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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(56)「いのり」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

聖書に関心を抱いた女学生の町子(尾高杏奈)は友人の梅原(黒田純子)に誘われ、小さな教会がある幼稚園にやってくる。そこで牧師の竹山(金替康博)に賛美歌を教わり、お祈りをする町子たち。心が澄み、美しくなる気がした町子であるが、日本臣民の考えと聖書の教えとの違いに疑問を持ちながらも、教会がある幼稚園に通うことになる。また、その年の夏、町子は受験に合格し、女子専門学校の1年生となる。

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前回のラスト、こひつじ幼稚園に行った町子たち。

 

大人町子「私たちは梅原さんが見つけた神のこひつじ幼稚園に恐る恐るやって来ました」

 

中に入ってみる町子たち。

町子「ごめんください。こんにちは~!」

梅原「留守やろか?」

町子「幼稚園なんやね」

梅原「うん。小さな礼拝堂もあるんやて」

町子「ふ~ん」

 

ちょっと触れて戸棚の戸を外してしまう町子。

梅原「うわっ、マコちゃん、何すんの!?」

キク「バチ当たるわ!」

町子「どないしよ!」

 

竹山「どなたですか?」

竹山は眼鏡をかけた若い男だが、眼鏡のツルが壊れてテープで補修している。

竹山「また外れたんですね」

町子「すいません!」

町子と一緒に頭を下げるキクと梅原。

 

竹山「こちらこそ。よく壊れるんです。置いといてください。後で直します。どうぞ、お上がりください」

 

町子「ここの先生やろか?」

キク「何でお鍋の蓋、持ってはるんやろ?」

梅原「知らん」

町子「知らん」

 

竹山「ちょっと草の葉を煮てるもんですから…。ハハコグサの葉をおしたしにしてみようと思いまして…。野菜の配給が少ないもんで。どうぞ、どうぞ」

ちょっと引いてる町子。

 

マー姉ちゃん」のはるさんは娘の稼ぎでバンバン寄付してたけど、本来、牧師さんは貧しいイメージ。

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↑この映画は、牧師をしている男性が一生貧しい暮らしをさせられないと相手女性の思いを受け入れなかった。その後、女性は炭鉱主の息子と結婚。

 

エス様とマリア様の絵が飾られた部屋。オルガン、小さな椅子。

町子「何やかわいらしい部屋やね。ここが集会所?」

梅原「…みたい」

キク「さっきの人が牧師さん?」

梅原「…みたい」

 

町子「葉っぱ煮てるて宗教的な感じせえへんね」

キク「うん」

町子「この辺の人でもなさそう」

キク「何や寄席の下足番のおじさんみたい」

梅原「私に怒ったかて知らんやん!」

 

竹山「そこ、座ってください」

3人「はい…」

 

キク「あの~、今日は集会の日やあらへんのですか? どなたもいらっしゃらないようですけど」

町子の座った椅子がきしむ。

竹山「もうじきいらっしゃるでしょう。いや、どうだろう…。最近、皆さん忙しいしな…。あなた方、こういう所は初めてですか?」

町子「はい…」

 

竹山「そうですか。そうですか。あっ、じゃあ、これ」冊子を手渡す。

キク「讃美歌や…」

竹山「じゃあ、そろそろ始めましょうか?」

 

信者「竹山先生! いや、すんません。もう始まってます?」

竹山「いらっしゃい」

信者「子供帰ってくんの待ってたら遅なってしもうて…。あんたら早う入んなさい!」

子供たち「こんにちは!」男の子3人、女の子1人。

竹山「こんにちは」

 

信者「座らせてもらいなさい」

町子たちが立っているのを見た信者の女性。「いや、初めての方やね!」

梅原「よろしくお願いします!」

町子・キク「よろしくお願いします!」

信者「こちらこそ! 竹山先生、よかったね!」

竹山「はい。それでは皆さん座ってください」

 

信者女性が座った椅子が豪快に壊れた。「あ~っ! イタタタタタ…」

竹山「大丈夫ですか!?」

子供「お母ちゃん、大丈夫?」

信者「ごめんなさい。嫌やわ、私、壊してしもた」

町子「あの、それ…」

 

竹山「いいんですよ。それよりおけがは?」

信者「何ともありません」

子供たち「お母ちゃん、また壊した!」

信者「『また』て何やな? 人聞きの悪い! まあ、確かに3回目やけど…。いや、ほんますんません!」

竹山「ほんといいんですよ。もともと傷んでましたから。じゃあ、皆さん、立って…。立って歌いましょうか? じゃあ、しおりの3ページ開いてください」

申し訳なさそうに女性を見る町子。

 

竹山がオルガンを弾き、みんなで歌う。

♪わがたましいの したいまつる 

エス 君のうるわしさよ

みねのさくらか 谷のゆりか

なにになぞらえてうたわん

 

なやめるときの わがなぐさめ

 

町子は信者女性の顔を見て壊れた椅子を見る。この歌は歌詞で調べたら賛美歌512番。

 

帰り道

キク「けったいな先生やったね」

梅原「うん。けど、優しそうなやったわ」

キク「マコちゃん、どんなことお祈りしたん?」

町子「え?」

 

キク「お祈り」

町子「ああ…」

梅原「日本が勝ちますように?」

町子「そやね…」

 

キク「外国の神さんがそんなお願い聞いてくれはんねやろか」

梅原「キクちゃんは?」

キク「お母ちゃんの病気がようなりますように」

梅原「家にいてはるんでしょ?」

キク「また入院せんとあかんみたい。大変なんやから…家に一人病人いてると」

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昭和18年ごろにはサナトリウムで入院中。

 

町子「なあ…。私、忘れ物したわ。先、帰ってて」

キク「マコちゃん!」

 

神のこひつじ幼稚園

椅子を修繕している竹山。「あっ!」トンカチで手を打った!?

集会所に町子が入ってくる。

竹山「え…どうしたんですか? あっ、何か忘れ物? ごめんなさい。気付かなかったな」

町子「先生…。どないかしはったんですか!?」

竹山「大丈夫、大丈夫。何でもありません。すいません。僕ね、胸に持病がありましてね。だから兵役検査は丙種合格…。つまり、お国の役には立てないってことでした」

 

町子「私なんです!」

竹山「え…何が?」

町子「椅子壊したの私なんです! 座ったらビシッていうて、それで…そやから、あのおばさんが座った時はもう…」

竹山「そう…。そうですか」

町子「黙っててごめんなさい!」

 

竹山「主は全部知っておられましたよ」

町子「えっ?」

竹山「だからこうしてあなたに正直に話す機会を与えられたんですね。黙ってたのは苦しかったでしょう。何でも見て知っておられるんですよ」

 

夜、ダイニング

徳一「神のこひつじなあ…」

イト「アーメンか?」

町子「うん」

和代「楽しいの? そこ」

町子「心が澄んで美しくなる気がする」

 

和代「美しく?」

孝子「フフフ…」

町子「あんたも何笑てんの!? おかしいかな?」

徳一「いやいや、おかしない、おかしない。美しいのはええこっちゃ。なっ」

和代「ええ、はい…」

 

町子「お父ちゃん、やっぱり笑てる!」

徳一「いや、笑てへん、笑てへん! うん」

渋い顔のイト。

 

町子たちの部屋

布団に入って聖書を読む町子。「『我は葡萄の木、汝らは枝なり』」

布団から起き上がり、手を組む町子。「天にまします我らが父よ…」

孝子「お姉ちゃん、うるさいわ」

町子「シッ! お祈りの最中」

 

孝子「『我らが父』って陛下のこと?」

町子「違う。イエス様」

孝子「『日本国民の大みおやは両陛下や』て、お姉ちゃん言うてたやん」

dictionary.goo.ne.jp

町子「うん…そやで。当たり前や」

孝子「どっちなん?」

町子「う~ん…」

孝子「父がいっぱいいてんのはおかしいわ」←先週末の予告だとセリフだけだったから、誰が言ってるのかと思ってたら、孝子だったのね。

 

町子「おかしないやん。うちにもお父ちゃんいてるし」

孝子「あ、そうか…。ほな、おやすみ」

孝子はあっさり納得したが、町子自身は疑問を持ち始めた!?

 

写場

イト「よろしおますのか?」

徳一「うん? 何が?」

イト「勝手にあんなとこ行かせて」

徳一「なんも悪いことしてるんやなし…。もう自分でいろいろ決める年頃やで。それにいっとき難しい顔してたけど、また柔らこうなってきたがな、町子」

イト「まっ、あんたがそない言うんやったら、もう何も言わへん」

 

出ていくイトとお茶を持って入ってきた和代。「だいぶ遅なりそうですか?」

徳一「出征しはる人が増えたからな。忙しゅうても『仕上げ待ってくれ』とは言われへんよって…。まあ、こんなご時世、仕事続けられるだけでもありがたいと思わなな」

和代「そうですね」

 

徳一「心配せんかてええ」

和代「え?」

徳一「はしかみたいなもんやろ。そのうち飽きるやろ。『お国のために』なんて目つり上げてるよりマシやと思うで…」

和代「心配なんかしてません」

徳一「そうか…」

 

大人町子「そんなある日…」

 

カンジが花岡家を訪れていた。

カンジ「おおきにおおきに。やっぱりあった。友達の住所。分からへんようになったら往生せなあかんやろ。ほんまのとこ。悪いな」

町子「うん」

町子に貸していた「罪と罰」の本の間にハガキが挟まっていた。

 

町子「なあ、神さんてたくさんいてはんねやろか?」

カンジ「何?」

町子「神さん」

カンジ「う~ん、ほんまのとこ…神社の数だけいてはんのとちゃうか? 大阪だけでも結構な数やろ」

町子「もう、ええわ…」

 

匂いを嗅ぐカンジ。

町子「何?」

カンジ「何やええ匂いせえへん?」

 

ダイニング

和代「はい、どうぞ」

カンジ「うわ~!」ホットケーキが出された。

和代「今、牛乳あっためてるからね」

 

カンジ「ええ匂いや~! あんたんとこ、まだこんなん食べてんの!?」

孝子、指さして笑う。カンジがホットケーキに顔を近づけすぎてバターが鼻についていた。

町子「ヤミの小麦粉入んねん。お父ちゃん、町会長やし、写真館で軍の関係のお仕事もしてるし…。あっ、ないしょやで」

カンジ「うん」

 

和代「あったかいうちに食べなさいね」

 

カンジ「いただきます! うまい! ええなあ~! あっ、ところで学校は決めたんか?」

町子「それは…。あんたは?」

カンジ「決めた。八万寺(はちまんじ)高校」

 

和代「ほれ、見なさい! のんびりしてんのあんただけやねんから! この子、算術がまるであかんから算術の試験のないとこ探してるんやけどねえ」

カンジ「そんな学校あったかなあ…? あっ、算術、教えたってもええで」

町子「結構です!」

 

大人町子「そして…」

 

昭和19年4月

 

写場で制服姿で写真を撮ってもらう町子。昨日のミニ予告。

 

徳一「ちょっと襟直したって」

和代「はい」

 

大人町子「私は算術の試験のない清水女子専門学校になんとか合格し、1年生となったのです」

www.osaka-shoin.ac.jp

戦前は女性の入れる大学はないけど、今でいう大学だよね。

 

徳一「びっくりやわ、町子」

町子「え?」

徳一「べっぴんさんやで。悩殺やな」

町子「もう、チャリ言うて~!」

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”悩殺”は昔、町子が言ってたね。

 

徳一「よっしゃ、撮るで! ポパイの目は何個?」

町子「2個~!」

シャッター音

 

そして7月

 

ダイニング

孝子「上の学校てやっぱり難しいの?」

町子「そらな…。入試に算術がなかったからいうて算術の授業がないわけやあらへんからなあ…。人生は厳しいわ」

孝子「ふ~ん」

町子「あっ、そろそろ行かな」

 

孝子「また、こひつじ?」

町子「うん。これ直しといて」

孝子「うん」ノートを渡す。

 

町子「行ってきます」

和代「あ~、せえだいお気張り」

孝子「お姉ちゃん、よう続くな、こひつじ」

和代「そやな。勉強もあれぐらい熱心やったらええんやけどな」

孝子「ほんまや!」

和代「あんたもやで」

 

玄関を出た町子。「はあ~、暑…」

孝子「お母ちゃん! お姉ちゃん!」

町子「どないしたん!?」

孝子「お母ちゃんが! お母ちゃんが!」

 

町子が家に入っていくと、和代が座り込んでいた。

町子「お母ちゃん、どないかしたん?」

孝子「今な、クラクラッて倒れてん!」

町子「お母ちゃん…」

和代「大丈夫や…」

孝子「そうかて顔色悪いやんか! なあ、お姉ちゃん、どないしよ? どないしよ?」

 

ミニ予告

レンズを見せている徳一

 

朝ドラは戦争を扱う作品も多いけど、実在の人物の場合は富裕層の人が多いよねー。「マー姉ちゃん」や「あぐり」、「カーネーション」なども。「ゲゲゲの女房」もかな。軍関係の仕事をしてたりして割と融通してもらえる立場というか。そうじゃなきゃ朝ドラのモデルになるような人生にならないか~。