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ドラマの感想など

【ネタバレ】わが谷は緑なりき

1941年 アメリ

 

あらすじ

50年の思い出が詰まった故郷ウェールズを後にするモーガン一家の末息子ヒューは、家族に囲まれ、貧しくも幸せだった少年時代を振り返る…。巨匠ジョン・フォード監督がイギリスの炭鉱町を舞台に、さまざまな不幸や困難に見舞われながらも懸命に生きる家族を、笑いと涙、美しいモノクロ映像で描く感動の傑作ヒューマンドラマ。アカデミー作品賞・監督賞など5部門を受賞、父親を演じたドナルド・クリスプは助演男優賞を受賞した。

2021.10.26 BSプレミアム録画。

 

50年過ごしたウェールズを去ろうとしているヒュー・モーガンは子供の頃を思い出していた。石炭掘りをしていた父と兄5人。帰ってくると裏庭で体を洗う。お湯を用意するのは姉。

 

食事の時に我先に食べようとしたヒューを見咎め、父や兄が神に祈りを捧げた。母は最後に食べ始めて最初に食べ終わる。家の頭は父で、心臓は母。

 

金は使うものという主義の父は子供たちに十分な小遣いを与えた。お菓子を買いに行ったヒューは、ブロンというきれいな女性に出会い、子供心に一目惚れ。そのきれいなお姉さんは、ヒューの長兄・イボールと結婚した。ミュージカル映画というジャンルじゃないけど、割とよく歌う映画だ。結婚式の2次会?みたいなのは男女別で楽しむものなのね。そこでも歌。

 

炭鉱主から最低賃金1シリング2ペンスと貼り出された。兄たちは組合を作って団結すべきというが、父は反対する。父と対立した兄たちは家を出るといい、食事を中座して部屋に戻って行った。

 

ストだと言って炭鉱から労働者がゾロゾロ歩いていた。ストが長引くと男たちはストに反対した父に敵意を持つようになり、家に投石された。

 

夜、集会があることが分かっていた母はヒューと一緒に乗り込んで、夫に何かしたら許さないとみんなの前で怒った。しかし、帰りにヒュー共々川に落ちてしまった。冬の川だったため、凍傷になり、もう歩けないかもと医者に言われた。

 

ヒューの元に来て、「宝島」という本を置いて行ったグリュフィド牧師にひかれる姉アンハラッド。母は2階に寝ていて棒で床や天井をつついてヒューと会話した。

 

春。小鳥たちが窓辺に遊びにくるようになった。母はヒューより一足先に歩けるようになり、ヒューの顔を見に下に降りてきた。

 

ずっと寝込んで家のことができなかったという母に、だが、いい女房だと答える父。暖かくなり、息子たちも家に帰ってきた。他の炭鉱夫たちも家に入り、パーティーをした。

 

最近、教会に来ないね、組合は悪いことだという牧師の発言でピリついた雰囲気になったが、もう一人のグリュフィド牧師が組合のことを賛同してくれた。

 

ストが終結し、炭鉱は再開されたが、解雇される労働者も多くいた。

 

長兄のイボールにウィンザー城から手紙が来て、女王陛下の前で歌うことが決まった。イボールが指揮者で炭鉱仲間たちと歌う。ラジオで聴いているヒュー。四兄・オーウェンと五兄・グウィルは仕事を求めてアメリカへ旅立った。

 

グリュフィド牧師はヒューを連れ出し、おんぶして森の中に行き、花畑の中で下ろして歩かせた。最初の仕事は日曜日に礼拝に来ることと約束した。

 

日曜日。礼拝で一人の女性が牧師に呼ばれた。父親のいない子を産んだ、罪を償えと責め立てられていたのを毅然と抗議したのはアンハラッドだった。

 

ある日、炭鉱主が父を訪ねてきた。息子とアンハラッドを結婚させたいという。横柄そうな息子に父も3人の兄も冷たい。アンハラッドはグリュフィド牧師に会いに行く。グリュフィド牧師はこの仕事を選んだということは犠牲と献身以外を求めてはいけない。

 

アンハラッドに一生貧しい暮らしをさせられないと言って、アンハラッドの思いを受け入れなかった。やっぱり貧しいのが前提なんだね。牧師にキスをし、帰って行ったアンハラッドは炭鉱主の息子・イエスティと結婚。炭鉱夫たちがお祝いに歌う。

 

牧師は家で父とヒューに勉強を教え始めた。一人で丘を越え、隣の谷の学校へ通い始めたヒュー。家族で学校に行くのは初めて。初日から遅刻して先生はヒューを級友の前で汚い格好だと言い、炭坑夫の天才が学校に来たと嫌味を言う。級友たちにいじめられ、筆箱を壊され、殴られた。

 

兄たちには山で転んだと言ったが、殴られたのはバレバレ。父はケンカは必要だと言い、ダイという男を呼び出して、ボクシングを教えさせた。1対1のケンカ。しかし、今度は先生に棒で打たれた。

 

ヒューは先生に何もしなくていいと言ったが、ダイと相棒が学校に乗り込み、先生を殴った。

 

ある日、炭鉱から煙が出ていた。イボールがトロッコの下敷きになり、亡くなった。その直後、妻のブロンは男児を出産。

 

ヒューは優等で卒業。母はブロンをここに住まわせたいと言うが、父は女主人は一人でいいと言う。ヒューは炭鉱で働きたいと言うと怒った父は飲みに出てしまった。

 

ブロンと赤ちゃんの暮らす家に行ったヒューは一緒に暮らしたいという。母からの許しも得ていた。炭鉱で働き始めたヒュー。しかしまだ声変わりもしない幼い少年。

 

給料日。ヒューも給料をもらえた。しかし、仕事ができて給料の高い次兄・イアントと三兄・デイビーが解雇された。

 

オーウェンとグウィルはアメリカ。アンハラッドケープタウン。イアントはカナダ、デイビーはニュージーランド。母さんは星でみんなを照らしていると言うヒュー。

 

アンハラッドが夫を残して一人で帰ってきて、炭鉱主のエバンズの屋敷で暮らし始めた。屋敷に遊びに行ったヒューに村の人々の様子を聞く。ヒューに牧師様は今も一生懸命やってると言われ、動揺。

 

先代から仕えている使用人が近所の奥様方に奥様であるアンハラッドが牧師様が好きで離婚を考えていると触れ周り、村中の噂になった。ヒューも仲間にいじめられた。もう教会には足を踏み入れないと言う両親。しかし、ヒューは教会に行くと言った。

 

グリュフィド牧師はこの谷を去ると言う。つまらない噂と一刀両断し、偽善を黒い服で隠してなぜ教会に来た?と説教をした。みんなで会議をしろと教会を出たグリュフィド牧師を追いかけたヒューはグリュフィド牧師から懐中時計をもらい、アンハラッドへの手紙を預かった。

 

炭鉱での落盤事故が発生。炭坑夫たちの家族が炭鉱に押し寄せた。母、ブロンの元に駆けつけたアンハラッドは偶然、グリュフィド牧師と再会した。今は目が見えなくなったダイがヒューやグリュフィド牧師とともに父救出に地下に向かう。

 

地下水があふれる地下でヒューが「父さん!」と何度か叫んで、弱々しい声を聞いた。身動きの取れない父と抱き合うヒュー。父は「もうお前は一人前だ」という。父は運び出されたものの地上に出てくる頃には亡くなっていた。

 

家族みんなで過ごした楽しい日々を思い出すヒュー。(終)

 

悲しい話だった。ヒューはもう戻るつもりもなく谷を出るのだと最初のナレーションで言っていたけど、50年の間のヒューのことも知りたかった。

 

wiki読んだら1971年の「日曜洋画劇場」での放映時にはヒューの母の吹き替えが「マー姉ちゃん」のウメばあさんの鈴木光枝さんと知り、吹き替え版も見てみたくなりました。キャラにピッタリな気がする。

 

ジャケットがグリュフィド牧師とヒューの姉のアンハラッドなのが意外。主人公はヒュー少年なのにな。かわいい顔してるのに。

 


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