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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(103)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

元子(原日出子)が応募した童話が新人賞の第二次選考に残った。モンパリの洋三(上條恒彦)と絹子(茅島成美)は、早くも大喜びで、元子自身も浮足立ったが、その後、朗報は届かなかった。大介(中村雅紀)が、お母さんはこりずに応募する、とヒヤかすと正道(鹿賀丈史)は、そういう態度はお母さんに失礼だと叱る。参加するだけでも意義があると強がっていた元子だが、週刊誌の懸賞手記募集「私の八月十五日」を見つけて…。

オープニングにて

回想として

立花…渥美国泰

本多…山本紀彦

芦田…平沢公太郎

川西…富田浩史

沢野…森田順平

田中少佐…江角英

のぼる…有安多佳子

恭子…小島りべか

悦子…渡辺佐和子

喜美代…鳴海和世

和代…菊地かおり

房江…沢田知子

懐かしい名前がずらり。当時から(回想)表記があったんだな。

 

大原家茶の間

手紙を読んでいる元子。

トシ江「元気そうにやってんだろ。だから私はあの子を信じてるって、そう言ったんだよ」

元子「ちょっと…待ってよ、今、読んでる最中なんだから」

トシ江「四国は陽気がいいし、魚もおいしいなんて、まあ本当にのんきなこと言っちゃって。けどね、今になって順平が藍や染めの勉強するとは思わなかった。フフ…でね、彦さんのうるさいったらないの」

元子「どうして?」

トシ江「藍は向こうが本場かもしれないけど、染めは本場も何もないって。こちとら8代続いた吉宗の磨き抜かれた腕がそろってんだって、まあ、ほっとけば順平を迎えに行きそうな勢いなんだもの」

 

元子「でも、順平はいろんな職人さんに会いに行ったんで、別に紺屋の弟子になったわけじゃないのよ」

トシ江「だから私もそう言い聞かしてんのよ、フフフ…」

元子「それにしてもとぼけてるわよね。人(しと)にさんざん心配かけといて、私にはね『姉さんにもよろしく』って、ひと言書いてあるだけなのよ」

トシ江「それはしかたがないわよ。何たって新米は下働きだってしなくちゃいけないし、いろいろ忙しいんだもの。こんな手紙書く時間作るのだって大変だったんだからね」

 

やっぱり母親にとって息子は特別なんだと思う瞬間。私にも男きょうだいがいるから分かる。母にとっては娘は気安い存在だけど、息子は特別なんだよね。

 

元子「で、その後、河内山のあんばいはどうなの?」

トシ江「う~ん、それが変わらないの」

元子「ふ~ん」

トシ江「まあね、おなかん中じゃ何思ってんのかよく分かんないんだけどね、けど、ふだんと変わらないの」

元子「大した役者だこと」

トシ江「そりゃ、私のご亭主だもの」

元子「まあ」

笑い声

 

電話が鳴る。

元子「あっ、ちょっと待ってね」

トシ江「分かってるわ、分かってる。すぐ帰るって、そう言ってちょうだいな」

元子「はいはい…。はい、もしもし、大原です」

洋三「おめでとう、もっちゃん!」

元子「え?」

 

モンパリ

洋三「あんた、やったじゃないの。え? 何のことだか分からない? またまた~。あんた『児童と文学』に応募したんだろ? えっ? ああ、今月号読んでないの? 何だ。あのね、今、『児童と文学』の草柳さんが見えて、1冊置いてかれたのをね、パラパラめくっておったんだよ。そしたら、あんたの名前がありました。ガンコちゃんの名前が」←字幕は草柳なんだけど、くさなぎに聞こえる。

絹子「ねえ、第2次選考の候補者の中に大原元子の名前があったのよ。よかったじゃないの、おめでとう」

 

茶の間

元子「お母さん! ハハハハッ! ねえ、これ以上、ちょっとつきあってる暇(しま)なくなっちゃったのよ。本屋行ってね、本買ってこなくっちゃ」

トシ江「分かってるわよ。もうね、おいとまする頃だから」

元子「はあ~、でもやっぱり、私にもチャンス回ってきたのよね。ねえ、もし受賞したらさ、どのお着物着ていこうか」

トシ江「まあ…やれやれ。順平が終わったと思ったら、今度はあんたの番か」

元子「そうなのよ。ねえ、そこまで一緒に出かけましょうよ」

トシ江「はいはい」

元子「ほら…ほら、お母さんったら」

トシ江「はいはい…」

 

慌てて縁側の窓ガラスを閉める元子だけど、鍵かけた割にすんごい隙間空いてる。

 

そうです。今度は元子の番です。

 

夜、大原家

⚟笑い声

 

茶の間

元子「ねえ、弘美ちゃんも道子もこっち来たら?」

弘美「はい」

 

弘美…荒木律子さん。特に何の情報も出ず。同姓同名の人はいっぱいいた。弘美は大介の3歳くらい下かな? そうなると道子と大して変わりないか。

 

藤井「いやぁ、お義姉(ねえ)さんのことだから、いつかはこうなるんじゃないかなぁと思ってましたよ」

元子「まぐれよ、まぐれ」

藤井「いえいえ」

巳代子「それにしたって、いきなり候補作になるなんて大したもんよ。ううん、昔っから文才があったんだもの。むしろ遅いくらいだわ」

元子「まあね。整理しちゃおうかなと思ってたんだけど、駄目でもともとって思って応募しただけなのよ」

藤井「冗談じゃありませんよ、そんな」

巳代子「だんだんよくなる法華の太鼓ってね、順平、お姉ちゃん、そして今度は祐介さん」

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前は元子が「だんだんよくなる法華の太鼓」発言をしてたけど、藤井が初登場したあたりだったか。完全に怪しい男としか思ってなかったな~。

 

元子「あら、祐介さんも何かに応募なさったんですか?」

藤井「いやぁ」

巳代子「まさか」

藤井「とんでもない、とんでもない。いやぁ…いろいろ応援してくれる人がいるもんですからね。そろそろ今の代理店から独立しようかなって考えてるところなんですよ」

元子「まあ、そうだったの」

藤井「ええ。それで一度、お義兄(にい)さんとも相談しようかなと思ってるんです」

元子「大丈夫よ。祐介さんなら、きっと成功するわ。大原だって賛成だと思うわ」

巳代子「その時、私が腕を振るうからワ~ッとスタートパーティーやるつもりよ」

元子「まあ」

弘美「ねえ、その時、またお花のケーキ作ってね」

巳代子「ええ。みんなでうんと楽しくやりましょうね。ハハハ…」

 

藤井「さあ、頑張らないといけないね。おう、大介君」

大介「こんにちは」

藤井「こんにちは」

巳代子「ごめんなさいね、うるさくて、お勉強にならないんじゃないの?」

大介「いえ」

 

電話が鳴る。

大介「はい、もしもし…あっ、お父さん。事故!? はい、お母さんならいるけど」

元子「ちょ…ちょっと。もしもし、あなた!」

 

病院

正道「いや、僕じゃないよ。田村っていうね、若い者なんだけれども、今日は帰れそうもないな。うん、ご両親に連絡したらね、着くのは明日の夕方だそうなんだ。うん…それでね、すまないが、着替えをそろえて持ってきてほしいんだ。何せ1人暮らしだからね、新しい下着なんかは持ってないだろうし。うん、頼むな。それから、気が付いたものがあったら、そろえて持ってきてくれ。うん…すまないけども、東日本総合病院の305号室だから。それじゃ」

 

茶の間

藤井「いやぁ、お義兄さんの仕事も大変だな」

巳代子「だけど、大介ちゃんが『事故!』って言った時、私、もう、お義兄さんかと思ってドキンとなったわよ」

元子「若い人だっていうし、大したことにならないといいんだけれど。はい、これね…。そうだ、魔法瓶も持ってった方がいいかしらね」

藤井「いや、僕が運びますから荷物になっても構いませんよ」

元子「じゃあ、お願いします」

藤井「はい」

 

けが人の家族が駆けつけて正道がうちへ帰ってきたのは、次の日の夜でした。

 

ダイニング

正道「あ~、さっぱりした。ホッとしたよ」

元子「お疲れさまでした。でも、本当に大したことなくてよかったわ」

正道「うん、2週間の入院なんだけどもね、不幸中の幸いだよ。あれだけ注意してたのに足場からド~ンと落ちてね、もう駄目かと思ったけども、幸い肩から落ちたらしくてね、あれでもうヘルメットかぶってなくて頭でももろに打ってたら、それこそ一巻の終わりだよ」

元子「怖いわ」

正道「肩が外れてね、少しひびが入ってるらしいんだけれども、まあ、タフなやつだ。本当にあれで済んでよかったよ」

元子「本当にご苦労さまでした」

正道「うん。頂きます。あっ、それでね、今朝も全員集めて作業の前に大訓示垂れてな、ハハ…。おかげで久しぶりに自分でもびっくりするような大声出したよ」

元子「まあ」

正道「ハハ…」

元子「でも、オリンピック目指してこれからもっと忙しくなると思うんですけど、あなたも気ぃ付けてくれなくちゃ嫌よ」

 

正道「大丈夫だよ。あっ、それでどうだって?」

元子「何がですか?」

正道「ん? 祐介君がね、文学賞がどうとか言ってたぞ」

元子「ああ、あれ」

正道「うん」

元子「応募作がね、第2次選考まで残って候補者の中に残ってるっていうだけのことよ」

正道「いやぁ、それでも大したもんじゃないか。え」

元子「ええ、まあね。巳代子たちがあんまり大騒ぎしてくれるもんだから、つい私まで有頂天になってしまったけれど、ここまで残れたことだって大変なことなんだし、あとは騒がず、結果を待てばいいと思ってるの」

正道「そうだよ。児童文学一筋に営々と努力してきた人たちだっていっぱいいるんだし、そうあっさり元子が金的射止めるってのは難しいよ」

元子「ええ。あ…それとね、祐介さん、近々独立するかもって」

正道「ほう、彼も頑張るなぁ」

元子「ええ」

 

庭で洗濯物を干している元子は外を走る自転車の音を気にする。

 

気にしないとは言いながら、新人賞の受賞通知を期待して、元子のソワソワした日がどのくらい続いたことでしょうか。

 

大原家玄関先

宏江「すると、次の授業参観日の時までに次のPTA会報が出来れば一番いいってことでしょう」

元子「うん、そういうことでしょうねえ」

宏江「ねえ」

久子「本当に、あの会長ときたら言えば、すぐ出来ると思ってんだから」

宏江「それはやっぱり大原さんのせいなんじゃない?」

元子「私の?」

宏江「だってパッパッパとまとめ方が早いから」

久子「ねえ。それに教頭先生もおっしゃってたわよ。今年度の会報はユニークで楽しくて分かりやすいって。私も絶対、大原さんが広報委員になったおかげだと思ってますもの」

元子「そんな…」

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この間、文章が苦手と元子に頼んだ富子さんは今日はいなかった。

 

自転車のブレーキ音

元子「あら、こっちで頂きますから」

郵便配達「はい、それじゃ、確かに」

元子「どうもご苦労さまでした」

郵便配達「どうも」

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郵便配達夫は、この間と同じ人だし、この間と同じ帽子かぶってた。

 

元子「何だ、保険の切り替え通知か」

宏江「何かいい便りでも待ってるみたい」

元子「あっ…いえ、別にそんなことないんですけどね。弟が旅行して回ってるもんですから何か言ってきたのかと思って」

 

そして、更に数日後、待ちに待った結果が新聞紙上に発表されました。

 

新聞記事

児童と文学新人賞決まる

 当選は中沢英一さん 佳作なし

 

第三回「児童と文学」新人賞の選考委員会が十八日午後四時からひらかれ、中沢英一さんの作品が受賞作に決まった。中沢さんの作品は、…

 

リビングで広げていた新聞をたたみ、買い物に出かける元子。

 

夜、大原家

ダイニング

正道「そうか…それは残念だったな」

元子「とんでもない。あなたのおっしゃるとおりよ。これでもし受賞でもしてごらんなさい。私はいい気になるし、それこそ営々と児童文学一筋にやってきた人たちに申し訳ないわ」

大介「無理しちゃって」

元子「無理なんかしてないわよ」

大介「でも本当は悔しいんでしょう」

元子「そうね…何となく、じらされてきたって思いもあるし、少しずつ駄目なものは駄目なんだって覚悟もできてたから」

大介「でも、また応募する気?」

元子「分かんないわ」

大介「お母さんのことだもの懲りずにするに決まってるさ」

 

正道「おい大介、それはどういう意味だ?」

大介「はい?」

正道「もし冷やかしてんだったら、それは、お母さんに対して失礼だよ」

大介「けどさ」

正道「いや、けども何もない。人が努力して、その努力の成果を世に問うってのは、そういうことなんだよ。それを冷やかしたりするのは、お父さん好きじゃないぞ」

大介「はい」

 

元子「オリンピックとおんなじよね。参加することだけでも意義があるし、楽しいじゃない」

道子「お母さん、オリンピックにも出るの?」

元子「えっ!?」

正道「ん?」

元子「まあ…」

笑い声

 

寝室

元子が布団を調えている間、立って週刊誌を読んでいる正道。「大介は時々、ああいう口のきき方をするのか?」

元子「あっ…時々ね」

正道「あんまり感心しないなあ」

元子「でも、言う時は言わせた方がいいんじゃないですか。そして、注意する時はする。いちいちやると、かえって逆効果だからって、学校の先生もそうおっしゃってたし」

正道「最近、あんまり一緒に食事する機会がないからかなあ」

元子「それはしかたがないじゃありませんか。それに物は考えよう。あの事故でけがをしたのがあなたじゃなかったこと、田村さんが無事退院されたことを思えば、あんまりいいことばっかり重なる方がおかしいし、怖いし」

正道「まあ、そうかも分からんな」

元子「さあ、どうぞ」

正道「うん」

 

元子が敷いた布団に横になる正道。「よいしょ…」

元子は正道が広げて置いた「週刊毎朝」をパラパラめくる。

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「週刊毎朝」はマチ子が「似たもの一家」や「新やじきた道中」を連載している雑誌でもある。

 

正道「ん? 何だい?」

元子「えっ、ええ…」

 

元子の開いたページ

「私の八月十五日」手記募集

 

元子「『私の八月十五日』…」

 

ここから回想

日本放送協会に乗り込んでくる軍人たち

・元子やのぼるは軍人たちに銃剣を突きつけられる

・ラジオの前に立つ立花室長、川西、沢野、16期生ら。喜美代=犬張り子、和代=掛け算、房江=? 

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玉音放送の解説を終えた本多に水を出す元子と水を飲む本多

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回想ここまで

 

ぼんやりしている元子。

正道「元子」

元子「えっ…」

正道「どうしたんだよ」

元子「いえ、別に…。ねえ、あなたにとって8月15日って一体、何だったんですか?」

正道「僕の8月15日?」

元子「ええ」

正道「どうしたんだ、また急に」

元子「この週刊誌にね『私の八月十五日』っていう懸賞募集が出てるの」

正道「ふ~ん」

元子「『八月十五日、この日は私たちの年代にとって忘れようにも忘れられない日であるが、改めて私の八月十五日とは一体何なんだろう』って…。いろいろなことがあって、うちへ帰ってきたら、その晩、洋三叔父さんが『この戦争で生き残った者は死んでいった人たちの分まで生きる務めがあるんだ』って、そう言ってくれたのを覚えてるわ」

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正道「うん…まあ僕にも忘れられない一日だったけどね」

 

懸賞はどうでもいい。元子は、この手記を書いてみよう、いや、書かなくてはいけない、そう思いました。

 

つづく

 

16期生のエピソードとしては、NHKに残った恭子を軸に朝ドラにしたらいいのにと思ったけど、この手記が元になって朝ドラになるのなら、そりゃ近藤富枝さんがモデルになるだろうね。