NHK 1987年8月17日(月)
あらすじ
昭和19年の4月。戦争は日本軍の劣勢が日に日に国民を不安に陥れていて、蝶子(古村比呂)たちは、自分たちで少しでも食料を得ようと、家庭菜園にニンジンを植えたりしていた。そんな中、こどもたちは、絵に描いたおかずでごはんを食べたりしていたが、要(世良公則)は演奏会がうまくいかないこともあり、イライラしてこどもに当たる。蝶子は、他に売れるものも無いからと、電気蓄音機を売ることにし、寂しく見送るのだった。
2025.8.25 NHKBS録画
脚本:金子成人
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音楽:坂田晃一
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語り:西田敏行
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演奏:新室内楽協会
テーマ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:円光寺雅彦
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考証:小野一成
医事指導:白石幸治郎
タイトル画:安野光雅
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バイオリン指導:磯恒男
黒柳紀明
方言指導:曽川留三子
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岩崎蝶子:古村比呂…字幕黄色
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岩崎要:世良公則
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中山音吉:片岡鶴太郎
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中山はる:曽川留三子
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岩崎加津子:藤重麻奈美
岩崎雅紀(まさのり):相原千興
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岩崎俊継:服部賢悟
古道具屋:早川純一
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鳳プロ
早川プロ
劇団いろは
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野々村泰輔:前田吟
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制作:小林猛
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演出:阿部康彦
<昭和19年の4月下旬です。岩崎家の子供たちは、こんなに大きくなりました。長女の加津子ちゃん、長男・雅紀君、次男・俊継君。食糧不足をなんとか解消しようと庭の池を潰して家庭菜園を作っているんです>
ちょっとずつ大きくなった子供たち。加津子はおさげ、雅紀と俊継は坊主頭。wikiを見ると、昭和19年4月には女の子が産まれている。
音吉「気をつけ! これからハシゴ演習を行う! 行動は速やかに! 本当の空襲と思って取り組め!」
はるや蝶子など女性たちを集めて話している。音吉は隣組組長か?
<昭和16年に始まった太平洋戦争は、ここに来て日本軍の劣勢が国民を不安に陥れていました>
はしごをたてかけ、上っていく婦人たち。防空頭巾、かっぽう着、モンペ姿。
はる「はい!」
女性「はい!」
音吉「さっさ、さっさと行く! だれるな、気持ちを!」
ハシゴの上から投げられたロープを受け取る蝶子。「はい!」
音吉「気合が入ってない!」
岩崎家
縁側で紙箱の裏に絵を描いてる子供たち。
加津子「マーちゃんは何?」
雅紀「オムライス!」
絵を隠す俊継。「僕、言わない」
加津子「ケチ」
俊継「お姉ちゃんは?」
紙を見せる加津子。
俊継「黒砂糖だ!」
加津子「違うわ、ビフテキ!」
雅紀「ホントだ!」
加津子「俊ちゃんは?」
俊継「言わないもん」
⚟︎蝶子・はる「ただいま!」
3人「お帰んなさい!」
庭から入ってきた蝶子が畑を見せる。「ナスをね、植えたの」
はる「へえ~、楽しみだ」
蝶子「何描いてるの?」
加津子「今夜の食事!」
俊継「僕はね、目玉焼きとキンピラ。チョコレート、ハヤシライス、茶わん蒸し」
加津子「そんなに?」
俊継「うん」
蝶子「加津(かっ)ちゃんは?」
加津子「ビフテキだけ」
はる「『だけ』ってことは、ないさ」
蝶子「マーちゃんは?」
雅紀「オムライス!」
蝶子「随分、遠慮したのね」
茶の間
夕食時、漬物や煮物が並ぶ。
加津子
蝶子 要
雅紀 俊継
センターポジションの加津子。
加津子「(漬物を取り)これがビフテキ!」
俊継「僕はキンピラ食べちゃう! 次は目玉焼きだ!」
要の複雑な表情。
蝶子「お母さんにもビフテキを少し」
加津子「どうぞ召し上がれ」
蝶子「いただきます」
要「やめなさい!」
俊継「お父さんにもあげる」
蝶子「要さん」
茶わんと箸を乱暴に置き、要は席を立ってしまった。
加津子「お父さん、何、怒ったの?」
ドアを強く閉める音
蝶子「食べなさい」
<チョッちゃんには要さんのいらだちは分かっていました。何せバイオリンの演奏をする機会がめっきり減っていたんですから>
電気蓄音機をきれいに拭く蝶子。
練習を終え、バイオリンを持った要が出てきた。「いいのか?」
蝶子「いいわよ。しかたないわよ。15~16年前よ。私が音楽学校に入った年に千駄木の叔父さんが買ってくれたのよ、これ」
この回、神谷先生と邦子が一緒に野々村家を訪れた回でもあるんだな。道郎も遊びに来てたし、盛りだくさん。
要「いいのかね?」
蝶子「高く売れそうなものっちゅったら、ほかにはないもの」
バイオリンを後ろに隠す要。
蝶子「バイオリンを誰が売りますか!」
要「うん、いや、ハハハ」せきばらいする。
蝶子、立ち上がってまじまじ蓄音機を見る。「レコード、随分聴いたわ」
要「うん…」
蝶子「ラジオでは要さんの演奏も聴いた。でも、もういいでしょ。古くなってしまったし」
古道具屋「こんちは」
蝶子「はい! あ、どうぞ!」
古道具屋「はい、じゃ、ちょいと」要に会釈して縁側から上がり込む。
蝶子「あの、これなんですけど」
古道具屋「古いなあ」
蝶子「いや、出始めのものなので値打ちはあると思います」
古道具屋「使えますか?」側面をたたく。
蝶子「そりゃあ!」ラジオの電源を入れたり、レコードをのせたり。
♬~(レコード)
蝶子「いい音でしょ?」
古道具屋「まあね」
要「蝶子、やめようよ」
蝶子「あ、いくらになります?」
古道具屋「45円でどうです?」
蝶子「もう少し」
要「ね、やめようったら」
蝶子「もう一声」
古道具屋「48円」
蝶子「もう一つ!」
古道具屋「50円!」
蝶子「はい!」
リヤカーで運ばれる電気蓄音機を家の前で見送る蝶子と要。
蝶子「ソファー売った時は、なんともなかったけど…今日はちょっと寂しいわね」
うなずく要。「戦争終わったら、また買うさ。新しいやつ」
要の顔を見て、うなずく蝶子。
古道具屋さんが「太陽の涙」の寿美子の次兄・竜二郎? イメージが全然違う。
夜、茶の間
うなずく要。
坂上「演奏会の場がどんどんなくなってくな」
蝶子「ジャズも禁止だと聞きましたけど」
坂上「うん、スチールギターやドラムスの使用禁止ってことは演奏しちゃいかんと言ってるのと同じでしょ。個人の演奏会もしちゃいかんということだろ?」
要「うん、まあな」
蝶子「どうして?」
要「ん? 分からんよ。そんなことは」
坂上「そう! もう分からんことばっかり。演奏する曲目だってね、『日本人の作曲家の手になるものを』なんて言いだすし…」
要「そう。そうなるとな、演奏曲目の幅というのが、どんどん狭くなってくるんだよ」
坂上「どうなんのかねえ」
ため息をつく要。
蝶子「だけど、演奏会開けることは開けるんでしょ?」
坂上「うん、そりゃあね」
要「いや、けどね…」
坂上「何?」
要「国民の士気を高めるために勇ましい曲をとか軍歌を曲目の中に加えるというやつがおるだろ?」
坂上「いるんだよ」
要「俺は、それが嫌なんだよ」
坂上「お前は、そりゃいいよ。バイオリンなら勇ましい曲も軍歌も似合わないからやることもないだろうけど、俺はラッパだ。
♬タタ タタ タタタ タタ タタ タタタ」舌打ちする。
要「なるほどな」
「突撃ラッパ」だね。
要「暇な時、何、やってんだ?」
坂上「何にも。お前は?」
要「子供たちにな、バイオリン教えてる」
坂上「加津ちゃん?」
蝶子「雅紀と俊継」
坂上「筋は? どうだい?」
要「俊継の方はな、始めたばかりで、まだ何とも言えんが雅紀には、ちょっと期待してるんだ」
坂上「ほ~う! いいなあ、お前は! 俺んとこなんか娘ばっかりでトランペット教えるわけにいかねえもんなあ。フフフ、情けないよ」
要「ハハハハ。うん。ハハッ!」
実際の笹野さんは息子さんばっかりってのが面白い。別に女の子がトランペットでもいいと思うけど。
練習部屋
要「はい、やめ! 俊継は今日はこれまで」
俊継「は~い」
要「うん。雅紀はもう少し」
雅紀「はい!」
要が楽譜を広げる。「昨日の続きだ」
雅紀「はい」
要「始めて」
これ!?
雅紀! ホントにバイオリン弾ける子だ!
要「もう一度」
同じフレーズを弾く雅紀。
要「この前注意したこと、もう忘れたのかね?」
雅紀「ごめんなさい」
要「謝らなくていい。ちゃんと弾きなさい」
雅紀「はい」
要「音が切れてるだろ!」
もう一度弾く雅紀。
要「もう一度」…何度も繰り返す。「違うだろ!」
加津子が蝶子を呼んで外に出た。
音吉「ああ」
雅紀が中山家の材木の隅で泣いていた。
蝶子「マーちゃん」
雅紀は蝶子に見られて、走り出し、加津子が追いかけた。
蝶子「加津ちゃん!」音吉に向き直る。「すいません」
音吉「あ、いいえ。けど、あっし、マーちゃんが泣いてるの見たの一度や二度じゃねえんですよ。ほら、マーちゃん、ああいう我慢強い子だから、親の前では泣かねえんで。けどさ、旦那も旦那じゃない? 旦那はそりゃ、バイオリンの天才だろうけど、子供に自分と同じもん望んだってしかたねえんだから。無理なんだから! ね! マーちゃん、どなる声、表まで聞こえてくるんだよ。鬼だよ、あれじゃ!」
あ、鶴ちゃん、坊主ヅラになってる。昭和は厳しく教えてナンボなんだよね。そういう教え方があってる人も確かにいるけど、そうじゃない人の方が多いと思う。
♬~(バイオリン)
要も雅紀と同じ曲を弾いている。
ノックし、蝶子がドアを開けた。
要「何だね?」
蝶子「はい。マーちゃんの練習のことだけど…」
要「練習のことに君は口を出さんでよろしい」
蝶子「けど…要さん、少し厳しいんじゃない? 子供なんだから、もう少し長い目で…」
要「加減しろというのかね?」
蝶子「加減ていうか…」
要「俺はね、手加減なんかするつもりはないから」
蝶子「だけど…」
要「今、手加減をしたら、後々、本人が苦しむだけなんだよ。俺はね、なにも憎くてやってるんじゃないんだ。雅紀のためだよ。見込みがあると思うから、俺は鬼になってる」
蝶子「マーちゃん一人でそっと泣いたりしてるの見ると…」
要「気にするなよ。…練習中には、こらえて後で1人で泣くなんて、根性があって、なかなかいいよ。ん?」
何も言えない蝶子。
夕方の茶の間
雅紀が膝を抱えて座っている。
蝶子が練習室から出てきた。「どうしたの?」
じっと蝶子の顔を見る雅紀。
子役じゃなくバイオリンを弾ける子を選んだとしたら、演技もうまい。
泰輔「よっ! おう!」
蝶子「あ、叔父さん!」
庭から入ってきた泰輔。「何だ? マーちゃん。叱られてたのか?」
雅紀「ううん」
泰輔「へへへ、おおっ…」縁側に座ろうとして、ふらつく。
蝶子「あ!」
泰輔「ウッ…うん…」
蝶子「こっちには何?」
泰輔「あ? うん…」
要が練習室から出てきた。「あ、叔父さんいらっしゃい」
泰輔「おう! いたの?」
要「ええ」
蝶子「どうしたの?」
泰輔「ん?」
蝶子「お酒、入ってるの?」
泰輔「ああ…」
要「夫婦ゲンカですか?」
泰輔「泰明座だけどさ、閉めることにした」
顔を見合わせる蝶子と要。
蝶子「映画館?」
要「どうして?」
泰輔「ん? うん…。何だかね、今の映画、面白いかい? 俺はあれだよ、つまんなくってさ。だんだん面白いものもなくなってくしさ。…潮時だな」
蝶子「そう…」
泰輔「うん。そう決めたら…がっくり来ちゃってさ。まっすぐうちに帰ろうなんて…気が起きなくて」ため息をついてうなだれる。
<何とも寂しい時代になったもんです>(つづく)
泰輔さんは、そう言うけど、戦時中の映画も今となっちゃ映画を作り続けてくれて感謝だな。確かに戦争映画ばかりかもしれないけど、それはそれで今見ると新鮮で。
「無法松の一生」は昭和18年公開の明治時代を描いた映画で戦争は関係なし。
雅紀役の相原千興さんを調べました。
【公開録音アスタジオ!】
— FM西東京@84.2MHz (@fmnishitokyo) May 10, 2023
5月14日(日)田無駅北口「#田無アスタ」2階センターコートにて開催♬
今回は「変則三重奏ライブ」!🎻
トアルド・ガブリエルさん
トアルド細野宏奈さん
相原千興さん がご出演!!
ぜひ生演奏をお聴きに足をお運びください♪
#842fm https://t.co/jGbttyg2Tu pic.twitter.com/P15KakHLiX
プロのバイオリニストになってるー!
もっと雅紀くんのバイオリンが聴けるでしょうか!?

