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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (85)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

純子(山口智子)はあき(伊藤榮子)に秀平(髙嶋政宏)からプロポーズされてる、と告白し、秀平のことをどう思うか、聞いてみる。あきは、大切なのは純子の気持ち、と前置きし、本当のことを言ってほしいなら反対だ、と言う。賛成してくれると思っていた純子はショックを受けるが、あきが、反対されても親を捨てて出て行く、というくらい好きじゃないとうまくいかない、純子が迷っているようだから反対しただけだ、と言うと…。

83話から今回まで1日の出来事なんだよね。83話が試合、改めてのプロポーズ、84話で雄太の母が夕方小野家に来る。

 

その後、昭と雄太は風呂に行き、家にいるのは純子とあきだけ。

純子「お父ちゃんにちゃんと報告してったんやろか」

あき「何や知らんけどちょろっと手ぇ合わせて行ったわ」

純子「ほんま」

 

まだ仕事をするのか、あきに聞く純子。あきは丸菱デパートの分が終わり、一段落。

純子「実はな…。今日、速水さんに正式にプロポーズされてん」

あき「プロポーズ?」

純子「ほんまは大雨の日に…」

 

回想シーン

秀平「ウィル ユー マリー ミー?」

純子「何? 聞こえへん!」

秀平「ウィル ユー マリー ミー?」

純子「分からへん!」

秀平「僕と結婚するかと言ったんだ!」

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あき「そういうことやったの」

純子「そやけどあのどさくさやし、それきり秀平さん何も言うてくれはらへんし、ひょっとしたら冗談かも分からへんという気もして」

あき「そういうことは冗談では言われへんのと違うか?」

純子「そうも思たんやけど、そやけど秀平さんはアメリカの二世で日本人とは考え方も違うかも分からへんて思たりしててん。そしたら…」

 

あき「今度は何て言わはったの?」

純子「結婚してほしいて」

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あき「それで?」

純子「私は2~3日返事を待ってほしいて言うたんや」

あき「ほんま」

純子「大切なことやし」

あき「それで、お母ちゃんに相談というのはどういうことやの?」

 

純子「お母ちゃんが速水さんをどない思てはるか聞かせてほしいと思て」

あき「そら、お母ちゃんにはお母ちゃんの考えもある。けど、大切なんは純子の気持ちと違うか?」

純子「それはそうなんやけど…」

あき「純子はいつごろから速水さんのことを好きやと思うようになったんや?」

 

純子「よう分からへんねんけど…。初めて速水さんが来はったでしょう? 22年の6月や。村の運動会の日に」

あき「そう。あんた速水さんに抱えられて」

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純子「そやった。あん時に妙に印象に残ったことは確かなんやけど…。そやけど、人を好きかどうかいうことはどないしたら分かんのやろな。自分でもよう分からんところがあるねん。好きやと思うてても、いざ結婚してほしいて言われたら、ほんまに好きかどうか分からんようになってしもて」

あき「それでお母ちゃんに相談か?」

純子うなずく。

 

あき「純子はお母ちゃんにほんまのことを言うてもらいたい?」

純子「言うて」

あき「それやったら言わしてもらうけど、お母ちゃんは反対や」

純子固まる。

あき「賛成というわけにはいかへん」

 

純子「何で?」

あき「一つは速水さんが写真の仕事で食べていけるかどうか分からへんやろ」

純子「けど、それは…」

あき「もう一つはあの人が二世ということや。これから先、日本の生活になじめるかどうか分からへんやろ」

純子「けど私は大丈夫やと思うねん。秀平さんはええかげんなお人やないし、カメラの仕事かてきっと成功しはると思う。もしうまいこといかへんかっても食べていくくらいのことはどんなことをしてもできる人や。私かて働くし。日本になじむかどうかいうことかて少なくとも秀平さんはなじもうとしてはんのやし…」

 

あき「お母ちゃんは意見を言えと言われたから言うたまでや」

純子「意外やわ。お母ちゃんにそんなふうに反対されるやなんて夢にも思うてみいひんかったわ」

あき「純子はどない思てたんや? お母ちゃんがもろ手を挙げて無条件で賛成すると思てたんか?」

純子「思てた。真っ先におめでとうと言うてくれはると思てた」

あき「それやったら純子の考え違いやな。お母ちゃんは反対や」

 

純子は、あきに背を向けるように玄関に座る。

あき「どないしたんや? 純子。お母ちゃんが反対やと言うたのが気に入らんのか?」

純子「何でやの?」

あき「理由は言うたとおりや。さあて、お母ちゃんもお風呂行ってこようかな」

 

昭と雄太が「ただいま」と家に入ってきても、純子は返事もせず縁側にいた。

昭「何や、お姉ちゃんおったんかいな」

雄太「どないしたんや?」

純子「(涙を拭いて)あっち行って」

雄太「なあ、どないしたんや?」←さらに追及するのが雄太っぽい。

 

純子は部屋の中に入る。

昭「お母ちゃんは?」

純子「お風呂や」

昭「けんかしたんか?」

純子「けんかなんかしてへん」

雄太「おかしいやないか。けんかもせんのに何で泣かなあかんのや」

 

純子「ひつこいな、あんたらは」

昭「何かあったから泣いてんのやろ? 言うてえな」

純子「何でもないと言うてるやんか!」

雄太「あかん。これ以上言うたら怒ってしまうわ。2階行こ」

昭「何や。泣いてるから力になったろと思たのに。勝手に泣いとき」

泣きながらも箒を取り出して部屋を掃き掃除する純子。様子をうかがう昭と雄太。

 

あきと純子は枕を並べているが、どちらも起きている。

あき「純子。起きとるのやろ? どないするのや? 速水さんへのお返事」

純子「どないて?」

あき「イエスかノーか言わなあかんのやろ。なあ」

純子「お断りするしかないやないの」

あき「そう…」

純子「お母ちゃんが反対や言うてんのやもん。それしか言いようがあらへん」

 

あきは布団から起き上がる。「純子はそれでええのん? 純子のほんまの気持ちはどうなんや?」

純子も布団から起き上がる。

あき「言うてみ」

純子「私は…。うちは…結婚したいと思てた。速水さんと」

あき「純子は結婚したい。お母ちゃんは反対や。ほなあんたどないすんの? お母ちゃんの言うこと聞いて諦めるのんか?」

純子「そやかて…」

 

あき「どうしても結婚したかったらこの家を出てったらええのや。お母ちゃんを捨てていけばええのや」

純子「そんなことでけへん。できるはずもないし」

あき「ええか? よう聞かなあかんよ。そんなんで諦められるようやったら、あんたはほんまに速水さんのことを好きと違う。ほんまに好きやったら何もかも捨てていくほど好きになれるはずや。お母ちゃんはな純子にはそれぐらい好きな人と一緒になってもらいたいねん。親がちょっとぐらい反対したぐらいで諦められるような人と一緒になってもらいたないねん」

 

純子「そんな。残酷や、そんなこと。速水さんをとるかお母ちゃんをとるかやなんて。何で私をいじめるのん」

あき「純子が優しい子やいうことはお母ちゃんよう分かったある。そやけどな…。純子、こっち見なさい。ええか? お母ちゃんは本気で反対したんと違うんや。あんたが迷うてるようやから反対やと言うてみたまでや。ほんまはうれしかってん。そやけどな人を好きになるということは理屈やないのやからどこが好きやと迷てるようではあかんのや。結婚したら親よりも兄弟よりも速水さんのことを一番大切な人やと思わなあかんのや。それがあんたの幸せやし、純子が幸せやったらお母ちゃんも幸せなんや。そこのとこ、よう分かった上で返事してもらいたい。こう思たんや。どうや? 何もかも捨てて速水さんと一緒になりたいと思てるか?」

純子はあきに抱きついて泣いた。「お母ちゃん…ごめん」

あき「そうか。安心した。よかった。ほんまにおめでとう」

 

昭と雄太が起きてきた。

昭「どないしたんや?」

あき「何でもない」

雄太「そやかて…」

あき「お姉ちゃんな、速水さんと結婚することになったで」

雄太「ほんまに?」

 

あき「さあ、2階へ上がってなさい。後でゆっくり話するさかい」

昭「お姉ちゃん、おめでとう」

雄太「よかったな」

 

あき「純子」と体を起こし、笑顔を向けると、純子も泣き笑いの表情を見せた。

 

母に祝福されないのならと結婚やめようと悲しくなる純子の気持ちも分かる。今は純子とあきで弟たちを食わせてる状態だし、実際、結婚して純子が抜けると、あきさんだけでこれから大学に入る予定の2人の学費はきついのでは…。

 

そういえば、マチ子は「長女でっしょう、戸主でっしょう」とマー姉ちゃんに言っていたけど、さすがに戦後は戸主は、母親であるあきになるんだよねえ!?