公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
湾岸戦争の報道を見て胸を締めつけられた町子(藤山直美)は、自伝の「楽天乙女」の戦前・戦中・戦後の時代を、今度は少年の視点から書くことにする。一方、仕事を辞めたくない由利子(邑野みあ)は、健次郎(國村隼)から臨機応変な夫婦の形のアドバイスを受けて清二(中村靖日)と今後のことを話し合い、由利子は日本に残って仕事を続けることになる。また、晴子(田畑智子)は部下の東條祥吾と交際を始めることに…。
昼、茶の間
町子「はい」お茶を出す。
和代「ありがとう」テーブルの上に新聞を広げて読んでいる。
町子「ねえ、お母ちゃん」
和代「はい?」
町子「ちょっとお願いがあるんやけれども…」
和代「はい?」
町子「まあ、ええわ。決まってからまた話、するわ」
茶の間を出ていく町子。
和代「何やの…。けったいな子」
仕事部屋
広げられた町子のノート
左ページ
日本文学だと
中原中也あたりか?
ディケンズの「大いなる遺産」
○…12歳年上の夫を持ち子供1人
○…読書好きで一時、小説家を…
○…加藤の影響で再びロマンス小説を書き…
息子
中川光男(24)
・大学四年生
・一浪して大学に入ったが、パチンコ、麻雀に明け暮れる
・…敬子たちと暮らしているが、ほとんど…を合わせない
・…たい事が見つからないどころか探そうとも
夫
中川…(60)
・敬子の夫
・敬子とは…
右ページ
主な登場人物
☆加藤信佳(35)
○登山家(プロではなく建設現場で働き
山を登る為の資金をかせぐ)
○敬子が再び小説を書くきっかけになる人物
新友←親友の間違い?
吉岡友美(48)
○敬子の良き相談相手となる
○デザイナー
○早くに母親を亡くしている
○子供20才 18才
○20才 女 学校の先生をめざしている
○18才 男 父親と会話がまったく
中川トキコ 85才
姑となる
大体、こんな感じかな!? 所々読めないところもありました。
ノートを閉じた町子は新しいノートを広げ、真っ白なノートに何かを書き始める。
徳永医院
ドアが開く音
藪下「あ~、診療時間はまだ…」
晴子が待合室に座り込む。
藪下「晴子先生! どうしはったんですか?」
晴子「ああ…しんど…」
診察室
診察代で点滴を受ける晴子。「こんなに疲れてると思わへんかった…」
健次郎「もう年や」
晴子「ハードなオペやったからです」
健次郎「成功したんやな。よかった。で、手術するはずやった先生は納得して、お前に譲ってくれはったんか?」
晴子「最初は嫌がってはったけど、結局泣き落とし」
健次郎「えっ、お前が?」
晴子「ううん、東條先生」
健次郎「えっ!?」
晴子「最初は副部長相手にすごんでたのに、そのうち泣いて頭下げて『どうかこの若い患者さんの未来のために徳永先生に任せてください』て後で言うてた。『僕、患者さんのためやったら、どんなことでも恥ずかしない』て」
健次郎「男もそういう武器を使う時代か…」
晴子「おかげで患者さんの足は残せた」
健次郎「うん。なかなかええ部下やがな」
晴子「私は上司から厳重注意受けたけど」
健次郎「う~ん…。患者を助けてペナルティーか…。しかし、そういう武器を使える男の奥さんいうの、どんな人やろな?」
晴子「あ、東條先生、離婚してはる。子供を引き取って育ててはるみたい。ふだんはお母さんが見てはるんやて」
仕事部屋
何か書いている町子。
純子「おはようございます!」
町子「おはようさんです!」
純子「あ…先生、今日は打ち合わせは1件も入っておりませんので、どうぞごゆっくりお仕事なさってくださいませ」
町子「あの、純子さん」
純子「はい」
町子「『月刊陽春』の長編のことなんですけども…」
純子「『現代の家庭のさまざまな家族模様を』とおっしゃってました」
町子「主人公は主婦でね、ロマンス小説作家なんですけども…。私、思い切って変えてみよと思って…」
純子「は!?」
町子「主人公を夫の方にしようて決めたんです」
純子「え?…ということは12歳年上の定年を迎えた男性ということですか?」
町子「その男性のね、少年時代からず~っと書いてみたいんです」
純子「少年時代。ということは…えっ、戦前からですか?」
町子「戦中、戦後まで」
純子「ということは、先生の自伝のあの『楽天乙女』の時代を今度は少年の視点でということですか?」
町子「私ね、あの時代のことをもっぺんちゃんと書かなあかんなと思たんです。今、こんな時代やからこそ」新聞に載っていた湾岸戦争の少年兵士の写真を純子に見せる。
純子「もう一度…」
町子「健次郎さんと話をしてね、つくづくそう思たんです。お母ちゃんと久しぶりにね、話をして、ごはん食べて改めてそう思たんです。私はあの時代のことを忘れてはあかん。あの時代のことを何べんも何べんも書いていかなあかん。お母ちゃんにもね、あの時のことを改めて、話、聞こと思てるんです」
純子「先生…大賛成です!」
そして、その日の夕方
茶の間
健次郎「今晩また話、すんねんな?」
由利子「うん。あれからまだゆっくり話、できてへんし。たこ芳で待ち合わせしてる」
健次郎「そうか。『ねばならぬ』はヤボやで。そんなことにとらわれとったらあかん」
由利子「え?」
和代さんがこの前言ってたねと思ったらもっと前にも言っていた。
健次郎「『夫婦はこうあらねばならぬ』て誰かが言うたとしても、そんなもんに振り回されたらあかん。例えば、僕とおばちゃんのやり方は、あれは僕らのやり方や。お前らは、お前らのやり方を二人で探したらええ」
由利子「私らのやり方…」
健次郎「一人やのうて二人で乗り越えるんや」
由利子、何度もうなずく。
たこ芳
由利子「こんばんは」
りん「あ~、いらっしゃい」
板前「いらっしゃいませ」
清二「おう。今日は、はよ、あがらしてもろたんか? 忙しい時期なんやろ?」由利子のコップにビールを注ぐ。
由利子「うん。けど、そうさしてもろた」
清二「お父さんとこ寄ってたんか?」
由利子「うん…。『私たちのやり方があるはずや』て。お父ちゃんと町子おばちゃんね、結婚してしばらくは別々に暮らしてたの」
清二「そやったんやてな」
由利子「『小さい頃からの夢やった小説の仕事をきちんと続けたい。自分のしたい仕事と私たちの暮らしとどっちつかずになってしまうかも分からへんし』て。けど、その後で同居した。家事しながら小説もものすごい書いてた、ず~っと。それ見て私、『この人、すごい人やな』思たん覚えてる。けど、結局は一生できる好きな仕事を持つことが人生どれだけ幸せか…町子おばちゃん見て感じた。正直言うとね、私、今、仕事うまいこといってへんの。新しい店の店長も責任者も私が候補に挙がってたのに…ライバルがいたりして…まだ決まってへん。そんな時に『ああ、清二さんが行ってしもたら、家帰って誰もいてへんのやなあ』て、ふと思たの。『仕事で何かあって話したい時に一人なんやなあ』て思たら不安で…。けど、仕事辞めるのは自分らしくない…。私ね、お父ちゃんと町子おばちゃん見て、その中ですごい幸せに育ったから、そういう夫婦の形が一番や思てた。けど…今回、改めてお父ちゃんと町子おばちゃん二人が悩んで、そういう形を選んだいうこともよう分かった。その形ばっかりまねしてもしょうがないて分かったらね、楽になったの。私たちにとって、ええ方法を見つけなね」
おぉ~! すごい長台詞だったんだな~。見入ってたよ。
清二「そや。お父さんらのことにこだわることあれへんね。僕らは僕らや。僕らは2年ぐらいやったら大丈夫や。僕はそう信じてる。お互いに…いや、まず、自分のことを信用せな。なっ」
由利子「二人で…やっていったらいいんやね」
清二、うなずく。
こうして、由利子は日本に残って仕事を続け、清二はドイツに赴任することを決めました。
朝、茶の間
晴子「おはよう」
町子「あ、おはようさん」
健次郎「おはよう。お前、今日休みやろ。夕方から頼めるか?」
晴子「あ…」
健次郎「何や?」
晴子「今日、ちょっと約束あんね」
健次郎「え?」
町子「お仕事?」
晴子「仕事と言えば仕事やけど違うて言ったら違うかな」
健次郎「どっちやねん?」
晴子「病院の仕事仲間と会うんやけど晩ごはん食べるだけ」
町子「ほう…。まあ、そらたまにはゆっくり外でおいしいもんも食べんとね」
晴子、下を向く。
健次郎「何を言うてんや! うちの飯もうまいがな!」
健次郎をにらみつける町子。
朝食後、晴子はいなくなっている。
健次郎「デート!?」
町子「多分、そやと思うわ」
健次郎「そうかあ?」
町子「いや、それ言うた時にね、顔がポ~ッと赤くなったのよ。晴子さんのそんな姿て見たことあります?」
健次郎「ない」
町子「あの人やと思う、あの人。東條先生」
健次郎「え~っ!? な…何を…。お前、あれだけ迷惑かけられたてボロクソ言うとったんやで!」
町子「夜中に病院駆けつけてね、2人で一生懸命患者さん助けて、うまいこといって『やった! よかった! 助かった!』。同志愛生まれんの! 芽生えるのよ、同志愛が! 芽生えるの、同志愛ていうのが、そういう時!」
健次郎「何であんたがそないうれしそうやねん?」
町子「始まるよ!」
健次郎「え?」
町子「これから始まるよ! 始まるよ、これから! 始まるのよ~!」
健次郎「何やねん?」
町子「お仕事、お仕事!」
健次郎「え?」
町子「フフフフフフフ!」笑いながら部屋を出ていく。
健次郎「分からん…。デートか…」
仕事部屋
電話をしている町子。「先日、お話しいたしました、長編の連載のことなんですけれども、ええ…。内容をね、もう少し練り直してみたいなと…」
その日から町子は新しい長編小説に取り組み始めました。
そして半年。清志は山小屋の仕事を始め、由利子の夫はドイツに向かいました。晴子は東條と交際を続けており、そして…
応接間
本の表紙
戦の果てに
花岡町子
帯
「楽天乙女から二十年」
紛争絶えない現代社会に
戦争と平和を再び問いかける
花岡文学の金字塔
連載中から反響の大きかった町子の最新刊が単行本となって発売されました。
町子「すてきな装丁ですね」
純子「そうですね」
町子「はい」
川口「ありがとうございました。ゆうべ改めて読んで、また泣いてしまいました」
「田辺聖子 戦争」などと調べて、あらすじを読んだ感じだとこの本かな?
タイトルから想像しにくいけど、売れっ子のラブ・ロマンス作家を妻に持つ昭吾という男性が主人公で出版は1995年。
「ゲゲゲの女房」や「マー姉ちゃん」、「あぐり」など作家が出る朝ドラだとそのままの作品名が出てくることが多いんだけど、「芋たこなんきん」だけは微妙に変えてあったり全然違ったり、フィクション度合いが高いから?
その夜…
帰ってきた晴子。茶の間には健次郎と和代。台所には町子がいた。
晴子がただならぬ様子で帰ってきました。
ミニ予告
東條先生というよりぐっさんが打ち上げ花火の音まねをしていた。