徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(129)「山があるから...」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

結婚した由利子(邑野みあ)が徳永家に里帰りしたが、夫婦げんかで家を出てきたと町子(藤山直美)に打ち明ける。由利子の夫の清二(中村靖日)が、急にドイツに留学することを決め、デザイナーの仕事をもつ由利子は、簡単に会社を辞めて清二について行くわけにはいかず、由利子に相談もなく勝手に決めたことに憤慨したのだ。町子は、「たこ芳」で由利子と清二を会わせ、じっくり話し合いをさせようと試みるのだが…。

仕事部屋

 

純子「先生!」

 

町子「はい」

純子「失礼いたします」

町子「えっ、もうそんな時間? 陽春社の人、来てはるんですか?」

純子「いえ、そうじゃなくて、あの…由利子ちゃんが」

町子「え? 由利子ちゃん?」

 

昼、茶の間

町子「アハハハ! まあ、久しぶり!」

由利子「あっ、おばちゃん!」

町子「元気そうやないの」

由利子「うん。あっ、和代おばちゃん、引っ越してきはったんでしょ?」

町子「うん、そやの。今、お部屋コツコツコツコツ片づけてはるわ。ねえ、あの、ゆっくりしていけんの? お昼ごはん、どないやの?」

由利子「うん…」

 

町子「(由利子の傍らにある大きなボストンバッグを見て)あ~、どっか行くの?」

由利子「しばらくいてよかな思て」

町子「は?」

由利子「ちょっとおってもええ?」

 

町子「そりゃ『ちょっと』てあんた、別に里帰りは、なんぼし…。お仕事は?」

由利子「ここから行きます」

町子「ということは、ひょっとして…」

由利子「家出てきた。けんかして」

純子と町子のため息

 

由利子「おばちゃん、聞いてくれる!? 純子さんも!」

町子「何やねんな?」

由利子「あの人、私に何の相談もなしに1人でドイツの大学院に留学するて決めてんよ!」

町子「えっ?」

由利子「それも2年間。昨日の晩、急に言いだすねんもん。もう、びっくりした!」

 

純子「建築のお勉強ですか?」

由利子「そう。『ドイツで勉強したい』いうのは前から言うてたんやけどね」

町子「ドイツか…。ええなあ!」

由利子、にらむ。

町子「そんなにらまんでもええやないの。ほんであんたどないすんの? お仕事あんのでしょ?」

 

由利子「そこやね! そんな大事なことをひと言も相談なしに1人で決めてしまうやなんておかしいと思えへん? 私にかて都合があるんやから! 子供いてへんよって身軽や思てんのかもしれんけど、あんな勝手な人やと思わへんかった」

町子「ねえねえ、ちょっとまあまあ落ち着きなさいて。ねえ」

純子「昨日、ろくに寝てないんでしょ。ねっ、2階で横になったら?」

 

由利子「ううん。今日は午後出で新店舗出店の会議やの。あっ、ボストンだけお願い。2階の角部屋使ていい? そこ置かしといて」

町子「あ…」あきれたように大きなため息。

 

廊下

健次郎「それだけ言うて仕事に飛び出していきよったん?」

町子「うん」

健次郎「亭主は何て?」

町子「何も言うてきてない。ここにいてるのは分かってるんやろうけれどもね」

 

健次郎「ハハハ…。しかし、清二君もアホやなあ。そんなこと勝手に決めたら怒るに決まっとるがな」

町子「あの2人、うまいこといってないのかなあ…」

健次郎「う~ん…。それは分からんけども、うまいこといっとったらこんなことには、ならんわな」

町子「けど、お正月、2人で来た時、別にけんかしてる様子はなかったでしょ」

健次郎「あのな、正月に嫁さんの実家来て、つかみ合いのけんかするやつはおらんやろ」

町子「いてへんわなあ…」

健次郎「フフフ」

 

和代の部屋

テレビの音声「バグダッド街道沿いには多国籍軍空爆の跡が生々しく残されていました」

テレビを見ながら繕い物をしている和代。

町子「うわ~、きれいに片づいたね」

和代「うん」

町子「え~、何、縫うてんの?」

和代「花瓶敷きにしよ思てな」

町子「昔、お人形さんの着物、ようけ縫うてもろたねえ」

和代「空襲でみんな焼けてしもたけどな」

 

テレビから銃声が聞こえる。テレビに注目する二人。

 

テレビ画面のテロップ「巡航ミサイル トマホーク」

 

テレビ「またトマホークです。え~、こちらの時間で…バグダッドの時間で午前11時過ぎ。今度は西の方向から…」

 

和代「今もまだこんな大きい戦争して…。どんだけの子がお人形さん焼かれて泣いてんねやろな」

町子「女の子はお人形さん…。男の子かていろんなもん焼かれてしもたんやろね…」

和代「そら、そうや。大人も子供も…」

 

90年代なんて戦争ものも結構ふざけたのも多いし、太平洋戦争の記憶も遠くなったもんだと思っていたけど(お前は何様だ)、まだまだ戦争を知った世代も、今に比べれば多かったんだな。1995年に作られた「大地の子」もよかった。

peachredrum.hateblo.jp

peachredrum.hateblo.jp

三谷さんの脚本ではあるけど、平和ボケした日本人を皮肉っぽく描いたせいか、90年代の危機感のなさすぎる日本人が描かれている。

 

応接間

町子「あっ、お待たせしました」

川口「どうもお世話になります」

町子「こちらこそ。どうぞお座りください」

川口「はい。この度は長編連載お引き受けいただき、ありがとうございます」

町子「いいえ。長丁場ですから頑張ります」

 

川口「はい。早速なんですが、内容のお話、させていただいてよろしいですか?」

町子「はい」

川口「この前は以前の『よっこらしょ』のような家庭小説をというところまでお話しさせていただいたと思うんですが、その後、具体的な案というのは?」

町子「ええ。いやね、私もちょっといろいろ考えたんですけれどもねえ」

川口「はい」

町子「え~、あの、主人公はね、ロマンス小説を書いてる女性なんです。で、12歳年上の夫がいてるんですよねえ。うん」

 

診察室

貞男「あ~、イテテテテ…! そこそこそこ…そこ痛い、そこ痛い…」

健次郎「若い時と同じように無理したらあかんがな。湿布してあげて」

若子「はい」

貞男「もう身も心もボロボロやわ」

健次郎「え?」

 

貞男「けどやで、何であないに嫁と姑いうんはツンケンしあわなあかんねやろな」

健次郎「守君の奥さんとタエさんか?」

貞男「うん。うちのやつにしてみたらやで、嫁の言うことがいちいち気に入らん。それ、守に愚痴るやろ。嫁はまた守に訴えるやろ。ここんとこ毎晩のように夫婦げんかや。思えば、結婚当時、おふくろがいてた時分、俺もそやったわ。うまいこと、うちのやつの機嫌損ねんように日々、生きてた」

健次郎「今度は守君の試練やな」

貞男「子供言うてもな、夫婦の間のこと口出しすんのもなんやし、ほんま、難しいこっちゃ!」

健次郎「そら口なんか出したらあかんわ」

 

貞男「若子さんとこ息子さんまだ独身?」

若子「はい、まだ。けどね、結婚したら絶対同居はせえへんて言うてありますから」

貞男「はあ…そら、賢明です! なあ…」

健次郎「うん」

 

たこ芳に由利子の手を引いて歩く町子。「『もう』てあんた、子供やないねんから! はよ、いらっしゃい、はよ。ねっ」

由利子「話、したかて一緒やもん!」

町子「そんなことあらへんて。せっかく来てくれてはるんやから」

由利子「けど何でここで?」

町子「おいしいもん食べて、ゆっくりお話ししなさい」

 

たこ芳

板前「お待たせしました」

 

おー! 若い人がいる。りんさんは座っている。

 

町子「こんばんは!」

りん「あっ、いらっしゃい」

板前「いらっしゃいませ」

町子「入ってらっしゃい。お待たせしました。今、帰ってきたとこやの」

 

清二「すんません!」

 

清二は中村靖日さん。私はやっぱり「ゲゲゲの女房」の影の薄い同居人、中森を思い出すなあ。

 

町子「あとは2人でゆっくりお話ししなさい」

由利子「おばちゃんもいててよ」

町子「『おばちゃんもいててよ』てあんた…」

清二「お願いします」

町子「はあ…。ほな、ちょっとだけよ。ねっ。座って。はい、そこ座って。ありがとう」

 

清二「行きたかってん、ドイツの大学。夢やったんや。有名な建築家の教授にじかに教えてもらえるんやから」

由利子「何でそれを先に相談してくれへんの?」

清二「『行くな』言うんか?」

由利子「そんなこと言うてるんと違う!」

 

町子「ありがとう」板前から小皿を受け取る。

 

清二「前から行きたかったんや」

由利子「一緒に生活してる人間のこと、どう思てんの?」

清二「来たかったら来てくれたらええ。嫌やったらこっちにいてたらええね」

由利子「何でそんなええ加減な!? 行くねやったら、私、仕事、辞めなあかんねんよ!」

清二「分かってる…」

由利子「『行かへん』言うたら1人で行くつもり? それで平気やの?」

清二「平気やないけど…」

由利子「言うてる意味が全然分からへん!」

 

町子「ねえ、清二さん、あの、ちょっといいかな」

清二「はい」

町子「あんた、何やかんや言うても結局ドイツに行きたいんでしょ?」

清二、うなずく。

町子「由利子ちゃんね、今、会社で責任のある立場にいてる。会社も由利子ちゃんに辞めてもろたら困ると思うし、由利子ちゃんも今、仕事、辞めたくないと思うのよね。そうでしょ?」

由利子「うん」

町子「そこが難しいとこなんよ…。ねえ、おりんさん」

りん「うん?」

町子「うん?」

りん「うん?」

 

りんさんちょっと耳が遠くなった!?

 

町子「ううん、何でもないの…。今、私がね、2人に言えることは…。2人でゆっくり話、しなさい」

前のめりだったが、肩透かしを食った清二。

由利子「話したかて無駄です。私、もう、先、帰るわ!」

町子「いや、ちょっと待って、由利子ちゃん! ちょっとあんた待ち…」

店を出ていった由利子に頭を抱える町子。

 

清二「僕も帰ります。お勘定」

りん「あ、はい。おおきに」

町子「何でそれだけ聞こえんの?」

 

夜、茶の間

健次郎「それであっさり帰ったん? 清二君」

町子「はあ…。けどちょっと情けないねえ」

健次郎「え~、そうかなあ。そんな強引に連れてったら仕事、辞めさせることになるがな」

町子「けど、そういうことまで由利子ちゃんに任すっていうのは、私、ずるいと思うのよ」

健次郎「いや…それは判断を由利子に委ねとんねやから尊重してるいうことや」

 

町子「本人どやの? 清二君自身が一緒に行きたかったら由利子ちゃんにちゃんとそう言うべきなんと違うのかな?」

健次郎「それやけど、由利子かて仕事しとんのやから。なんぼ女の子やいうても、そんな簡単に辞められへんやろ。責任ちゅうものがあんねやから。それを男が『黙って俺についてこい』なんて、それはおかしいやろ」

町子「私、そんなこと言うてんのと違うの。一緒に来てくれたら、どんだけうれしいかなあって、私、ちゃんと表現してほしいて言うてるの」

健次郎「ふ~ん…。ほなあんた、それ、言うてやったんかいな?」

 

町子「言うてないよ。そこまで口出しすんのはヤボでしょ。それともあれかなあ…。もう1人で行くこと決めてるけど、よう言いださんのかなあ…」

健次郎「それやったらもうとっくに言うとるやろ」

町子「そうかな?」

健次郎「うん」

 

風呂上がりの由利子が茶の間へ。「もう、人の夫婦げんかまでお酒のあてにして飲んでる!」

町子「フフフ! あのちょっとお風呂頂いてきますわ。明日、締め切りなんやもん、おばちゃん。急がんとえらいこっちゃわ、もう!」

 

由利子「相変わらず仕事してしゃべって飲んで…やねんね」

健次郎「うん。飲むか?」

由利子「ううん、やめとく。明日も仕事やの」

健次郎「うん…。とにかく清二君とよう、話、しいや」

由利子「うん…。おやすみ」

健次郎「うん。おやすみ」

 

誰もいなくなった茶の間

晴子「ただいま」

 

町子「あっ、晴子さん、お帰りなさい」

晴子「ただいま。みんな、もう寝たん?」

町子「ええ。もう由利子ちゃんも…」

晴子「由利子? 由利子、帰ってきてんの?」

町子「ああ…晴子さん知らんかったんや。夫婦げんか」

 

晴子「情けない。夫婦げんかで実家に帰るやて、由子も芸がないなあ。どっか高級ホテルに泊まってルームサービスでもとってマッサージしてパ~ッと憂さ晴らしたらええのに」

町子「それ、よろしいね!」

晴子「けど結婚しても男と女て難しいもんやねんね」

町子「ほんまやねえ…。はあ…」

 

「ごめんください! 夜分にすいません!」

 

町子「こんな遅うに誰やろ?」

 

玄関

「すいません、徳永先生に!」

 

晴子「え?」

町子「急患や。ちょっと呼んできますわね」

晴子「あっ、ちょっと待って! どちら様ですか?」

 

「徳永先生ですか? あの、東條です!」

晴子「東條先生…」

町子「ああ…」

 

晴子が玄関を開ける。

祥吾「あっ、すんません、徳永先生!」

晴子「東條先生…。どないしたの?」

祥吾「あっ、ちょっと見てもらいたいものありまして。これです。写真です」

晴子「写真?」

 

町子「あの…晴子さんの病院の方ですか?」

晴子「例のドクター!」

町子「ああ…。あ、どうも」

 

晴子の部下が夜中に突然訪ねてきました。

 

ミニ予告

祥吾「このおこうこメチャメチャおいしいっすね」

 

改めて、ぐっさん、友近さん、板尾さんは2006~2007年を感じるキャスティングだな。この頃のテレ東のやりすぎコージーや新春特番が好きで年末年始は帰省するので、180分のVHSテープ(時代を感じる~)を3倍にして録画してたなあ。2007年、2008年は9時間生放送で、友近さんとぐっさんでデュエットとかしてたような。今後、一緒のシーンはあるのかな。

www.nikkansports.com

2007年に63歳役を演じていた藤山直美さんが2022年で63歳。たまたま今年再放送されたというのが面白い。國村隼さんも今年の11月で67歳で、今演じている年齢。

 

この方、「芋たこなんきん」本当に好きなんだな~。また記事が出てる。確かに私も当時の記事を探そうと思いましたがうまくいきませんでした。2006年だと個人のブログや知恵袋なんかは残ってたけど、web記事は見つけられなかったな。

 

BK(大阪)制作の朝ドラの方が深く好きになれる作品が多いんだろうな。AK作品は高視聴率になりがちだけど、毎朝見て、それで満足で終わるという感じ? でも、私にとっては「ゲゲゲの女房」は、そんな浅い作品ではないけどね。

 

正直言うと、「純ちゃんの応援歌」「芋たこなんきん」「カーネーション」は好きなんですが、数年前に再放送していたときに見ようと思った「ちりとてちん」は1話から見ていて、すごい根強いファンがいるのは分かっているのですが、どうもピンと来なくて挫折したんです。

 

だから、ツイッターで過剰にBK作品だけをほめちぎり、AK作品をけなす人たちが信じられない。もうちょっと公平な目で見られないもんだろうか。いや、その目線を現行朝ドラだけに向けてくれればいいのよ。私は現行朝ドラは見てないから、再放送作品だけが楽しみなのに…。