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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(130)「山があるから...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

晴子(田畑智子)の病院の部下・東條祥吾(山口智充)が、夜中に突然、レントゲン写真を持って徳永家にいる晴子を訪ねてくる。治療方針を決める会議の前に、晴子の所見を聞きたいという。祥吾は、病院の中で晴子だけを信用しているのだ。また、由利子(邑野みあ)の夫の清二(中村靖日)が、健次郎(國村隼)に会いに来る。由利子はこのところ仕事が忙しく、夫婦の会話が少なくなっていることを不安がっているのだと話すが…。

徳永医院・診察室

レントゲンを見ている祥吾と晴子。

祥吾「ここんとこ。ここ…僕、気になるんですよ。血管陰影か骨折線か鑑別が難しいんですよね」

晴子「また勝手に撮ったの?」

祥吾「お風呂場で転倒して右大腿部骨折してる患者で、頭は打ってない言うてるんですよ。でも右腕にしびれがあるちゅうのと、ちょっと舌がもつれるて言ってるんです」

晴子「鎮痛剤のせいやないの?」

 

祥吾「山城先生もそうおっしゃってました。けど、何か気になったんで『頭部CT撮った方がいいんじゃないですか?』て言ったら『その必要はない』て言わはるんで」

晴子「それで勝手にレントゲン撮ってうちへ持ってきたの?」

祥吾「会議前に徳永先生の所見、聞きたかったから。これ、どないです?」

 

晴子「これは骨折線やないと思う。硬膜外血腫は、ないと思うよ」

祥吾「え?」

晴子「多分違う」

祥吾「そうなんですか」

晴子「納得したん?」

 

祥吾「いや、徳永先生がそう言いはんねやったら。僕、今の病院で徳永先生の言うことだけは何か信用できるんです」

晴子「何で? もっとベテランの先生、いっぱいいてはるでしょ?」

祥吾「うん…『何で』…。何やろ…。勘かな?」

晴子「勘?」

 

そして、翌朝

 

手洗い場

町子「あ~あ!」

 

健次郎「おい。おい!」

 

町子「うん?」

 

診察室

診察台で寝ている祥吾。

健次郎「君! 起きて」

祥吾「あ…。あ…おはようございます」

町子「あ~!」

 

祥吾「ここ、どこですかね?」

健次郎「徳永医院や。何してんの? 君」

祥吾「徳永医院…。あっ!」

 

茶の間

晴子と並んで朝食をとる祥吾。

晴子「しゃべってるうちに眠り込んでしもて起きひんから」

健次郎「言うといてくれな。びっくりしたがな」

祥吾「すいません。2日続きで当直してましたもんで…。このおこうこメチャメチャおいしいっすね」

町子「そうですか。ありがとうございます。あの…あの、もしよかったら、おみそ汁お代わりどうぞ。どうぞどうぞ」

祥吾「すいません」

町子「はい」

 

健次郎「海外で医療活動してはったんやて?」

祥吾「ネパールの山奥の村です。村に1人しか医師がいてへんとこで、ろくな医療設備も整ってないんですわ。子供の死亡率も高いとこです。何でもそろってるこっちの病院とはえらい違いますわ。まあでも、検査一つで手続きやハンコやいうて今みたいなまどろっこしいシステムがない分、自分の決断で素早い治療できましたけどね」

晴子「『郷に入れば郷に従え』言うでしょ」

町子「はい、どうぞ!」みそ汁のお代わりを持ってくる。

祥吾「すいません」

 

町子「ネパールて確かヒンズー教の方が多いんですよね?」

祥吾「去年、民主化運動があって政府が新しなったんですけど、まだまだ田舎の方は病院が少ない感じでしたね」

由利子「お子さんたちもご一緒に?」

祥吾「はい。日本人学校あったんですけど、うちは地元の学校に通わしてました」

晴子「(軽く手を合わせてごちそうさまのジェスチャー)私、もう行くから。行ってきます」

町子「行ってらっしゃい」

 

祥吾「僕も一緒に出ます。(ごはんをかき込む)もったいないな…。すんません。ごちそうさまでした。あの、突然、お邪魔したうえ、ごちそうになりまして、えらいすいません!」

町子・健次郎「いえいえ」

祥吾「じゃ、失礼します!」

町子「行ってらっしゃい」

健次郎や由利子も「行ってらっしゃい」。

 

由利子「あ…」

健次郎、町子、笑う。

由利子「子持ちかあ…」

健次郎「何や?」

由利子「晴子叔母ちゃんとええ感じや思たのに」

健次郎「人のことより、お前、自分のことやろ」

由利子「分かってます」

 

そして、その夜遅く…

 

茶の間

由利子「ただいま」

町子「あっ、お帰りなさい」

由利子「はあ~、しんど! お父ちゃんは?」

町子「往診」

由利子「そう…」

 

黒電話が鳴る。

町子「はい、もしもし、徳永でございます。あっ、由利子ですか? はい。いつもお世話になっております。ちょっとお待ちくださいませ。会社、会社…」

由利子「あ~、ありがとう」

町子「はい」

 

由利子「はい、もしもし、私…あ~山本君。お疲れさん。うん。ああ、神戸店の件…。今、先方からかかってきた? さっきまで待ってたのに…。そう、明日までやの。あかん。支店長では判断無理よ。専務は? もう帰った…。うん、分かった。ファックス送ってくれる? ちょっと待ってね」

町子「あ~、番号。こっち側の電話にそこ書いてるでしょ」

由利子「ありがとう。もしもし? 言うよ。937の308。ほな一旦切るよ。よろしく」受話器を置いてため息。

 

町子「お仕事もめてんの?」

由利子「次から次からほんまによういろいろあるわ」

 

誰もいなくなった茶の間でビールが入ったコップをはじく由利子。

 

そして、翌日の昼休み、由利子の夫が健次郎に会いに来ました。

 

応接間

健次郎「で、話はしてんの?」

清二「昨日も電話でちょっと話、したんですけど『ちょっと考えさせて』て言うばっかりで…」

健次郎「ああ、そう」

清二「僕がうかつでした。後先考えんとパッと決めてしもて」

健次郎「けど、2年で帰ってくるつもりなんやろ?」

清二「はい」

健次郎「2年ぐらいやったらなあ」

清二「僕も正直大丈夫やと思てたんですけど、ところが意外に由利子の方が不安がって…」

健次郎「不安?」

 

清二「実はこのところ彼女の仕事が忙しなって、帰りも遅いし、休みも日曜ではなくなってます。2人で顔を合わせて食事することも少ななってるんです」

健次郎「ああ…」

清二「結婚当時は、ようしゃべりました。彼女、よう言うてたんです。『うちの家では「夫婦はしゃべるのが基本や」言われて育った』て。そやから会話の時間が少ななって、由利子はちょっと不安になってたんでしょうね。そんな時、僕がこんなこと急に言いだしたもんやから…」

健次郎「う~ん…そうか」

 

昼、茶の間

町子「けど、やっぱりドイツは遠いわ」

和代「そういうたら、あんたら結婚しても別々に暮らしてましたなあ。最初、お母ちゃん、ほんまびっくりしたわ」

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町子「え? 何で?」

和代「そりゃびっくりしますがな。普通やあらしませんもん」

町子「まっ、そらそやね」

和代「大丈夫やろと思たけど、大丈夫やったわな」

 

町子「うん。フフフ。あ~、そうそう、みすずたちね『どんだけもつか』いうて、結婚式の日に賭けしてたんやって。『1年半かな? 2年かな?』って」

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純子「そうなんですか?」

町子「うん。けど、こんだけもったんやもんね、私の勝ちやわ。何か回収せえへんかったら気分、悪いね」

純子「そうですよね。大先生と町子先生、別居結婚だったんですもんね」

町子「そう」

ニッコリ笑顔の和代。

 

廊下

町子「そう。清二君、そう言うてはったの」

健次郎「何や、不安がっとるんやて」

町子「しゃべる時間がなくなって不安か…。考えたら、やっぱり由利子ちゃんて生真面目な子なんやねえ」

健次郎「変な強迫観念持たんでもええのにな」

町子「うん…」

 

若子「先生、お願いします」

健次郎「はい。ほな」

 

その夜も帰宅が遅い由利子でした。

 

仕事部屋

原稿を書いている町子。こうして何度も何度も仕事をしている場面を描いているのがいいよね。「ゲゲゲの女房」もそうだけどさ。

 

由利子「お邪魔します」

 

町子「は~い!」

由利子が顔を出す。

町子「あっ、お帰りなさい!」

由利子「お父ちゃんは?」

町子「たこ芳」

 

由利子「今日は一緒に行かへんの?」

町子「うん。おばちゃん、ず~っと仕事詰まっててな」

由利子「ますます忙しいねんね」

町子「フフフ」

由利子「小さい頃、私、『この人ら忙しいのに毎日毎日ようしゃべってるな』思てた」

町子「もうそら、はたから見たらおかしかったんやろね」

 

由利子「あっ、ごめん。ファックス送りたいのやけど、借りてもええ?」

町子「あ~、どうぞ」

 

ほうほう、この部屋にFAXがあるんだね。

 

町子「あっ、そや。お昼にね、清二さん来はったよ」

由利子「うん。電話で聞いた」

町子「そらもう、なかなか答えて出せへんわね」

由利子「おばちゃん、私ね…」

町子「うん?」

 

由利子「仕事、もう辞めてもええかな思てんの」

町子「辞める?」

由利子「仕事辞めて、私も一緒に行く」

町子「決めたの?」

由利子「はい」

町子「そう…」

 

ファックス送信完了の音

町子「ねえ、由利子ちゃん」

由利子「はい」

町子「由利子ちゃんがそれでええんやったらええんやろけどもね…。でもおばちゃん、もったいないなあて気するわ」

由利子「え?」

 

町子「そら、2年後にね、こっちへ戻ってきてやね、仕事しよ思たらできるやろけども、けど、今、この年齢やないとできないってこともあるでしょ」

由利子「そやけど、今、1人で行かせて2年も離れてしもたら、私ら、あかんようになってしまいそうで…」

町子「そんなことであかんようになんの?」

由利子「え?」

 

町子「おばちゃんらもね、最初、結婚した時、ほれ、別々に住んでたでしょ」

由利子「覚えてる」

町子「うん。おばちゃんかていろいろ迷たよ。けど、先のことを考えたらね、今、ちゃんと別居しとかなあかんなと思たの。何でも無理したらあかんよ」

 

その翌朝でした。

 

茶の間

健次郎、町子、晴子で朝食。

町子「由利子ちゃん、遅いね」

晴子「ゆうべ、私、遅うに帰ってきたら、まだここで本読んでたけどね」

町子「え?」

健次郎「本?」

晴子「うん」

健次郎「ふ~ん」

町子「ふ~ん」

 

本を3冊持った由利子が茶の間へ。「おはよう」

町子「あっ、おはよう」

由利子「おばちゃん、ごめん。勝手におばちゃんのエッセー集、借りた。ありがとう」

 

本のタイトル

・私の大阪万華鏡

帯 大阪の人情や笑いを著者の印象深い体験を通して綴ったエッセイ集

岩秋書店 ¥400

↑何となくタイトルが似ている。これは戦時中の話らしいけど。

 

・女ふたりつれづれ日記

芋たこおでん

 

町子も小さく頭を下げる。

由利子「これ読んだら『お父ちゃんと結婚した時、どんなこと考えてたか』て、よう分かった。今日…家、帰る。お世話になりました」

健次郎「それはええけども…」

由利子「まだな、どないしたらええのか自分でもよう分からんのやけど、これ読んだらおばちゃん、やっぱり楽しそうに好きなことしてるな思た。大事なもん2つ以上持ったら、やっぱり大変やいうことも改めてよう分かった。私たちはどないしたらええのか、もういっぺんよう考えて、あの人ともしゃべる」

町子「よう考えて、ようしゃべって」

 

ミニ予告

晴子「私が行って横取りするわけにはいかへんのよ」

 

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そういえばふと思い出した。このドラマは昭和43(1968)年秋から昭和44年春までやっていたドラマで雄一は独身男性が会社内で応募できる海外留学を目指して勉強しているときに、敬子に出会って好きになってしまう。

 

雄一は留学試験に合格してカイロへ行くことが決まり、敬子とは2年後に結婚することを約束。敬子は2年も会えないんじゃ寂しいと自分の会社(旅行会社)のローマ支店に行くことを決意した。結構、この時代に斬新だよね。海外留学に行けるのは独身男性という条件だから、そもそも女性は連れていけないんだけどね。

 

由利子はどんな決断を下すのだろう。

 

そういえば、私が好きな2000年のフジドラマ「お見合い結婚」は、主人公が海外赴任が決まったけど妻帯者じゃないといけないということで急きょ、お見合いをするという設定だったな。2000年だとお見合い結婚はかなり珍しい。男女3対3の感じもその当時としてはもう少し昔のトレンディドラマみたいで懐かしいと思って見てました。

うわっ、懐かしいがDVD出てないの!? いしだあゆみさんがヒロイン・松たか子さんの母役で、岩本多代さんが主人公・ユースケ・サンタマリアさんの母でした。