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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(54)「最後の一人まで」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

女学生の町子(尾高杏奈)は、むちゃな請負をする祖父・常太郎(岸部一徳)と勝手に仕事を断る父・徳一(城島茂)との口論が憂うつだった。そんなとき、常太郎が夏バテで伏せるが、すぐに回復し、徳一に商売の仕方をこんこんと話す。それから間もなく、常太郎は急死する。徳一は、弟の茂(西川忠志)に常太郎が死ぬ前に託した通帳と土地の権利書を見せると…。また、知らせを聞いた歌劇団の古城あやめ(愛華みれ)が訪ねてくる。

ポパイにごはん(火を通した薄切りの肉にも見えたけど)をあげる町子。

 

大人町子「いとこの信次にいちゃんが別れも告げずに東京へ帰ってから数週間が過ぎ、夏が終わろうとしていました」

 

町子は深いため息をつく。

 

茶の間

常太郎「何でまた勝手に断ったんや?」

徳一「『2人来てくれ』て言われたんやで。その日は人手があらへんでしょうが」

常太郎「『1人でやらしてほしい』と交渉したらええ」

徳一「演奏会を助手なしで? それでほんまにええ写真が撮れますやろか?」

常太郎「芝居は撮れたやないか」

徳一「もっと丁寧な仕事がしたいんです」

考え込むような常太郎。徳一は席を立った。

 

大人町子「祖父と父の口論が多くなったのも私の憂鬱の種でした」

 

夕方・玄関

町子「ただいま!」

 

大人町子「そんな、ある日のこと…」

 

家の中が静まり返っている。茶の間、台所にも人気がない。

和代「ああ、町子…」

町子「お母ちゃん、どないかしたん?」

和代「おじいちゃん、倒れはって…」

町子「え…」

 

布団で寝かされている常太郎。イトはおでこに乗せた手拭いを取る。

町子「おじいちゃん」

常太郎「あ…町子か。お帰り。そんな顔をしいな。ちょっとめまいがしただけや。大げさなんや、みんな。夏バテや。ハハハ。ちょっと気張りすぎたな。2~3日寝てたら、じきようなる。なっ」

イトが再び手拭いを額に乗せる。

常太郎「あ~、ひゃっこうて気持ちええわ」

 

夜、ダイニング

いつも常太郎が座っている席を心配そうに見ているウメ。

茂「大したことのうて、よかったやんか」

徳一「疲れやわ。この夏は、また何でか張り切って仕事をようけ取ったからな」

茂「ああ。もっと大きしたいんやろか? 体壊してまでもうけてどないすんねんな」

 

孝子「おじいちゃん、どこが悪いの?」

徳一「心臓がな、ちょっと弱ってるんや」

町子「心臓?」

 

イトが戻ってきた。

徳一「食べたん? お父ちゃん」

イト「それがな…」

空のお茶わんを見せる。

イト「ペロッと」

徳一「え?」

イト「『お代わり』やて」

一同の笑い声

 

大人町子「祖父の回復は周囲の予想を上回る早さで…」

 

外から戻ってきた徳一が写場で写真を見ている常太郎を見かける。

徳一「もう起きてええのんか?」

常太郎は徳一の方を見て、片手をあげた。

 

夜、写場

常太郎「そら、もう、そのころの写真屋いうたら今とは全然違うんやで。お客さんにぬれたまま『1時間ぐらい水洗いしてください』言うて渡すんや」

徳一「何べんも聞いたで、その話やったら」

常太郎「そのかわり安い! これが受けてな。そのおかげでここに写真屋を建てて、お前らを大きにできた。写真、好きか?」

徳一「何? 今更」

 

常太郎「お前は写真の腕は、ええ」

徳一「え? ほんまですか?」

常太郎「ただ、写真館の経営いうもんがもひとつ分かってへん。写真屋はな、お客さんが撮ってほしいと思う時に撮ってさしあげなあかん」

徳一「分かってる。そんなこと」

 

常太郎「お客さんに喜んでもらう。それが商売の基本の基本や」

徳一「ええ写真やなかったら喜んでもらわれへん」

常太郎「誰に似たんか頑固もんやで。さあ、飲め」

徳一「お父ちゃんも」

写場のテーブルで酒を酌み交わす親子。

 

大人町子「それから間もなくのことでした」

 

イト「誰か! お父さん! お父さん! お父さん! お父さん!」

 

常太郎の寝室に駆け込んできた徳一、和代。イトは泣きだす。

徳一「お父ちゃん…」

 

大人町子「秋の朝、祖父は穏やかな眠りの続きに静かに旅立ってゆきました」

 

”忌”

 

台所

和代とお手伝いさんが働いているところに喪服のイトと昌江が入ってきた。町子の制服姿で立っている。

イト「和代さん」

和代「あっ、お母さん」

イト「悪いな、任せっきりで」

和代「いいえ。お母さん、ゆっくりしててください」

 

昌江「行こう」

イト「うん」

 

町子はダイニングの常太郎の椅子を見ていた。

和代「町子、これ、バアバアばあちゃんの所に持ってってあげて」

町子「はい」

 

ウメの部屋

町子「バアバアばあちゃん。ごはん」

襖を開けるとウメが泣いていた。「何で…私より先に行かなあきまへんのや! 何で…」

町子ももらい泣きして、梅に駆け寄る。「バアバアばあちゃん…」

つらい…。

 

写場

花岡常太郎名義の不動産権利證書と通帳?のアップ

茂「何なん? これ」

徳一「お前の店や」

茂「え?」

徳一「お前が独立した時、そこで写真屋やんねん。お父ちゃんが資金と土地、準備してくれてたんや」

茂「!?」

 

徳一「だいぶ前から動いてたみたいやな。『こんなご時世になってしもて、すぐに役立つか分からへんけど』て、2~3日前に渡された」

茂「お父ちゃんが…」

徳一「あんなむちゃな仕事の取り方したんも、僕らのこと考えてお得意さん増やしときたかったんやろな。お客さんの信頼関係大事にする人やったから、きっとそやろ? それやったらそう言うてくれたらええのに。てれくそうて、よう言わんかったんや。ほんま、お父ちゃんらしいわ」

茂「そやな。きっとそや。ほんま…お父ちゃんらしいわ」

 

大人町子「そして初七日が過ぎた頃、あの古城あやめさんが訪ねてきました」

 

茶の間…というかここは客間なのか!?

町子「どうぞ」

徳一「どうもわざわざ恐れ入ります」

あやめ「いや、公演が終わったら是非、お礼にと思っておりました。もうご存じかと思いますけど、3日前、私どもの劇場が閉鎖になりまして」

徳一「え?」

 

あやめ「あ…お聞きではなかったですか?」

徳一「はい。父からは何も」

あやめ「役者の中にはこの舞台を最後に出征していく者もおります。私たちにとって、あの写真はとても貴重なものになりました。華やかな時代の大事な大事な思い出です。それだけに本当に急なお願いをお聞き入れいただいて感謝してます。そのお礼を改めて申し上げたいと思いまして」

座布団から降りて頭を下げるあやめ。

 

徳一「ありがとうございます」

あやめ「すばらしい写真でした。お父様もとても誇らしげに…。『よいお写真をありがとうございました』と申し上げたら『そうでしょう。息子は僕より腕がいいんです』と」

徳一「父が?」

あやめ「まるで小さな子供を自慢するように」

遺影を見た徳一は涙をこらえる。

 

写場

徳一は写真機を触る。

 

大人町子「季節がまた変わろうとしていました。いとこの信次にいちゃんが東京に戻り、黒沢先生は学校を去り、祖父も私のそばからいなくなってしまいました」

 

冬服になった町子は、川の土手に一人座る。

 

梅原「マコちゃ~ん! 呼んできた」

キクが立っている。町子はキクの前に立つ。「前みたいに話、したいねん。一緒にいてたいねん」

キク「しゃあないな。『竹馬(ちくま)の友』やもんな」

町子「『竹馬(ちくば)』や」

キク「わざとや」

向かい合った2人が笑っていると、梅原も加わり、3人で笑う。

 

町子「『竹馬(ちくま)』やて!」

梅原「ほんまや、何言うてんの! 何する?」

キク「アイスクリーム食べたい」

町子「もう秋やで!」

 

大人町子「昭和18年、15歳の秋の終わりでした」

 

来週は「いのり」

・廊下を雑巾がけする町子。

・川辺で原稿?を読みながら歩く町子。

・町子「『聖書』読んでるとス~ッと澄み渡ってくる」

・町子、キク、梅原と眼鏡をかけた男性が話している。

・「父がいっぱいいてんのはおかしいわ」

・町子と孝子

・徳一「写真教室…。現像や焼き付けのことなんかもどんどん教えていってやろ思てな」

・ダイニングで徳一が「當寫眞館デ寫眞ノ基礎教ヘマス」という紙を見せている。

・カンジが何か食べている。

・写場で写真機の周りをぐるぐる回る町子とカンジ。

・暗い所を歩く町子。

・和代「そんな幸せも知らんまま…」泣く。

・イト「きょうだいができるんやで」

・布団で横になっている和代。

・徳一「バンザ~イ! バンザ~イ!」町子、孝子も嬉しそう。

 

ミニ予告

町子、キク、梅原が制服で歩いている。帰り道?

 

はあ~、おじいちゃん好きだったのにな…。当時60代かもしかしたら50代後半くらいなのかもしれないね。悲しい…それしか出てこない。