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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (108)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

闇屋の山田(小松政夫)から画の報酬として受け取ったステーキを頬張るマリ子(熊谷真実)たち。マチ子(田中裕子)は画を描き、畑を耕し、美味しいものを食べられるこの生活を気に入っている様子。そんなある日、二百年続く戸田海運を守ろうとしているトミ子(村田みゆき)を見て、マリ子は磯野家をどう立て直していくか悩む。だが、はる(藤田弓子)は今の磯野家の目標は、ヨウ子(早川里美)の病気を治すことだと言い…。

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磯野家の食卓にドーンとビーフステーキ。

マリ子「ああ~、何年ぶりかしら、こんなに分厚いビーフステーキ!」

マチ子「すき焼きもいいけど、やっぱりお肉はステーキに限るわね!」

マリ子「もちろんよ、第一迫力が違うもん!」

千代「何だかバチが当たりそうで…」

マチ子「何の?」

 

千代「いや、うちまでこん太か牛肉ば頂くなんて…」

マリ子「何言ってんの。お千代ねえやも一緒になって、あの人たちを競り上げてくれたから手に入ったんじゃないの」

マチ子「そうよ。正当なる報酬だとお母様もおっしゃってくださったんですってよ」

千代「ばってん…」

マリ子「いいのよ。それより冷めたらせっかくのステーキが泣くわ」

 

「いざ参る!」と食べ始めたステーキ。

マリ子「う~ん、おいしい!」

マチ子「う~ん! これでヨウ子もどんどん元気になるわ!」

千代「はい。矢でも鉄砲でも持ってこいですたい!」

マリ子「霊験あらたか。途端に強気になったみたいね、お千代ねえや」

千代「はい!」

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神仏による効験が明らかに表れるさま。神仏が著しく感応するさま。

 

マチ子「だってさ、朝(あした)に馬のあれを拾い、夕べに牛のステーキと格闘せば、これまさに牛馬のごとき…何と言ったらいいのかな?」

 

マチ子は今の生活が気に入っているという。「絵が描けて、畑があって、こんなおいしいものが食べれたら本当にもう言うことないわ」

マリ子「それでヨウ子の病気が治りさえすればこれ以上の万々歳はないわね」

千代「はい。お元気でお帰りになれますとも。ヨウ子お嬢ちゃまのことだったら、こん、お千代ねえやが太鼓判を押しますけん」

マチ子「よっ、大きく出ましたね」

千代「だけん、お二人とも絵ばどんどん描いてつかあっせ。こん、お千代はあのヤミ屋からもっと栄養のあるものを巻き上げますけん、任せてつかあっせ」

マリ子「それじゃあお任せしてとにかくこのステーキにいざ突撃!」

 

戦後、女性が強くなったとか。その芽をここに見たような気がしますが、こういう女性にかかっては「生き馬の目を抜こう」というヤミ屋も全くお手上げだったでしょう。

 

玄関に来て品物を置く山田と夏川(おっ、教頭先生、今日も出てる!)。千代は首を振る。

夏川「はあ~…ほんまにきつか~」

山田「きさん、この…。きさんが横から割り込んでくるけん、この人にまで足元見られよるやないか」

夏川「ばってんな、ちいと反省せんといかんとよ」

千代「いいんですよ、うちの方は一向に。最近、よそのヤミ屋さんからも絵ば欲しいっちゅう申し込みがありますけんね」

 

山田「それはほんなごとですか?」

夏川「クソ~、一体誰だそりゃ?」

千代「せやったら、もう1缶ずつバターば置いていきんしゃい」

山田「ああ…もうぐらぐらこいた、ほんなごて…」

二人は同時にバターの缶を置いた。

 

とまあ芸に身を助けられた有頂天の日々が続いたのですが…

 

磯野家にトミ子と紳太郎が来ていた。

マリ子「じゃあ、これエミ子ちゃんにね」

紳太郎「はい」

トミ子「ああ~、よかよ。この前もこげん上等なもん、たくさん子供たちに頂いたけん、そのお礼に来たとに」

マリ子「いいのよ。どうせ療養所に持っていっても、お母様がまた同じように誰かに差し上げてしまうんですもの」

 

トミ子「けど、大したもんやね。やっぱ、マリ子さんの絵は!」

マリ子「そんなふうに言われると何だか恥ずかしいわ。米兵から食料をかすめ取るために描いてるみたいで」

トミ子「ん~、構わんよ、そげんこと。みんなヨウ子ちゃんのためじゃなかね」

 

ヨウ子の顔色がどんどん良くなっている、うちも頑張らんととトミ子も胸をたたく。

トミ子「本当に戦争で持ち船のほとんどをなくしてしもうたけん責任感じとるよ、うちたち」

マリ子「責任?」

トミ子「うん。200年も続いた戸田海運がうちたちの代で潰れたら、ご先祖様にも4人の子供にも申し訳が立たんけんね」

マリ子「なるほどね…」

 

トミ子「一日一日どんどん物の値が上がっていくけん、お父ちゃんも苦労しとるよ」

マリ子「そう…」

トミ子「ばってん負けんよ! うちはそげんことでは決してね! ウフフッ!」

 

トミ子の話を聞いていたマリ子の顔が曇り、トミ子が帰った後にマリ子は「そんなことでいいのかしら…。我が磯野家は本当にこれでいいのかしら?」と悩み始める。

マチ子「いいに決まってるじゃないの! 畑の作物は順調だし、泥棒も物乞いもせずに日に三度のごはんを食べれるんですもの」

マリ子「そんなことじゃないのよ」

マチ子「じゃあどういうこと?」

マリ子「それがよく分かんないの」

マチ子「そう。それならよく考えといてね」

 

マー姉ちゃんは一体、何を悩み始めたのでしょうか?

 

マチ子が畑作業をしていると、お千代ねえやが駆け込んできた。マリ子が台所の隅で泣いていたという。

マチ子「だってゆうべあんなご機嫌でステーキ食べていたのに…一体…」

 

今津療養所。

マチ子「毎度あり、磯野屋でござい!」

マチ子がヨウ子の体調を尋ねた。

ヨウ子「順調に行けば来年早々には退院できるかもしれないって、先生が」

マチ子「きゃ~、本当!?」

ヨウ子「ええ。でも『今年中には無理ですか?』ってお伺いしたら『今すぐでも帰るのは構わないんだけれども退院、入院の繰り返しでは何にもならない』って」

マチ子「そうよ、ヨウ子ちゃんは焦らずに先生とお母様のおっしゃることをちゃんと守っていればいいのよ」

ヨウ子「はい」

 

はるが入室してきた。

マチ子「はは~…またばらまいていらっしゃったところね」

はる「そうよ。今日辺り、マチ子でもまた何か運んでくるんじゃないかと思うてね」

マチ子「残念でした。今日はお野菜とお米だけです」

はる「まあそれだけでも十分じゃないの」

 

ヤミ屋とのつきあいをやめてしまったのかと聞くはるにマリ子の様子がおかしいと報告するマチ子。お千代ねえやを療養所によこすから、マリ子のためにはるを一度帰してほしいとヨウ子に言う。

はる「信じられないわね。あのマリ子が頭の病気だなんて…」

マチ子「私もです。台所の隅の方でエンマコオロギみたいにほろほろ泣いてるんです」

 

マリ子がほろほろ泣くなんて普通じゃないとはるは言うが、病人の耳に入れることはなかったとマチ子を注意した。

マチ子「いけない」

ヨウ子「ううん、私だけ仲間外れは嫌」

 

というわけで、はるとマチ子はマー姉ちゃんの悩みを分かち合うことになりました。

 

マリ子「つまり…これでいいのかっていう気持ちになってきたんです」

マチ子「だから私はこんなにいいことはないって言ったでしょう?」

はる「マチ子は黙ってんしゃい」

マチ子「でも…」

はる「あなたでは解決できないから私を呼んだんでしょう?」

 

告げ口したのかと言い合いになるマリ子とマチ子。しかし、言い返せる元気があったと分かって安心したというはる。

 

はる「だったらはっきりおっしゃい。何がこのままではいけないの?」

マリ子「ええ…。この前、トミ子さんに会ってからつらつら考えるようになったんです。このままの体たらくでは磯野家は落後してしまうんじゃないかって」

マチ子「落後?」

マリ子「トミ子さんが言ってたわ。200年続いた回船問屋の戸田海運を自分たちの代で潰してしまったら、それこそご先祖様にも4人の子供にも申し訳が立たないって」

はる「それは立派なお考えですよ」

マリ子「お母様もそうお思いになるでしょう? それに引き換え磯野家はと思ったら、私…」

 

父の肖像画がうつる。マチ子は磯野家は何代目か聞く。古い家柄だが、父が分家してマリ子たちで2代目だとはるが答えると、マチ子は何も悩むことはないという。

 

マリ子「全く目標がないんだもの」

マチ子「そんなこと言ったって私のせいじゃないわ。日本は負けてしまったんですもの。今はどこの家だって食べることで精いっぱいでしょう?」

マリ子「それは言い訳よ。目標があらばこそ今は耐え忍べるのだとおもうんだけど…」

マチ子「目標って何のこと?」

マリ子「つまりこの磯野家をどう立て直していくかっていうこと」

マチ子「へえ~」

 

マリ子「ねえ、お母様。私、何かをしたいの。食べるためのことじゃなくて何かを力いっぱい」

はる「そんなに焦ることはありませんよ。『謀をするは汝らにあれど決むるは神にあり』。その時が来たら神はあなたにちゃんとすばらしい道を示してくださるはずですよ」

マリ子「いつその道を示してくださるんでしょうか?」

はる「それが分からないところに神の存在というものがあるのではありませんか。この磯野家をあなたたちがどう感じようがそれはあなたたちの自由ですよ。でもね、お母様はね『目標がない』というマリ子の言葉にはうなずけないわね」

マリ子「お母様…」

 

はる「階段というものは本来一段一段上がっていくものですよ。今、私たちの第一の目標はヨウ子の病気を治すことではなかったの?」

マチ子「お母様…」

はる「そのヨウ子の病気を治すためなら、どんなことをして働いたっていいじゃありませんか。人様の力に頼らず、あなたたちだけで働いていけるなんて、お母様、とってもすばらしいことだと思うわよ」

マリ子「そうでしょうか」

 

はる「そうですとも。ヨウ子の病気が治ったらそこで私たちは一家4人そろって1段、階段を上がることになるのよ。新しい目標はそれからもう一度、みんなで考えればいいことではありませんか」

マリ子「はい」

マチ子「なるほどね…さすがだわ! うん」

はる「何がですか?」

 

マチ子「えっ? いえ、やっぱり母親というものは言うことも違うし長女と次女では物の考え方も違うんだなって」

はる「私もつくづく思いますよ。今頃そんなことに気付くなんてマチ子はやっぱり2番目ね」

マチ子「あれ?」

マリ子「そうよ。私が一生懸命、悩んでる時にエンマコオロギだなんて」

マチ子「どうして最後は私にお鉢が回ってくるの?」

はる「そういう巡り合わせなの」

マチ子「やれんな~」

 

さて、はるの神様はこの2人のきょうだいに対して次はどんな道をお示しになるのでしょうか?

 

マリ子さん既に一段高いところにいるように感じるな。食べるために働くんじゃなく何か目標を持って生きる…か…。自分に振り返るとつらいものがあるな(-_-;)