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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (148)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

様子がおかしい雄太(唐沢寿明)をいぶかしく思う純子(山口智子)とあき(伊藤榮子)。小百合(野崎佳積)の見合いが原因かと思うが、小百合のことを好きだったのは昭だったはずだし、と答えが出ない。雄太は、正太夫笑福亭鶴瓶)の店を訪れて、小百合のことが好きだった、と悩みを打ち明ける。正太夫は、小百合のことが好きだったのは昭で、小百合も昭のことが好きだったんじゃないかと言うが、雄太は、だから苦しいんだと…。

昭和38年のセンバツに去年の夏と同じ日本海高校の野球部が浜風荘にやって来て3日がたちました。

 

昭和37年の夏の甲子園、昭和38年の春のセンバツの両方出てる高校は調べると、PL学園くらいかなあ。しかし、日本海と名付けるような高校は北陸のイメージ。

 

板場

田畑「お母ちゃん、僕たちのどれですか?」

純子「ご苦労さん。その右手に置いてあるのがそうや」

田畑「はい。じゃ、もらっていきます」

純子「はい。あ、そや、なあ。ゆうべトンカツ半分残した人がおったけど、あれ誰や? 田畑君知らへん?」

田畑「斉藤です。腹具合が悪いと言ってました。監督が薬を飲ませてましたけど」

 

純子「それやったらお医者さんに行かなあかんのと違う?」

田畑「はあ」

純子「はあやないで。ええな? 後で私が病院に連れていってあげるさかい、監督さんと斉藤君にそない言うといて」

田畑「はい」

純子「なっ」

 

あき「なあ、それやったら斉藤君の分はおかいさんにしとこか」

純子「そやな」

もも「いつの間にかみんな純ちゃんのことをお母ちゃんて呼ぶようになったな」

ヨシ子「ほんまですねえ」

純子「私、お母ちゃんやのうて、お姉ちゃんて言うてほしいわ。この年でお母ちゃんなんてちょっとかわいそうやと思わへん?」

 

陽子「お母ちゃん、ジュースほしい」

純子「陽子、朝からジュースやなんてあかんで」

もも「純ちゃん。ほんまのお母ちゃんやから、こいはしかたがないな」

純子「ほんまやな。なあ、しゃあないな。陽子のお母ちゃんやもんな」

小百合が羨ましそうに見ている。

 

帳場でボーっとしている雄太。

陽子「おっちゃん、何してるのん?」

雄太「何でもない」

陽子「おままごとしよ」

雄太「おままごとはあとにしてえな。おっちゃん、ちょっと考え事してんねん。なっ」

 

陽子が去り、純子が入ってくる。

純子「雄太。あんた今日は野球の練習どないなってるの?」

雄太「休みや」

純子「何で?」

雄太「何で言うたかて、こっちもスケジュール立てて練習してるねん。新学期が始まるまで休みになってるのや」

 

純子「それやったらええねんけど。お姉ちゃん、体の具合でも悪いのかと思たやんか」

雄太「いや、体は何ともないねん」

純子「それやったら、ほら、もうちょっとシャンとしい。何やの一日中女の子に振られたみたいにボ~ッとして。なっ?」

雄太「気分転換にちょっと大阪まで行ってくるわ。休みの間に読みたい本、買わんならんしな」

 

帳場を出て、お膳を運んでいる小百合と顔を合わせた。

小百合「雄太さん、おはよう」

雄太「よう。えらいぎょうさん運んでんねんな。腕が太うなっても知らんで」

小百合「大きなお世話やし」

雄太「見合いの人とはどうなってんのや」

小百合「知らん。センバツが終わるまでは忙しいさかい、おつきあいはそれからにしてて言うてるねん」お膳を運んでいってしまう。

 

帳場から出てきた純子。

雄太「あ~、お姉ちゃん、小百合ちゃん、アルバイトやめてもろた方がええんと違うか? 縁談があるのに悪いやんか」

純子「そやけど、慣れてる人の方が何かと重宝やしな」

 

久助「あ、純子ちゃん、こんにちは」

純子「こんにちは、校長先生」

久助センバツの生徒君たち来てるのやろから悪いねんけど部屋空いてるかいな」

純子「はい、空いてます。原稿書かはるんですか?」

久助「うん」

 

雄太「行ってきます」

純子「雄太?」

 

久助「純子ちゃん、こちら、たんぽぽ社の山本景二さん」

山本「どうも」

純子「どうもこんにちは」

久助「ここまあ、私の家のようなもんですねん。どうぞ上がってください」

純子「どうぞお上がりください」

 

久助「よいしょ。いやね、純子ちゃん、今度、僕、小学生向けの本を書くことになったんや。『ナイスプレー もう一つの応援歌』とこういうのやけどね。是非ともこの甲子園の見える所で書きたいなと思て。でまあ、球児諸君が身近にいてくれるのもうれしいなと思てな」

純子「そうですか。どうぞ、ほないつものお部屋へ」

久助「うん。山本さん、すんませんな」

山本「いえいえ、先生の後ろでじっくり待たせてもらいますさかい」

久助「ああ、そうですか」

純子「どうぞ、こちらです」

 

久助「そうそう、純子ちゃん。小野と僕のグローブとミットやけど、あれあるかいな。今度の作品にはどうしてもあれが必要やねん」

純子「あのグローブとミットやったら雄太が大切にしまい込んでますけど。ほな、後でお部屋へお届けします」

久助「そう、悪いな。ほな、頼んます」

純子「どうぞごゆっくり」

 

あきが板場から出てくる。

純子「あ、お母ちゃん、今な、校長先生がな、お部屋使わせてほしい言うてお見えになったさかい、いつもの竹の間へお通ししたで」

あき「そうか。なあ、雄太は?」

純子「大阪まで本買いに行く言うてたけど」

あき「何かおかしいと思わへんか?」

 

純子「おかしいて?」

あき「雄太の様子や」

純子「お母ちゃんもそない思う?」

あき「うん。野球部でなんぞあったんやろか」

純子「そんなことないみたいやけど」

 

小百合の姿を見かけた純子。「ひょっとしたら小百合ちゃんのお見合いが原因なんと違うやろか」

あき「そやろか」

純子「けど、小百合ちゃんを好きやったんは昭の方やし、小百合ちゃんも昭の方を好いてたと思うんや。現にお見合いの帰りに昭のお墓に手ぇ合わせてくれてたしな」

あき「そやなあ」

純子「そろそろ雄太もお嫁さんのことを考えてやらなあかんのかもしれんな」

 

太夫倶楽部

カウンターに座る雄太。

太夫「何、買うてきたんや。『愛と死のかたみ』。『人は如何に生きるか』。『ものの見方について』。えらい堅い本や。こんな本読んどるのか?」

雄太「えやないですか」

太夫「もちろんええよ。何怒って…そんな怖い顔せんかてええがな。ちょっと言うてみただけやがな。(帰っていく客に)おおきに!」

後ろを振り返る雄太。客は雄太だけになった。

太夫「コーヒー」

雄太「おおきに」

 

食器を片づける正太夫

雄太「相談したいことがあって来たんや」

太夫「僕に?」

雄太「小百合ちゃん、結婚するらしいわ」

太夫「聞いた聞いた。秀平君、そない言うとったがな」

 

雄太「僕は…高校生の頃から小百合ちゃんが好きやってん」

太夫「小百合ちゃん好いとったん、昭君ちゃうんか? 僕はそない思うとったけど。昭君、亡くなった時、小百合ちゃん宛ての手紙があって封筒の中に桜貝の貝殻が入っとったやろ」

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雄太「そうや。昭も小百合ちゃんが好きやってん。小百合ちゃんも昭が好きやった。そやけど…僕も小百合ちゃんが好きや。そしたら小百合ちゃんが結婚するて言いだした。それで…。もうどないしてええか分からんようになってしもたんや」この辺から涙声。

太夫「それやったらそれを正直に自分の気持ちを言うたらええやないか。小百合ちゃんに、実は僕も小百合ちゃんのことが好きやったんやいうて言うたらええやないか。どんな返事が返ってくるか知らんけど、黙ってたら人の気持ちて永久に分からんで。言えん理由があんのか? ないやろ?」

 

雄太「昭が…小百合ちゃんを好きやったんや。昭はおらんようになってしもた。僕は昭が思てた人をとるわけにはいかん。それに小百合ちゃんは今でもほんまは昭のことが好きなんや。昭が死んで7年たってもやっぱり忘れられへんのや。こないだも昭の墓に手ぇ合わせるの見てしもた。そういう人に実は僕も好きやったなんて言えるか。あれが昭やのうて、ほかの人やったら僕は言える。そやけど…。昭が好きやった人にはどないしても言われへん」

太夫「けど…好きなんやろ」

 

雄太「好きやけど、言うたらあかんのや。苦しいてかなんわ。あと何日かしたら小百合ちゃん見合いの相手の人に返事するやろ。そうなったらおしまいや」

太夫「あんな…。僕には何にも言えんわ。相談されて何か言わなあかんと思うけど…。何にも言えん。堪忍な、雄太。雄太の気持ち、よう分かるさか…。何も言えんのや。僕、純ちゃんに失恋した男やさか。そらもうどうにもならんで。胸の内に…しまっておくのが男かもしれんな」正太夫まで泣いてるぅ。

 

雄太「昭がもし生きとったら、僕は殴り合いしてでも小百合ちゃんをとったかもしれん。そやけど…。昭、いてへんさかいな。あいつが胸の中でひっそり大事に思てた人を何で僕が嫁さんにできる? できひんよな」

殴り合いしてでもというのはすごい想像つくし、雄太がきっと勝つのだろう。

 

陽気なアメリカン、秀平が店のドアを開けた。

秀平「ただいま!」

太夫「お帰り」

秀平「ただいま。あ、雄太君、来てたの」

雄太「心斎橋の本屋まで来たんや。ほな、正太夫さん、僕、帰るわ」

太夫「うん。元気出さなあかんで」

雄太「おおきに」店を出ていく。

 

春男「秀平さん、腹減らんのんか」

秀平「飯前にデータの整理だけやっておけよ。時間たつと分かんなくなるから。なっ」

春男「もう、人使いが荒いんじゃけえ。正太夫さん。わしはまだ昼飯も食わしてもろてないんで」

 

秀平「どうしたの?」

太夫「あ…切ない気持ちになってしもた」

秀平「どうして?」

太夫「好きな人に好きやと言えんぐらいつらいことないな」

秀平「正太夫さん、まさか奥さんのほかに好きな人出来た…」

太夫「違う違う、俺の話やないがな。僕は幸せの絶頂や。節子がおるさかいな」

秀平「何なの。おかしいよ、正太夫さん」

太夫「節子に電話しよ」

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面白いのは、小学生ながら引き揚げでいろいろ見たせいで恋愛マスターっぽい感じだった雄太が、自分の恋愛には不器用で、この頃は、昭も雄太も純子が結婚するのは正太夫さんより秀平さんと言ってたのに、今、相談してるのは正太夫

 

秀平みたいな体が大きく野球もうまい男が小学生男子に人気なのは分かるな。しかし、今回の雄太の相談に一番向いてるのは校長先生じゃないかな。

 

純子「すんませんな」

石田「お疲れさん」

小百合「お疲れさん。ほなまた明日」

純子「気ぃ付けてな」

小百合「はい、失礼します」

ヨシ子「お疲れさんでした」

小百合ちゃんは通いなんだね。裏玄関を出ると雄太が立っていた。

 

雄太「小百合ちゃん」

小百合ちゃん「びっくりした。何やの? こんな所で」

雄太「これな、僕の気持ちや」

小百合「気持ちって?」

雄太「結婚のお祝いや」

小百合「私、まだ結婚するかどうかは…」

雄太「つきあう気持ちになってるのやろ。それやったら結婚した方がええで。おめでとう」小さな箱を渡し、板場へ入っていった。

戸惑いの小百合。

 

はあー、雄太―! かっこいいよぉ~!

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雄太が小百合を連れて純ちゃん食堂に来たこともあるよねー。これがまさに高校時代。こういうのを見て、小百合ちゃんは雄太が好きなんだと思ってた。この回で小百合は学校の先生になると話してたけど、今何してる人なんだろう?

 

小百合ちゃんの気持ちをきちんと聞けたらいいな。最終週にこんな面白い展開持ってくるなんて! 残り3話。月曜日まで待ちきれない。

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そうそう、この回で、昭は、それぞれお守りをくれた小百合のことを雄太のことが好きで、昭にはついでだと言い、雄太は、小百合は本当は昭が好きかもしれないけど、ひょっとしてどっちも好かれてないと言ってたな。

 

だから、昭だって小百合を好きだけど、小百合は昭を好きではないということに気付いていたんじゃないのかな。