徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】チョッちゃん(116)―連続テレビ小説―

NHK 1987年8月18日(火)

 

あらすじ

珍しく、要(世良公則)に演奏の仕事が入り、雅紀(相原千興)にヴァイオリンの練習をさせるように、蝶子(古村比呂)に言い残して出かけていく。その日の午後、安乃(貝ますみ)が蝶子の家で裁縫の仕事をしていると、要が帰って来る。家に雅紀がいないので探すと、向かいの音吉(片岡鶴太郎)の家で、戦車を作ってもらって遊んでいた。要は練習をさせようと連れて帰ろうとするが、音吉は子供は遊ぶ方が大事だと、要に対抗し…。

2025.8.26 NHKBS録画

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脚本:金子成人

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黒柳朝チョッちゃんが行くわよ」より

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音楽:坂田晃一

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語り:西田敏行

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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色

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岩崎要:世良公則

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中山音吉:片岡鶴太郎

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大川邦子:宮崎萬純

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中山はる:曽川留三子

岩崎雅紀(まさのり):相原千興

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神谷安乃:貝ますみ

岩崎俊継:服部賢悟

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野々村富子:佐藤オリエ

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野々村泰輔:前田吟

 

加津子が誕生して以来、加津子が登場しない回って珍しいかも。

 

<いくら演奏の仕事が少ないとはいっても全くないわけじゃないんです。今日、要さんは仕事なんです>

 

岩崎家玄関

要「雅紀は何時には学校終わるんだ?」

蝶子「1時ごろには」

要「うん」

バイオリンケースを渡す蝶子。「要さんは?」

要「3時だな」

蝶子「うん。私、午前中、邦ちゃんと会うことになってっから」

要「うん。雅紀が帰ってきたら、ちゃんと練習させておくようにね」

 

蝶子「…毎日なのね?」

要「当たり前だ。…じゃ、行ってまいります」

蝶子「行ってらっしゃい!」

 

⚟︎子供が遊ぶ声

 

野々村家前に置かれた植木に水をやる泰輔。モンペ姿の蝶子と邦子が歩いてきた。

 

この、生花教室のある路地…道郎兄さんを思い出す場所だ。

 

蝶子「叔父さん!」

泰輔「おお~、アハハハッ!」

邦子「こんにちは!」

 

野々村家

富子「おそろいで、何事?」

蝶子「叔父さんの様子、見に来たのよ。映画館閉めて、どんな様子かと思って…」

邦子「がっくりきてるんじゃないか心配してたんです」

富子「あのとおり『青菜に塩』」

蝶子「やっぱり」

富子「ふぬけ。ウフフ」

 

台所で顔を洗い、大きなため息をつく泰輔。

富子「ほら、また!」

泰輔「あっ、ハハッ…」

富子「ため息ついたらね、罰金取ることにしてんの」

邦子「そう」

蝶子「たまった?」

富子「う~ん」

 

手拭いで手を拭きながら台所から出てきた泰輔。「何だかさ、急に老け込んじゃったみたいでさ」

富子「だから『植木に水やるのおやめ』って言ったんじゃないか」

泰輔「何だか現役退いたみたいで。人生の第一線から外されちゃったみたいでさ」

蝶子「そんな寂しいこと言わないでよ」

邦子「そうですよ!」

蝶子「いつまでも、こんな世の中じゃないし、また自分の好きなように映画館やれる時が来るわよ」

泰輔「そうかねえ」

蝶子「そうよ!」

 

富子「ま、だから、それまで下宿屋のおやじで辛抱おしよ」

泰輔「ざまあねえや」

富子「お似合いだよ~」

泰輔「バカヤロー!」

蝶子「怒る気力があればいいわよ」

泰輔「…けどさ、間借り人っていったって、今や夢助一人だもんなあ」

 

蝶子が下宿したばかりの頃は、なぜか夢助の他にも下宿人がいるものと思っていた。

 

富子「だけどさあ」

泰輔「…何だよ?」

富子「こういうこと、今までにも何度かあったよねえ。あんたが事業にしくじってスッテンテンになって、下宿屋のおやじしかやることがなくなったってこと」

泰輔「昔の話だ」

富子「その方が私はホッとしてたんだ」

 

泰輔「仕事しくじったことか?」

富子「そう」

泰輔「フン、薄情もん!」

富子「だってさ、あんたが事業に手ぇ出してる時ってのは、逆に私は…心配なわけじゃない? またしくじるんじゃないか、大損して借金取りに追われるんじゃないかって気が気じゃなかったもの」

顔を見合わせる蝶子と邦子。

 

富子「だから、こうやってさ、下宿屋のおやじに納まってくれた方が、あんたつまらないだろうけど、私はね。フフフッ。気が治まっていいのよ、うん」

蝶子「それにほら、いつも一緒にいられるし」

富子「う~ん、そ! フフフッ」

泰輔「何言ってんだよ!」

邦子「あら! おじさん、てれてる」

蝶子「うん!」

笑い声

泰輔「邦ちゃん!…ハハッ。え~、まあ、そんなことよりさ、誰か『部屋を借りたい』っていう人いないかね?」

蝶子「…どう?」

邦子「うん…」

 

泰輔「いやいや、なにも金が欲しくて言ってんじゃないんだよ」

富子「お金も欲しいよ」

泰輔「うん、まあ、そりゃそうだよ、うん。いや、それだけじゃないんだよ。部屋余っててさ、夢一人じゃ、つまんなくってさ。仕事がない、人もいないじゃ何だかわびしくてね」

蝶子「それは気にかけておくわ」

邦子「うん、私も」

 

富子「あ、あんたたち、お昼、食べてくだろ?」

蝶子「いや~、いいわよ、悪いから」

富子「おそばがあるんだよ!」

蝶子「いただきます!」

邦子「私も!」

富子「ウフフッ、じゃ、おつゆでもとろうか? ね」台所へ

 

泰輔「しかし、あのころは映画も活気があったなあ。ほら、邦ちゃん、映画女優に引きずり込んだ頃さ」

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台所から顔を出す富子。「『引きずり込んだ』なんて人聞き悪い。ね!」

 

邦子「そうですよ。いやいや女優になったわけじゃないんですから」

泰輔「うん」

邦子「私にとっても充実してたし、楽しい数年間でした。私の出た映画は全部、おじさんの映画館で上映されたし、舞台挨拶にも何度か行ったわ」

蝶子「うん」

邦子「その泰明座がなくなるって聞いて寂しかったんですよ」

泰輔「ありがとう」

邦子「喫茶店・泉に続いて、また一つ思い出の場所が消えてくわね」

蝶子「そうね…」

 

<チョッちゃん、邦ちゃん、泰輔さんを励ましに来た、あなたたちが沈み込んじゃいけませんねえ>

 

台所から戻ってきた富子。「ねえねえ、邦子ちゃん子供はまだ?」

邦子「アハッ、ええ」

富子「あ~あ、こればっかりはねえ」

泰輔「子供がいないってのは、いまだに新婚だよ」

富子「ああ!」

 

考えてみれば結婚式したの先週の回だけど、先週は昭和16年11月の話だもんね。

 

邦子「あっ」蝶子と富子の間に移動する。「ちょっと聞いてください。大川って、本当、優しくないんですよ」

蝶子「もめ事?」

邦子「大川ね、私の料理、褒めたことないのよ!」

蝶子「本当?」

邦子「うん。私は北海道だし、大川は関東でしょ? なじんだ味が違うわけじゃない。そしたら、私だって気になるわよ」

富子「『どうなの?』って聞いてみりゃあいいじゃない」

邦子「一度、聞いてみたんです」

蝶子「そしたら?」

邦子「『俺が何も言わないってことはおいしいってことだ』って、こうよ!」

 

富子と顔を見合わせる蝶子。「邦ちゃん、自慢してる」

邦子「違うわよ! 私は口で言ってほしいってことをね」

泰輔「何だ、のろけか」

邦子「違います!」

泰輔「そんなままごとみたいなもめ事は、のろけと同じ」

蝶子「うん」

 

邦子「まだあるんです」

蝶子「聞かない」

邦子「どうして?」

蝶子「どうせのろけでしょ?」

邦子「違うって!」

 

泰輔「ハハハッ、まあまあ、まあまあ。でもさ、みんな、落ち着くところへ落ち着いてよかったじゃないか」

富子「そうだよね、うん」

泰輔「そうなったと思ったら、今度は戦争だ」

富子「やぼなことするもんだねえ」

 

<その日の午後です。神谷先生と結婚した安乃ちゃんは洋裁と和裁を生計の足しにと始め、時々、こうしてチョッちゃんの家にやって来るんです>

 

一緒に縫物をしている安乃と蝶子。

はる「こんちは!」

安乃「こんにちは」

蝶子「どうぞ!」

 

縁側から家に上がってきたはる。「安乃ちゃんの仕立て直し、評判いいわよ!」

安乃「蝶子さんに教えていただいたから」

蝶子「安乃ちゃんの腕」

安乃「いいえ、蝶子さんに比べたら、まだまだ」

 

はる「煮豆。少しだけど」

蝶子「あ、いつもすいません」

はる「ううん」

蝶子「安乃ちゃん、帰り、少し持ってって」

安乃「ありがとうございます」

 

はる「…神谷先生、元気?」

安乃「はい」

はる「最近あんまり見かけないから」

安乃「徴用で自動車工場に行ってるんです」

はる「あ、そう」

安乃「童話書いてても、ほとんど収入ないでしょ」

うなずくはる。

安乃「決まった賃金もらえるし、安心は安心なんです」

はる「なるほどね」

 

⚟︎要「ただいま!」

 

蝶子「お帰りなさい!」

はる「お帰りなさい」

安乃「お邪魔してます」

要「ただいま。あ、いらっしゃい。あ、神谷先生、元気かね?」

安乃「はい」

 

要「ああ。雅紀は?」

蝶子「あっ…」

 

はる「今、うちに…」

 

蝶子「練習?」

要「終わったのかい?」

 

はる「あ、じゃ、私が」

蝶子「すいません」

はる「いえいえ」

 

要「全く!」

 

中山家

木で戦車を作る音吉を見ている雅紀と俊継。

音吉「よしと。あとは、ここに大砲つけなきゃいけねえな。へへ、もう少しだぞ」

はる「マーちゃん、お父さん呼んでるよ!」

音吉「何だ、バイオリンかい?」

うなずく雅紀。

音吉「そんなもんよりこっちの方が面白いよなあ!」

 

子役ではなく、あくまでバイオリンの弾ける子、と思って見ると、セリフも少なめにしてるのかな、なんて思ったりして。

 

はる「けど、早く行かないと」

音吉「もう少しで出来るんだよ」

はる「けどさ…」

音吉「いいや、いいや。1日ぐらい休んじゃね。な!」

はる「あ、お母さん、来るよ!」

 

音吉「おい、敵兵だ。隠れろ!」

雅紀と俊継は奥へ。

 

中山家に来た蝶子。「あれ?」

音吉「あれ? さっきまでいたんだけどな」

蝶子「どこ行ったんだろう?」

音吉「ねえ!」

 

はる「あ、ご主人だ!」

 

要「何やってんだよ! 『学校から帰ってきたら、ちゃんと練習させとけ』と言ったろう」

蝶子「はい」

要「うちから出すことはないんだよ」

蝶子「なにもそんな囚人じゃあるまいし」

 

音吉「そうそう。子供っつうのはね、外に出たいもんなんだから。ね! 外へ出て遊ぶことが商売みたいなもんなんだから。ね! 外へ出て遊んで、体鍛えて、いい兵隊にならなきゃ、ねえ」

要「兵隊なんかならんでよろしい!」

音吉「いや、日本人なら19になりゃ兵隊検査受けることになってるんですよ」

要「雅紀にはね、まだ10年も先の話ですよ」

音吉「いやいや、その時のためにも、今からちゃんと。ね!」

 

加津子は昭和15年に小学校入学で今、5年生。雅紀は3年生かな。

 

要「こりゃ一体何なんだよ!」玄関に子供の靴が2足。

蝶子「マーちゃんと俊ちゃん」

要「うん、いるんでしょう!」

はる「あ…いや~」

 

要「雅紀! 俊継!」

子供たちが奥から出てきた。

要「2人とも早くうちへ!」

子供たちが出ていく。

 

要「音吉さん!」

音吉「へい」

はる「あ、どうもすいません」

音吉「何で謝るんだよ」

要「どうして子供たちを隠したりしたんだ。うそをついたんだよ!」

 

音吉「もうちょっとでね、これが出来上がるとこだったんだい」

要「余計なことはね、せんでもらいたいね」

蝶子「ちょっと」

音吉「毎日毎日バイオリンじゃかわいそうだと思ったまでよ」

うなずくはる。

要「それが余計だよ」

 

音吉「…あんた、鬼だい!」

はる「あんた!」

音吉「教えるのもいいけど、たまには息抜きも必要だい」

要「そんなものは不要です」

音吉「鬼!」

要「何だって!?」

 

蝶子「音吉さんは、なにも邪魔しようとして、こんなことしたわけじゃないんだから」

要「じゃ、一体、何なんだよ!」

音吉「厳しくすりゃいいってもんじゃねえんだよ」

要「違う!」

音吉「無理に教えたって!」

要「無理を通す!」

 

蝶子「どうして!」

要「…練習というものはね、毎日やらなきゃダメなんだ。1日休めば元に戻るのに3日かかるんだよ!? 3日休めば10日だ! 10日休めば1か月! そうなった時、いちばん苦しむのは本人だろう!」ため息をつく。「何が戦車だ。隣組の役員か何か知らんがね、あんまり子供たちに戦争のことを吹き込まんでいただきたい」

音吉「吹き込むとは何でえ!?」

要「あんたはね、隣組に毒されているんだよ!」

音吉「なにを!?」

 

要「偉そうにするなよ!」

音吉「いつ俺が偉そうにしたよ!」

要「…あんたとは言わんがね、隣組の役員の中には特権意識を持った連中がおるだろう?」

音吉「と、と…特権!? な、何だ、それ?」

要「『防空訓練にも出ないで配給だけ受ける家庭は考えものだ』とか何だとか、そういうことを言うやからがおるだろう!」

音吉「当たりめえじゃねえか、そんなことは!」

 

要「違うでしょ! 訓練は訓練、配給は配給、別のもんです」

音吉「国を守ることもしねえで配給だけ受けるなんてやつは日本人じゃねえや!」

要「…そういう考え方だから、小さい女の子を徴用で働かせて平気でいられるんです!」

音吉「何を!?」

要「うちの加津子がね、小学校を出たら容赦なく引っ張っていって、あんた、働かせるつもりだろう?」

音吉「容赦なくなんてことはねえだろうよ」

要「隣組のやってることは人買いと同じだ」

音吉「そういうお達しなんだからしかたねえだろっつうんだよ」

要「12や13の女の子を働かせてどうするんですか!」

音吉「そういう決まりなんだよ!」

要「…とにかく、うちの加津子はね、小学校を出ても、てい身隊には出さんから! いいね!」出ていった。

 

蝶子は音吉に頭を下げた。「すいません」

 

練習室

♬~(バイオリン)

《調和の霊感》より ヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV 356 〜第1楽章

《調和の霊感》より ヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV 356 〜第1楽章

  • イタリア合奏団
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

雅紀がバイオリンの練習をしている。

要「もう一度」

雅紀の手のアップ。

要「やめなさい」雅紀の左手中指の爪から出血していることに気付き、深いため息をつく。「これじゃ無理だね」

 

茶の間で蝶子に手当てされる雅紀。

 

<チョッちゃんには要さんがなぜこんなにも厳しく教えるのか理解できませんでした>(つづく)

 

雅紀役の相原さんが本当にバイオリンを弾けるからこその表情が出てる気もするんだよな~、半ドキュメンタリー的な!?

 

要と音吉の言い争い。どっちも正しくて、間違ってて。どっちかが一方的に悪いわけじゃない。