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【連続テレビ小説】本日も晴天なり(34)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

8月15日早朝、元子(原日出子)が放送員室に飛び込んでくる。放送会館が軍隊に取り囲まれたのだ。着剣の兵隊たちが館内になだれこみ、将校が報道副部長に銃を突きつけて、「我々青年将校の気持ちを全国民に訴えなければならない」と放送を出すように命令する。当番の桃絵(麻生えりか)の機転で時間を稼いでいるうち空襲警報が出て放送局の電波がとまる。危機を乗り切った放送員たちは、正午、ついに玉音放送の時を迎える。

8月15日 早朝

 

放送会館前に軍人たちが降り立つ。「下車!」

トラックの荷台から十数人もの軍人が降りてきた。

 

廊下を走り、放送員室に入る元子。「軍隊が来たわよ!」

のぼる「今何時!」

元子「5時前! 宮中に録音に行ってた人(しと)たちは、ゆうべから捕虜になってたらしいの」

悦子「捕虜ですって!? それじゃ、ご詔勅は録音できなかったの?」

元子「分かんない。とにかく今、軍隊が」

のぼる「行こう」

 

軍人「止まれ! 誰か!」

軍人「誰か!」

元子たち一団に銃剣を突きつける。

のぼる「私たちは女子放送員です!」

田中少佐「報道部室はどこだ!」

恭子「3階です」

田中「よし、貴様ら部屋へ戻れ。戻ったら一切の出入りを禁ずる」

元子「芦田さん!」

芦田「大丈夫、本日も晴天なりだよ」

田中「黙れ! 勝手な私語を禁ずる。中西上等兵。こいつを連れてけ」

中西「はっ。はい!」

田中「鈴木上等兵

鈴木上等兵「はい!」

田中「後を頼んだぞ」

鈴木「はい!」

田中少佐たちは階段を上っていく。

 

鈴木「よし、行け! 止まれ! どこへ行くか!」

本多「報道部へ」

鈴木「報道員か」

本多「そうです」

鈴木「よし、行け!」

 

田中「鈴木上等兵

鈴木「はっ」

 

元子「(小声で)大丈夫かしら。5時からの放送準備は女学校から来てる彼女一人のはずよ」

鈴木「私語を禁ず!」

元子「はい!」

鈴木「行け!」

 

放送室

一人でいた桃絵のところに田中少佐たちが入ってくる。

田中「貴様は誰だ」

技術部副部長「この者は勤労学徒の女学生です」

田中「その女学生が何をしてる」

部長「掃除です。放送前の掃除を…」

桃絵「いいえ、私は今、放送開始のテストをしていました。私は調整の助手ですから」

田中「では、放送は出せるんだな」

桃絵「はい、準備完了しましたので」

田中「よ~し、では今から放送をする」

 

桃絵「あっ、で…でも」

田中「自分が責任を取る。私の命令に従えばいいんだ」

桃絵「はい、でも今、情報の発令中です」

田中「関係なし」

桃絵「でも、発令中の放送は全部東部軍でやっています。ここからはできないんです」

田中「何?」

桃絵「つまり、このスタジオでお話になっても電波は向こうに切り替えられていますので、お話は伝わりません」

田中「そうなのか」

部長「そのとおりです」

 

うそです。これはこの女学生のとっさの機転でした。

 

あったまいいな~。こういう機転の利く人に憧れます。

 

ドアが開き、川西たちが入って来た。

桃絵「放送準備完了しましたが、今、情報の発令中です。東部軍から電波が戻るまでここで待機した方がよろしいでしょうか?」

川西「いや、準備完了なら部屋へ帰ってていいよ。解除になるまで何時間かかるか分からんからね」

桃絵「はい」

 

田中「いや、ここを動くな」

川西「しかしですね…」

田中「我々は放送しなければならんのだ」

川西「しかし、目下当放送局から電波が出ていないんです」

田中「だから、そこをなんとかしてくれ。我々、青年将校の気持ちを全国民に訴えなければならんのだ。頼む」

川西「ですから、電波が出ていないと申し上げてるんです」

 

鈴木「放送はまだですか!」

田中「電波が出とらんというんだ」

鈴木「そんなバカな! だってここは放送局でしょうが!」

田中「頼む、たとえ5分でも10分でもいい。電波をこっちへ戻してもらってくれ。頼む」

川西「我々にはどうすることもできません」

田中「我々は決死の覚悟で頼んでいるんだ!」中西に銃を突きつける。

鈴木「頼む!」

 

川西「分かりました。では、こうしていただけませんか。東部軍司令部と放送局には直通電話があります。それで、直接許可を取ってください。東部軍司令部が許可を出せば、多分、電波は回してもらえると思います」

田中「よし、直通電話はどこだ」

川西「ご案内します」

 

放送室を出たところで本多と中西がすれ違う。

 

田中少佐 江角英

鈴木上等兵 木村栄

技術部副部長 坂本由英

↑キャスト表と顔を見ながらセリフ起こししたけど合ってる!? もう一人、中西と放送室に入って来たシャツの人が坂本由英さんっぽいけどセリフないし、桃絵と一緒にいたシャツの人はキャスト表にそれらしい役名もない。

 

とっさの出来事にみんな話を合わせられるのもすごいなあ。

 

放送員室

時計は午前5時35分ごろ。

 

のぼる「放送開始が30分遅れてる。どうやら大丈夫らしいわ」

元子「まさか彼女、脅かされたり、ひどい目に遭ってるんじゃないでしょうね」

恭子「とにかく何かで手間取ってることは確かよ」

悦子「本多先生、大丈夫かしら」

のぼる「それより、ご詔勅の録音がとれたのかどうか、それが心配だわ」

 

元子「大丈夫、それはとれたと思う」

のぼる「ガンコ、どうして分かるの?」

元子「調整の芦田さんが言ってたわ。『本日も晴天だ』って」

恭子「そういえば、確かにあの時」

元子「あれは、うまくいったという意味に間違いないと思うの」

恭子「ということは、その録音盤もご無事だということなのね」

元子「多分」

 

悦子「けど、正午の放送でしょう? それまで反乱軍はここを占領してるのかしら」

のぼる「それは分からないけれど、録音盤さえご無事なら生命ビルの地下放送室からだって放送できるんだし」

 

空襲警報

房江「空襲警報よ!」

恭子「助かった。これで本当に放送局の電波は止まるから、彼らがどう脅かしたって、もう無駄よ」

元子「どういうことなの。空襲警報が出て、ほっとするなんて、こんなバカなことってあるかしら」

 

ラジオ「関東地区、関東地区、空襲警報発令。関東地区、関東地区、空襲警報発令。警報終わり、以上。続いて、東部軍管区…」

 

のぼる「敵が味方で味方が敵だったわね」

元子「今日まで命懸けで戦ってきて…。まさか、おんなじ日本の兵隊さんから銃剣を突きつけられるとは、私も思ってもみなかった」

 

喜美代「本多先生」

本多「よ~し、みんな無事だね」

悦子「異常ありません」

元子「軍部の人たちはどうしていますか?」

 

本多「正午の放送は日本の運命を決める。だから、彼らにマイクを渡すことは絶対にできないからね。川西君や企画部の副部長が粘れるだけ粘って、直接司令部に電話をかけさせたんだ。しかし、司令部は拒否したんで諦めて帰ってったよ」

恭子「本当ですか!」

本多「ああ。会館を占拠している部隊も間もなく引き揚げるだろう」

元子「よかったぁ。それで録音盤はご無事なんですね」

本多「ご所在は、はっきりしないが今のところ某所にご無事であることは確かだ」

のぼる「そうですか」

 

この軟禁状態も反乱部隊の引き揚げと警戒のために別の部隊が到着したため、解除され午前7時21分、定刻より2時間21分遅れて8月15日の放送は開始されました。

 

放送室

川西「謹んでお伝えいたします。かしこきあたりにおかせられましては、この度、詔書をかん発あらせられます。かしこくも天皇陛下におかせられましては本日正午、御自ら、ご放送あそばされます。まことに恐れ多き極みにございます。国民は一人残らず謹んで玉音を拝しますように」

 

茶の間

ラジオから川西の声が流れる。「国民は一人残らず謹んで玉音を拝しますように」

 

トシ江「陛下がご自身でご放送!?」

巳代子「シッ!」

 

ラジオ・川西「なお、昼間送電のない地方にも正午の報道の時間には特別に送電いたします。また、官公庁、事務所、工場、停車場、郵便局などにおきましては手持ち受信機をできるだけ活用して国民もれなく厳粛なる態度で、かしこきお言葉を拝しえますようご手配願います。ありがたき放送は正午でございます。ありがたき放送は正午でございます。なお、今日の新聞は都合により、午後1時ごろ配達されるところもあります…」

 

絹子「驚いたわ…。陛下がご自身でご放送あそばされるなんて」

巳代子「本当にラジオから陛下のお声が流れるのかしらこんなことって初めてでしょう」

トシ江「当たり前じゃないか。何てったって天皇陛下は神様なんだもの。だけど、神様の声ってどんなお声なのかしらねえ」

 

かもいの上に飾られた額に入った昭和天皇香淳皇后の写真を見上げる。

 

絹子「私だって想像なんかつくわけないわよ」

巳代子「でも、どういうことなのかしら」

トシ江「これは案外、戦争をやめるっていうんじゃなくて、その反対だわね」

絹子「反対?」

巳代子「えっ?」

 

トシ江「そうですとも。もし重大放送だったら元子やビラのようなことがあるかもしれないけど、陛下がご自身でご放送ということは、これはいよいよ本土決戦だから国民一緒に死んでくれって、そう、おっしゃられるに相違ないわよ」

絹子「義姉(ねえ)さん」

巳代子「もう! 警報が出てるのに、どうでも様子見てくると出かけちまって、お父さんも彦さんも放送まで帰らなかったらどうするのよ」

トシ江「しかたなじゃないか。何たって、ゆうべの空襲は熊谷だったんだもの。順平とおキンさんにもしものことがあったらどうすんだい」

絹子「うちの人もどうなるのかしら。明日は戦争が終わって無事に帰されるもんだとばっかり思ってたのに…」

トシ江「えらいことだわ、本当に」

 

ラジオ・川西「…ありがたき放送は正午でございます。なお、今日の新聞は都合により午後1時ごろ配達される…」

トシ江たちの会話中もずーっとBGM代わりにしゃべっていた川西さん。

 

巳代子は昭和天皇の写真を見上げる。

 

トシ江「巳代子!」

巳代子「はい」

トシ江「洗濯物干すからちょいと手伝って!」

巳代子「あっ、はい!」

 

重大放送があろうと家事はしないといけないんだもんねえ。

 

午前11時 詔勅の録音盤は無事、放送会館に到着。

 

録音盤に頭を下げる人々。録音盤を白手袋で持つ。

 

しかる後、放送のため、第8スタジオに運ばれました。

 

軍人たちが廊下の両端に立つ中、録音盤を掲げて歩いていると、一人の軍人が急に「それが終戦の放送なら、たたっ切る!」と銃剣をむけた。

憲兵隊は何をしてる!」

「放せ!」

憲兵隊、連れてけ! やめろ!」

録音盤を持っている人を守るようにほかの人が盾になりながら、放送室へ。

 

吉宗前

友男「暑いよ。放送は部屋の中で聴いたっていいんだろ」

東島「いやいや、部屋ん中は、まずか。恐れ多くも…」

 

小芳「帰ってきたよ! 帰ってきたよ、おかみさん! 早く行って!」

 

巳代子たちはラジオを店のスペースに移動。

 

路地

トシ江「順平! 順平!」

順平「お母ちゃん!」

彦造「あ~、ハハハ…」

トシ江「まあ、おキンさんも2人とも無事で本当によかった」

キン「とんでもございませんですよ。一番安全な所へ逃がしていただいたのに、まあ、お預かりした荷物のほとんど出せなくて…」

彦造「それはもういいって旦那が言っただろ」

キン「だってさ…」

 

宗俊「まあまあまあ、な。命あっての物種だ。とにかく間に合ってよかった」

友男「おう」

宗俊「お前、天皇陛下の玉音をよ、聞き損なってみろ、こりゃ、末代までの恥だ」

友男「さっきからハラハラして待ってたんだ」

 

宗俊「すまねえ、すまねえ…。おっ、ご隠居さん。何だい、胸にビラビラなんかつけちゃって今日はバカにおめかしじゃねえか、え」

芳信「当たり前ですよ。本来ならば紋付きはかまであってしかるべきなのに警報中だからそういうわけにもいかず、せめて儀礼章でもつけなくてはもったいなすぎます」

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ちょっと検索するとヤフオクやメルカリに出品されてるものもあってびっくり。

 

宗俊「いや~、しかし、バカに暑いな今日は。殊によ、え」

東島「おう、みんな日射病にならんごと、ご放送が始まるまで日陰に入っとったらよか」

小芳「おキンさん、玉音の最中にぶっ倒れでもしたら大変だから、さあ…」

 

吉宗の中へ

キン「ありがとうございますよ。何ですか、もう、ゆうべから気が立っちまってね」

友男「無理もねえよ。順ちゃんと2人じゃ心細かったろう」

キン「へえ、何しろ夜中のことですし順平坊やに万が一のことがあったら申し訳立たないと、私はもう夢中で…」

百合子「はい、おキンさん」

キン「はい、ありがとう存じます」

絹子「兄さん。はい、彦さんも」水を出す。

宗俊「ああ、どうもどうも…。(水を飲む)ああ、やっと人心地ついた」

 

ラジオのブザー音

 

東島「おっ、みんな整列! 整列じゃ!」

宗俊「はいはい、外だ、おい」

 

ラジオのブザー音

 

東島「気を付け! 脱帽!」

 

ラジオ「東部軍管区情報、一つ、敵艦上機、約250機は3波に分かれ、2時間にわたり主として飛行場、一部交通機関、市街地に対し攻撃を加えたり。二つ、11時までに判明せる戦果、撃墜9機、撃破2機なり。情報終わり」

 

宗俊「やった! 見ろ、やったぞ!」

芳信「やったやったって、あんた、相手は250機だよ」

宗俊「てやんでぇ、これからお前、本土決戦のご放送が始まるんだ。な。その前にまず何機でも血祭りに挙げて、ときの声だ」

 

ラジオのブザー音

 

ラジオ「東部軍管区情報、ただいま、本土上空に敵機なし」

 

宗俊「見ろってんだ、え」

 

ラジオ「千葉、茨城両地区、関東海面は警戒警報発令中なるも東部軍情報一時中止す。情報終わり、以上」

 

東島「気を付け!」

 

放送員室

本多、沢野、川西、16期生がラジオの前に立つ。

 

ラジオ・本多「ただいまより重大なる放送があります。全国聴取者の皆様、ご起立願います」

 

つづく

 

明日も

 このつづきを

  どうぞ……

 

私にとっては興味深い内容ですが、当時の視聴者的にどうだったんだろうねえ? 

これまで日本映画専門チャンネルなどで放送してたかもしれないけど何となく避けていた。でもいつか機会があったら見よう。できれば旧作。