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【ネタバレ】木下惠介アワー 3人家族(全26話)#17-#18

1968/10/15~1969/04/15 TBS

 

あらすじ

TBS『木下恵介アワー』で歴代最高視聴率を記録した人気ホームドラマ。偶然の出会いから始まる大人の恋と3人家族の心あたたまる交流を描く。男ばかりの柴田家と、女ばかりの稲葉家の二つの3人家族の交流を軸に、ロマンスやユーモアあふれるエピソードを盛り込んで話は展開する。山田太一が手掛けた連続ドラマ初脚本作。1960年代、大家族ドラマものが流行る中で、シングルファザー、シングルマザーの世界がリアルに描かれたのも話題となった。

17話

 

朝、玄関の戸に新聞が差し込まれ、お湯を沸かした耕作が雄一の髭剃り用にお湯を使わないかと話しかける。湯沸かし器がない時代。雄一はゆうべお風呂でそったからいいと断った。雄一は寝過ごしたと言い、朝食もとらずに出かけようとしていた。

 

耕作「焼いてやるよ、ええ? 1枚だけでもかじっていけよ」

雄一「ギリギリだよ、ムリだよ」

寒いから起きにくいと雄一は言い、夜中に起きてたと指摘されると、ウイスキーを2~3杯飲んでいたという。横浜で1台遅れると大きいからね、と出かけてしまった。電車のこと、1本じゃなく1台なんだな~。

 

耕作「紅茶だけでもどうだ? ええ?」

息子のためにトースト焼いて(トースターはあるよ)、紅茶入れてくれるお父さん、優しい。駅で牛乳を飲むと言って新聞を持って慌ただしく出勤して行った雄一。

耕作「何だい、パンは焼いちまったし…」

健「乱れてるね、ちょっとお兄さん」

健も起きてきた。お父さんにお願いがあると言って、大学の願書をこの間2つ出したけど、あれだけじゃ自信がないのでもっとという。国立3000円、私立は大抵5000円。耕作は1万や2万くらいなんとかなるとニコニコ承諾。健は1万円ねと「ごっつあんです」とお礼を言った。

 

大学に願書を出しに行った明子と健は待ち合わせていた。あと10日で受験。

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1969年は東大入試が学生運動の激化で中止になったので、健と明子は東大ではないんだな。

 

受験について男はもっと真剣だというと、

明子「そうね。男の人生ってのは厳しいもんね」

健「そうさ」

明子「バカね、皮肉言ったのよ、私」

健「皮肉?」

明子「何よ、『男、男』って。大体あなたのお兄さんだって失礼しちゃうわ」

明子の口癖は「失礼しちゃうわ」だね。毎回のように言ってる気がする。

 

雄一がキクに敬子とは友達だと言ったことで敬子はしょんぼりしている。ごはんだって1膳でやめちゃうのよ、だって。あんな細身の美しいお姉さんがご飯何膳も食べるのか? 健も雄一が毎晩飲んでいるというと、「やあね、それじゃまるで大正か明治じゃない」と明子。ハハ、今、古くさいことは昭和じゃないんだからと言われるのと同じか。

 

突然の競輪場。耕作が新聞片手に歩いていた。そこに声をかけたのは吉本という男。江幡高志さんは「おしん」ではおしんを売り飛ばそうとしたり悪役が多い印象。大悪党というより小悪党みたいな。元同僚で日曜でもないのに競輪場にいる耕作を不思議がるが、予想を手伝う。

 

柴田の会社には受付に「稲葉」という女性が来ていると知らされた。

 

彼女が受付で待っている。電話もかけずにいきなり会社に来て受付にいるというのか。それはこれまでの敬子とは違っていた。雄一は何か差し迫ったものを感じた。

 

雄一の妄想する敬子の声

「友達なんてもうイヤです。好きなんですか? 嫌いなんですか? はっきりしたいんです、私」

 

雄一もこんな状態から抜け出したいと思うのだ。友達だと言いながら自分の恋愛感情を一向に始末できないことが時にはいらだたしかった。敬子だって多分同じなのだ。はっきりしたくてやって来たのだ。

 

しかし、受付で待っていたのは明子だった。稲葉ですと言われて、「ハハハ…そうか、あなたか」と爽やかに笑う雄一。こんな妄想してたくせに! お姉さんかと思ったんですか?という明子の問いには「そりゃそうですよ」と素直。

雄一「ビフテキくらいおごりますよ」

明子「やっぱり一流会社ですね」

 

さっきまで健に会っていて、用が済んだらさっさと帰ったという話から、割合自分本位な兄弟ですねという明子。あと2つ願書を出したという健。

雄一「まったく。ハハ…」

明子「あら、軽蔑の笑い?」

雄一「いや」

 

明子は雄一のことを少し怒ってると言い、頭がいいことは人間の価値とは何の関係もない、少し損得を考えて行き過ぎるんじゃないかと問いかけた。

明子「今、お姉さんと恋愛するといろいろ損をするから逃げてんでしょう?」

雄一「手厳しいんだな」

ハッキリしたことを伺いたいという明子。

 

明子「お姉さんをお嫌いですか?」

雄一「ううん」

明子「好き?」

雄一「うん」

明子「どのくらい?」

雄一「困るな、そういう質問は」

明子「率直じゃないのね、どうしてパッパッといかないのかしら」

雄一「うん」

明子「結局、独身が条件の海外留学が邪魔してるんですね?」

雄一「うん」

明子「じゃ留学試験に落ちたらお姉さん選ぶってこと?」

雄一「そんな、君…」

明子「違います?」

雄一「君から見ればなんて不純だろうと思うだろうけど、僕たちの生活は愛情だけを考えていくというわけにはいかないんだよ」

明子「そりゃ生きてんだから多少の損得考えたってしょうがないと思うけども、お姉さんこのごろ、ほんとに寂しそうなんです」

雄一「そうなの?」

明子は健に聞いて、雄一が酒を飲んでいることも知っている。

明子「そんなに両方でムリしてるなんてほんとナンセンス。シャクに障ってくんの、私」

 

雄一は仮にとして「その人と結婚の約束をして2年間一度も会わずにいられる?」

明子「そりゃお姉さんならね」

雄一「君なら?」

明子「寂しいと思うわ」

雄一「2年が3年になるかもしれない。しかも出発するとなればあと3か月しかないんだ。3か月をできるだけ会うようにしたとして、そのあと2年か3年。敬子さんは25か26になる。いちばん縁談の多い年だ。いちばん恋愛する機会も多いんじゃないかな。そんな2年間を一度も会わずに待ってもらうんだよ? そんな約束をしていいものかな?」

明子「将来のことはどうせ分かんないんだもん。3か月なら3か月だけでも楽しく過ごした方がいいんじゃないかしら」

雄一「3か月たったらスパッと忘れて?」

明子「それでいいと思うけど」

 

雄一「恋愛ってそんなに安っぽいものかな? 僕はそんなふうには思えないんだ。いったん手綱を離したらお姉さんよりも僕のほうが留学の2年間を我慢できなくなりそうなんだ。合格の発表は今月の末。てんびんにかけたと言われてもしかたがないけれどお姉さんへの気持ちはどっちにしてももうしばらくの間抑えておきたいんだ」

明子「ごちそうさまでした。でも今日のことはお姉さんには言えません。私、どっちかっていうとあなたとお姉さんうまくいかないほうがいいような気がしてきました」

苦笑し、コーヒーを飲む雄一。明子のスパスパした性格好きだな。

 

沢野と夕方約束する敬子「ダンスなんて久しぶりですもの。待ち遠しいぐらい」。沢野はあなたが喜んで来てくれるだけで「もって瞑すべし」。

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柴田家。ハルお手製のおはぎを頬張る健を見ている。お昼を食べたばかりの健にはきついが、ハルは朝6時に起きて「坊ちゃんにおはぎを食べさせたい」と思った。

ハル「お母さんのいない坊ちゃんが大事な試験を前にして今日も1人でコツコツ勉強かと思うと、もうおはぎを食べさせたくて食べさせたくて一生懸命だったのよ」謎理論。おばさんがお母さん代わりになってあげるとにっこりしておはぎを強要。作る手間を考えてみなさいなって勝手に作ったんだからな。

 

そんな時、電話があり、耕作の会社から耕作が会社に来ていないと言われた。ハルは風邪を引いてるのに無理して出かけたとごまかして電話を切った。耕作からは風邪で休むと会社に連絡があったらしい。

 

ハルはこの間の夕方駅で耕作に会った。会社から反対の横浜からの電車で降りていた。ハルが声をかけると「1日会社で座ってて腰が痛い」と言っていた。定年を前に次の仕事を探しているのかもしれないとハルは健に言う。

 

しかし、耕作はまた吉本と競輪場にいた。吉本の予想は意外と当たってる!?

 

ダンスホールで踊る敬子と沢野。シュールな踊り。40男が20代相手に頑張ってんなあ。もちろん皮肉です。

 

柴田家。耕作が酔っ払って帰ってきた。健がコートを脱がせ、雄一が靴を脱がせ、両方で抱えて部屋に連れていった。息子達も優しい。前に会社にいた男とばったり会ったといい、武蔵小杉で?と聞くと、耕作は、うん、そうそうそう…と言った。3軒はしごして飲んできた。酒を飲んだので暑いという耕作に寒いので電気あんかを買ってきたと言う健。

 

耕作「まあまあいろいろなもんだな世の中、雄一。『楽あれば楽あり 苦あれば苦あり』さ」

雄一は耕作の定年は今年だと知っているが、何月かと聞いた。人事は春秋2回が会社の決まりなので定年は3月だという。耕作を布団に運んで、健がズボンを脱がせ、雄一が寝間着を着せようとすると「とにかく当たったよ。大きかったなあ、6レースは」と耕作が言った。ハッとする2人。

 

雄一が野心を燃やし、恋に悩むとき、健が初恋と受験生活を生きるとき、ひそかに父には父の孤独な毎日があったことを改めて思いがけない感動で2人はかみしめるのであった。

 

18話

 

日曜日の朝。おめかししてドライブに行く敬子。キクも起きて敬子に声をかけた。どこへ行くのか、誰と行くのかと聞くと、気まぐれなドライブだと言い、相手のことは言わなかったが、雄一ではないと明言していた。キクはベランダから真っ赤な車に乗り込む恵子を見ていた。日産の一社提供なんだから日産の車なんだろうな。スポーツカータイプのカッコいい車。明子には行き先を三浦岬と言っていた。明子も誰と行くかは知らない。明子までお説教を食らいそうになって体操してごまかす。

 

ドライブしている沢野と敬子。まだ9時。

 

柴田家では、雄一が庭で洗濯を干し、耕作は朝ごはんの支度。そこにハルがやってきた。日曜日は働いてないので、柴田家に来たという。雄一はお金を払うから1日頼みますというが、お金をもらうなんて水くさいと洗濯を手伝い始めた。

 

ハルから耕作の競輪通いのことを聞かれると、知らないふりをしているという雄一。

ハル「そうそう、それがいいわ。優しくしてあげなくちゃね」

ハルはやっぱり料理を手伝うと言って、雄一に洗濯を丸投げ。健は受験前の追い込みを部屋にこもってしていたが、ほんとは外に出かけたい。

 

キクは明子にあれこれ世話を焼こうとする。スタンドをつけようかといっても平気と返す明子に「女が眼鏡をかけるのはあんまりいいもんじゃないからね」。それからもあれこれ言うキクにあっちに行ってという明子。

 

ダイニングでリンゴをむくキク。

キク「人が心配してやってるのになんて子だろう、ほんとに。敬子は敬子で逃げ出すみたいに出ていくし、明子ときたら親をうるさいってあきれちゃうわ。アア…むいたってしょうがない。どうせ明子は食べないし、1人で食べてもつまんないし。(明子の部屋のドアを開けて)明子! 今からリンゴをむくから食べなきゃ承知しないよ!」

明子「お母さん、これ以上邪魔したらね、試験なんてのは落ちちゃいますからね。そのおつもりで!」

キク「アア…つまらない。子供2人育てたってこの年になってこんな思いするならなんにもなりゃしない」むきかけのリンゴをテーブルの上に投げた。

 

ヨットハーバーにいる敬子と沢野。敬子はフランス映画好き。沢野が以前、撮った敬子の写真はフィルム1本キレイになんにも撮れてなかった。

沢野「つまり僕にはあなたの影さえ捕まえることができない。そんなつじうらに思えて、しばらくはあなたがひどく遠い手の届かない人に思えてまいった」

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つじうら…占い?

 

敬子は今ならどうか?と尋ねる。今なら手を伸ばせば触れそうで、触っても怒られない気がするという沢野に、また写真を撮ってくれたら今なら写り過ぎるという敬子。

 

吉本が耕作を訪ねて家に来て、耕作を外に誘い出して出かけて行った。仕事の橋渡しをお願いしていた?

吉本「いやあ『営業の柴田さんなら有名じゃないか』なんて言って」

耕作「昔の話さ。経理へ回って今じゃあんたやっと庶務課長さ」

吉本「いや、だからそう言ったんですよ。そうしたら『ひどい会社だ』って。『一時は業界仲間じゃ柴田さんと聞いて知らない者はいなかった』って『そういう人の定年後の面倒ぐらいちゃんと見るのが当たり前だ』って憤慨してましたよ」

耕作「こんなことは言いたくないが社長の代が変わってからはどうもね」

吉本「ところが丸山さんのほうは…丸山さんっていうんですがね、彼のほうは…いやもう『柴田さんならもう是非に』って大変なんですよ」

耕作「それなら願ってもないがね」

吉本「本当も本当。イヤですよ、私をうたぐっちゃ」

耕作「そんなことあんた…。そうですか。そういう人がいてくれましたか」

 

さっき、吉本に最初に対応したのはハル。しかし、ハルは吉本が競輪に誘ったんじゃないか、退職金を狙っているんじゃないかと疑う。女の勘はバカにならないと雄一に話した。どうも胸騒ぎがするという。

 

ノートに挟まっていた敬子の笑顔の写真を見てしまった雄一。

 

不意打ちであった。雄一は抑えていた感情がほとばしるのを感じた。やはり愛している。やはり自分は敬子を愛しているのだ。

 

稲葉家に電話した雄一。キクが出て、敬子はドライブに出かけて夜にならないと帰らないと思いますけどと言われ、電話を切った。

 

柴田と聞いて、自分あてだと思う明子。どうもイライラしているキクだったが、今日はお店が休みの日曜日ということもあり、それを敬子も明子も知らずにいることがつまらないと怒っているのだった。

 

外の公衆電話から電話した雄一はふと公園でサッカーしている少年たちを見かけた。近くまで行き、ボールが転がったのを追いかけて、少年たちのサッカーに混ざる。

 

「敬子はドライブに出た」という。ドライブに誰と。誰とドライブに。誰と…。誰とドライブに。誰とドライブに…。

 

エコーがかかって繰り返しになったとき、雄一には悪いけど、ちょっと笑ってしまったよ。

 

ドライブしてる敬子と沢野。ドライブに来たことを後悔する敬子。ドライブの間じゅうほかの人のことを考えていたと指摘され、頷いた。まだ明るいうちだが、沢野は帰ろうと言った。

 

柴田家。今日の夕食はすき焼き。ハルも耕作の晩酌につき合っている。ハルたちに顔色の悪さを指摘され、仕事の段取りを考えていたとごまかす雄一。

 

稲葉家も明子も共に夕食。稲葉家は焼肉。

 

独りぼっちだった母の1日が敬子は悔やまれてならなかった。今日の私はなんだったのだろう。沢野の孤独を、いや自分の孤独さえ弄んだ1日だったではないか。孤独ならそれを紛らせるだけではいけないのだ。自分の孤独を正面から見つめなければいけないのだと敬子は自分に言い聞かせた。

 

耕作さんは吉本に騙される!? 昔は、55歳で定年退職であとは悠々自適に暮らせるんていいなあと思っていたけど、昭和30年代の映画ですら、定年後の再就職を探す話があって、そんなに甘くないんだなと思った。

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今週はこれで終わり。雄一と敬子が一度も顔を会わせぬまま終わってしまって淋しい。

 

NHKだけじゃなく民放のテレビももっと昔の作品を再放送した方がいいと思う。こういう作品で盛り上がるツイッターを見てみたい。