1966年3月13日 TBS
あらすじ
日野来助(中村勘三郎)は長崎奉行所でポルトガル語の通辞をしていた。長男の新太郎の恋人・梢が南蛮人に手込めにされたことを知った来助は結婚を反対し、そのことが原因で梢は自殺してしまう。それをきっかけに親子関係は最悪の状態になる。あげく来助は次男・栄二郎をも勘当したので、新太郎や妹のはつも一緒に家を出て行ってしまった。さらに勘当された次男が始めた米屋が繁盛し、妻のくめ(長谷川裕見子)までもが家を出ていく羽目になる。とうとう一人で孤独な毎日を送ることになった来助だったが、そんな時、門前に置き去りにされた子を発見し、自分の孫として育てることにする。

2025.8.24 時代劇専門チャンネル録画
こちらも日曜劇場。今回は白黒。
作:平岩弓枝
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音楽:平井哲三郎
プロデューサー:石井ふく子
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日野来助:中村勘三郎…字幕黄色
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日野くめ:長谷川裕見子…字幕水色
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来助の長男・新太郎:宗方勝己
来助の長女・はつ:波野久里子
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新太郎の許婚・梢:青柳美枝子
来助の次男・栄二郎:月森一郎
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日野家の老婢:井上千恵子
日野家の老僕:山田己之助
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役人:上野尭
梢の娘:石崎恵美子
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演出:橋本信也
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制作:TBS
脚本、音楽、プロデューサーは後の「ありがとう」の布陣だね。画質がはっきりして見えるのは、フィルムじゃなくてVTR撮影なのかもしれない。「おやじ太鼓」の白黒とはちょっと違って見える。
歩いて家に帰ってきた来助は「今、帰った」と声をかけたが、反応がなく、「誰もおらんのか!? この屋敷は空き屋敷か! こら!」と怒鳴りつける。
老婢のつねが顔を出し、奥様は居間にいると伝えた。
老婢=年老いた下女。
妻のくめが玄関に出てきて「おかえりなさいませ」と手をついて頭を下げる。しかし、来助は玄関の掃除もできてない、これで一家の束ねができると思うか! 大体、お前はいくつになっても役にも立たん! 長崎奉行所、南蛮御係、通事役、日野来助の妻として恥ずかしいと思わぬか! 馬鹿者(ばかもん)!と怒鳴りつけ、家に上がった。いきなりキレすぎ。モラハラ夫!
居間にいくと、次男・栄二郎、長女・はつが出迎えもせずにいたことが許せず、また「お前たちは誰の働きでのうのうとしておられるんだ? この親不孝者め!」と怒鳴りつける。
栄二郎は博多町(はかたまち)からの朝帰りに息子や娘に出迎えられたら、さぞ、親父様の敷居が高かろうと嫌みを言う。来助は、ゆうべは、お上の御用のつきあいだと反論。いい年をして若い女に鼻毛を抜かれるのもお上の御用だと栄二郎がニヤリと笑って部屋を出ていった。
「あいつ、たたきのめしてやる!」とまた怒り。はつに栄二郎を呼んで来いと命じた。おお、実の親子共演! はつは「はい」と返事をして出ていった。
今度は、くめに出されたお茶が熱いとキレる。イライラしすぎ。次に出したお茶は「ぬるい!」
くめは、新太郎の許婚の梢が…と言いかけると来助は、あんな貧乏人の娘を許婚と許したわけではない、とまたイライラ。昨夜遅く、南蛮人の水夫が日本人の娘を手ごめにし、それが梢だという。すぐ新太郎がかけつけたとくめが報告すると、来助は新太郎を呼んでくるように言い、自身は奉行所へ向かうことにした。「世間体を考えろ! この役立たず! 馬鹿!」とくめを罵り、出ていった。
来助は奉行所へ。春木がポルトガル人の水夫が日本の女を手ごめにしたと話した。酒を飲み、雨戸をたたき割って、女1人の住まいへ入り込んだ。女から相手の水夫のことを聞くため、調べの間に連れてきたという。春木は来助に事情を聞くよう命じた。
調べの間にいた梢は「お義父さま…」と呼びかけるが、来助は「勘違いするな。まだお前を新太郎の嫁と決めたわけではない」とぴしゃり。梢は土間に水を汲み、行水をしていた、高窓がほんの少し開いているのに気づかなかったと話した。逃げようとしたし、抵抗もしたし、助けも呼んだ。しかし、近所の人は相手が南蛮人の大男だと知って助けれくれなかった、と泣いた。
来助は、お決まりの「早く忘れることだ。まあ、きちがい犬にかまれたようなものだ」と慰める。世間体が悪いから取り調べでも新太郎とのことは必ず口外してくれるなと口止めした。新太郎の将来によくない、手切れ金ならいくらでも出してやるとささやく。梢は新太郎のことは諦める、口外しないと約束し、来助がいなくなると泣き叫んだ。
家に帰った来助のもとに新太郎が戻ってきた。
「ありがとう」第2シリーズの日下新一さんね!
梢に話を聞いた新太郎は死にものぐるいで抵抗したものの顔を殴られ、気を失い、理不尽な目に遭ったのだと来助に話した。梢は目を覚まし、井戸に飛び込もうとした。新太郎は梢のことをどうか穏便にお計らい願いたいと頼んだ。磔にされるポルトガル人を救ってほしい、水夫の処刑が決まれば、その罪は公にされてしまう。
来助は内輪の話をしたくないと拒否。女は腐るほどいる、あの女は虫が好かんのだと言い出した。南蛮人に手ごめにされたのも油断があった、そういう女は人妻になってもほかの男と間違いをしでかす。「許さん! いかん! 許さん!」と喚き散らす。
長崎奉行所からのお触れが出たが、達筆すぎて読めない…
南蛮船ふらんちぇすか号水夫
ごんざれす 九月二日入牢
十一月十六日死罪
…異国人…
…婦女に凌辱…
不届…
う~ん、分からん!
春木は梢という女にはかわいそうなことをしたが、事件を闇に葬ったら、第2、第3の梢が出ようと来助に話していた。その後、梢は南蛮人相手の卑しい女に身を落とした。来助は女は一度落ちると落ちるところまで落ちるとバッサリ。
かねてより侍の家と縁組をしたかった来助に春木が栄二郎の養子先に奉行所の書き役をしている真鍋はどうかと聞いてきた。
家に帰った来助は「こんなめでたいことはない」と酒を飲んで浮かれている。来助自身は米屋のせがれで町人上がりと軽く侮られ扱われてきた。栄二郎は拒否。新太郎も反対する。真鍋は金持ちの町人から養子を取り、多額の持参金も取る、しかし、ひどい仕打ちをして追い出すという噂がある。
栄二郎は米屋になると言い出す。怒った来助は栄二郎を勘当して追い出した。新太郎もまたこのままでは自分がダメになるから家を出ると言い、はつまで話に乗っかった。
梢を救う勇気がなくなった新太郎は、ひ弱な自分をたたき直したい。はつは来助が何とか侍と縁組させようと無理な縁談を持ってくるせいで二十歳になって行き遅れと言われている。
子供たちが出ていくと「貴様の育て方が悪いからだ!」と隣に座っていたくめを小突く来助。「役立たず! くず! まぬけ! 馬鹿者!」と罵る。
奉行所で春木とポルトガル人が話していた。ポルトガル船は切支丹(キリシタン)を運んでくるというので、お上が嫌いだした。捕らえても捕らえても隠れ切支丹が減らないのはひそかにポルトガル船がバーテルを送ってくるせいだとオランダやイギリスのキャピタンがお上へ告げ口した。
そこで、切支丹と関係のないオランダやイギリスとのみ交易をして、ポルトガルを締め出そうという話はだいぶ前からあった。ポルトガル語しかできない来助は御役御免になるのでは、と春木に聞いた。春木は金もたまっただろうから昔のように米屋でもやったらどうかという。春木はオランダ語もイギリス語もできる。
栄二郎を勘当した話は春木にも伝わっていた。もう1年になるが何の知らせもない。
自宅の縁側で庭を眺めていた来助にくめが語りかけた。「わたくしが自儘(じまま)にいたしてよろしゅうございますか?」。くめは手をつき、「今日かぎり、おいとまをちょうだいいたします」と頭を下げた。
大村で米屋をやっていた子供たちも食べていけるようになり、くめを呼び寄せた。くめは、いつも役立たずだった、気の利かないぼんやり者で来助に叱られてばかり。子供が産まれても余計者、役立たずと言われ続け、このままでは一生役立たずで終わってしまう、一生に一度でも役に立ったと言われて死にたい、と出ていった。
引き止めることもせず「馬鹿! それが妻か! それが苦労して育てた子か! 俺は何のためにこの年になるまであくせく働いてきたんだ、馬鹿!」と庭で叫ぶだけの来助。
つねが来助を呼んだ。つねと老僕の嘉吉がご門内に捨て子があったと知らせた。捨てられたのは”あいのこ”。来助が奉行所へ届けると言って出かけた。
出勤の途中、来助は春木に会った。春木は身投げした遺体を見ていた。身投げしたのは梢。2年前、南蛮人の水夫に手ごめにされ、南蛮人の子供を産んでからも、異国人の相手をしていたのに、急に身投げするなんて、子供でも失ったのか、と不審がる春木。
家に帰った来助は、つねに赤ん坊のために粥を作るよう命じた。赤ん坊の笑顔に顔がほころぶ。自分で奉行所に届け出なかった来助は嘉吉に奉行所に届けるように命じた。捨て子だまりに連れていけばいいとつねに言うが、つねは牛か馬のように扱われ、弱い子は虫けらのように死んでしまうのだと言った。
赤ん坊と2人きりになった来助は「お前も独りか。俺も独りだ。仲良くするか?」と笑顔で話しかけた。
その後、南蛮人の子を育てている来助。春木に物好きだと言われる。来助は”きよ”と名付け、性格も丸くなった。
来助の家では、少し大きくなったきよが遊んでいる。来助は御朱印船に乗ってマカオと安南という国へ行った時に買ってきた本を見せた。ザ・日本人顔の子役。名前見たら、先週見た「一本刀土俵入り」の子役と同じだった。
ある日、腹痛を起こした来助のそばについて寝ずの番をするきよ。「おじい」と呼ぶんだね。
元気になった来助は、きよの髪をとかす。きよはどうして、きよの髪の毛が赤いのか聞く。来助は人間にはいろんな人がいると答えた。きよはおじいの子?と聞かれ、そうだよと即答。
南蛮人と日本人の間に生まれた子をマカオに追放すると春木に聞かされた来助。278人の中にきよの名前もあった。来助は自分の孫だと言い張るが、春木は、きよの髪は縮れて赤く誰が見ても南蛮人の血を引いていることは隠しようがない。
来助は日本人でも髪の毛の赤い者はいる、酢をぶっかければ誰でも髪の毛は赤くなる、きよの髪の毛の赤いのは生まれ損ないということにしてくださいと必死に訴えるが、春木はポルトガルとの交易を禁止し、ポルトガル人との間に生まれた子供をマカオへ放流するのはお上が定めたことだという。
家にあるめぼしい物をみんな砂金に替え、マカオにやられるきよに持たしてやろうと古物商を呼んだ来助。浜辺に行き、きよに日本にいられないのだと説明した。魂が引き抜かれるほど辛いときよを抱きしめて泣く。
出発の朝、小さい観音様をきよに持たせた。役人がきよを引き取りに来た。きよが行かないとおじいが叱られると自ら立ち上がり、つねと嘉吉にお礼を言い、連れられて行った。涙の別れ。
くめが一人になる来助に子供たちと一緒に暮らそうと家を訪ねてきた。南蛮交易ご禁制でポルトガル通事の来助も御役御免になると耳にしていた。米屋は繁盛している。この5年寂しかったと語るくめ。来助がきよを育てていたのは寂しさを紛らわすためで、そのきよもいなくなる。
「瘦せても枯れても日野来助だ。女房子供の世話にはならん!」とくめを拒絶したが、大村に行って幸せか、子供たちは達者か聞いて満足そうにうなずく。
奉行所に来助が来て、春木にポルトガル船に乗せてほしいと頼んだ。来助は母のために日本を追われた子供たちに自分のポルトガル語は存分に役に立つ。妻子が幸せに暮らしていると知った今、日本に心残りはなく、マカオへ骨をうずめたい。お慈悲でございますと土下座して頼み続けた。
春木は287人の子供たちを無事にマカオに送り届ける通事の役目を来助に申しつけた。日本人の海外渡航はご禁制だが、送り役の通事としてなら南蛮船へ乗せることができる。送っていった通事がそのまま日本へ帰らずマカオへ出奔しようと、それは勝手。
残る家屋敷は大村井にいる妻子に処分させるよう春木にお願いした来助。せめてもの父親の形見分け。春木に何度もお礼を言い、来助は出ていった。
港にいたくめに声をかけた春木。「雷は、とうとう海へ乗り出しましたな」
だからタイトルが”かみなり”なのかぁ~!
くめは雷を懐かしがり、子供たちに聞かせてやりたかったと泣く。
子供たちは現地の格好に着替えさせられ、船に乗せられて行った。来助が「きよ!」と何度も叫びながら船へ乗り込もうとしていた。(おわり)
来助は雷おやじだったのか…「おやじ太鼓」の進藤英太郎さんのすごさを改めて知った。脚本のうまさかな? 来助は妻に役立たず!と言い続けて家族に見放されて、ざまーみろとしか思えなかったから、マカオへもどうぞどうぞって感じ。
「おやじ太鼓」でも亀次郎はしょっちゅう無能だと周囲の人を罵っていたのに、来助みたいな不快感はなかったんだよね~。愛子さんが言い返すから? カラッとしてて嫌みっぽくはなかったんだよね~。
ただただ来助が嫌なやつとしか思えなかった…