公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
新八郎の夢を見たと隆太郎(戸浦六宏)たちに話すマリ子(熊谷真実)は、新八郎の全てを教えて欲しいと頼む。隆太郎は幼い頃のことや、新八郎を医者にしたかったが、新聞記者になりたいと、唯一反抗してきたことを話す。その頃、出勤前のマチ子(田中裕子)は、療養所に野菜の差し入れに来ていた。新聞社の人に頼まれて描いたのらくろの贋作のお礼だと言う。一方、毎朝から内報を聞いた貴美(三木弘子)はマリ子に知らせるが…。
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朝、洗濯物を干しながら「『我が胸の燃ゆる思ひにくらぶれば』か」とつぶやくマリ子。貴美が起きてきて、朝早くから洗濯をしているマリ子に驚く。マリ子は梅雨の晴れ間は一時間でも無駄にしたくないという。気持ちのいい朝。
朝食時、マリ子は新八郎の夢を見たことを隆太郎と貴美に話す。
夢でいろいろ話したことを興味深く聞いてくれる義両親。白い着物を着ていた、ケガをしているなど不穏なワードが続くが、マリ子はあくまで明るい。
マリ子「私、新八郎さんに本当に申し訳ないと思って…。いえ、お義父様やお義母様にも私という嫁は…」
貴美「マリ子さん…」
マリ子「だって、昨日お義母様から教えていただくまで、あの人がそんなじゃんぼ餅がお好きだったなんてこと全く知らなかったんですもの」
貴美「それはね、マリ子さん…」
マリ子「いえ、お餅のことだけではありません。ですから、お義父様、お義母様、これから毎日少しずつでも結構ですから新八郎さんの小さかった時からのお話をしていただけませんでしょうか?」
隆太郎「ああ」
マリ子「せっかくこうしてお二人のそばに置いていただいているんですもの。何もかも教えていただいて、私、新八郎さんの本当の妻になりたいのです。お願いいたします」
隆太郎「よう言うてくれた、マリ子さん」
マリ子「お義父様…」
隆太郎「おう、話してやるが。毎日一つ一つな」
マリ子「はい」
隆太郎「あれでまあ、こまんか時からきかん坊でな着物を泥だらけにして帰ってきよることぐらいは序の口。兄たちに負けずに棒を持って裏の山を走り回って、もう生傷の絶えたことがなかったぞ。のう?」
貴美「はい」
隆太郎「わしはあれを医者にしたかったが、いけんしても新聞記者になると我を通してな。思えばあれが親に対してたった一度の反抗だったかもしれん」
マリ子「そうだったんですか…」
隆太郎「じゃっどん男子ひとたび志せば100万の敵ありとて、おのが道をまっしぐらに進むぐらいの肝がなくては、いもがらぼっとじゃ。うん。そんおかげでおまんさあが嫁に来てくいやって新八郎としては上出来じゃ。のう?」
貴美「はい」
いもがらぼっと=芋柄木刀=ウドの大木
隆太郎「あ~、今日は朝からマリ子さんのおかげでわしも上天気じゃ」
マリ子「まあ」
隆太郎「じゃっどん、新八郎のやつ、ないごて、こんわしの夢には会いに来んのかの?」
貴美「そいはあなた、あの子じゃっでん、体は一つしかありませんでしょう。あなたの所へ行ったり、マリ子さんの所へ行ったりでは忙しくて気が散っていけません」
隆太郎「じゃっどん…」
マリ子「いいえ。大変申し訳ございませんのですけれど来てくださった時のお話は私から逐一ご報告申し上げますから新八郎さんには私の夢にだけ来てくださるようにお願いしてしまいました」
隆太郎「マリ子さん」
マリ子「たとえ100万の敵ありとても、このことだけはあの方の妻として断固戦います」
貴美「やいやんせ。私が加勢しますから」
隆太郎「何じゃ、おはんも反旗を翻すとか」
貴美「はい。おなごはおなご同士味方をいたします」
隆太郎「うむ。敵は我が身中にあったか!」みんなで笑う。
こんな受け答えが出来たら人にかわいがられるだろうなあ。
しかし、このころ新八郎のいたインパールではこの戦闘に参加した将兵10万のうち、戦死3万、戦傷病者4万5,000、実にその兵力の4分の3を失うほどの激烈な戦いの真っ最中にありました。
麦わら帽子を深くかぶった女性がヨウ子の病室を訪れた。
女「おはようございます」
はる「あっ、おはようございます。あの…どちら様?」
女「へい、ヤミ屋でございますが。何かご入用のものでもありましたらと思いましてですね…!」背中に荷物を抱えた女が帽子を上げた。
はる「まあ、マチ子ったら!」
マチ子「はいはい、今日はお天気もよろしいようで、ええ、新鮮なホウレンソウなんかそちらのお病気のお嬢様に食べていただけたらよろしいんじゃないかと存じましてね。どうですか! ひとつ安くしときますよ。どうです? キャベツもありますし、キュウリもございます!」
ヨウ子「まあ、もうこんなに畑の収穫があったの? マッちゃん姉ちゃま」
こういう格好になると、おしんだな~。
マチ子「それを言われるとちょっと弱いんだな。うんと大いばりしたいところなんだけど、実は頂き物」
はる「あら、どちらから頂いたの?」
マチ子「種を明かせば大したことはないのよ。新聞社の方でね『のらくろ』大ファンのお子さんを持ってる方がいらして、それで私が水泡先生のお弟子さんだっていうこと知ってて、がん作でいいから描いてくれって頼まれたわけ。それのお礼」
はる「がん作というたら偽物ではないの?」
マチ子「でもあっちだって、それ承知の上なんですもん、構わないのよ。それにしたってここまで来て水泡先生のおかげを被るなんてやっぱり我が師匠は大したもんね!」
はる「当たり前のことですよ」
マチ子「まあ、そういうわけだから私の作品はもう少し時間を頂きたい」
はる「まあ、えらいこと。何か描き始めたんですか?」
マチ子「やだ、お母様。畑の作品ですよ。トマト、キュウリ、カボチャ、ナス。静物画の材料の方です」
はる「まあ、それはそうでしょうね。マチ子は漫画以外の絵は誰かに言われんと描かん方だったからね」
マチ子「何たる『やぶへび』」
ヨウ子「いいえ、私はマッちゃん姉ちゃまの作品、期待しています」
マチ子「ご声援、感謝いたします」
はるは早速、隣のベッドの患者にお昼はキュウリで酢の物を作ると話しかけていた。これをバラマキ扱いしたらかわいそう。この状況で何も分けない方がひどくない?
今日はこれで帰るというマチ子。
はる「あら? 今日はあなたヤミ屋さんではなかったの?」
マチ子「ヤミ屋さんは午前中だけです。あの、お月給頂いてるんですもん。一応、社に顔を出さなきゃ」
はる「結構です」
ヨウ子「ありがとう、マッちゃん姉ちゃま」
マチ子「うん。明日はお百姓さんだから来られないけど頑張るのよ!」
マリ子は岩村家の床掃除をしていた。
マリ子「今朝の話、ヨウ子に手紙に書いてあげよう。見よ、女の底力ってね」
花江が透一郎からの電話を受け、会議でお書斎にある書類が急に入り用になったと言われ、マリ子が届けに行くことになった。
東郷家に電話。それにしてもみんな電話持ってるなー。戦中なのに。
この家なんてね、昭和43年に一流会社で働く息子がいながら、父の定年前に会社持ちでやっと電話を引いたんだよ。
貴美が毎朝新聞からの電話を受けた。
貴美「それは内報でございますね。はい、分かりました。どうもありがとうございました」
貴美は岩村家に電話をするが、市役所にお使いに行っていると花江は返した。貴美は鬼気迫る表情で顔に一杯汗をかきながら走った。
市長室になだれ込むように入った貴美。
透一郎「どうなさったんですか? 一体」
貴美「いえ…お仕事中、大変失礼申し上げました」
透一郎「とにかくそちらへお掛けになって」
貴美「恐れ入ります」
お茶を出してという透一郎の指示に従おうとするマリ子だったが、貴美は座るように言う。
貴美「よかですね? よ~く落ち着いて聞いてください」
マリ子「はい」
貴美「あなたも武人の妻です。取り乱してはなりません」
マリ子「新八郎さんのことですね! あの人に一体何があったんですか!?」
貴美「今、毎朝新聞の本社を通じてインパールで戦死したという内報がありました」
マリ子、ショック!!
透一郎「マリ子」
マリ子「私、信じません!」
貴美「マリ子さん…」
マリ子「内報だとおっしゃいましたわね」
貴美「ええ」
マリ子「それは正式の公報じゃございませんのでしょう?」
透一郎「マリ子」
マリ子「いいえ! 私、信じません! だって…! だって、あの人は…!」
市長室を飛び出して行ったマリ子。
透一郎「マリ子!」
貴美「そっとしておいてやってください」
透一郎「奥さん…」
貴美「どうぞ…」
マリ子は走ってお墓を駆け抜け、桜島が見える丘へ。
この回と同時にまとめて撮影したのかな。
桜島を見ながら「私は信じません! 絶対に信じないわよ! あなたが死んだなんてこと絶対に信じません!」。マリ子は涙を流しながらも「あなた! 何とかおっしゃって、新八郎さん! ここで…私とここで…約束なさったじゃありませんか…。私のもとに…私のもとに…必ず帰ってきてくださるって…! あなた! ああ…」と続ける。
新八郎の歌う「我が胸の 燃ゆる思ひにくらぶれば 烟(けむり)はうすし 櫻島山」が流れる。
そういえば、「マー姉ちゃん」の世界ではモンペ姿になったとはいえ、あまり胸に名前や血液型が書いてある名札を貼ってる人がいないなと思っていたけど、今日のラストではマリ子が普通に名札付けてた。今まで気づかなかっただけ!? はあ、それにしても新八郎さんが。
特集ドラマ【#風よあらしよ】#吉高由里子 が主人公 #伊藤野枝 を演じ、自由を守ろうと懸命に生きた一人の女性の“炎”を描く。#永山瑛太/#大杉栄 役#松下奈緒/#平塚らいてう 役#稲垣吾郎/#辻潤 役
— NHKドラマ (@nhk_dramas) January 14, 2022
原作 #村山由佳
脚本 #矢島弘一
2022.3月下旬 BS8K
2022秋 BSP/BS4Khttps://t.co/WQqvgnLmZS