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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (91)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

磯野家は懐かしの福岡へ戻ってくる。寮として貸し出していた磯野家に戻れるよう奔走した村田(園田裕久)や、お隣の牛尾(三国一朗)や加津子(新井みよ子)が出迎える中、一家を連れ帰った一平(益田喜頓)は満足気。そこへ、紳太郎(木内聡)を連れたトミ子(村田みゆき)がきてマリ子(熊谷真実)との再会を喜ぶ。トミ子はヨウ子(早川里美)を今津の療養所に入院させることを提案。だが、療養所長(林昭夫)は入院を断り…。

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福岡です。百道の海です。懐かしの我が家は多少荒れた様子を見せながらも、今、マリ子たちの帰りを待っておりました。

 

マリ子とマチ子は大はしゃぎで家の前までやって来ると、お隣の軍平さんと加津子さんが家から出てきた。一通り挨拶を終えると、ヨウ子を寝かせるため2階へ。加津子が布団を敷いてくれていた。すぐにヨウ子を布団に寝せると「海の匂いがする」と喜んだ。村田さんが医者を呼んでくれている。ん~、みんなできる人たちだ。

 

茶の間で話しているはるたちのもとにマリ子、加津子も来た。マリ子はすぐにテーブルに気付いた。

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はるが置いていくといっていた紫檀のテーブル。

村田「はい、こんとおり若い者が入っておりましたけん、うちん中が少々汚れてしまいましたばってん、お借りしたものは重宝させてもらいましたと、こげんして置いていきんしゃったとでせすよ」

マリ子「まあ、懐かしいわ」

 

磯野家と牛尾家と両方のお風呂をたいていた加津子。おじいちゃまから先にと譲り合う。

一平「何ば言いんしゃる。わしは男ばい。あんたらおなご衆とは体の鍛え方が違うとります」

マリ子「いいえ、おじいちゃまは東京を往復なさったんですもの。鍛えていらっしゃるとは思いますけど、私たちの倍は疲れてるはずですよ」

一平「そら、そうやな」

マチ子「さあ、おじいちゃまからどうぞ。私、お背中お流ししますから」えっ!

一平「いやいや、大漫画家にそげんことをしてもらったらとんでもないことじゃ」

マチ子「まあ!」

 

軍平から「ここは譲り合うとったんじゃしょんなか」と言われ、村田にも「『老いてはこに従え』とも言いますけんね」と一平は自宅の風呂へ。それにしても村田さん、老けたな。一平は立とうとしたが腰を抜かし、マチ子、マリ子が一平を連れて牛尾家に。村田、軍平は東京へ電報を。うんうん、連絡はちゃんとしないとね。

 

11年ぶりの福岡には昔のまんま、ひと味濃い人情がそのまま残っておりました。そして夕方にはそれを代表するもう一人の女性がやって来ました。

 

先週の土曜日回で均ちゃんのマリ子への片思いも11年と言っていたけど、今、昭和19年。上京したのは昭和9年だからせいぜい10年じゃないのかね?と思う。

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トミ子「ほら、紳太郎。ここばい。ここがいつもお母ちゃんが話しとるお友達のマリ子さんのうちたい。分かるね?」

紳太郎「うん!」

トミ子は5~6歳くらいの男の子を連れ、背中には赤ちゃんをおんぶしていた。

 

マリ子とトミ子の再会。結局結婚式には行けなかったんだから、10年ぶり?

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赤ちゃんは床に寝かせた。

トミ子「ごめんなさいね。会うなり早々子守ばさせてしもうて」

マチ子「ううん、マー姉ちゃんとは積もる話もあるんでしょ?」

トミ子「あるある」

マチ子「こういう非常時ですもの。みんなで力を合わせないと」

マリ子「ありがとう、マチ子」

 

マチ子「けど、坊やの顔を見るまではトミ子さんがいくらお母さんになったっていうお手紙頂いたって実感湧かなかったもんね」

トミ子「もう一人おるったい。こん真ん中に女の子が」

マチ子「うわ~! 頑張ったのね!」

トミ子「何せ産めよ増やせよとお上のお達しだけんね」

 

マチ子はマリ子たちに気を遣い、紳太郎を連れ出した。

マチ子「え~っとお名前は?」

紳太郎「紳太郎!」

マリ子「『新太郎』…?」

トミ子「うん。紳士の『紳』に『太郎』と書くとよ」

マリ子「ああ~、そう。紳太郎ちゃんね」

マチ子「そんじゃあ、紳太郎君」

 

字こそ違え「新太郎」とは新八郎と共にまだ見ぬ2人の子供の名前だったのです。

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トミ子「やっと2人になれたね」

マリ子「ええ」

 

キャー、トミ子さん! なーんて、でも本音を言うと、独身者の私も既婚の友達に会えるのはうれしいけど、いつも子供連れだと、子供を見てくれる人がいないなど事情があるにせよ、たまには友達と二人で会いたいなと思ってしまうこともあるのです。

 

トミ子によれば、ヨウ子を連れての旅だったので、みんな疲れているだろうと今日のところは遠慮した人々もいるという。せっかく二人きりで積もる話をしているところにはる登場。

 

お医者様に診てもらったところ、ヨウ子は東京から揺られどおしで4~5日は熱が上がるという。トミ子は心配するが、マリ子は前向き。

マリ子「大丈夫。とにかく帰ってきたんですもの。百道の海の空気を胸いっぱい吸えば必ずよくなるわ、あの子」

 

トミ子「実はそのことでよか話ば持って来たとです。ヨウ子ちゃんば入院させたらどげんでしょうか?」

今津の浜に胸を患ってる人ばかりが入院している療養所があり、少々荒療治という噂もあるが、評判は悪くない。病気に打ち勝つだけの体力を病人につけさせるというのがそこの先生の持論。

 

はるは病人だからといって大事にするだけが能じゃないと乗り気。マリ子はせっかく4人そろって帰ってきたのだから、手元で看病した方がいいというが、はるは療養所に入れた方がいい派。

 

しかし、トミ子によれば、なかなかいれてくれないという話に、体当たりあるのみというはる。

トミ子「はい。うちも主人とほかから回せる手は全部回すばってん、やっぱり身内の方がなんとしてでもお願いした方が強かですけんね」

マリ子「大丈夫。体当たりなら任せてちょうだい」

トミ子「マリ子さん」

マリ子「東京では体当たりの繰り返しだったんですもの。もう昔の私ではなかとよ!」

トミ子「そうね。そんなら力を合わせて…」

はる「『たたけよ、さらば開かれん』。そうです。ヨウ子のために早速その療養所をたたきましょう。マリ子、明日早速行ってらっしゃい」

マリ子「はい」

 

今津療養所

 

ということになれば、この一家の一致団結に立ち向かえる敵はなく…。

 

療養所長「はあ…またあんたね」

マリ子「はい、また私です。そして明日は妹のマチ子。その次は母の順番でまたまたお願いに上がるつもりですから」

療養所は手いっぱいだという所長に、迷惑はかけないように手伝いの者は家族の者で交代に来るというマリ子。

 

入れる時はみんなそう言うが、今のご時世、病人を抱えていると共倒れになるうちが出て、入れたら最後、見舞いはおろか病人の洗濯物も取り換えに来ない、食糧も運ばないと、姥捨て山のようになり、かえって病人を気落ちさせるという所長。

 

マリ子「でしたら人質を置きます」

所長「ひ…人質?」

マリ子「はい。母を人質に置いて病人とその2人分の食料は妹と私で交代に運びます。そして、その人質にはその方たちのお掃除やお洗濯をさせますからお願いします」

所長「う~ん…しかしだね…」

 

マリ子「それにおまけにその人質は他人の苦しみを黙って見ていられないという奇特な病気の持ち主なんです。ですから看護している方たちや入院している方たちに喜んでいただけること請け合いです」

所長「本当ね?」

マリ子「はい、神かけて誓います」

所長「じゃあ一度その人質…いや、そのお母さんと話し合ってみるか」

マリ子「はい、それがいいと思います。迷うことはありません」

所長「なるほど」

 

磯野家

はる「結構です。ようやりました」

世話好きが高じて自分とこの財産に手を付けなければ、はるさんの天職かも!?

 

疎開早々、早くも一家には明るい希望が湧いてきました。

 

どこまでも明るい磯野家、いいなあ~! トミ子さんも素敵。女学生時代より今の方が似合ってる。