徒然好きなもの

ドラマの感想など

【ネタバレ】愛の世界 山猫とみの話

1943年 日本

 

あらすじ

当時十代の高峰秀子が不良少女を演じ、監督デビュー前の市川崑が演出助手を務めたことで知られる教育映画。幼い頃に両親と死別したとみ(高峰秀子)は、曲馬団に引き取られてこき使われている内に、「山猫」と呼ばれる16歳の問題児となっていた。少女専用施設の山田先生(里見藍子)に身柄を引き取られるが、他人を拒絶するとみの頑なさと、彼女に優しく接する山田の態度が他の生徒から反発を招く。 ある日、とみは脱走した先で農家の幼い兄弟と出会い、その健気な様子に心を開き始め・・・。

2024.3.13 日本映画専門チャンネル録画。

 

解説で、信州ロケだが、施設のモデルは現在も北海道遠軽にある北海道家庭学校と思われる、という一文がありました。

peachredrum.hateblo.jp

peachredrum.hateblo.jp

家庭学校の話は見たことある。昔から何度も題材になってるのね。

 

原作 佐藤春夫

   坪田譲治

   冨澤有爲男

 

脚色 如月敏

   黒川愼

 

演出助手 市川崑

 

キャストの中に進藤英太郎があった!

 

東京少年審判所

控室

赤ん坊をおんぶした母親などがいる。

 

山田先生:里見藍子…字幕水色

 

四辻学院の山田先生が小田切とみを引き取りに来た。

 

田切とみ、16歳。父親は分からず、7歳で母と死別。9歳で曲馬団に入る。叔父に食い物にされていたが、その後、芸人から足を洗い、奉公などに出る。性格は粗暴、放浪癖もあり。

 

とみは一切しゃべらず、山田と青森行きの汽車に乗っていた。栃木で一旦、水を汲みに下車した山田が再び汽車に乗り込むと、とみはいなくなっていた。電車が走り出し、ホームに立っていたとみは汽車を追いかけ、乗ることができた。

 

汽車を降りて歩き出すと、とみが走って逃げた。追いかける山田。

 

四辻学院

四辻院長(菅井一郎)はすぐによくなると太鼓判を押す。

peachredrum.hateblo.jp

「麥秋」では紀子の父。

 

みんなが集まるところで自己紹介するように言われたとみだが、一言も発せず、四辻が代わりに名前を言った。

 

朝食後、農作業。とみがサボって寝転がっていると生徒たちに囲まれたが、とみはしゃべらずに立ち上がる。モンペ姿の足が長い。

 

信州が舞台と言うけど、農夫の訛りは東北っぽい。

 

「あんたは啞(おし)かい? つんぼかい? この学校には決まりがあるんだよ」と再び囲まれる。「この人のびっこはだてじゃないんだよ」と放送禁止用語のオンパレード。木下恵介アワーだって無音にせず普通に流してほしいよ。

 

裁縫の授業。先生が教室を抜けると、生徒たちがしゃべりだす。お嫁に行く人もいるんだね。先生にかわいがられなきゃダメという話から、とみが山田に目をかけられていることをからかう梅の木。とみは突然キレて、梅の木にビンタ、取っ組み合いの喧嘩になる。仲裁した四辻が今は戦争中でお国のために一針でも多く縫えと注意する。

 

夜中、起きたとみは職員たちの会話を耳にする。先生たちは、とみに寛大で山田をかばういい子だと話し合っていた。

 

校内を歩いていたとみは壁に掲げられた「食前ノコトバ」を目にする。

 

我幸ニ皇国ニ生レ、

四恩ノ恵ミニヨリテ、

コノ美シキ食ヲ饗ク。

ツゝシミテ食ノ來由ヲ尋

ネテ味ノ濃淡ヲ問ハジ。

ツゝシミテ食ニ感謝シテ、

品ノ多少ヲ選バジ。

 

とみは静かに読みながら目を潤ませる。

 

翌朝、とみは食前の言葉を一緒に言うことはなく、隣に掛ける梅の木に足を踏みつけられていた。山田に訴えかけるように視線を送ったが何も言わなかった。

 

音楽の時間。生徒たちは「村の少女」を歌う。

村の少女

村の少女

  • provided courtesy of iTunes

最初は山田のオルガン演奏で歌っていた生徒たちがとみを見て歌わない人がいるなら歌いませんと歌うことをやめると山田は唱歌はやめましょうと教室を出て行った。

 

とみは梅の木をボコボコにして逃げ出した。

 

すぐに駐在や駅に電話する四辻。16歳くらいで大柄…高峰秀子さんは158cm。

 

森の中をニコニコ歩き出すとみ。野原に寝転んだりしていたが、帰り道が分からなくなった。

 

夜になってもとみが帰らず、山田は心配する。

 

とみは木の下で大きな声で歌ってみた。ようやくここで声を出した。映画開始から1時間近く経過している。

 

田切とみ:高峰秀子…字幕黄色

 

山の中をさまよい歩いたとみは目を覚まして岩を登り、山頂で日の出に手を合わせて泣いた。斜面を滑り下り、森の中を歩くと小屋が見えて、小屋まで歩き、中に入り、勝手に囲炉裏の鍋からご飯を食べた。幼い兄弟が戻って来て、ご飯が少なくなり「あんちゃん食べなよ」と譲り合う姿を見て「あたいが食べたんだよ」と姿を現したが、安心したのか子供たちが話している間にとみは寝てしまった。

 

とみが目を覚ますと、外は嵐で兄弟は目張りをしたりして家を守っていた。母は亡く、父は権十郎という熊を狙う猟師で米がなくなる頃に帰ってくると言う。

 

嵐が去り、とみは少年とマイタケを取りに外へ。ある日は、とみが布団を干し、兄弟は背中に薪をたくさん抱えて帰って来た。

 

雨の日は家の中でワラジ作り!? 弟の勘二は、お父ちゃんが帰ってこないと嫌だと泣き、兄弟に父ちゃんが帰ってくるまで、ここにいてくれとお願いされた。この兄弟、目がくりっくりでかわいい顔してる。

 

森の中をとみと兄弟で歩いていると物音がして熊じゃないかと恐れたが、ひょっこり姿を現したのは馬で一匹でいたら死んじまうぞと群れのいるところまで追いやった。とみは馬に乗れるぞと兄弟の前で馬に乗った。曲馬団にいたんだもんね。

靴が鳴る

靴が鳴る

  • 森の木児童合唱団
  • チルドレン・ミュージック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

3人で「靴が鳴る」を歌う。「おやじ太鼓」でも亀次郎が歌ってた。

peachredrum.hateblo.jp

今日は姉ちゃんがご飯を作るぞと張り切るが、米は尽きかけていた。

 

学院に駐在が来ていた。最近、村で米や味噌など食べ物が盗まれていて、犯人は15~16の娘じゃないかと噂されていた。

 

とみはお芋をもらってきたと囲炉裏で焼いて兄弟に渡し、姉ちゃんはお腹いっぱいと食べなかった。

 

ある朝、駐在や山田は村の青年たちと山狩りをすることにした。川で顔を洗っているとみを見つけて追いかける一行。とみは子供たちの家に入り、食糧を置いて出て行こうとしたが、子供たちが行かないでとすがりつき、一緒に小屋を飛び出した。

 

山田が小屋に残っていると子供たちの父親の松次郎が帰って来た。おお! 松次郎が進藤英太郎さんだ! 猟師スタイルだけど、ヒゲだしあまり変わらない。よく見ると若いし、やせてるけど。松次郎も子供たちを捜す。

 

勘一、勘二が武男と洋二くらいの年齢かも!?

 

とみと対面した松次郎は逃げると撃つぞと空に猟銃を放つ。子供たちが父の姿を見つけた。松次郎にすがりついて泣く勘一、勘二の姿をじっと見ているとみも涙を流し、森の中を歩き出した。森の中で倒れている山田を見つけたとみは「先生! 先生!」と揺り起こした。目を覚ました山田は、また逃げようとするとみをビンタ。とみは山田に抱きついて泣いた。

 

農作業する生徒や四辻院長。とみや山田も真面目に作業していた。

 

畑の向こうで子供たちが「姉ちゃーん」と呼ぶ。駐在と松次郎もいる。松次郎は和服で短髪。とみは整地された畑を「ごめんなさい」と言いながら駆け抜けて、兄弟の元へ走った。(終)

 

もっと学院内で友情を育む話かと思ったら違った。山田先生は儚げな美人で不良少女たちに太刀打ちできそうな気がしない。

 

でも、松次郎親子が「おやじ太鼓」での回想シーンと重なり、見てよかった。

peachredrum.hateblo.jp

戦時中のせいか若い男はほとんど出てこなかった。