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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (104)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

太平洋戦争開戦とともに、敵国人として横浜の抑留所で囚われていたオネスト神父(ラットバウト・モリン)が磯野家を訪ねてくる。はる(藤田弓子)が何度も面会に来てくれていたことを感謝する神父。また世田谷で、タマやウラマド姉妹の無事を確認してきたと言う。だが、焼け野原となった日暮里のウメたちは依然として安否不明のままだった。海を見つめるマリ子(熊谷真実)たちは、満州に渡った三郷のことも気にかかり…。

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昭和16年12月8日。太平洋戦争開戦とともに敵国人として捕らわれていたオネストさんが思いがけずに訪ねてきたのです。

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はるはオネスト神父の手を握って泣き、マリ子やマチ子が家に上がるように言う。お千代ねえやだけは不信感のある目でオネストを見て、オネストが上がって泥だらけになった玄関を見つめていた。靴のまま上がった!?

千代「ばってん何でアメリカが神父様の格好して攻めてきたとやろか?」

 

磯野家茶の間。

はる「でも、まあよくご無事で。私はもう二度とお目にかかれないんではないかと思うておりました」

オネスト「ノー。私は信じてました。また必ず会える、信じてました」

はる「オネスト様…」

マリ子「ひどい目にお遭いになっていらしたんでしょう。横浜の抑留所で」

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オネスト「ノー。私は頑張りました」

ヨウ子「でも、お顔の色があまり…」

オネスト「それ、あまりお日様と仲よくしなかったから」

マチ子「ひどい…ひどいわ…どんなふうに閉じ込められていたんですか?」

 

オネスト「ノー。8月15日もうそこ出してもらいました。1日お休みなさいしました。もう元気。ほら、このとおり!」

はるは微笑むが、千代がお茶も出さずに立ってオネストの様子をうかがうのを見た。

はる「何をしとるの? お千代ねえやは」

千代「(慌てて座る)はい」

 

はる「オネスト様はわざわざ遠い所から来てくださったんですよ。はよ、冷たいお茶でも」

マチ子「私が仕度します」

千代とマチ子は奥へ。

 

オネスト「あっ、慌てなくてもいいです。3時間いられます」

マリ子「3時間?」

オネスト「私、長崎へ行きます」

はる「長崎へ?」

オネスト「長崎、恐ろしい爆弾落ちました。私、そこへ行きます。その前に来ました」

 

はる「まあ…。それではオネスト様はもう不幸な皆さん方のために」

オネスト「はい。私を必要とする所、どこへでも行きますね。神はそのために私を横浜へ残されました」

はる「おお、なんという…」

オネスト「ありがとう。奥さんの面会、うれしかったです。神に感謝しました」

はる「いいえ、私にできることはそれしかございませんでしたもの」

 

オネスト「奥さんの励ましの手紙、何度も何度も読んで、私、トンテントンテン自分をたたいていました。だから負けませんでした。ありがとう。本当にありがとう」

はる「オネスト様…」

マリ子「よかった。逃げ出さなくって。本当によかったわね、お母様」

はる「そうですとも。でなかったらもしオネスト様が来てくださっても、このうちはもぬけの殻になるところでしたもの」

オネスト「モヌケノカラ?」

はる「はい。全ては神の御心でございます」

 

マリ子「今度ばかりはお母様のおっしゃるとおりでしたわね」

はる「『今度ばかり』とは何でしょう?」

マリ子「いえ…」

 

マチ子がお茶を出す。「でも、本当に危機一髪でしたよね。神様はきっと残ってオネスト様に会えと私たちにお命じになったのね」

はる「そうですとも。残っていて本当によかったじゃありませんか」

オネスト「はい。生きていてよかったです」

はる「本当に…」泣き出す。

 

マリ子「駄目だわ、マチ子。お母様ったらバスタオルでも持ってこないとハンカチじゃ足りそうにないもの」

マチ子「私もそう思っていたところ」

はる「まあ、嫌な子たちね。うれしい時は素直に泣いたっていいじゃありませんか」

マリ子「どうぞ、どうぞ。誰もいけないとは申してません」

 

ヨウ子「あの…」

オネスト「はい?」

ヨウ子「いえ…いいんです」

マチ子「どうしたの? ヨウ子」

オネスト「はい?」

 

ヨウ子「オネスト様は横浜から真っすぐこちらへ?」

オネスト「はい」

ヨウ子「そうでしたか…」

オネスト「でもその前に世田谷へ行きました」

 

マリ子「世田谷へ!?」

オネスト「はい。天海さんの奥さん(字幕は奥さんとなっていたけどお母さんだと思う)そしてウラマドの奥さんたちいました」

はる「それでは皆さんご無事だったんですね!?」

オネスト「はい」

千代「元気だったんですか? あの方たち!」

オネスト「はい。とってもとっても」

マリ子「よかった! よかったわね、ヨウ子ちゃん!」

 

マチ子「それであの辺はどうだったんでしょうか? 空襲は?」

オネスト「マチ子さんたちの家、元気でした」

マチ子「わあ~!」喜び合う。

 

はる「それでは日暮里の皆様も?」

オネスト「(やや間があって)ノー」

はる「まさか…」

オネスト「ノー。希望を捨ててはいけません。私、時間ありませんでした。会えなかっただけです」

マリ子「オネスト様」

 

オネスト「おばあちゃんの家…焼けてました。聞く人もいませんでした」

マリ子「それで、あの辺は?」

オネスト「あの辺は焼け野原です」

ヨウ子「焼け野原…?」

 

マチ子「それじゃあ桜木町は?」

オネスト「半分ね」

マチ子「半分?」

オネスト「町が半分こ焼けました」

マリ子「じゃあ私たちが住んでたあのうちは?」

オネストは下を向いて首を横に振った。

 

オネストさんのもたらした焦土・東京の様子は生々しいものでした。酒田家の安否が気がかりながら尽きぬ話で3時間は瞬く間に過ぎていき…

 

オネスト「それでは皆さん、お元気で」

はる「オネスト様もどうぞお気を付けあそばして」

ヨウ子「ありがとうございました。お会いできて、本当に」

オネスト「また会えます。また知らせますからね」

マリ子とマチ子はオネストの見送りに西陣の駅まで送る。この時、山ほどの野菜を持たせるのかと思っていたけど、オネストもマリ子たちも手ぶらだったな。

 

オネストさんはくれぐれも捜す時間がなかったからと言っていましたが、酒田一家の行方が分からないということは絶望の色が濃いということでもありましょう。

 

海を見ているマリ子とマチ子。

マリ子「私は…信じられないわ。ううん、やっぱり信じられないわよ! あのおばあちゃまが…!」

マチ子「生きてるってば!」

マリ子「マッちゃん…」

マチ子「生きてるのよ、私たちの胸の中には。私たちが生きている限り、おばあちゃまもおじ様もそしておば様も」

マリ子「うん」

 

マチ子「ねえ、目を閉じてごらんなさいよ。ほら聞こえてくるじゃないの。あのおばあちゃまの楽しそうな笑い声が」

 

海を見つめるマリ子。海面からセピア色の回想

大造「それじゃあこの人たちが普通じゃないように聞こえるじゃないか」

ウメ「ああ、普通じゃないよ。肝っ玉の大きさが違うんだよ。うん! あら、いい人に引っ越してきていただいてまあ…アハハハハッ!」

マリ子「あの、新しいうちって?」

大造「私の方がですよ。頭のてっぺんから足元まで全部お世話するつもりでいたんですから」

ウメ「ええ、そうですとも。あの…奥さんを世話さしてくださいましな。お嬢ちゃん、どうぞ」

大造「さあ…お茶飲んで、お茶飲んで」

ウメ「このかりんとうがうまいんでね! ハハハハッ!」

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東京に着いた初日かな?

 

そして、2人の胸にはもう一つの心配がこの海のかなたから押し寄せてきました。それは満州に渡った写真屋さんのことです。

 

マリ子・心の声「三郷さんご一家は無事でいらっしゃるだろうか…」

 

またしても穏やかな水面から回想へ。

智正「いつも不意に現れるんだそうです。ですからチャンスの神様と出会ったら迷わず前髪をつかむこと。そうでないと後ろの方に髪の毛がありませんからつるりと滑ってしまうんですね。ですから擦れ違ってしまうと手の中からチャンスは永久に消えてしまうわけです」

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マチ子が顔出しで「少女倶楽部」に載る時、はるは反対していた。

 

磯野家では、ヨウ子も布団で恐らく三郷のことを考え、はるは洗濯物を畳み、千代は野菜を運んでいた。そこに一平が訪ねてきた。

一平「何も異常はなかとですか?」

はる「はあ、何か?」

一平「いやいや、わしは今、あの…畑ば見回りに行きましたら駐在ばアメリカが磯野さん宅へ行ったっちゅう聞きましてな。ああ~、それはおなご衆ばっかりの所を狙ってと、わしはびっくりして飛んできました」

 

はる「あっ、あの方は昔、東京でお世話になりました神父様ですの」

一平「はあ~、神父さん」

はる「はい。それにイギリスの方ですので米軍上陸とは何の関係もございませんわ。どんぞご安心を」

一平「そうですか。東京でのお知合いですか」

はる「はい」

 

一平「はあ~…東京から来ました?」

はる「あっ、いえ…そうではないようでした」

一平「残念ですな。東京から来たんなら加津子の実家の様子がよく分かると思いましてな」

はる「はあ。私も思いは同じでございました」

千代がお茶を出し、一平はヨウ子の体の調子を伺う。

 

一平「あっ、わしもちょっとこれはボケたかな?」

はる「はあ?」

一平「よかニュースばい。今夜から駐在がな電気ばつけてよかと!」

はる「電気を!」はると千代が向き合って喜ぶ。

一平「今日20日付で正式に灯火管制令が廃止になったと」

はる「まあ、それはよろしゅうございました」

一平「明るくなるで、うん」

一平は他にも知らせてくると出ていった。沈んだ表情のはる。

 

磯野家の夕食。

マリ子「それでお母様は?」

はる「どうしても言えなかったわ。オネスト様から伺うたこと」

ヨウ子「でも牛尾のおば様、いつかお知りになるでしょうね」

マチ子「問題はいつ誰がどうやって知らせるかなのよね」

 

千代「オネスト様もおっしゃっていたではありませんか。『希望を捨てたらいけない』って」

マリ子「お千代ねえや…」

千代「時間がなかったけん会えんやったんで今度戻ったらまた捜してみるって」

はる「そうでしたよね…。本当のことはまだ何も分かっていないんですからね。やっぱりお隣のおば様にはお知らせしない方がいいわ。私たちの推測だけでおば様を悲しませてはいけませんものね」

マチ子「はい」

 

マリ子「そうよ。それにまた電気も戻ってきたんだし悪いことばかりじゃないはずよ! 『明日を思い煩うことなかれ』。さあ、ほら、みんなお箸が進んでないじゃない!」

マチ子「本当だ!」

マリ子「うん、おいしい、このカボチャ!」

大きなカボチャを頬張るのでみんな笑う。

千代「そうですよ、うちの味付けがよかけんね!」

はる「まあ」

 

しかし、どう明日の希望を持ち直しても、この夜の食事はいつものようには弾みませんでした。

 

終戦直後に朗らかムードの磯野家だったけど、こうして東京の様子が出てきたり心配な要素はたくさん。田河先生、モデルの人通りなら均ちゃんも大丈夫だろうけど、でもやっぱり早く顔が見たいねえ。