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【連続テレビ小説】芋たこなんきん(18)「かぜひき」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

徳永家に泊まり込むことになる町子(藤山直美)。夕食も終えて「そろそろ実家に帰らな」と健次郎(國村隼)に切りだすが、聞き入れられない。黒糖焼酎を片手にした健次郎に誘われ、ついつられて相手を務める。一度話しだすと止まらない2人。この夜は、健次郎の奄美大島で過ごした少年時代や鹿児島での学生時代の話で盛り上がり、会話は止まることを知らない。そしてこの一夜が2人の暮らしにとって、大きな意味を持つ一夜になる。

徳永家

町子が台所で後片付けをしていた。「さてと…」

健次郎「終わった?」

町子「あ、はい」

健次郎「よっしゃ。はな、これや」

 

町子「わ~!」

健次郎「さっき、田舎から届いた」奄美大島黒糖焼酎

町子「ほんまに!」

健次郎「飲も飲も」

町子「いや、けど、私ね、ねえちょっと、ほれ、私、そろそろ帰らなあかんから。ねえねえ」

 

健次郎「わけぎのヌタがあったやろ?」

町子「それよりちりめんじゃこの方が合うのと違う?」

健次郎「そやな」

町子「うん」

健次郎「ほな、お湯お願いいたします」

町子「了解いたしました」

 

黒糖焼酎 奄美特産 加那節

加那という黒糖焼酎は本当にあるんだね。

 

町子「原料は黒糖?」

健次郎「うん、そうや。サトウキビは奄美大島では17世紀の末ごろから栽培されてたんや。ところが薩摩藩の厳しい支配の下、黒糖は税として取り上げられていたのでございますよ」

町子「そうなん?」

 

黒糖焼酎のアップからカメラが引くと茶の間で向かい合っている町子と健次郎。

 

健次郎「うん。黒糖がほんまの意味で島の人間のものになったのは明治以後。そやから島の人間は、この黒糖焼酎を大事にしているのでございます」

町子「ご丁寧なるご講義、まことにありがとうございます」

健次郎「どういたしまして」

町子「お酒と食べもんは、その土地の文化やもんね。けどほんまにおいしい。あっ、そや! そろそろやわ」

健次郎「おお」

 

町子「はい、白イカ

健次郎「うまそうやな!」

町子「ねえ、病み上がりなんやから、あんまり飲んだらあかんのと違いますか?」

健次郎「これはお薬です」

町子「ええ加減なお医者さんやね」

 

隆「何してんのん?」

健次郎「何やお前、まだ起きてんのか? 早う寝え」

隆「眠たない。何、食べてんのん?」

健次郎「え? これはな、お薬をのんでるの」

隆「え~っ!」

 

健次郎「はい、あのな、お布団に入ったら眠とうなるから。はい、おやすみ!」

隆「まだ眠たない!」

町子「早う寝んとカモカが来るよ~」

隆「『カモカ』?」

町子「子供をムシャムシャ噛んで食べてしまうお化け~!」

健次郎「言うこと聞かん子は、噛もか~!」

隆「(怖がるそぶりをしながらも)フフフ…。ハハハ!」と逃げていった。

 

健次郎「笑とったな。うちではカモカ効かんのかな?」

町子「見慣れてるからやわ」

健次郎「それ、どういう意味や?」

町子「けど昔怖かった~。遅うまで遊んでたら『暗うなったらカモカが来るよ』て言われて飛んで帰ったもん。ねえ、健次郎さんとこそういうの言われなった?」

 

健次郎「いや~、うちはないな。けどな、奄美大島にはケンムンがおるで」

町子「『ケンムン』?」

ja.wikipedia.org

健次郎「うん。子供の格好した妖怪や。相撲が好きやねん」

町子「何かカッパみたい」

健次郎「そうそう、そうそう。古いガジュマルの木の下とか川の近くに住んどってな、赤い髪の毛して手足がものすごう長いねん」

町子「見たことあんの?」

 

健次郎「僕な、ケンムンに命助けられたことあるねん」

町子「どういうこと?」

健次郎「あれ、10歳ぐらいの時かな…」

 

奄美大島 昭和9年

 

きれいな海の映像。昭和9年は1934年で10歳ということは1924年大正13年生まれ。町子は昭和3(1928)年生まれ。大体、「純ちゃんの応援歌」の秀平(昭和2年)、純子(昭和4年)と同世代。大正13年4月は「あぐり」の息子、ジュンノーちゃんが生まれた年でもある。「マー姉ちゃん」のヨウ子は大正15年生まれ。

 

少年1「そうよ、隣のにいちゃんが昨日、滝のそばでたくさんガンば捕ってきたんじゃが、あげ~うまかったちど」

少年2「おお。これからそこ捕りが行くで!」

健次郎「俺、もう帰らんば」

少年「何? 健次郎、帰るんちな?」

健次郎「宿題やっとらん」

少年「はあ、上の学校ば行くやつは大変じゃや。俺らにはもう宿題も関係ねえんど」

 

健次郎「関係ないことはないが。それにこれから行ったら遅くなるよ。ケンムンも出るし」

少年「何ち、お前ケンムン怖いわけ?」

健次郎「怖いことなんかない。けど、兄ちゃんの友達が前に川で足ば引っ張られて溺れたんじゃがな。『滝には絶対行くな』っち、おやじがうるさいわけよ」

少年「やっぱり怖いんじゃがな! 俺はケンムンなんて信じらん。もし出ても怖いことないが」

 

健次郎「そうしたら勝手に行けばいいが」

少年1「怖いんじゃろが!」

少年2「怖いんじゃろが!」

健次郎「怖くない!」

2人「うそつけ! 怖いんじゃろが!」

 

徳永家茶の間

町子「ほんまは怖かったん?」

健次郎「ハハハハハハ! 怖かったんは、おやじや。今、あんなやけどな昔は村でも珍しい教育熱心な親でな。ちょっとでも勉強怠けたら、そら怒られた怒られた」

町子「へえ~」

健次郎「そやけど、ほれ、友達にバカにされたまんまもかっこつかんやろ」

町子「それでどないしたん? はい」お酒を注ぐ

 

健次郎「そやから、みんなと一緒に川にガン捕まえに行ったんや」

町子「『ガン』て何?」

健次郎「川ガニの一種やな」

町子「ねえねえ、ほな、その『ケンムンに助けられた』ていうのは、どういうことなの?」

健次郎「さ、それがやな」

町子「いや、もう、もったいぶらんと~」

健次郎「フフフフフフフ…!」

 

回想

夜、縁側

昭一「えっ、滝の向こうまで行くわけ?」

健次郎「ケンムン怖がってると思われてるの嫌なんじゃが」

昭一「ケンムンは怖いどや」

健次郎「兄ちゃん、見たことあるわけ?」

 

昭一「去年、川で溺れた広が言うとったけど、全身が真っ赤な毛で覆われて、子供ぐらいの背丈しかないくせにものすごい力で引っ張るっちど。やっぱり妖怪だからや。夜には頭が青く光るらしいで。これがまたおっそろしいちど! まあ、気ぃ付けて行けよ」

健次郎「なるじゃろか…」

 

滝が流れる川

少年「滝の向こうの川じゃろが? あそこのガンは大きいちど」

健次郎「奥だからあんまり暗くなったら危ないで!」

少年「やっぱりケンムンが怖いんじゃろが!」

健次郎「怖くない!」

 

大きな石の上を歩いている健次郎たち。

少年「この辺な?」

少年「もっと奥じゃが」

 

少年「よ~し、この辺りにしてみようか」

鳥の泣き声におびえ気味の健次郎だが、仲間たちには「一番大きいの捕るからな」と宣言。

 

ガサガサと気が揺れる。

一同「うわっ!」

健次郎「ま…まさか?」

 

少年「おい…」

少年「あ…ああ…」

 

木の葉の陰から真っ赤な髪をしたケンムンが現れた。「お~っ!」少年たちに両手を広げて脅かす。

 

健次郎「ケンムンじゃ!」

一同「わ~!」

 

逃げ遅れた健次郎が川で滑って転ぶ。「あ~っ!」

その健次郎を助け起こしたのはケンムン。昨日のミニ予告はここ。

健次郎「ああ…。ああ…」

「しっかりせえ! 俺よ」

お面を外すと顔を真っ赤に塗った昭一だった。

 

健次郎「え? え? わ~、助けて! 助けて!」

パニックになる健次郎を抱きしめる昭一。「動くなっち!」

健次郎「ケンムン!」

 

岩の陰で見ていた友達

少年「大変じゃが…。健次郎がケンムンに襲われよる!」

 

健次郎「ケンムンじゃが! 助けて~!」

 

徳永家茶の間

2人は笑っている。

健次郎「おかしいやろ?」

町子「おかしいな、せやけど! ハハハハ…! ほな、お兄さんがケンムンの格好して?」

健次郎「そうや。わざわざ赤い鬼の面にかつら載せて体中にバナナの葉っぱベッタベタくっつけて、ほんでず~っと朝から待ってたらしい」

町子「待ってるて、それ、何のためなん?」

健次郎「そやから僕を怖がらせるためだけや」

 

再び笑う2人。

町子「面白いお兄さん。私ね、大好きやわ!」

健次郎「そうか~?」

 

喜八郎「ああ…もう何じゃいな? 夜中にゲタゲタと!」

町子「今ね、健次郎さんにケンムンの話、聞かせてもろてましたんや」

喜八郎「『ケンムン』?」

町子「うん」

喜八郎「ケンムンな、わしは見たぞ」

 

健次郎「もうええて」

町子「え?」

健次郎「寝よ」

喜八郎「子供の頃じゃ。古いガジュマルの木の下で座っておったんじゃ」

町子「えっ、それ、ほんまですか?」

 

喜八郎「真っ赤な毛でな、長い膝をな、こう抱えてな。そして…ああ! あ…痛い! 痛い、痛い! こ…腰、腰! 腰!」

町子「お父さん?」

健次郎「もう何をしてんのや? もう!」

町子「大丈夫ですか? 大丈夫ですか?」

 

喜八郎「ケンムンのたたりじゃ!」

町子「大丈夫ですか? お父さん!」

 

どうでもいいことだけど、他のもっと古い朝ドラだと、例えば「マー姉ちゃん」だとマリ子が新八郎の母に呼びかける時は「おかあさま」で字幕は「お義母様」。はるが新八郎の母に呼びかける時は平仮名で「おかあさま」。でも、町子は「お義父さん」ではなく「お父さん」なんだな~と思っただけ。「純ちゃんの応援歌」は秀平があきを呼びかける時は「おかあさん」だったり何か使い分けがあるんだよね。

 

おでんの大根のアップ。

りん「はい、お待ち遠さん!」

晴子「ありがとう」

 

たこ芳

貞男「毎度! 晴子先生」

晴子「こんばんは」

俊平「大丈夫なんですか? 骨」

晴子「今、ひっつけてる最中です」

貞男「飲んでもよろしおますのか?」

 

りん「飲んではんの、お医者さんやで。そら、ええねやろ」

晴子「家、にぎやかで寝てられへんしね」

りん「え? お客さん、来てはんの?」

貞男「奥さん、来てはんねやがな」

りん・俊平「ああ」

りん「ほな、もう別居解消かいな?」

 

晴子「ちょっと何でみんなうちの家のこと、そんなに詳しいの?」

俊平「まあまあ、町内てのは、そういうもんね」

晴子「どんなもんやの?」

 

りん「ほいで楽しそうにしてはりますか?」

晴子「2人で飲んでる」

俊平「さあ、それが分からへんねん。嫁はんと飲んで何がおもろい?」

貞男「それそれ!」

りん「あちらは新婚さんやで」

貞男「あっ、そうか!」

りん「ええ」

 

晴子「仲ええのはええんやけどね」

りん「あ…そりが合えへんのか? 奥さんと」

晴子「私と合わへんとか合うとかいうより何か変わった人やねんなあ、あの人。調子狂うっていうか…」

貞男「面白い人やがな!」

俊平「なあ! 偉い先生という威張った感じもせえへんしな」

 

ため息をつく晴子。

俊平「あんまり飲んだら、また便所でひっくり返りまっせ!」

晴子「誰がそんなことまでしゃべったん?」思わず立ち上がる。

 

俊平「ビール頂戴。ビールもらう」

りん「はいはい、ビールね」

俊平「はい」

 

徳永家茶の間

健次郎「そうそう、学生時代な、まだ戦争中でな、農家に手伝いに行ったことがあるんや」

町子「鹿児島で?」

健次郎「うん。いや~、そのころ、町には、もう食べもんなんかあらへん。下宿で出るもんいうたらふかし芋に薄いだんご汁ばっかりや。ところがそこ行ったら丼飯でごはん食べさしてくれたんや」

町子「え?」

 

健次郎「『腹へっとったら、そんなもん仕事なんかできへんやろ』みたいな」

町子「うれしかった?」

健次郎「そらうれしかったよ。若き血は、たぎったね」

町子「たぎった?」

健次郎「たぎった、たぎった! 4杯もお代わりしたんや。ほんなら『あんたはもう来んでええ。食い過ぎる』て」

 

町子「食べ過ぎでクビになったん?」

健次郎「おう。ええアルバイトやと思たんやけどな、あかんかった」

町子「食べたい盛りやったのに大変やったんやね」

 

健次郎「うん。戦後もひどかったな。やっぱり食べるもんがのうて。あんな、種子島でな砂糖買う」

町子「うん」

健次郎「うん。それを加治木いう所で、今度いわしに換えんねん」

町子「へえ~」

健次郎「それを鹿児島に持ってって今度米に換える。そうやってもうけた金でまた砂糖を買う」

町子「へえ~」

 

健次郎「そういう闇屋まがいのことして、なんとか食いつないで勉強しとったんや。町は焼け野原であるのは桜島だけ。桜島は食えんからな」

町子「大阪もそやったなあ。子供の頃いろんなことあった…」

健次郎「うん。あった、あった」

 

一度話しだすと止まらない2人。この夜の2人もとどまることを知らず、会話はまだまだ続いていくのでした。そして、この一夜が2人の暮らしにとって大きな意味を持つ一夜になるのですが、それは来週のお話。

 

来週は「しゃべる、しゃべる」

同じ茶の間

健次郎「♪『ワラベは』て歌うんや」

町子「ウグイスと違う」

 

子供町子「今度…」

男の子に近づく。

 

祖父・常太郎の顔にケチャップ?が飛ぶ。

 

叔母・文代「やっぱりツンツンしてるかな」

 

女の子「キッスてどないするか知ってる?」

町子のお人形を持っている。

 

派手な和服う女性は大路恵美さんかな?「そやから」

 

子供町子涙を流す。

 

健次郎と町子が縁側から外を見る?

 

ミニ予告は町子の笑顔。これじゃどこか分からないだろうな。

 

芋たこなんきん」はただ二人が向かい合ってしゃべってるだけでも楽しいって好意的な感想になるのに、「マー姉ちゃん」だと同窓会してただけで話が何も進んでないと言われるのが理不尽だな~。私としてはどっちも同じくらい楽しんでいるのにね。