徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(55)「いのり」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)は、戦中戦後を過ごした自分たち家族の物語を書き続ける。昭和19年、戦況は、ますます厳しくなっていた。女学生の町子(尾高杏奈)は、好きな小説に集中できず楽しくない毎日を過ごしていた。学校に持ってきていた「初恋」の小説を教師に没収され、町子は不満を募らす。一方、友人のキク(小原早織)の持っていた聖書は没収されず、町子はキクから聖書を借り読みふける。そして、自分のあるべき姿を見いだし…。

昭和19年

 

大人町子「昭和19年が明けて、戦況はますます厳しくなっていました」

 

花岡寫眞館に飾られている昌江の結婚写真。白黒だけど、地味な着物なんだろうな。旦那さんも国民服みたいだし。

 

玄関

路地をほうきで掃いている町子。胸には名札がついている。もっと早い時期からもう戦争!って感じの描写をよく見たけど、「マー姉ちゃん」もそうだったけど、やっぱり名札って昭和19年くらいになってからなんだろうな。

「花岡さん郵便です」

町子「ご苦労さま」

手紙を確認する町子。「信次にいちゃんや…」

 

信次にいちゃんのハガキ(めちゃくちゃ字がきれい)

 

拝啓 寒い日が續いていますが、みなさま元氣にお過ごしでせうか。

こちらの方は家族みな相變わらず呑氣に過ごしています。

私は一月十五日、岡山で入榮することになりました。

みなさまにくれぐれもよろしくお傳へ下さい。

和代さんが剝いてくれた桃の味が今でも思ひ出されます。

 

信次「1月15日、岡山で入営することになりました」

 

大人町子「大学を休学して志願兵となった、いとこの信次にいちゃんからの知らせでした」

peachredrum.hateblo.jp

川、夜の縁側、カメラを構えたところのセリフなしの回想。

 

写場

常太郎「それでは撮らせていただきます。え~、この辺りをね、ちょっと遠くを見るような感じで…。ええ。ちょっと笑ってみましょうか? あ、いやいや、歯は見せなくてもいいですけども。あっ、いいお顔ですね。はい、撮りま~す」

笑顔の常太郎のアップが白黒の写真に変わる。回想シーンではなくて、このためだけの新撮じゃないかな。

 

大人町子「昨年の秋、祖父の常太郎が亡くなり、泣いてばかりいたバアバアばあちゃんが後を追うように亡くなったのは年が明けてすぐのことでした」

 

いつもの部屋の窓辺に座り外を見ていたウメの姿がフッと消える。ここも回想じゃなさそう。

 

台所

信次のハガキを読んでいる和代。

町子「お母ちゃん?」声をかけるとハガキを割烹着のポケットにしまう。

和代「入営したからいうて、すぐ戦地に行くわけやなし、心配したかてどうにもならへん。それよりあんた、ちゃっちゃと支度せな、学校遅れますで」

町子「けど…」

和代「学生の本分はお勉強。それにあんた受験近いんやから。なっ」

町子「はい…」

 

町子の部屋

町子「信次にいちゃんに会える、会えない、会える、会えない、会える」

花びらをちぎっていたが、残る花びらは1枚。寝っ転がって足をバタバタ。

 

孝子「何してんの?」

町子「はかない…」

孝子「はいてるやん」

町子「あんたには分からへん!」

 

女学校

掃除の時間

 

タケさんへ

   四年一組 笹村キク

とだけ書かれた白紙のノートのアップ。

 

廊下の雑巾がけをしている梅原と座り込んで考えているキク。

梅原「まだでけへんの?」

キク「まだ…」

町子「何、サボってんの? あっ、卒業の寄せ書き」

雑巾がけしていた町子もキクの隣に座ってノートをパラパラめくる。

 

梅原「何やの~! まだ名前しか書いてへんやん」

キク「ちょっとしたええ言葉書こ思うねけど、いっこも浮かんでけえへんねん」

 

教師「コラ! そこ!」

3人「すいません!」

 

大人町子「全国の学生は就業年数を1年繰り上げることになり、私たちもこの年を最後に女学校を卒業することになったのです。けれども、このころの私は勉強はもちろん、軍事教練にも集中できず…」

 

竹やり訓練後、整列して教師の話を聞く。

教師「東洋から米英の魔手を追い払うための戦いである!」

 

大人町子「自分の行くべき道に迷っていたのでした」

 

一同「はい!」

 

学校の廊下

キク「自分の在り方?」

町子「それやねん」

キク「どれ?」

梅原「つまりその…どういうこと?」

 

町子「『こうなりたい』という理想の姿」

キク「何や、そんなことか。私は卒業したら早いうちに結婚すんねん」

梅原「いや~、キクちゃ~ん。私は勉強して、それから仕事して縁があったら結婚かな? マコちゃんは小説書くんでしょ?」

町子「仕事とか結婚とかそういうのと違うの」

キク「違うの?」

 

町子「どう言うたらええか…。まあ、女学校もいよいよ卒業やし…。こんな人になりたいという心構え。スカーレット・オハラみたいに強い性格になりたいとか」

梅原「『風と共に去りぬ』の?」

キク「『明日は明日の風が吹く』」

町子「それか、メラニー夫人みたいに優雅になるか」

梅原「正反対やん!」

町子「そこやねん!」

キク「分かった! マコちゃん、アメリカ人になりたいのやね?」

町子「そんなわけあれへんやろ。ええわ、もう…」

 

夜、ダイニング

イト「せっかく新しい技師さん来はったいうのに、来て半年で赤紙やて。また探すいうてもなかなか見つかりまへんやろ」

徳一「まあなあ…」

イト「はあ、この忙しいのに1人でえらいこっちゃ」

 

ダイニングに入ってきた町子。「お父ちゃん、新聞知らん?」

徳一「うん? あ~、ここや」

イト「町子、それ、バアバアばあちゃんに…。あ…そやな」

 

イトが奥に引っ込み、和代が出てくる。「あ、町子、あんたも少しは手伝うて」

町子「は~い。湊川神社…」

徳一「ああ、それな。毎朝、早うにお百度踏んでんねやてな」

町子「誰が?」

徳一「うん? 孝子と同い年ぐらいの女の子や。毎朝やで、必勝祈願」

和代「身内の人が戦地にでも行ってはりますのやろか?」

 

町子「そやないみたい。ただひたすら日本のためだけやて」

孝子がダイニングに入ってくる。

和代「ふ~ん、そらえらいなあ。あっ、孝子。あんたも少しは手伝いなさい。もうほんまにうちの子は、そろいもそろって、もう~!」奥へ引っ込む。

孝子「何やの? 急に」

徳一「いや、それはな…」

 

町子「これや!」

イト「何? 大きな声で」

町子「ううん。大和撫子でいこ」

町子は新聞を抱えて出ていき、和代が入ってくる。「あれ? 町子は?」

 

席の感じから、イト、徳一、和代、町子、孝子だけっぽい。茂はもう独立して新しい家に住んでるのかな?

 

大人町子「早速、翌朝、早起きした私は近くの神社に向かいました」

 

百度石のある神社

町子は頭を下げ、柏手を打ち、「どうか日本が勝ちますように」と手を合わせ、頭を下げ…それが早送りで繰り返される。

町子「どうか日本が…。はあ…」フラフラしている。

宮司「まだ見つかれへんのか?」

町子「は?」

宮司「落としもん捜してんねやろ? 大事なもんか? 何やったら、ワシ、捜しとくから学校行きなさい」

町子「落としもんやありません!」と走り去る。

 

学校の廊下

町子「大和撫子にもなられへんのかあ…」

 

教師「どういうつもりですか? こんなもん読んで恥ずかしくないんですか? 『恋しぐれ新撰組』。恋愛ものは一切、いけないと言ってあるはずです!」

渡り廊下で教師から注意を受けているキクと梅原。町子はそーっと通りすぎようとする。

 

教師「花岡さん!」

 

町子もキクたちと一緒に並んで立っている。梅原の持っていた本を手に取り、返す。

教師「『代用食の研究』。まあ、いいでしょう」

町子の本を取り上げる。

教師「『初恋』。これは返すわけにはいきませんね」

 

町子「えっ? 何でですか?」

教師「こういうものを読んでいると、だんだん不良行為にふけるものなんです」

町子「不良行為?」

 

キクの本を取り上げる。

教師「『聖書』? あなたはキリスト教ですか?」

キク「いえ。卒業の寄せ書きに書く言葉を探すためです」

教師「寄せ書き?」

キク「はい…」

教師「まあ、信仰にはとやかく言えませんけど、西洋かぶれにならないように」

キクに聖書を返し、去っていく教師。

 

dl.ndl.go.jp

「代用食の研究」ってほんとにあるんだね。しかも発行は大正9(1920)年。昔の文章だから読みにくかったけど、米食をする人が増えてきたのに農家が増えないとか、麦飯の種類と分量など。作者の伊藤尚賢は医者。

 

大阪の街並み。路面電車が走る。

 

大人町子「私はキクちゃんから『聖書』を借りました。その帰り道のことです」

 

電車の中で聖書を広げて読み始める町子。「『幸いなるかな、心貧しき者よ、天の国は汝のものである』」あまり理解できてない感じ。

 

空襲警報のサイレンが鳴る。

男「空襲や!」

車掌「そこのビルの地下に避難してください!」

 

空襲警報のサイレンが鳴り続ける中、町子はビルの地下へ。予告であったな。

赤ちゃんの泣き声。

母親「泣かんといてて、もう、ほんまに! お願いやから!」

男「かなんなあ」

 

階段に座って聖書を広げる町子。

カンジ「何や、アーメンか?」

町子「あっ!」

カンジ「久しぶりやなあ」

町子「おったん? 全然、気ぃ付けへんかった」

カンジ「僕はすぐ分かったで。ほんまもんやないやろ。すぐ解除になるわ。まあでもほんまもんも、もうじき来んねやろなあ。ほんまのとこ。聞こえてる?」

話ながら町子の隣に座るカンジ。

 

町子「大変やったんやから、あのあと」

カンジ「あのあと? あのあとて何や?」

町子「白秋の本、くれたでしょ?」

カンジ「よかったやろ?」

町子「キクちゃんがね…」

カンジ「キクちゃんて誰や?」

 

町子「あんたね…。もうええわ」

カンジ「何でそんなん読んでんの?」

町子「キクちゃんから借りたん。学校は?」

カンジ「行ってんで。何かおもろい本、読んだか? それ以外に」

 

町子「『初恋』」

カンジ「ツルゲーネフ?」

町子「先生に取り上げられた」

カンジ「何でや?」

町子「『不良行為にふけるようになります』」

カンジ「不良行為て何や?」

町子「知らん!」

 

男「やかましな、お前ら!」

 

赤ちゃんが泣きだす。カンジは後ろを振り向いて立ち上がる。

男「何や? やんのか!?」

母親「せっかく泣きやんだのにどないしてくれんの!?」

男「あ…すんません…」

 

カンジ、町子に笑顔を向けるが、町子はそっぽを向く。

カンジ「解除や。あ、これ、なかなかの芸術やで」

町子「『代用食の研究』?」

カンジ「あっ、間違うた。こっち。貸しといたるわ。またな」

 

町子の部屋

カンジが貸してくれたのは「罪と罰」。

町子「けったいな子」

その本は置いといて、聖書を再び開く。「『父よ、彼らをお赦しください。ああ、かわいそうな彼らは自分が何をしているのか知らないのです』。これや!」

 

町子は立ち上がり両手を広げて芝居っぽく言ってみる。「ああ、父よ。私は私の魂をあなたの御手(みて)に委ねます。これや。これこそ気高き精神や。これや!」

 

大人町子「今度は『聖書』の中に自分のあるべき姿を見いだした私でした」

 

茶の間

火鉢で芋を焼いている孝子。

町子「孝子」

孝子「うん?」

町子「何かお姉ちゃんにしてほしいことあらへん? 喉は渇いてへん? おなかはすいてへん?」

孝子「いらん!」

 

町子「何やの!? お姉ちゃんがせっかく言うて…。いえいえ…。そう。ほなじっくり勉学にいそしみたまえ」

去りかけた町子は戻って、孝子の頭にポンポンポンと手を置く。

 

孝子「お母ちゃん!」

和代「あっ、何?」

孝子「お姉ちゃん、何かけったい」

和代「うん? いつものことですがな」

 

川辺を聖書を読みながら歩く町子。「『アア、何ゆえとわからねど、こころわびしき思いする。ああ、何ゆえと知らねども一人寂しき思いする。主、エスの前にひれ伏せど祈る思いの言葉なく、神の許しを願えどもこぼる涙のはてもなし』」

土手に座って見守るキクと梅原。

キク「ええやん、マコちゃん! なあ?」

梅原「うん」

 

町子「『祈りの乙女』いうねん」

キク「『神の許しを願えども』か…。何したん?」

町子「え? いや、何もしてへんけど、人間は罪深き存在なんや」

キク「罪深き存在?」

 

町子「『聖書』読んでると、この辺、ス~ッと澄み渡ってくる」

キク「私、修道院に入ろかしら?」

町子「いきなりやな」

キク「それもそやね」

梅原「ねえ、ちょっと行ってめえへん?」

町子・キク「えっ?」

梅原「私、見つけてん」

 

大人町子「それが私たちと神のこひつじ幼稚園との出会いでした」

 

ミニ予告

制服姿(下はもんぺ?)の町子の記念撮影。

 

町子はオネスト神父や、はるさんみたいな人と出会うのでしょうか? 常太郎に続いてバアバアばあちゃんも…。