話しかけるが、無視され続ける。金髪女性がメモを見せて道を聞き、男性が英語で教えた。歩いていく金髪女性を車の中から見ていた男が銃を準備する。
ユミが島の部屋に来た。ダーツ盤は「おやじ太鼓」の三郎と敬四郎の部屋にもあったな。当時のおしゃれアイテム?
ユミは管理人の娘で来月から値上がりすると黒木に知らせに来た。島、風間は居候らしい? 競馬新聞?を見ていた風間はユミの年齢が18歳と分かると、1-8と予想し、部屋を出ると、雨に濡れた金髪女性が立っていた。
島と風間はエレナと名乗った女性をソファに座らせ、髪を拭いたり世話を焼く。コーヒーか紅茶を持ってきてとユミに頼むと「何言ってんのよ! あたし、女中じゃありません」と怒る。
オシャレな洋風の部屋で”女中”って言葉が飛び出すとはなあ。「おやじ太鼓」でもまだまだ普通に出てくる言葉だけどね。
ユミが黒木さんに管理事務所に来るように伝えてと言って部屋を出ると、エレナが黒木に会いにスイスから来たと日本語で話した。風間はエレナをボスが昔、捨てた女だと思い込み、黒木に会わせようと島に相談した。
バーで飲んでいた黒木のところにエレナを連れていった島。中折れ帽にスーツで酒を飲む黒木。しかし、エレナは「黒木鉄也に会いたいのです」と英語で言う。エレナは持っていたメモを見せた。
ココヘユク道ヲ
敎ェテクダサイ
東京都港区霞ヶ関
霞ヶ関高層ビル21~9
黒木鉄也
住所と名前は合っていたが、エレナが持っていたペンダントの写真を見た黒木は「藤崎…」とつぶやいた。エレナは黒木と名乗る男と婚約しており、一足先に日本へ行くと別れたきりで一人でスイスから来たと英語でしゃべった。
黒木は、あんたのような娘が結婚できる相手じゃない、忘れろという。黒木の親友だった藤崎を黒木もいい人だというが、何も聞かずに忘れてやってくれ、それがあいつのためだし、あなたのためだという。
ショックを受けたエレナは出ていった。
黒木は足を洗ったが、藤崎は今でも現役の情報部員。丹波哲郎さん、渋いな~。当時46歳。
エレナの後を追った島は、とぼとぼ歩いていくエレナを見かけ、オープンカーに乗り込んだが、直後、誰かに後頭部を殴られ、倒れると、その男が運転し、エレナを轢いた。
店を出た黒木は倒れているエレナを発見し、メモとペンダントを手にした。
国際警察特別室を訪ねた黒木を村岡室長が出迎えた。
黒木「この部屋だ。俺がいたときと少しも変わってやしない。変に冷たくて不感症な女みたいに不愛想だ」
村岡「フフフッ、君の憎まれ口も相変わらずだ」
村岡はエレナの持っていたペンダント…というかコインにチェーンを付けたものだったのか。藤崎の写真のほかに何か入ってなかったか聞いた。黒木は藤崎は村岡の部下なのだから直接聞けばいい、今は日本にいるはずだというと、藤崎が死亡したという外国の新聞を見せた。あの交通事故で死んだのは藤崎だったのね。
信じられない黒木。村岡が特殊な任務を命じてジュネーブに派遣し、そこでエレナと知り合ったと思われる。2人を殺したのは同一人物の可能性が高い。村岡はもう一度戻ってくるように言うが、黒木は断り出ていった。
オープンカーの点検をしている島。「犯人の野郎、神風運転しやがってめちゃくちゃですよ。俺までもう少しでおしゃかになるとこだったし」と黒木に言う。ムチャクチャな運転ってこと? ”おしゃかになる”も久々に聞いた。
部屋に戻った黒木はスイスと日本をまたにかけた殺人だと風間に言う。黒木は現役時代に藤崎に命を助けられたことがあり、身銭を切ってでもやらにゃなるまい。
ユミは前にもお目にかかったことがある気がすると言い、昨日の新聞の広告に載っていたことを思い出した。
求む
イギリスのチャーチルコイン
当方、コインマニア 価相談
(七〇〇)五八四一ミス、エレナ
ユミ「どう、恐れ入った? あたしの頭脳は電子頭脳と同じなのよ」
島「まあ、一種の奇形児だな」
ユミ「失礼ね!」
なんつーセリフ! よく消されなかったね。
黒木は新聞広告の電話に早速かけてみた。女性が出てホテル・トウヨウだという。ミス・エレナにつないでくれと頼むと出たのは啓子だった。チャーチルコインを売りたいと持ち掛けた黒木にミス・エレナに聞いてみますと言って、ちょっと時間をおいて、「ミス・エレナは1時間後にロビーでお目にかかるそうです。その時、胸に白いバラを挿しておいてください。それが取り引きの合図です」と電話を切った。電話を切り、タバコ、スパ~の啓子。
ホテルのロビーに行ったのは風間。啓子から話しかけてきて顔を合わせた。風間は黒木に合図を送り、黒木は啓子の滞在している部屋へ鍵を開けて入り込んだ。
エレナという名は、あなたにはちょっとばかりそぐわない名前だと風間が言う。エレナという名前は語感からして不幸、あわれな死に方をする。僕の知ってるもう1人のエレナは、きのう事故死した。だから、エレナなんて偽名を名乗るのは、おやめなさい。
あなた何者?と怪しむ啓子。風間と2人でいる所を誰かが見ていた。
黒木は啓子の部屋を漁る。
啓子はコインを出すよう手を出すが、風間は啓子の手を握る。「ああ、冷たい手だ。温めてあげましょうか」
啓子「フッ…あなた、イタリーで暮らしたことがあるでしょ」
風間「なぜ?」
啓子「イタリーの男は女と見ると口説くのがエチケットだと思ってるのよ」
しかし、風間の手にタバコの火を近づける啓子。「おふざけは、もうたくさんよ」
コインをスイス・ジュネーブで手に入れたと風間が言うと、実物を見たうえで10万までは出すという啓子。お金はいらないと顔を近づける風間にまたタバコを近づける。
この二人、元夫婦と思うとドキドキしちゃうね。
黒木がチャーチルコインを開けると、中に35ミリフィルムの1コマを切り刻んだものが隠されていた。映してみようと準備していると、ユミが隣に入った人の引っ越しそばを持ってきた。
部屋を暗くしてプロジェクターに映すと、数字の羅列だった。風間が銀行の預金帳簿だと気付いた。単位はドル。
黒木はスイス銀行の預金帳簿だという。啓子の部屋から見つけた電報には「スイス・ジュネーブで射殺された銀行員は、その後の捜査の結果、秘密の預金者リストをフィルムに収め、外部へ流したものと判明。そのリストは、すべて日本の政財界人のグループである」と書かれていた。スイス銀行には日本人でも匿名で預けられ、秘密を守る。
ブン屋(=新聞記者)だった風間は日本の政財界人の一部では汚職やなんかで儲けたあぶく銭をスイスの銀行に貯め込んでいるやつがいるとウワサだと知っていた。藤崎もそれを探りにスイスへ行ったのではないか?
その藤崎を殺したのは誰か? 預金の秘密がバレることを恐れた黒い霧のグループ? しかし、それならとっくにフィルムが焼き捨てられているはずと黒木は推理する。藤崎の他にも知ってる者がいて、それをネタにひと儲けしようと考えた。
今、持っているのは預金額だけが書かれたフィルムだが、あとの2つに預金日付と名前が書かれているのではないか。ホテルから逃げ出したのは3人。お互いに3分の1ずつを持って裏切りを防ぐ。しかし、ホテルにいた女は何者か? エレナのことも疑問が残る。恋人を捜しに来たのになぜ殺されたのか?
黒木あてに今、映してるフィルムを買いたいとホテルにいた女(啓子)が電話してきた。ユミが持ってきた引っ越しそばの裏に盗聴器が仕掛けられていた。隣に引っ越してきたのが啓子。島と風間が部屋に乗り込んでも平然とタバコを吸っていた。
啓子はフランス情報部の女探偵。黒木に「譲っていただきます?」と聞くが、黒木は断った。「俺は昔、こう教わったけどもね。ハジキや盗聴器を振り回している間は、まだ一人前のプロとはいえないね」
黒木は水飲み鳥の前に水の入ったコップを置き、コインを投げ入れている。
風間「このフィルムをボツにして、いちばん喜ぶのは誰? 汚職やってる豚野郎たちだぜ。まあ、日本で税金払ってない、あなたには関係ねえ話ですけどね」
啓子「ハハハハッ、威張るんじゃないのよ、正義屋さん。あなただって、そんなにたくさん税金払ってるようには見えないけど」部屋を出ていった。
島は啓子を仲間に引き入れたいが、ユミは、あんな国籍不明、出てってもらうという。
黒木「ユミちゃん。そいつは待ってもらったほうがいいんじゃないかな」
ユミ「えっ?」
黒木「バカとハサミは使いようで切れるっていうからな」←昭和も後期になるにつれ、「バカとハサミは何とやら」とか皆まで言わないような気がする。
部屋に戻った啓子は「フンッ、何さ、あんなOB」とハンドバッグをひっくり返し、電動ドリルで壁に穴を開け、盗聴を始めた。
黒木あてに電話。「俺たちだ、黒木を出せ」
啓子も慌てて耳を澄ます。
電話をかけてきた男は藤崎を殺した犯人を押さえてる、会ってみてえと思わねえかい?と持ち掛ける。男のそばには手を縛られた白人男性。男と引き換えにチャーチルコインを返す。場所は3号埋め立て地、2時間後に黒木1人。罠だと知って、あえて行く。
約束の場所に消波ブロックが並ぶ。男と手を縛られた白人男性が車から降りてきた。「俺は藤崎を殺しちゃいない」と英語で叫びながら走った白人男性を後ろから銃撃した男。「失敗したやつは死ぬしかねえ。それがプロの掟だ」
男がコインをこっちに投げなというと、黒木は、もう一人はどうした?と聞く。「こいつのほかにもう1人、仲間がいたはずだ」
男「おめえ、よけいなことばかり知りたがるな」
黒木に銃を向けるが、黒木は後ろから殴られ、倒れた。目が回る、吐き気がする…以前、スペインのマドリードで同じ目に遭ったと思い出す。マフィアのヨーロッパ支部のやつらに捕らえられ、拷問を受ける黒木。銃を突きつけられても藤崎のことは言わない。そこへ助けに入ったのは藤崎だった。
マフィアのヨーロッパ支部ってなんか面白い。
バルチス系の睡眠性の自白薬を打たれた黒木は意識朦朧でフィルムの在りかをしゃべったのではないかと不安に思うが、この薬には慣れてると思い直す。フィルムは女に預けたと話した。藤崎の女だというと、男は藤崎の女は、とっくに始末してあると答えた。
男が油断した隙に部屋に入ろうとした啓子だったが、男は逃げてしまった。啓子は拳銃で黒木の手錠を外す。怖いなあ。現れるタイミングが早すぎたとダメ出しする黒木。
ユミがさらわれた。
「今度が本当の取り引きだ。フィルムを持って午前4時までに多摩川べりのヒューム管置き場まで来い」という手紙が残されていた。
ヒューム管置き場に車で行った黒木。運転は島。後部座席に風間と啓子。黒木は「やつらがユミを連れて現れたら、俺が出ていく。ユミを車に乗せたら、すぐ向こうの入り口のところまで引き返して待て。どんなことがあっても車から出ちゃいけない」と命じた。「よけいなまねをしたやつは死ぬぜ」
男が車で来て、黒木に車から出るよう命じた。男はユミを車から降ろし、ユミは島の運転する車に乗った。助手席、風間。後部座席に啓子とユミ。
黒木からフィルムを受け取る前に銃撃する男。逃げる黒木を追いかけて走る。倉庫の中に入った男は黒木に銃をとられ、殴られた。男の胸元からフィルムを取ったが、別の男がダイナマイト?を投げ込み、爆発した。
ダイナマイトを投げ込んだのは藤崎。エレナを邪魔にし始めるような奴は藤崎しかいないと黒木が思ったとおりだった。藤崎の写真を抱いて雨の中、捜し回っていたエレナ。
藤崎「女であろうと仲間であろうと邪魔なやつは切って捨てる。それが俺たちの鉄則じゃなかったのかい」
黒木「いくら邪魔でも捨てきれぬやつがいるんだ。それ本当にいい仲間というもんだ」
藤崎は黒木を殺してでもフィルムを奪うつもりでいる。啓子が銃を撃ち、藤崎が車を飛ばして黒木に襲いかかる。だが、車は横転、炎上。黒木は燃え盛る車に近づいて、必死に呼びかけたが手も足も出せない。
黒木「皮肉なもんだな。3人とも死んでフィルムだけが残ったとは。どうだい、スイスの銀行に持っていくかね?」
啓子は首を横に振る。
黒木「じゃあ、これは君に任せる」
風間がコインを受け取った。
5人は横に並んで歩きだす。こういうとこ、スーパー戦隊を思い出す。
プロデューサー:近藤照男
坪井久智
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原案:都築道夫
脚本:高久進
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擬斗:日尾孝司
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音楽 :菊池俊輔
主題歌:キイハンター
作詩 :佐藤純弥
作曲 :菊池俊輔
唄 :野際陽子
テイチクレコード
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黒木鉄也:丹波哲郎…字幕黄色
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津川啓子:野際陽子…字幕緑
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島竜彦:谷隼人
谷口ユミ:大川栄子
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風間洋介:千葉真一…字幕水色
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青木義朗
オスマン・ユスフ
エレナ:リンダ・ハウディスティ
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村岡室長:仲谷昇
藤崎:南原宏治
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監督:深作欣二
予告つき!
<プロフェッショナル・キイハンター。次の赤いシグナルは…ガードマンが殺され、アメリカ銀行の100万ドルが消えた。プロの直感と嗅覚は獲物を追って活躍する。だが、殺し屋のライフルは正確無比>
高毬子
<100万ドルの行方に立ちふさがる。キイハンター、微笑が誘う美しい作戦。金を盗んだ豚どもは太らせてから食え。『キイハンター』次のシグナルは…>
非情の唇
に御期待下さい
ナレーターは大映ドラマでおなじみ芥川隆行さんだったのに名前が出てなかった。
いや~、昭和の話し言葉が興味深くて見入ってしまった。ロケ多めだし、おしゃれだし。しばらく視聴してみます。カラーになる日も楽しみ。


