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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(61)「おとうちゃん」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)は戦中戦後を過ごした自分たち家族の物語を書き続ける。昭和20年、女学生の町子(尾高杏奈)は、勤労動員で兵庫県で働いていたが、大阪市内を空襲が襲った知らせを聞き、花岡家に向かう。電車は動いておらず、何時間もかけて歩く町子。たどり着いた町子を待っていたのは焼け落ちた写真館だった。徳一(城島茂)も和代(鈴木杏樹)も孝子(中村愛)も赤ちゃんの信夫も無事だったが、長屋を借りて住むことに…。

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前回の振り返り

イト「信次さんの飛行機がフィリピンの沖で…」

口を押えて膝から崩れ落ちる和代。

 

和代「この子かて…この子かて男の子やったら、そんなふうに持ってかれてしまう…」

 

産声

徳一「産まれた!」

徳一・孝子「バンザイ! バンザイ! バンザイ! バンザイ! バンザイ!」 

振り返りここまで。

 

昭和42年12月

 

町子の仕事部屋

原稿を書いている町子。

 

戦争中の少女時代の体験を町子は小説として書き続けていました。

 

大人町子「昭和20年3月。東京で大きな空襲があったというニュースが大阪に伝わってきましたが、『大阪には空襲なんて来えへんわ』というのんきな人も少なくありませんでした。しかし…」

 

昭和20年3月

 

空襲警報のサイレン

逃げ惑う人々

町子は電球に布をかぶせる。

 

孝子「空襲や! 空襲や!」

 

脚にゲートルをまく徳一。「今度はほんまもんか? また空振りちゃうんか」

和代「モタモタしてんとはよ! 暗うて分からへんわ、もう!」

 

空襲警報のサイレンが鳴り続ける。ダイニングで隠れていた孝子が外に向かって懐中電灯で照らそうとするのを町子が止める。

孝子「お姉ちゃん、怖い…」

 

爆撃音

和代「あ…」

徳一「カメラ!」

和代「はよ、逃げんと!」

 

徳一「みんな先に防空壕入っときなさい!」

和代「あんたもはよ!」

 

空襲警報のサイレン

孝子「ポパイ、はよおいで!」

 

大人町子「それが3月13日の大阪大空襲の日でした」

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鎖につながれたポパイ。

 

ダイニング

和代「どうぞ」

酒屋「あ、いつもすんまへんな」

 

大人町子「町内会長をしている父のもとには夜になると町内の大人たちが集まってきていました」

 

徳一を囲んで4人の男たちが和代が出した豆?を食べながら話している。

酒屋「あのな、ミナミと市内の中心部、相当やられたて」

「ほんまに?」

酒屋「うん。ここも危なかったがな。よう裏で止まったこっちゃ」

徳一「ほんまですか?」

酒屋「うん」

 

ガラス屋「『焼夷弾が落ちてきたら、あくまで踏みとどまって消火せよ』なんて軍は言うてますけどな、油脂焼夷弾ちゅうやつが落ちてきたら、そんなもん無理、無理」

徳一「あきまへんか?」

酒屋「あきまへんよ。新聞で言うてましたやろ、敵機の数。あんなのうそ、うそ。ほんまはあんなもんとちゃいまっせ」

ガラス屋「防火砂やら火叩き、バケツ、あんなおもちゃが何になりまんねん。焼夷弾が落ちてくる間にドカ~ンと今度は爆弾やよってな」

酒屋「そうや。そこを機銃掃射でやられんがな。あきまへんな。日本、バンザイ。お手上げですな」

 

台所

徳一たちの会話を聞いていた町子。「ええんやろか、あんなこと言うて…」

怒っているように作業台を拭く和代。

 

徳一「今回、この裏まで焼けたんやから、もうここらは空襲来まへんやろ」

酒屋「まあな。偉いさんがアホばっかりやおまへんやろ。そのうち何ぞええ条件で仲直りの手打ちに持っていくんと違いますか?」

徳一「それやったらよろしいんでっけどなあ」

ガラス屋「あるいはやな、どこぞの国がええあんばいのとこで中に立ってくれてやな『双方この辺で手打ちにしはったらどないだす?』言うてくれるとかな」

酒屋「あ、それ、よろしいなあ。『その辺で』言うてくれた国には、それぞれちょっとずつお礼して…」

ガラス屋「『ちょっとの礼』ぐらいではあきまへんやろ。かなり包まな」

 

徳一の両隣に座るのが酒井くにお(酒屋)・とおる(ガラス屋)。母は分かってたみたいだけど、私は全く知らなくて調べたら兄弟コンビでさらに岩手出身でびっくり! 岩手出身だから母も知ってたのかな? 検索したら第2検索ワードが「関西弁」。やっぱりネイティブの人からすると違うのかな~。

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台所

和代「仲直りいうもんは勝ってる方が言うもんや。はじめに勝ってる時に言うといたらよかったのに。お偉いさんは無責任や。あかんとなったらすぐ投げ出して、ほかの人に押しつける。若いもんようけ死なして…」

不安そうな町子と台所を出る和代。

町子「お母ちゃん」

和代「うん?」

町子「私のいてへん時、空襲来たら大事にしてる本、持って出てな」

 

和代「うん、分かってる。任しとき。おばあちゃん、こんな怖い目、遭う前に天国行けてよかったな」

町子「今頃、おじいちゃんとバアバアばあちゃんらと楽しいお酒でも飲んでるわ」

和代「そやな。あっ、あんた早うあがって用意しなさい。明日、朝早うから寮、行くんでしょ?」

町子「うん」

和代「後でカンパン持ってったげる」

町子「ありがとう」

 

戦争とか関係なしにどんどん亡くなっていたのね。

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祖父・常太郎が亡くなったのは昭和18年の秋。

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曾祖母・ウメが亡くなったのは昭和19年の年明けすぐ。

 

イトさんは信夫が生まれた時(昭和20年の1~2月?)には元気だったし、今の時点で昭和20年3月だから、ほんとに信夫が生まれてすぐくらい亡くなったってこと? 

 

工場

 

大人町子「私は相変わらず動員先の寮に泊まり込んで作業を続けていました」

 

工場裏

たまえ「おとといの空襲怖かったねえ」

静子「ドイツ、降伏したんやで」

町子「え?」

たまえ「ほな、これからはもっとようけB29飛んでくるねやろか?」

 

町子「大丈夫やて、神風が吹くから」

静子「神風ねえ…。マコちゃんほんまにそう思てんの?」

町子「うん」

 

大人町子「私の希望をせせら笑うようにそれ以降も大きな空襲が何度も大阪を襲いました。そして6月1日」

 

仕事部屋

町子は綿入れ半纏姿で原稿を書いている。部屋には電熱器。当時の放送日が2006年12月11日(月)。昭和42年の町子と合わせてるのか~。

 

昭和20年6月1日

 

写場でカメラを磨いている徳一。

空襲警報が鳴る。

徳一「また空振り違うんか?」

空襲警報のサイレンと飛行音と振動音。写場の壁にかけていた額がカタカタ揺れ始める。爆弾の投下音と爆撃音が聞こえた。

徳一「和代! 和代!」

 

工場

空襲警報のサイレン

防空壕に入りなさい、早く! 急いで! 走れ! 防空壕に早く! 急いで! 早く!」

逃げ惑う女の子たち。この空襲は朝だったのね。

 

大人町子「解除になったのは、2時間ほどたってからでした」

 

たまえ「マコちゃん! マコちゃん、えらいこっちゃ! 大阪の方のキタの方やら福島の方がやられたて!」

町子「えっ!?」

たまえ「大阪の方の空、真っ赤やったって。マコちゃん、帰り!」

静子「マコちゃん、はよ!」

走る町子。

 

B29が爆弾を落とす白黒映像

 

大人町子「大阪市内に入ると空は黒い煙で包まれ、まるで夜のようでした。両親は無事だろうか? 妹は? 弟は? そしてようやくたどりついた私を待っていたのは…」

 

いつもの街並みが焼け野原になり、焼け跡から看板を見つけ出す徳一。

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楽しい昭和13年の思い出とともに、もう8話でお父ちゃんの最期について明示されていた。

 

ぼう然と焼け跡に立ちつくす徳一。

町子「お父ちゃん…」

徳一「町子!」

徳一に倒れ込む町子。

徳一「歩いてきたんか? 大丈夫か?」

 

町子「お母ちゃんは? 孝子は? 信夫は?」

徳一「安心し。みんな無事や。近くに避難してる」

町子「写真館…お父ちゃんの写真館…なくなってしもた…」

徳一「町子…無事でよかったな。よう帰ってきた…。よう戻ってきたな! よう帰ってきた…」

泣きだす町子。

 

大人町子「私たち家族はその夜から市内にある知り合いの長屋を借り、そこに暮らすことになったのです」

 

結婚する前まで町子が住んでいた長屋は、この時から住んでたのか。ろうそくの明かりの下、孝子は信夫を抱っこして頭をなでる。

 

町子「道端にようけゴロゴロ転がってた…。まだ生きてはる人もいてた…」

仰向けに寝ている町子のすねに濡れた手ぬぐいを乗せる和代。髪が乱れている。

町子「トラックの荷台、荷物、運んでんのかと思たら、真っ黒焦げの…」

和代「町子、もうええて」

町子「乗せてもらおう思たんやけど荷台にたくさん、たくさん…」

和代「町子、もうええて。ねっ」

 

徳一「氷…。氷、分けてもろた」

和代「あ~、すんません。町子、もう寝なさい。なっ」

徳一「和代」

和代「あ…」

徳一「ゆっくり寝ねんで」

 

町子「お父ちゃん…」

徳一「ああ、安心し。みんなそばにおる。うん。ほら」

おでこにも水で濡らした手拭いを乗せられ、落ち着いた町子。

 

長屋の前には黒くなったポパイ。

 

大人町子「私が起き上がれたのは、それから3日後のことでした。しかし、家をはじめ全てのものを失った私の心は、すっかり空っぽになってしまったようでした」

 

孝子「ごちそうさま。信夫、見てくるわ」

和代「ありがとう」

孝子「うん」

町子「ごちそうさま」

ぼんやりした様子の町子を心配する徳一と和代。

 

縁側に座り込む町子。

和代「町子」と呼びかけ、大きなトランクを開ける。人形や本、ノートが入っていた。

町子「あっ! お母ちゃん!」

和代「これだけしか持って出られへんかった」

町子「ううん。ありがとう、お母ちゃん! ありがとう! 『武蔵』や!」

 

ノートを確認すると間に写真が挟まっていた。

町子「あっ」

和代「うん?」

町子「これ…」

昭和13年の家族集合写真。町子の仕事部屋に今も飾られている写真。

 

徳一「ああ…」

町子「写真館、なくなってしもたけど、みんな一緒にいてられるんやね」

徳一「そやで、町子」

 

昭和20年8月15日

 

玉音放送「至りては朕の深く軫念(しんねん)するところなり。惟(おも)うに今後、帝国の受くべき苦難は固(もと)より」

 

長屋で家族そろってラジオを聞いている。

孝子「何言うてはるか分かる?」

町子「もう戦争はやめるて言うてはんのんと違う?」

徳一「どうもそうみたいやなあ…」

 

玉音放送「時運の趨(おもむ)くところ、堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」

 

町子「やっぱり戦争は終わりやて言うてはんねん」

孝子「終わり? 勝ったん? 負けたん?」

和代「負けたに決まってる」

孝子「負けたん…」

徳一「終わった…」

町子「負けた…。終わった…」

 

大人町子「長い長い戦争が突然終わりました」

 

ミニ予告

純子に引いてる町子!? 表情だけで面白い。

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花岡家の場合、家もなくなり、戦争と直接関係はないけど高齢の家族が次々と亡くなる中での終戦だから、戦争が終わったといってもしんみりムードだけど、「マー姉ちゃん」はテンションが高かった。福岡も6月の空襲だった。

 

やっと戦争が終わったけど、これからなんだよね。戦争を経験した世代の描く戦争はむしろ戦後がつらかったりする。