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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(104)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)は懸賞手記「私の八月十五日」の執筆を始める。終戦の日玉音放送をめぐって、当時女子放送員だった元子たちは生命を賭けた。それは鮮烈な青春の思い出だった。しかし、さまざまな感情が湧きあがり筆が進まない。思いつめる元子に、正道(鹿賀丈史)は一番書きたいことだけを書けという。のぼる(有安多佳子)、恭子(小島りべか)、悦子(渡辺佐和子)たち同期女子放送員の証言も聞き、元子は再び書き始める。

今日も回想祭り

彦造…森三平太

キン…菅井きん

金太郎…木の実ナナ

立花…渥美国泰

喜美代…鳴海和世

和世…菊地かおり

房江…沢田知子

芦田…平沢公太郎

田中少佐…江角英

青年将校清水宏

     湯浅洋

     池上明治

鈴木上等兵…木村栄

トシ江…宮本信子

宗俊…津川雅彦

 

ダイニング

原稿用紙に向かう元子。

 

元子は懸賞手記「私の八月十五日」に向かって執筆を開始していました。

 

一旦、原稿を書くのをやめ鍋をかき混ぜる。

 

元子「暑かったのよ…。とにかくあの日は暑かった…」

 

回想シーンは白っぽいフレームがついている。

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・トラックから降りてきて日本放送協会に乗り込む兵隊。

 

そうです。あの日は朝から暑い日でした。当時、日本放送協会の女子放送員だった元子たちは終戦玉音放送を巡って心臓の凍るような体験をしたのです。

 

・銃剣を突きつけられる元子たち。

元子「芦田さん!」

芦田「大丈夫、本日も晴天なり」

回想ここまで

 

庭を見ている元子。外には洗濯物が干されている。セミの声。

元子「本日も晴天なり…。あれは陛下のお声が無事録音できたのサインだったんだわ。そして…」

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玉音放送「朕(ちん)深く世界の大勢(たいせい)と帝国の現状とに鑑(かんが)み、非常の措置を以(もっ)て時局を収拾せむと欲し、茲(ここ)に忠良(ちゅうりょう)なる爾臣民(なんじしんみん)に告ぐ」 

 

玉音放送は声だけで茶の間のテーブルの原稿に向かう元子。

 

回想

立花「これで全ては終わった。明日から何が始まるか分からないが、とにかく戦争は終わったんだ。まあ、いろんなことがあったが…いや、ありすぎたが、みんなよく放送員として頑張ってくれた。放送員室長として、みんなに感謝します」

立花を見つめる元子。

回想ここまで

 

元子「その前夜から、私たち放送員は、この終戦玉音放送を無事終了させるまで命を懸けたといっていいだろう。それは忘れられない青春の日の鮮烈な思い出である」

 

声だけの回想

宗俊「冗談じゃねえよ! ここまで来て戦争やめられてたまるかってんだ!」

 

彦造「ああ、そうだとも。みんな天皇陛下万歳って死んでったんだ。陛下だって、そうやって死んでった兵隊さんたちに顔向けできねえはずじゃねえですかい。こりゃ絶対謀略です」

 

フレーム付き回想

彦造「せめてソ連が攻めてくる前(めえ)にやめてりゃ、正大若旦那だって、すぐに帰(けえ)れたはずだ。せめて去年中にやめてくれたら、あんた、金太郎ねえさんだって、どこで骨になったか分かんねえみたいな死にざましねえで済んだんですぜ。この責任、一体誰が取ってくれんですよ、チキショー!」

回想ここまで

 

元子「金太郎ねえさん…」

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回想

ショールをかぶった金太郎が頭を下げて去って行く。

回想ここまで

 

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回想

彦造「わしゃ嫌だよ。わしゃ勘弁できねえよ。あの大空襲の時だって赤ん坊をしっかり抱いたまんま黒焦げになった仏をこの手で片付けながら、お国のためだ、成仏してくれって、俺は言ったんだ。それが今、ここで戦争が終わったなんて涼しい顔して言ったなら、わしゃ、あの仏さんに何て言い訳したらいいんだね。え、どうなんですよ!」

宗俊「彦さん!」

回想ここまで

 

原稿用紙は茶の間のテーブルの上。元子は洗濯物を取り込む。

 

「私の八月十五日」それを絶対に書こうと思い立ったものの湧き上がってくるさまざまな思いに元子の筆は乱れて思うようには進みませんでした。

 

夕方、ダイニング

ダイニングテーブルで原稿に向かう元子。

大介・道子「ただいま」

元子「お帰り」

大介「おなかすいてるんだ。ごはん、まだ出来ないの?」

元子「出来てるわよ。すぐ食べれるからね、手ぇ洗ってらっしゃい。よいしょ」テーブルの上に鍋を置き、お椀に盛り付ける。「さあ、ペコペコなんでしょう。頂きましょう」

大介「これだけ?」

元子「そうよ」

大介「どうして?」

元子「どうしてって?」

大介「いいよ、少しぐらいなら待つから」

元子「待つって何を?」

大介「おかずだよ」

元子「ああ、おかずはないのよ。これ、すいとんなんですもの」

道子「すいとん?」

元子「うん。戦争中はね、みんな、こんなふうだったの」

道子「ふ~ん」

元子「さあ、食べてごらんなさい。おいしいんだから」

 

大介「…」

元子「大丈夫よ、お肉も入ってるし、お野菜だって、たっぷり入ってるんだから。でもね、戦争中はね、こんなぜいたくなすいとんなんてなかったのよ」

道子「ふ~ん」

元子「ほら、このおだんごだってね、こんな真っ白い粉なんかなくて、ふすまとか代用粉とかいってね、黒くてパサパサしてたし、おつゆの味なんか、さつまいものつるだったり、雑草だったりしたことだってあるんだから」

 

大介「だけど何で今、僕はこんなもの食べなきゃならないんですか」

元子「こんなもの?」

大介「うちじゃ、お母さんが勉強するの、お父さんが賛成なんだから僕たちだってひと言も文句言ったことないし、道子だってお手伝いに協力してたつもりだよ」

元子「分かってるわよ」

大介「だったらこれからのことあるんだから変な言い訳しないでよ」

元子「何怒ってんの、大介は」

大介「書き物で時間がなかったらなかったと言ってくれればいいじゃないか。それをなにも急に戦争中のまねなんかして、やり方が汚いよ」

 

元子「バカ言いなさい。お母さん、なにもまねなんかしてないわよ。ただ戦争中のことを思っただけよ」

大介「だからどうしてさ」

元子「ごめんね。お母さん、説明不足だったみたい」

大介「弁解なんか聞きたくない」

元子「でも聞いてほしいのよ。お母さんね、今、8月15日のこと書いてるのよ。それでね…。大介」

大介「僕の夜食用のインスタントラーメン自分で作って食べるから」

元子「ちょっと待ちなさいよ。おかずなら冷蔵庫にソーセージだってあるのよ。でもね…」

大介「箸が入ってなかったんだよ、今日の弁当に」

元子「えっ」

大介「僕はまずいものが嫌だとか言ってるんじゃないんだ。けど、お母さんでしょ。僕たちだって、ちゃんと学校へ行って、ちゃんと勉強してるんだから、お母さんだってやることちゃんとやってほしいな」

元子「大介…」

 

夜8時半過ぎ、茶の間に1人いる元子。

 

大介を連れてきた正道。「さあ。大介には、よく話といたよ」

大介「ごめんなさい」

元子「お母さんもお箸忘れたのごめんなさい」

大介「それじゃ」席を立つ。

 

正道「うん。あ~」

元子「どうもすいません」

正道「君の気持ちも分かるけどね、いきなりすいとんってのは、ちょっと時代錯誤じゃないか?」

元子「時代錯誤…?」

正道「子供たちにとってという意味だけどね」

元子「でも、私、分かってもらいたかったの。私がこれからは地道に物を書いていくって言った時、あなただっておっしゃってくれたわ。親たちはどう生きてきたのか私たち2人の記録も書いてもらいたいって」

正道「言ったよ」

元子「だったら…今度の手記は、まさに私たち夫婦の出発の記録でもあるわけだわ。だから、私たちは、あの時代どんな暮らしをしてきたのか、それも分かってもらいたかったの。大介たち中学生は学校の勉強もできず工場へ行って兵器をつくらされていたこと、それもみんな…みんな分かってもらいたかったのよ」

正道「うん…。お茶いれようか。コーヒーがいいか」

元子「あなた」

 

ダイニングに移動

正道「ちょっと思い詰めすぎてるようだな」

元子「だって、私…」

正道「うん…いかに書き表そうかっていう思い詰めと、あのころ、いやおうなく体験した思いの熱さとがこんがらがってるんだ。君らしくないぞ。そりゃ、時にはカ~ッとした勢いで書いた方が迫力があるかも分からんけれども、今度の場合は、あのころの自分を突き放してみたらどうだ。そりゃあれもこれも全部書きたいんだろうけれども枚数制限だってあるんだろ。としたら、自分が一番書きたいことだけを書けよ。あとは自分の記録として残しておけばいいじゃないか。まして、賞金目当てでやってるわけじゃないんだし」

元子「そうよ。賞金目当てなんかじゃないけど、でもあの8月15日、少なくとも私たち放送員は既に敗戦を知っていたし、それをいかに全国民に告げるかということに全生命を懸けたか18年前のあのことを知ってもらいたいと思うんです」

正道「だったらそのことを書けよ。終戦放送の瞬間に凝縮した自分自身を書けばいいじゃないか。まあ、金太郎さんのこととか正大君のことは折を見て子供たちに話せばいいし、あとは自分の歴史として書き記しておけばいいじゃないか」

 

書きたいという一心だけで思うように書けず焦っていた元子は、正道の言葉にある方向がぼんやりと分かってきたような気がしました。

 

モンパリ

恭子「私はね、あの日のこともだけれど、その前の日、立花室長が私たちを集めて、反乱軍がもしピストルを突きつけて、あくまで戦うという原稿を読めと言ったら、その時は読みなさいっておっしゃったとことが強烈だった。あの時、私たちは死んでも読まないって言ったけれど、室長は自分を大切にしろ、そうおっしゃったのよね」

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悦子「そうね。あの時代、初めて聞いたような言葉だったものね」

のぼる「うん。だから私は自分を大切に生きなければって今日まで生きてきたような気がする。だって、人間は一人では生きられないんですもの。自分を大切にするっていうことは一緒に生きていく相手をも大切にするっていうことですものね」

 

洋三「書きなさいよ、ガンコ。時間切れまで幾とおり書いたっていいじゃないか。そのうち必ずこれだけはってものが洗い出されてくるはずだよ」

のぼる「そうよ。頑張ってよ、ガンコ」

悦子「納得するまで。今月いっぱいなんでしょう? 締め切りの朝までかかったっていいじゃない。私がお清書に駆けつけるわよ」

元子「ありがとう。私、書くわ」

 

寝ている正道が起き上がる。

 

元子はダイニングで原稿を書いていた。

 

元子と正道が寝てる部屋はダイニングの隣の茶の間だったんだ!? 

 

あの8月15日の放送員室のことを元子はひたすらに書いていきました。

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

そういえば、木の実ナナほどの大物があんな序盤にいなくなるはずがない。似たような銀太郎を出したのも木の実ナナが降板したからだという説をツイッターなどで見かけたことがある。

 

今のドラマを見慣れた感覚だと行方不明=いずれ見つかったり、今後の伏線みたいに思うのだろうけど、「マー姉ちゃん」でもシベリアに行った植辰の息子は結局帰ってこないまま最終回を迎えたし(あの頃は最終回に帰ってくるのだろうと思ってたけどね)、行方不明は行方不明なんだよ。金太郎と銀太郎は全然違うと思うけどなあ。

 

ツイッター上だと大介みたいな生意気な口利く子供の肩を持つ人が多いのに驚いた。部活終えて帰ってきた中学生男子がすいとんだけじゃガッカリするよねえ。箸がなかったら惨めだよねえ。…えー!? 

 

元子の作ったすいとんは戦時中の代用食を忠実に再現したものじゃなくて肉や野菜も入ってるんだよね。のっぺ汁と何が違う? 私の地元の郷土料理にすいとんがあって、日常的に食べているから、元々、大介のイメージするすいとんと大きな乖離があるのかな? 以前、バラエティ番組で、すいとんを貧乏人が食べる料理と言ってた人もいたからいいイメージがない人の方が多いのかなあ? 

park.ajinomoto.co.jp

しかし、あんなキレなくてもいいじゃんって思ってしまう。親にあんな口利くなんて信じられない。専業主婦なんだから家のことちゃんとやれよってあの年代から思ってるなら、大人になってそりゃ何もしないわけだ。昭和25年生まれでしょ。今、70代だもんね。後々、学生運動にハマる世代かな。

peachredrum.hateblo.jp

peachredrum.hateblo.jp

学生運動してた人たちは戦争をした親の世代をバカにしまくってて、全くいいイメージがない。その世代のごく一部の人だけどね。

 

だけど、いきなりすいとんなんか出した元子が悪い、大介がかわいそうって感覚には、私はどうしてもならないな~。