徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】女優

1947年 日本

 

あらすじ

溝口健二の「女優須磨子の恋」などでも知られる、新劇草創期の実在の女優・松井須磨子と文芸協会の主宰者・島村抱月との恋愛事件を題材とした作品。愛し合いながらも社会に強く批判され、はかなく死を迎える須磨子を山田五十鈴が熱演した。「地獄門」の衣笠貞之介監督の戦後第3作目。明治後半の東京。島村(土方与志)らが主宰する文芸協会の熱心な研究生だった正子(山田五十鈴)は、松井須磨子の名で主演した『人形の家』で脚光を浴びるが、島村に尊敬の念以上の恋心を募らせ、演劇界を揺るがす事態に発展する。戦後間もない東宝争議の只中だった製作当時の空気と、作品の舞台となる新劇草創期の熱気がリンクし、新時代を予感させるパワフルな作品。

2021.6.8 日本映画専門チャンネル録画。

 

オープニングがオペラ。ハートマン一座の歌劇が上演されていた。女優になろうと信州から上京してきた正子。女優になろうとしたわけは結婚に失敗したから。他の研究生たちは大学出が多い。

 

志村喬さん演じる倉本源四郎は興業主?

 

研究生たちは英語や芸術哲学などの座学をする。正子役の山田五十鈴さんは美人女優というより表情が魅力的なタイプに見える。

 

昼休み、正子は一人で干し芋?をかじる。先生に呼び出され、全く英語を理解していないこと、講義中にあめ玉を食べたことなど、これからついていかれないんじゃないかと注意を受けた。これから頑張りますと根性論で回避。

 

それからもバレエ、声楽などのレッスンを受ける。歌声がキレイ。

「人形の家」について話し合い。正子は、主人公ノラが夫や子供を置いて家を出たことに共感していた。

 

この映画に森繁久彌さんが出ているというので、ヒゲ面の平助かな〜と思ってよく見ていたら、何か見覚えのある顔と声。「3人家族」の優しいお父さん役だった三島雅夫さんだった。

peachredrum.hateblo.jp

ある日、訪ねてきた兄から酒場で働くよう言われたものの、やっと生きがいを見つけた、文芸協会の研究費も賃仕事をして払っていると反抗。バシバシ兄を殴る正子。気が強い。

 

正子はノラ役に選ばれた。小林正子は松井須磨子になった。人気女優になった正子は平井という相手役の俳優に唐突にプロポーズされた。

 

既婚者の先生・島村抱月に平井から結婚を申し込まれたことを話す正子。正子は満更でもなさそうだけど、正子がいなくなった後の島村のその表情は!?

 

「人形の家」の舞台稽古。島村の妻・伊都子も見にきていた。伊都子に島村と正子が噂になっていると告げ口する男。誰? 

 

「奥さんもお子さんもある先生にポジティブに出るなんて全く大した度胸よ」と楽屋で仲間から陰口を言われる正子。しかし、当の正子は英語が分からず。

 

伊都子を呼び出される正子。島村が正子に当てた手紙を持っていた。人の手紙を読むなんて下等だという島村。伊都子は上等な人間同士でやってくれとさらに怒る。勝ち気な正子は人を馬鹿にして!と部屋を飛び出した。

 

平井は酒を飲んで、平助を相手にクダを巻いていた。再び正子の兄が訪ねてくると兄を誘って飲みに出かけた。ま〜、平井の立場ないよな〜。

 

島村を訪ねた正子は女優を辞めるというが、君は芸術家なんだから辞めることはないという。正子は結婚せず、先生の下で勉強しますと嬉しそうに語った。

 

旅公演。第一期生の仲間達の目の前でも見ちゃいられないほどいちゃついていたという2人。とうとう査問委員にかけられた島村抱月は大学教授や文芸協会を辞めさせられた。島村は正子にこれからも女優を続けるように言う。

 

先生とお別れするなんてイヤ!という正子。松井須磨子島村抱月は文芸協会を脱退し、芸術座を立ち上げ、続々公演を行なった。今度の公演作品は「復活」。

生演奏のお芝居、いいなあ〜。楽屋でメイクしながらセリフ合わせをする正子たち。歌のシーンでは観客から「松井!」と掛け声がかかる。芝居は大成功。倉本たちも喜ぶ。

 

♪カチューシャかわいやって何か聞いたことあるような。

カチューシャの唄

カチューシャの唄

島村の娘・邦子が千石規子さん。わ〜! おばあちゃん役しか見たことないから新鮮〜!

 

島村は床に臥せりがちになったが、他の座員が再演物に満足せず、新作をやることになった。そして、正子が女として慎みがないとかわがままだと座員に言われると、島村は正子をかばったが、直後倒れた。座員たちの方があれしろこれしろうるせーよ。

 

有島武郎の「死と其の前後」上演。上演後、島村抱月の死を知らされ、泣き崩れる正子。次の「カルメン」は正子が泣いてばかりで元気がなく評判が悪い。

 

島村の死後、島村名義のものは全て自分たちのものだと主張する伊都子。稽古中に乱入し、島村のものは全ていただけるんでしょうねと正子に詰め寄る。倉本は松井須磨子一座でやったらどうだと言ったり、他もごちゃごちゃごちゃごちゃ…正子は松井須磨子はやめると判子を床に叩きつけた。

 

また座に戻ると座員たちから演出家に謝罪することなど正子にさまざまな要求をつきつけた。正子がわがままと思えなくなった。男たちが寄ってたかって一人の女の人を押さえつける。女は陰湿、女の敵は女という言葉もあるけど、私の実体験では共通の敵を見つけた男性の団結力たるや!

 

正子と平井の芝居のレコードを蓄音機で懐かしそうに聞いている正子。仲間の水島が来ると、水島にマカロンをあげた。マカロンがこの時代にあった。

 

座員の中でも比較的正子派?の水島に先生の代わりになってほしいと正子は言う。独りになった正子は島村の写真に語りかけた。「死と其の前後」のポスターと島村の写真を交互に見ていた正子。 

 

兄、水島、福原に宛てた手紙を書き、劇場の見回りをしていた平助に福原宛ての手紙を託した。雨の中、外を歩く正子。再び劇場内へ。

 

平助と福原が劇場内へ。舞台袖で正子を発見。暗がりで見えない。平助が背中でボタンを押して舞台の幕が降りた。(終)

 

先生と生徒の恋愛で悪いのは先生(年上)の方だと思う。他の男と結婚すると知らされ、自分の家庭がうまくいってないからと生徒に告白する先生…キモっ! 大人ならもっと正子の周りが協力的になるように根回ししてくれたらいいのに。なんとなく知ってたけど、心中と思ってたからちょっと意外。

 

wikiによれば島村抱月大正7年スペイン風邪からの肺炎で47歳で死亡。正子は島村抱月死後、約2ヶ月後、32歳で縊死。映画ではもっと爺さんに見えてたし、年の差があるのかと思ってた。三島雅夫さんの出番が思いの外、多くて嬉しかった。しかし、森繁久彌さんや花沢徳衛さんはどこにいるかわからなかったな〜。

 

最初はドジっ子の正子が大女優になる過程は見ていて面白かった。