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【ネタバレ】木下恵介アワー「おやじ太鼓」 #60

TBS  1969年9月9日

 

あらすじ

 

鶴 亀次郎は裸一貫からたたき上げ、一代で築いた建設会社の社長である。ワンマンで頑固一徹な亀次郎は子どもたちに"おやじ太鼓"とあだ名を付けられている。この"おやじ太鼓"、朝は5時に起き、夜は8時になるともう寝てしまうが、起きている間は鳴り通し。そんな亀次郎をさらりとかわす7人の子どもたちに比べて、損な役回りはお手伝いさんたち。ひと言多いばっかりに、毎日カミナリを落とされる。

2023.10.3 BS松竹東急録画。12話からカラー。DVDは第1部の39話まで収録。

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鶴家

亀次郎:進藤英太郎…大亀建設株式会社を一代で立ち上げた。62歳。

妻・愛子:風見章子…良妻賢母。57歳。

*

長男・武男:園井啓介…亀次郎の会社で働いている。31歳。

妻・待子:春川ますみ…正子の紹介で結婚。

*

次男・洋二:西川宏…ピアノや歌が得意。空襲で足を悪くした。29歳。

長女・秋子:香山美子…出版社勤務。27歳。

三男・三郎:津坂匡章(現・秋野太作)…二浪して今は大学4年生。

次女・幸子:高梨木聖…大学4年生。

四男・敬四郎:あおい輝彦…浪人中。

三女・かおる:沢田雅美…高校2年生。

*

お敏:菅井きん…お手伝いさん。愛子の4つ下。53歳。

*

黒田:小坂一也…運転手。

 

出演

進藤英太郎

春川ますみ

あおい輝彦

小坂一也

菅井きん

声・園井啓介

 

今回も出演者が少ない!

 

呼び鈴が鳴るが、家の中はガランとして誰もいない。裏玄関から入ってきたのは黒田。裏門についてるのがブザーで裏玄関についてるのが呼び鈴?

 

家に上がり込み台所にも誰もいないことを確認し、黒田が「おばちゃん!」と呼びかけた。椅子に掛け、タバコを吸おうとするがタバコが切れていて箱を投げ捨てる。おっ、あんなところに屑籠が。

 

電気釜を開け、何かあるのかなと戸棚を見ると、きんぴらごぼうとタラコが半分入っていた。昔って今なら冷蔵庫に入れるようなおかずも戸棚に入れてるね。まあいいやと勝手にお茶碗にご飯を盛る。

 

台所に入ってきたお敏は二階で掃除をしていて「あらやだ、それは私の茶碗ですよ」とごはんを電気釜に戻した。

黒田「じゃあ、つけてくれよ。俺の茶碗で」

お敏「朝ごはん食べたでしょ」

黒田「腹が減ったんだよ」

 

何だこんなにエラそうなんだ、黒田は!?

 

お敏はまた勝手にご飯を盛ろうとする黒田にゴチャゴチャ触らないでちょうだいとご飯を盛りつける。

黒田「今朝のおみおつけがあるだろ。あっためてもらおうか」

お敏「おあいにくさま。片づいちゃいましたよ」

黒田「じゃあ、お茶でいいよ、番茶で」

お敏「あきれた人。なんだっていちいちうちへ帰すのかしら。送ってったら、そのまま一日会社にいりゃいいのに」

黒田「手伝ってやるじゃないか、掃除を。ゴチャゴチャ言うなよ」

お敏「かえって世話が焼けますよ。お昼はうどんがいいの、パンがいいの、3時のおやつまで注文つけて」

黒田「今日の昼は、あっさりでいいよ」

お敏「当たり前ですよ」

 

この一連のやり取りは親子ほど年の離れた女性に無礼な黒田を笑うシーンなのか、それとも当時の当たり前なのか? よく分からないね、ひたすら黒田がエラそうで。

 

黒田はお敏に奥さんもいないようだけどどっか出かけたの?と聞く。愛子は自由が丘へ買い物に行き、午後は黒田の車で結婚式へ行く。

 

お敏「あんたが初めて来た晩は隣のお通夜だったもんね。どうもろくなことが起こらないような気がするんですよ。あんたが来たら」

黒田「ツイてない男だからな、俺は。多少ひねくれてても我慢しなよ、なあ、おばちゃん」

お敏「ねえ、そのおばちゃんっていうのはやめてくれない?」

黒田「じゃあ、お敏さんか」

お敏「そうよ。あんただって別にうんと若いってわけじゃあるまいし、あんたからおばちゃんなんて言われたらバカに年寄りみたいで嫌よ」

黒田「だって50出てるんだろ。俺よりも二十いくつも上なんだろ」

 

お敏は53歳。黒田は32~33歳の設定だけど、実年齢は菅井きんさんが当時43歳、小坂一也さんは当時34歳。最初のころは高円寺のおばちゃんの関係性が分からず、それほど歳の離れていない愛子や亀次郎がおばちゃんと呼ぶのに違和感があった。

 

お敏「あんた、そういうことはね、はっきり言うもんじゃないのよ。まだ今からだって縁談があるんですからね」

黒田「そうそう、どうなったの? あの寿司屋のロマンスは」

お敏「大きなお世話ですよ。それより自分の奥さんはどうしたんですか? 子供まであったっていうじゃないの」

黒田は無言になり、ご飯にお茶をかけ、かき込む。

お敏「あんまり自分勝手なことばかし言ってるからうまくいかなかったんでしょ? あんたって人は大体人の気持ちが分からない人よね。変な人よ。人の世話になるっていうのに大威張りなんだから」

 

黒田「おばちゃん、タバコ1本くれよ」

お敏「あら、もう食べないの?」

黒田「飯がまずいんだよ、あんたが前に座ってると」

お敏「まあ」

黒田「タバコ出しなよ」

お敏「出しますよ。まるでゴロツキなんだから」

黒田「そうさ。どうせね」

 

黒田がタバコを吸い始めるとすぐにお茶碗を片付け始めるお敏。いや~、上げ膳据え膳ってやつ?

 

黒田「すまないな、おばちゃん。怒らしたり茶碗洗わしたり」

お敏「あんたとはもの言いませんよ」

黒田「そうか。それもいいよな。俺だってあんたに聞かれてうれしいことばっかりはないからな」

お敏「聞いちゃいけないことを聞いちゃったんだね」

黒田「誰だって胸にこたえることはあるよ」

 

呼び鈴が鳴る。お敏「鍵をかけとくとめんどくさくって」と出ていったが、さっき、黒田が普通に入ってきたよ。

 

台所の電話が鳴り、黒田が出た。

 

敬四郎帰宅。ゆうべは徹夜して眠くて眠くてと帰ってきた。黒田も立って「おかえんなさい」とあいさつしてまた椅子に掛けた。敬四郎は飲み物が水しかないと聞き、お敏がコーラくらい買っとかないといけませんねと言うとケチくさいよこのうちはと文句を言う。

 

お敏は隣に行ってもらってくると出ていこうとしたが、俺が行ってきてやると黒田が席を立った。魚屋のおやじさんから息子が帰ってきた、岐阜の親戚へ行ってたという電話があったと言い、「ろくでなしの息子が多いよな」と言いながら出ていった。

 

敬四郎「僕に当てつけで言ったのかな」

お敏「黒田さんでしょ? あの人はああいう人なんですよ。でもね、さっき奥さんと子供のこと言ったら、ちょっとしんみりしちゃったんですよ。誰にだって胸にこたえることはあるさって」

敬四郎「しゃれたこと言うじゃないの」

お敏「だけどまあ奥さんに出ていかれるような男はどっか違うんですよ。タバコ出しなよ、こうなんですからね」

敬四郎「男と女のことはうまくいかないんだな。うちのお父さんとお母さんみたいのは珍しいのかな」

お敏「不思議ですよ。全然似たとこがないんですからね」

敬四郎「苦労しているうちに気が合っちゃうのかな。とにかく苦労はしてきたんだから」

お敏「敬四郎さんもこれからが苦労の始まりですね」

 

敬四郎は料理を習いにホテルに行ったはずが、ポーター(荷物持ち)が足りずに二月(ふたつき)か三月(みつき)手伝えと言われて、でっかいトランクを2つも3つも持たされている。気の毒がるお敏。

 

敬四郎はお風呂に入ってきたのですぐ寝ると言う。洗濯物をお敏に預け、お母さんが帰ってきたらすぐ起こしてねと台所を出たが、コーラあったのかな?とお敏に聞く。お敏にお部屋に持っていきますよと言われて自室へ。

 

お敏が様子を見に行こうと裏玄関へ行くと、待子がコーラがないのでみつ豆を持ってきた。黒田がみつ豆を食べてると聞き、あきれたお敏は隣へ。

 

武男たちの部屋でみつ豆を食べている黒田。

お敏「いい気なもんね。腰を据えちゃって」

黒田「おいしいみつ豆だよ。同じ女でも大した違いだ」

お敏「何がどう違うのよ」

黒田「あんたとこっちの奥さんだよ」

お敏「どうせそうですよ。あんたの奥さんはすてきだったんでしょ。おいしそうだから私もごちそうになるわ。冷蔵庫にあるのかしら」

黒田「あんたの分も食べちゃったよ」

お敏「まあ、あきれた。遠慮なんてこれっぽっちもないんだから」

黒田「ついでだよ。タバコ1本おくれよ」

 

お敏「あげませんよ。広間のお掃除を残してありますからね。来てちょうだいよ」一旦ドアから出てもう一つのドアから顔を出す。「食べちゃったらそれをちゃんと洗っといたほうがいいわ。流しはそっちですからね」もう一度部屋に戻ってタバコを1本黒田の席の近くに置く。いいのよ、そんな甘やかさなくて。まだ掃除もしてないのに。

 

武男たちの部屋で一人ゆっくりタバコを吸う黒田。

 

台所

待子が敬四郎の部屋からみつ豆の入っていたガラス容器を持ってきて、お敏に苦いお茶を頼んだ。まだ寝てないことにあきれるお敏。「わざわざ苦労しに出かけたんですからね。もうちょっと勉強して大学へ入ればよかったんですよ。もっとも頭のほうがあれですからね」

待子「だけどかわいい人じゃないかしら」

お敏「そう、かわいげはあるんですよ。だけど、あれじゃないんですか。頭のほうは。どうもそんな気がするんですよ」

 

敬四郎がお母さん何時ごろ帰るって言ったの?と台所に入ってきた。結婚式に行くため、美容院へ行ったのだろうとお敏が答えたが、帰ってきてもすぐ出かけちゃうじゃないかと不満顔。

 

敬四郎「結婚式なんて行かなきゃいいのに」

お敏「やっぱりかわいい人ですよ。敬四郎さんは」

敬四郎「かわいい? この僕が?」

お敏「若奥様がそうおっしゃったんですよ」

待子「だってお義母様のお帰りが待ちかねるんでしょ?」

お敏「眠ったくても寝られないんですよ」

敬四郎「そりゃそうさ。やっぱりお母さんがいなきゃうちって感じがしないよ」

お敏「じゃ、お父さんはどうなんですか?」

 

敬四郎は亀次郎を屋根にたとえた。ガッチリ重苦しいけど雨には濡れないからありがたい。昔の日本の屋根には鬼瓦がのっていて、今だってお寺の屋根やなんかにのっかっている。おっかない顔して、あれだよ、うちのお父さんはとニコニコ。

待子「まあ、今頃、くしゃみしてますよ」

お敏「いいえ、鬼瓦そっくりですよ。あの顔で怒ったときは。フフッ」

 

黒田「お敏さん、広間の掃除だって?」

お敏「ええ、そう。電気掃除機を持ってってね」

黒田「人の顔より自分の顔見なよ」

お敏「あれですからね」

敬四郎「なかなか言うじゃないの」

お敏「言うなんてもんじゃありませんよ。憎たらしい」

敬四郎「だけど、嫌な人の感じじゃないよね。子供のころはかわいい顔してたんじゃないの」

 

敬四郎ちゃん、人がよすぎる。

 

お敏「あんな顔がかわいいもんですか」

待子「でも顔つきは優しいわよ」

お敏「優しい男が女房に逃げられるわけありませんよ」

敬四郎「よしなよ、そんな鬼瓦みたいな顔すんの」

お敏「まあ、私の顔が鬼瓦ですか?」

敬四郎「だってさ…」

待子「ツノを出さないほうがいいわよ」

お敏「まあ、若奥様までそうおっしゃるんですか」

待子「ごめんごめん。だって、つい…」

お敏「ええ、ええ、どうせそんな顔ですよ。鬼瓦も1つじゃ格好がつきませんからね。2つそろわないと」

 

⚟亀次郎「こら」

 

亀次郎が急に早く帰ってきた。待子が出迎え、お敏にお茶を出すように言う。今、急須に入ってるお茶を無理に出しちゃいますと入れる。

 

広縁の椅子に掛けている亀次郎は上着は脱いでいるけどまだシャツにネクタイをしている。9月に入ったけど、まだ蝉の声もするし暑そう。お茶を持ってきた待子に向かいの椅子に座るように言う。

 

待子は愛子と結婚式に行くのかと思って尋ねた。

亀次郎「行かないよ、あんな結婚式は。二度あることは三度あるんだ。今度のは二度目だよ。それも前のお嫁さんとは半年ももたなかったんだ。バカバカしい。呼ばれて行くほうだって大(おお)迷惑だよ」

待子「今朝、武男さんも言ってましたけど、やっぱりお金があるから結婚するんでしょうか。女の人のほうは」

亀次郎「いや、そうに決まってますよ。どっちもどっちだよ」

待子「嫌ですね、そんな結婚なんて。あたくしなんか想像もできませんわ」

 

亀次郎「世間ではお嫁さんとお舅さんとはうまくいかないもんだと相場が決まってるよ。だけど、あんたはいいお嫁さんだよ」

待子「あたくしは好きなようにさせていただいてるんですもの。ほんとにすいません」

亀次郎「すまないことなんかちっともないよ。いや、よくやってくれてありがたいと思ってるよ」

待子「とんでもない。あたくしなんて好き嫌いが多くって」

亀次郎「いや、それはまあ少し多すぎるとは思うけど、いやそれだっていつか、あんたのお母さんが見えたときに聞きましたよ。あんたも苦労したんだな。お母さんは子供たちにすまなかったって目に涙を浮かべて話していたよ」

待子「まあ、何をお話ししたんでしょう」

 

そこに敬四郎が「おかえんなさい」と言いに来ると、亀次郎がこっちに来て待子さんの好き嫌いの話を聞くように言う。

 

亀次郎「なんだ、その眠そうな顔は。はっきりしなさい、はっきり」

待子「敬四郎さんは徹夜でお仕事だったんですって」

亀次郎「徹夜ぐらいでショボショボしちゃいけませんよ。麻雀の好きな連中ならふた晩ぐらい平気ですよ」

敬四郎「はい。負けないで頑張ります」

 

亀次郎が咳払いをしたので、待子が水を持ってくると席を立った。

亀次郎「うん、いや、実にいい嫁だよ。気がつくし、思いやりはあるし。まあ、とにかく親切だよ」

敬四郎「よかったですね、いい人で」

亀次郎「いや、お母さんもお敏とうまくいくかどうか心配していたが、あの人じゃお敏も文句のつけようがないよ」

 

敬四郎が好き嫌いの話を聞く。

亀次郎「いや、待子さんのお母さんも偉い人だよ。待子さんは小学生で今、店をやってる弟さんはまだ小学生にもなっていなかったんだな。お父さんが亡くなったのは。それからというものお母さんは2人の子供を家に置いて、いろんな所に出て働いたんだ。女中さんや飯炊きや、あるときはバーの女にもなったそうだ」

 

待子が水を持ってくると向こう行って座ろうかと茶の間へ。

亀次郎「どうもこういう話は腰掛けてちゃ申し訳がないよ」

 

切羽詰まったときの人間の生き方。いくら生きたって悪いことをしたり、人をだまくらかしたんじゃ生きてるということにはならない。まして、政治なんかやるやつに限って平気で曲がったことをする。全く腹が立って愛想が尽きる。真面目にせっせと生きている人間は、むしろ政治家なんかよりも貧乏で目立たない庶民の中にたくさんいる。

 

亀次郎の演説に敬四郎は義姉さんの好き嫌いとどう関係あるのか口をはさんだ。

 

待子は弟と2人で留守番をしていた。母は朝は寝てるうちに出ていき、夜は寝てしまってから帰ってくるので、めったに顔を合わせたことはなかった。

 

敬四郎の目が充血してるのは待子の話に感動してるのか徹夜明けで眠いのか。

 

小さい子供が2人だけでごはんの支度をしていたが、簡単な支度しかできず、ハンバーグやコロッケを買ってきたり、魚なら生の刺身のみ。だから、ビフテキや焼いた魚は嫌い。肉は買ってきたことがなく、出来てるものばかり買っていた。待子の好き嫌いには理屈がない。母が煮たり焼いたりしてくれたことがなかった。待子は干物を焼くか、卵を落として焼くぐらい。豆腐、油揚げ、精進揚げ、タコが好きなのは茹でた足で売っていたから。本当に食べるものが少ない。

 

待子は武男さんにもおなかの赤ちゃんにもすまなくてとかしこまる。ため息をついた亀次郎と大あくびの敬四郎は、亀次郎に雷を落とされる。「眠かったら早く行って寝なさい」

敬四郎「はい。これからは徹夜麻雀で鍛えときます」

亀次郎「バカ!」

敬四郎「は? あっ、麻雀は余計でしたね。ではおやすみなさい」と席を立つ。

 

待子は亀次郎に出かけないのならお着替えになりませんか?と言ったが、出かける先を思い出したと黒田を呼んでくるように言うが、自分で広間へ向かった。

 

広間

掃除していたのはお敏。「旦那様。あんなへそ曲がりってありませんよ。せっかく私が手伝ってやろうと思ったら、そんなら自分でやりなよ、ですって。雑巾をたたきつけて出てっちゃったんですよ」

亀次郎「どこ行ったんだ?」

お敏「部屋で寝転がってるんですよ。どうせ」

亀次郎「困ったやつだ」

お敏「困るのは私ですよ」

 

黒田の部屋

ノックもせず「おい、黒田君」と入って行く亀次郎。「何をしてるんだ、1人で」

黒田「おかえりなさい」

亀次郎「なんだ、そんな手紙の封筒や葉書を」

黒田「切手を切り抜いているんです」

亀次郎「切り抜いてどうするんだ」

黒田「養老院へ送ってやるんですよ。昨日、会社からたくさん封筒や葉書のいらないのをもらってきたんです」

亀次郎「いや、それが何になるんだ? 養老院で」

黒田「建て増しをする資金になるんですよ。たくさん集めて売るんじゃないんですか」

亀次郎「いや、君はそんなこといつからやってたんだ?」

黒田「もう2年ぐらいかな。マンションの管理人をしてると古い手紙がたくさん集まりますからね。役に立つもんなら捨てちゃもったいないですからね」

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今もやってるんだね。

 

亀次郎は今日は急に帰りたくなったと電車で帰ってきた。手で封筒をちぎってる?

黒田「なんかあったんですか、会社で」

亀次郎「いや、会社じゃないよ」

黒田「今日はもう会社へは行かないんですか?」

亀次郎「いや、それよりも東名を走ってみたくなったんだ。サッと気持ちよくな」

黒田「はい。僕も一度走ってみたかったんです」

亀次郎「じゃあ、早くこれをみんな切ってしまいなさい。わしもハサミを持ってこよう」

 

別宅の電話に出ている待子は武男から亀次郎が裏切られたと聞く。

 

黒田の部屋で封筒から切手を切る作業をする黒田と亀次郎。

黒田「だけど社長は変わってますよ」

亀次郎「どう変わってるんだ?」

黒田「変な人ですよ。珍しい人ですね」

亀次郎「お前だって似たようなもんさ。ヘヘッ、変な男だよ」

黒田「じゃあ、気が合うかもしれませんね」

亀次郎「ハハハハ…社長と運転手が気が合っちゃこれほど安全な運転はありゃしないよ。ハハハハ…」

 

待子は本宅の台所へ。「お義父様はまだ黒田さんの部屋にいるの?」

お敏「そうなんですよ。切手を切るんだとか言ってハサミをお持ちになりましたよ」

待子「えっ、何を切るんですって?」

お敏「切手ですよ。手紙に貼る。そんなもの切るより、あの男の首を切っちゃったほうがいいんですよ」

 

待子は敬四郎の部屋へ。ノックして部屋に入った待子は敬四郎を起こし、武男から聞いた事情を話した。中国料理の主人が亀次郎をだまし、金額は大したことないけど、信用していただけに亀次郎はガックリした。店はとっくに他人に売り、そこいらじゅうから借金して夜逃げしてしまった。

 

待子「お義父様とは昔からの知り合いなんですってね」

敬四郎「そうなんだよ。あの主人が 屋台を引いてたときからだもんね」

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9話では「そばの屋台」と言ってたんだけど、今回は無音。「そば」ではなく「支那そば」なのかもしれない。それにしても私のパソコンは「支那」が一発で出てこない。それほどまずい言葉なの?

 

待子「会社のお客様もよくご案内したんでしょ?」

敬四郎「うん。とてもひいきにしてたんだもん。お父さんだってあの人が大成功して喜んでたんだもん」

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1話で幸子の成人式のお祝いしたときもこの中国料理店。京香大飯店という店の名前も亀次郎が名付けた。

 

待子「ひどいわ。それなのに行きがけの駄賃にお金を借りてくなんて」

敬四郎「一体どれぐらい貸したんだろう」

待子「100万円とか言ってたわ」

敬四郎「えっ、100万円?」

 

お敏が旦那様が出かけたと知らせに来た。

 

東名を走る黒田と亀次郎。「そうか。君も奥さんに裏切られたのか」

黒田「子供にも裏切られたんですよ。4つでしたけどね。いつも抱いて寝たのは僕のほうでしたよ。でもどっちが引き取るかっていうときになったら、やっぱりおふくろのほうへ行っちゃったんです。それっきりですよ。もう僕にはなんにもなくなっちゃったんです。生きていく希望もね。どうにでもなれですよ」←車を走らせながら怖いよ。

亀次郎「バカなこと言いなさんな。それならなぜ古い切手を切り抜いて送ってるんだ。やっぱり君だって早く養老院の増築ができるように祈ってんじゃないか。それがつまり一番無欲な希望じゃないか。養老院にいる年寄りだってそうだよ。身内の者からは冷たくされたって君のような赤の他人の温かい気持ちがどれだけ残り少ない余生を生きていく希望になるか。いや、人間、絶望しちゃいけませんよ。ほら、富士が見えてきたじゃないか」

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出来立てのきれいな東名高速道路と富士山が映し出されてつづく。

 

1話でお敏は愛子から有料の養老院に入れてあげるわよと言われている。昭和38年には老人ホームと改称されてる割に昭和44年になっても養老院呼びが定着してるね。

 

残り少ないのに、洋二も三郎も幸子もどうしてるんだろう? 秋子と神尾も全然進展しないしね。第1部もイネと六さんで結構時間を割いたからな。

 

黒田は怪しげな男だけど、ホームドラマだから昼間一人でいる待子に襲い掛かることはないだろうし、いくら不気味な感じはあっても安心感はある。だけど、あの時代はあんな人でも結婚できたし子供も持てたということなんだよねえ。

ワゴン・マスター

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とはいえ、小坂一也さんはカントリー歌手ということもあり声が明るく軽いのがいい!