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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (138)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

翌日も陽子(尾後あすか)の熱は下がらないが、純子(山口智子)は旅館組合の集まりに出かけ、秀平(髙嶋政宏)が面倒を見る。純子が帰ってくると、陽子のそばには春男(長谷川アンドリュー)がいて、秀平は北海道へ行った、と言う。あき(伊藤榮子)も、秀平は慌てて出て行ったが、詳しいことはわからない、と言い、純子は電話を待つがかかってこない。三日で戻ると言っていたが、一週間後に帰ってきて、純子とは口げんかに…。

軒下には風鈴とてるてる坊主が下がっている。

 

秀平「これはぼく一人のものだ。誰にもやるもんか。たぬきさんが言いました」

布団に寝ている陽子の隣で自身も仰向けになり本を読み聞かせる秀平。自分で読んでいて眠くなっているのかあくびをしている。

 

純子「熱は?」

秀平「まだ38度7分ある」

純子「そう。秀平さん。ちょっと何かおなかに入れて寝た方がええんと違う?」

秀平「大丈夫、大丈夫。君、旅館組合の集まりあるんだろ? 行っておいでよ。陽子は僕が見てるから」

純子「すんません。何かあったら電話して。山田旅館で集まってるさかい」

秀平「うん」

 

春男「ええかのう」

秀平「おう」

春男「どうなん?」

秀平「ありがとう。心配しなくていいよ」

春男「わしは何をしたらええんかのう。できることがあったら何でも言うてくれの」

 

純子「おおきに。そやけど今のとこは別に手伝うてもらうこともないし」

純子も秀平も同時にあくび。春男も陽子も微笑む。

 

板場

あき「忙しいけど、まだアルバイトを雇うわけにもいかへんしな」

もも「甲子園の子ら来るんは、こいからが本番やさかな」

あき「まずは楓の間へ運んでくるな」

もも「すんません。ヨッちゃん、はよしてや」

ヨシ子「はい」

 

雄太「おっ、昼飯、そうめんか」

もも「あの、あんたらのこいや、雄ちゃん。こい持ってって」

雄太「これや」

もも「転げんようにしてや。気ぃ付けてな」

雄太「こぼさんようにな」

生徒「はい」

 

純子「ただいま」

石田「お帰りなさい」

 

純子が部屋に戻ると、春男が陽子の枕元に座っていた。

純子「ただいま」

春男「お帰り」

純子「秀平さんは?」

春男「えっ? 北海道行ったで」

 

純子「北海道? 何で?」

春男「わしには、よう分からんがの仕事じゃ言うてた」

純子「仕事?」

純子は驚き、部屋を出た。「お母ちゃん! お母ちゃん!」

 

浜風荘

清原先生とあきがお客様をお見送り。男性客ばかりの浜風荘に珍しい男女の客。

 

純子「お母ちゃん、秀平さん、北海道に行ったんやて?」

あき「そうなんや」

清原「どこからか電話がかかってきてね。一度は断ってたみたいなんだけども、すぐにまた2度目の電話がかかってきてね、急に」

純子「こんな時に行かんならん仕事て何やろ」

あき「それがお母ちゃんにもよう分からへんのやけど12時までに大阪空港に行かんならんのやいうて、えらい慌てて」

 

純子「いつ帰る言うてはった?」

あき「3日ぐらいで帰る言うて」

純子「3日?」

 

そして翌日のことであります。

 

板場

純子「おかしいなあ。北海道のどこにいてんのか電話ぐらいくれてもよさそうなもんやないの」

あき「忙しいんやろ、きっと」

もも「あの、3日て言われてたさか、明日には帰ってこられるのとちゃうか?」

純子「そうかもしれんけど…。どこの出版社の仕事やて言うてはった?」

あき「それをうっかり聞き漏らしてしもたんや。秀平さんもバタバタしてはったし」

純子「何で聞いといてくれへんのや。こっちから連絡もでけへんやないの」

 

ヨシ子「雄太さんら帰ってきはりました」

あき「ほんま」

 

浜風荘玄関

あき「お帰り。どやった?」

雄太「あかん、やられた。7対0でぼろ負けや」

純子「あかんかったん」

雄太「ベスト8が夢やったんやけどな」

あき「そやけどええやんか。4回戦まで行ったんやから」

 

もう一度外に出て見上げる雄太。後に続く純子。

雄太「目と鼻の先に甲子園が見えてるのやけど、あそこへ行き着くのは遠いなあ」

ほんとに甲子園のすぐそばにあるんだね。

 

純子「雄太。監督がそないなこと言うてどないするのや。来年の春もあるし、夏もあるやんか。おじいちゃんも言うてはったろ。山は偉大だが動けない。人は小さいけど歩いて人に会いに行けるて」

雄太「アフリカのことわざか」

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↑純ちゃん一家が大阪に行く時に清原先生からのはなむけの言葉。

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↑恭子が西川を追って東京に行く時も秀平に話していた。

 

純子「そうや。一歩一歩努力してたらいつかは甲子園にたどりつく。そう思うて頑張りや」

雄太「おおきに。おい、みんな荷物まとめとけよ」

一同「はい」部屋に行かずに玄関ロビーで泣いてたのか。

雄太「お姉ちゃん、宿泊費、清算しといてな」

 

あき「もう一息やったにな」

純子「そやな」

 

陽子の枕元で折り鶴を折ってみせる純子。

 

3日ぐらいで帰ると言って北海道に行った秀平は6日目の夜になっても帰るどころか何の連絡もないのであります。一体何がどうなっているのか。

 

陽子「お父ちゃん、いつ帰るん?」

純子「さあ、いつやろな。ほんまに何してはんのやろな」

 

あき「夏みかん搾ったで」

純子「おおきに。ちょっと飲むか。なあ」

あき「ん?」

純子「どこにおっても電話ぐらいできると思わへん?」

あき「そうやな」

 

純子「父親やったら子供の具合はどうやて電話してくるのが当たり前や。まさか何か事故があったんやないやろな」

あき「そんなことはないと思うで」

純子「そやけど明日で1週間やで。やっぱり警察に問い合わせてみた方がええやろか。心配やわ」

 

翌朝

玄関を掃いている清原先生。ももと春男は床の拭き掃除。

 

電話が鳴り、慌ててももが電話に出る。「はい、もしもしこちら浜風荘…。あ、秀平さん、うん、あんた今、どこにおんのな。うん。よかった、ちょっと待って。純ちゃん呼ぶさかい、純ちゃん。ちょっと待って。ちょっと純ちゃん、純ちゃん、純ちゃん。秀平さん、出て。はよ出て、はよ出て」

純子「おおきに。もしもし、もしもし、もしもし」

 

もも「どがいしたん?」

純子「切れてる」

もも「そんな…」

 

純子「秀平さん、どない言うてはった?」

もも「今、北海道の千歳空港におるらしいで」

純子「何やの。すぐに電話に出るのやから、なんも切ることないやないの」受話器をガチャン!と戻す。純子の迫力にもももびっくり。

 

秀平が1週間ぶりに浜風荘に帰ってきたのは、その日の夕方であります。が…。

 

玄関

秀平「ただいま。純子、純子!」

ムッとしている純子。

秀平「純子! ちょっと悪いけどタクシー代千円くれる? ちょっと早く! 急いで」

純子「えっ? はい」

秀平「急いで急いで急いで」

純子「何やの一体」

秀平「はい」

 

タクシーの走行音。秀平が戻ってきた。

純子「ちょっと千円やなんてどこからタクシーに乗ってきたん?」

秀平「伊丹空港から。いや、陽子が気になってさ、少しでも早く帰りたかったもんだから」

純子「何言うてるの。そんなに陽子が心配やったら何で一遍も電話してけえへんの!」

 

靴を脱いで玄関ロビーのソファに行く秀平。やり取りを見ている清原先生。

秀平「かけたくたって電話なかったんだよ。あ~、疲れた。結局、1週間風呂にも入ってないんだ」

純子「今どき日本に電話のないとこなんてあるんやろか。要するにかける気がなかったんや」

秀平「そうじゃないよ。北海道の観光ポスターの仕事でね、ず~っと大雪山の山の中入って仕事してたんだ。そしたら天気が悪くてさ。でもね、遅れたおかげでいい写真が撮れたんだよ」

 

純子「千歳空港からかて私が出る前に切ってしもて」

秀平「しかたないだろ。十円玉がなかったんだから。帰る早々、不機嫌な顔すんなよ。陽子どうした?」

純子「入院してんねん」

秀平「そんなに悪いのか?」

純子「うそや。ほんまは秀平さんのおらん間にほとんどようなってます」

 

清原「どうも妙な具合だなあ」

 

純子たちの部屋

陽子が寝ている枕元に純子。隣に秀平が座る。

純子「私、何か事故にでも遭ったんやないかと思て夜も眠れんぐらい心配してたんやで」

秀平「ごめん」

純子「そんなに大切なお仕事やったん?」

 

秀平「いや…。『カメラ毎朝』の井出さんから電話があってね。予定してた夏川秀太郎さんが急病で駄目になったからピンチヒッターで行ってくれないかって言われたんだよ。陽子がこんな具合だから一度は断ったんだけどね、すぐにまた編集長の金子さんから是非頼むって言われたんだよ。北海道は初めてだからちょっと気持ちが動いて…。それに夏川さんのギャラくれるって言うんだよ。夏川さん、大家だからね。僕の3倍は取ってるんだ。それで…」

純子「お金のため?」

秀平「それだけじゃないけど。まあ…それもある」

 

純子「なあ、前から聞こうと思てたんやけど何でそんなにお金がないのん? この間、8万円持ってたやろ。あれ、何に使うたん?」

秀平「うん…ちょっとほかに使うことがあってね」

純子「そやから何に使うたん?」

秀平「寄付した」

純子「寄付って…8万円もどこに寄付したん?」

 

秀平「千里に友愛ホームっていう施設があるの知ってるだろ」

純子「知ってる」

秀平「そこが経営難でね。たまたまその時に僕の財布に8万入ってたもんだから、ついその…これを出してしまったんだ」

純子「そんな大金をようまあ」

秀平「その場の雰囲気でしかたなかったんだよ」

 

純子「要するに秀平さんはええかっこしいやねん」

秀平「そうじゃないよ」

純子「そやないの。そんなことしてるさかい、お金に釣られて仕事を受けることになるねん」

秀平「金に釣られてとは何だよ」

 

純子「そやないの。陽子が39度も熱出してる最中に1週間もおらんようになってしもて。こっちかてアルバイト雇いたいと思たかて辛抱してるのやないの。そら、人に喜ばれることだけしてたら気分はええやろうけど」

秀平「いいかげんにしろよ! 金なんか働けばまた入ってくるんだ」

純子「旅館があるからええようなものの、もし旅館がなかったらどないするの」

秀平「じゃ何か。僕は旅館があるから、その金あてにして寄付したって言いたいのかよ」

純子「現にそやないの」

 

陽子「あ、お父ちゃんや」

 

気まずい純子と秀平。

 

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秀平は昭和37年に8万円の寄付だけど、磯野はるさんは昭和32年に100万円の寄付してました。まあ、はるさんの場合、自身の不動産あり、娘は出版社社長と漫画家、娘婿は大手新聞社勤務なんだけどね。

 

速水家は旅館の儲けで生活してて、秀平が写真で得たお金はそのまま秀平の財布に入るだけ??

 

1996年 BS2での朝ドラ再放送が「純ちゃんの応援歌」から「マー姉ちゃん」。その時の現行朝ドラが「ひまわり」。縁があるんだね。

 

秀平は、言い訳のオンパレード。思えば新婚当初からケンカばかりでかみ合わない純子と秀平だった。雄太はどんどん陽一郎さんみたいな素敵な男性に成長してるのにな~。