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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (97)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

新八郎の戦死の内報を聞いた後、東郷家の思いやりで福岡の実家に帰ったマリ子(熊谷真実)。千代(二木てるみ)を訪ね、戦争未亡人同士、慰め合う二人。だが、内報よりも夢の中の新八郎の言葉を信じると言い、マリ子は死を受け入れない。一方、軍から療養所を追い出されたヨウ子(早川里美)は、荒治療のおかげか少しずつ散歩もできるまでに回復していた。だが、空襲警報が連日鳴り響くことで、人々は神経をすり減らしており…。

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先週の振り返りから

貴美の「よかですね? よ~く落ち着いて聞いてください」からマリ子の「いいえ! 私、信じません!」まで。

 

磯野家に電話がかかってきてはるが応対する。

はる「まあ、東郷のおかあ様。昨日はどうもいろいろとお世話さまでございました」

貴美「とんでもございもはん。お帰しはしたもののマリ子さんもお疲れが出ていなさるのではないかと主人ともども心配いたしまして。でも明るい顔をなさってはいてもつらいことかと存じます」

はる「本当にお優しいお心遣いいただきましてありがとうございます。マリ子も本来ならばそちらに残っておとう様、おかあ様をお慰め申し上げなければいけないのですけれども…」

 

あの日、新八郎戦死の内報を受けたマリ子は東郷家の思いやりで鹿児島からこの福岡へ帰っておりました。

 

マリ子はお千代ねえやの家を訪れた。お昼にジャガイモをゆでていたという千代にはるがお昼を食べなさいとたくさん持たせてくれたとマリ子が食料を持って来た。

千代「あら、まあ。ばってんいつあちらから?」

マリ子「うん、ゆうべ」

 

マリ子は家に上がり、大和田高男の遺影を目にし、千代がマリ子が持ってきてくれた食料を高男の遺影に話しかけるのを見ていた。

マリ子「お千代ねえや」

千代「はい」

マリ子「そんな黒いリボン取っておしまいなさいよ」

千代「お嬢様…」

 

マリ子「だってお千代ねえや言ってたじゃないの。骨箱の中には石ころがたった一つ。これが高男さんだとはどうしても信じられないって」 

千代「…」

マリ子「私はそんなもの信じないわ。第一バカにしてるわよ。私は絶対、新八郎さんが生きていらっしゃるって信じてるの」

 

千代「まさか…まさかお嬢様…」

マリ子「うん」

千代「それじゃあ…」

マリ子「内報が入ったのよ。インパールで戦死したって」

千代「お嬢様…」

 

マリ子「そんな顔しないの。私ははっきりと新八郎さんと約束したんですもの。内報が入った前の晩、あの人は私の夢枕に立ってデマを信じちゃいけないって言ったわ」

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マ、マリ子さん…そんなこと言ってないよ。

 

千代「ばってん…高男さんはうちの所には何にも…」

マリ子「呼んだ?」

千代「はあ?」

マリ子「私は呼んだわ。いつもいつも心の中で『新八郎さん、新八郎さん』って呼んでたの。だからあの人、夢の中でその声が聞こえたんだって言ってらした」

千代「…」

 

マリ子「そして約束したの。必ず帰ってくるって。だから私、内報よりも新八郎さんの言葉の方を信じてるのよ。ねえ、一緒に待ちましょうよ。たとえ何年でも新八郎さんと高男さんのお帰りを」

千代「(マリ子の手を取り)お嬢様…」泣き出しそうな顔。

マリ子「駄目、駄目。そんな顔が癖になったら、いくら高男さんが帰ってきても嫌われちゃうから」

千代「はい」

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千代は例大祭に出て気持ちに踏ん切りがついていたのではないだろうか。

 

マリ子「少しは私を見習いなさい。希望をしっかりと持てば怖いことなんか何にもないのよ」

千代「はい」

 

磯野家。加津子とはるがマリ子のことを話していた。

加津子「戦争未亡人という言葉は嫌ですばってん、お千代ねえやもそうですけん、私たちには見せん涙でも2人で手を取り合うて慰め合えるとでしょうね」

はる「ところがあの子、内報は信じないと言い切っておりますので」

加津子「はあ?」

はる「マリ子には東郷さんが必ず帰ってくるという確信があるんだそうですの」

加津子「まあ」

 

はる「ですから何年でも待つと言うておりますし」

加津子「ばって、その内報というとは?」

はる「はい。新聞社からのものですから間違いはないと思うんですけれど、何せ本人が信じないと言い切っておりますものを周りであまり嘆くのも何か変な具合でしてね」

加津子「それはそうでしょうばって…」

はる「私たちもそんなあの子を見ていますとね何だか本当に東郷さんが帰ってくるような、そんな気がしましてね」

加津子「ねえ」

洋子さんの本には、葬儀を出すので戻ってくるようにという催促が度重なっても、毬子さんは戦死を信じず、母もその言い分を理解して葬儀に出る事を強いず、喪主のいない葬儀がどう執り行われたのか、長谷川家の者は知らないままだと書かれてありました。

 

そういえば、本には久留米の夫の家と書かれていたし、新八郎自身も両親が鹿児島生まれで自身は久留米生まれと言っていたから、伯父さんが鹿児島で市長をしていてマリ子が鹿児島に行っていたのは本当だろうけど(「長谷川町子物語」でもそのシーンはあって、市長から内報が伝えられた)、夫の隠居所に身を寄せていたというのが朝ドラ的創作だったんだろうな。何しろ出来過ぎた義両親だったし。

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昭和20年3月

 

マリ子が頑として新八郎の戦死を受け付けないままに年を越し、ヨウ子の方は軍隊が使うという命令で今津の療養所から追い出されてしまいましたが、そこの荒療治がよかったためか一日2時間の散歩に耐えるだけの体力を回復させておりました。

 

マリ子がヨウ子に付き添って百道の浜を歩いていた。

マリ子「焦んないでいいのよ、ゆっくり、ゆっくり」

ヨウ子「はい」

マリ子「一休みしようか?」

ヨウ子「ううん、大丈夫」

 

立ち止まってマリ子がヨウ子の顔の汗を拭いていると、空襲警報が鳴った。

マリ子「まただわ。本当にこのところ警戒警報は毎日じゃないの」

ヨウ子「マー姉ちゃん、防空頭巾」

マリ子「まだかぶらなくて大丈夫よ。でも、少し急げる?」

ヨウ子「はい」

マリ子は肩を貸し、ヨウ子と帰った。

 

磯野家には畑仕事を終えたはるとマチ子も帰ってきた。マリ子が先に帰ってきていて、ヨウ子をもんぺのまま寝かせていた。

マチ子「嫌ね、本当に。散歩や畑仕事に出ると必ず意地悪するようにサイレンが鳴るんだから」

はる「でも意地悪のうちならまだましですよ。これが本当に爆弾を落とされたらたまりませんもんね」

マチ子「それにしても今日はせっかく半日休めたのに残念だわ」

 

布団に寝かされていたヨウ子が、マチ子やはるが帰ってきたので布団から起き上がる。

ヨウ子「お帰りなさい」

マチ子「本当は帰ってきたくなかったのよ」

ヨウ子「私だって」

はる「あら、元気ね」

 

ヨウ子「今日、石を投げたら3mくらい飛びましたもの」

マチ子「駄目よ、そんなこと!」

ヨウ子「ううん、今にマッちゃん姉ちゃまの畑仕事を邪魔するB29にぶつけてやるつもりで訓練始めたのよ」

マリ子「ヨウ子」

 

マチ子「どうして自分がついてるくせにそんなむちゃさせるのよ!」

マリ子「だって…」

ヨウ子「まあ、見ていてちょうだい。今に日本の高射砲よりずっと正確になるつもりなんですから」

マチ子「お母様、何とかおっしゃって! もうどうかしてるんだから、この子ったら!」

 

一平が訪れた。

一平「ばってん、こう空襲警報では神経が参ってしまうばい」

ヨウ子「だから、その神経を鍛えてるんですよ」

一平「うむ。ヨウ子ちゃんのそのけなげな気持ちは結構じゃ。おっ、そうじゃ。このところ2日うちニワトリさんがサボって卵ばちっとも産んでくれんがね、今のサイレンでびっくりしてポ~ンと産んだ。ほら、マチ子さん。まだぬくかですよ、奥さん」

はる「まあまあ、いつもいつもどうもありがとうございます」

一平「あっ、防火用水ば、ちょっと見回らんば。ちょっとごめん」

慌てて帰って行った一平。

 

今度はお千代ねえやが荷物を背負ってやって来た。

千代「はあ~、きつか! 西新でまあ駅ば降りる前にサイレンたい。そっからいちもくさんに走ってきたとですよ」

とにかく家に上がるように言うはるとマリ子。家に上がった千代はヨウ子の病状をうかがう。

 

千代「(水を飲んで)ああ! はあ~…人心地つきました」

はる「全くね、サイレンのおかげでこのごろは遠出もできませんもんね」

千代「はい。ところが今日はちょっと遠出をしたとですよ」

千代は実家に行き、母からもらったというお米、切り干し大根、粉…とリュックから荷物を出しているところにまた空襲警報。

 

マリ子「そら、来た!」

千代「全く人の都合も考えんで!」

防空頭巾をかぶり、ヨウ子の布団を畳む。

 

早田「空襲警報発令! 空襲警報発令! 全員防空壕へ…!」

 

お千代ねえやはヨウ子の布団を運ぶ。

 

このころは空襲警報が発令されるや住民は警防団などを除いて全員、防空壕へ避難することが徹底されておりました。

 

防空壕の中にいた人に「奥の方へどうぞ」と言われていた。

はる「ごきげんよう。毎度のことながら大勢で失礼ばいたします」

 

マチ子「冗談じゃないわ。燃えだしたら奥が一番逃げ損なう所じゃないの」

そっかー! だからやたら奥があいてるからどうぞって言ってたのか。

 

防空壕にいない一平。

加津子「聞かんとですよ。近頃は何ぼ口を酸っぽして言うても」

 

一平は外で火はたきを持って空をにらんでいた。

一平「ん~! 来るなら来てみろ! 赤トンボ!」

早田「全員、退避したですか?」

一平「退避、うむ。情報はどげんですかな?」

早田「はっ、九州南部より侵入せり敵機は目下北上しつつありということですばい!」

一平「うう~、こしゃくなやつめ! うう~!」

 

1年前に北九州工業地帯を襲われたものの、この福岡はまだ本格的な空襲に遭わず。腹は減っても意気軒こうたるものがあったのですが、実は3月10日のこの明け方、3時間の間に8万数千の人々が焼き殺されるという未曽有の大空襲が東京を襲っていたのです。

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ああ、東京大空襲。皆さん、無事でいて。東京にいる人たちはドラマのオリジナルの人ばっかりだからどうなるか本当に分からない。