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【ネタバレ】日曜劇場#46 母の童話(脚本/橋田壽賀子)

1967年7月30日 TBS

 

あらすじ

商科大学を卒業して一流銀行に勤めて約1年。原因不明のままに突然光を失った伸明(山口崇)は、苦しい闘病生活の甲斐もなく約2年後には完全に失明してしまう。それ以来、伸明は外に出ず、部屋に閉じこもったまま日々を過ごしていた。そんな彼を盲学校へ通わせたいと願う母・あさ(杉村春子)は、昔のように息子に童話を読んで聞かせて、閉じてしまった心を開かせようとする。1年後。意を決して盲学校中等部に入学した伸明は、点字の勉強を始めて、日に日に明るさを取り戻していった。目が見えていた頃の自分と今の自分を比べて苦しい気持ちになることもあったが、どんなときも母・あさは伸明の目となり足となって彼を支えた。しかしその母も、次第に年老いてきてしまい…。

www.tbs.co.jp橋田壽賀子さんの単発ドラマって珍しい気がする。白黒作品

 

「五味あさ

   伸明」

という表札のアップから。

 

母親のあさが息子の伸明に童話を読み聞かせていた。伸明は目が見えなくなって荒れている。

 

北海道札幌盲学校入学。あさがべったりつきそう。伸明の父親が高校3年生のときに亡くなっているため、家を売って盲学校のそばに引っ越して暮らし始めた。白杖を嫌うため、母親が付き添っていた。明日から白杖で行こうとあさから言っても、母さんという立派な杖があるからいいじゃないかとつっぱねる。他人から盲人と思われたくないせいだった。

24歳で盲学校の中等部に入り、点字のあいうえおから習い始めたが、それが惨めだと伸明は愚痴る。伸明は自分が視覚障害者だと認めたくない。あさは、そんなこと言ったって、あなたはメクラなのよ!と連発。壽賀子節だなぁ〜。

 

夜、布団を並べて寝ていると、伸明に本を読んで欲しいと言われ、童話を読み聞かせると、伸明は涙を流して聞いていた。

 

翌日、伸明は白杖を持って学校に通い始める。隣の席の子に点字の読み方を尋ねたり、視覚障害者用バレーボールをした(それぞれコートに立ちボールを転がす)。

 

バレーボールでケガをして、あさに手当てされながらも伸明はイキイキし始めた。周りの生徒たちが皆明るいのは、目が見えない同士、コンプレックスなく話せるからだといった。

 

中等部卒業後は、あんま、はり、きゅうを学べる専科しか進路がない。大学まで出たのに人の体触るなんて!と伸明はまだ前の自分にこだわっていたが、母がたしなめた。

 

家に帰ってきて、あさに「びっこひいてるね?」とささいな不調にも気付くようになった。はりも自分で打てるようになり、感謝され患者さんからもらったクラシックコンサートに二人で出かけることになった。

 

伸明は音楽に夢中でパンフレットを膝から落としてしまい、隣に座っていた若い女性が拾ってくれた。幕間にあさから女性に話しかけ、コンサートの切符の取り方を教わるため、女性に住所を教えた。

 

伸明にも恋人がいたが、目のこともあって別れた? 元恋人から結婚したという手紙が届き、あさは隠していたが、伸明は祝いの手紙を書くと吹っ切れている様子。

 

卒業論文のアンケートのため、ある会社を訪れた伸明。その会社にコンサートで話した女性が働いていて、伸明宛てに音楽会の切符も添えて手紙をよこした。伸明はなぜか不機嫌になり、行かないと言い張った。

 

しかし、あさは体調を崩してしまった。伸明は母のために食事を作り、洗濯もした。それだけできるならコンサートに行って手紙をくれたナツコさんに会ってきなさいと言った。行って断ってくる!と伸明は言っていたけど、ナツコさんとはちょっと話しただけなのに結婚相手に仕立て上げられてない?!

 

女性と対等に話すことができないと言っていた伸明だけど、対等に話しましょうとナツコが言ってくれ、クラシック音楽の話で盛り上がる。あさは二人きりにさせたいがための仮病だったが、見事にハマり、伸明は「手も引いてくれない、冷たい女だ」と特別扱いしなかったナツコのことを楽しそうに語った。

 

いよいよ卒業という日、自宅には「五味治療院」という看板が置かれていた。そこに盲学校の村川先生が訪ねてきて、市の福祉課で盲人のカウンセラーをして欲しいと言われた。卒論が認められたせいだった。

 

ナツコが卒業祝いの花束を持って訪ねてきた。玄関先で楽しそうに話す二人の明るい笑い声を背にあさは村川先生に頭を下げる。

 

初出勤の日、伸明は白杖を手にし、玄関をでるときには「母さん、ありがとう」とお礼を言った。心配で後をつけ、交差点で手を上げ歩いていく伸明の背中を涙をこらえて見守るあさだった。(終)

 

おぉ〜! さすが橋田先生! よくまとまってたし面白かった。ナツコさんとはどうなったんだろう? ただ母子べったりなので、今は「ナツコさん」と優しく呼びかけてるあさが伸明たちが結婚した途端、豹変するんだ!とか想像してしまったよ。ナツコさんも負けてないだろうなぁ〜。

 

TBSチャンネルのあらすじの下の方の関連番組に橋田先生が脚本を書いたいくつかの作品も紹介されたけど見たくなりました。1時間ドラマは映画や2時間ドラマを見るよりハードルが低くて見やすい。北海道放送制作のドラマばかりじゃなく他の日曜劇場もやってくれないかな。恋愛モノより家族モノが好きです。

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↑これなんて岩手が舞台じゃないか! これとほぼ同時代の岩手を舞台にした「夏の故郷」が農家の嫁取りだったけど、こっちは出稼ぎで夫が都会に出てるパターンで、面白そう。 「夏の故郷」は変に田舎を桃源郷のように描いてなくて面白かった。

peachredrum.hateblo.jp