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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (137)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

春男(長谷川アンドリュー)を助手にするならする、しないならしない、と結論を出さないと、と純子(山口智子)に言われ考える秀平(髙嶋政宏)。春男が風呂屋の雑用係募集、という求人に応募しようとしていると聞き、秀平は助手にすると決める。秀平は、春男と広島へ行き、春男が勤めていたそば屋と、生活していた希望の家にあいさつに行くことにし、陽子(尾後あすか)も海水浴に連れて行く、と出かけるが、途中で引き返して…。

あきと純子がゆでたトウモロコシをざるに乗せて浜風荘の廊下を歩いてきて、雄太が生徒達に授業しているのをこっそり立ち見。

 

雄太「え~、この二次関数のグラフとX軸との位置関係分かるもん手ぇ挙げ」

生徒達の数人が挙手。

雄太「永松、お前、どうや」

永松「俺、手ぇ挙げてませんよ」

雄太「分からんのか。こんなん分からんようやったらレギュラー外すぞ」

永松「え~」

雄太「ほら、間違うてもええから前に出てやってみ」

永松「はい」

 

前に出た永松が仲間のノートを見ようとしたので、雄太が拳を上げ「こら」。

永松「あっ、先生。お母さんとお姉さん、見てはりますよ」

雄太「えっ? あっ…ちょっと2人とも何してんのや。授業中に困るやないか」

生徒「息子がどれだけ立派な先生か見てはるんと違いますか」

雄太「こら」

 

純子「ちょっとぐらいええやんか」

雄太「あかん、あかん」

 

生徒「あっ、トウモロコシや!」

 

あき「そろそろな、お休みの時間やと思てな」

生徒「監督、休憩にしてください」

雄太「しょうないな。よし、ほな10分休憩」

一同「やった~!」

 

雄太が教師兼監督を務める神東工業高校野球部は兵庫県大会の予選ではありますが、既に2回戦を突破。ひょっとするとひょっとするかもの夢を抱いて異例の予選合宿となった次第なのであります。

 

雄太「よし、これ食べたら授業の続きや。そのあとランニング」

一同「はい!」

あきや純子を見て照れくさそうな表情をする雄太。かわいい。

 

浜風荘の法被を着た秀平はカメラを磨いていた。ここは純子たちの部屋かな。

純子「はい、どうぞ」とトウモロコシを持ってきた。

秀平「ありがとう」

純子「なあ、春男君どないするの?」

秀平「え?」

 

純子「助手にするんやったらする。せえへんのやったらせえへん。どっちにしてもこのままブラブラさしとくのは、ようないと思うのやけど」

秀平「それなんだよなあ。助手にするならいくらか給料を払わなきゃならないし、給料を払えるくらいなら、とっくに助手雇ってるよ。それも写真学校を出た、春男なんかよりずっと役に立つやつをね」←春男が聞いてなくてよかったね。

純子「それやったら、早めに断った方がええんと違う?」

秀平「弱ったなあ」

 

春男「秀平さん」

秀平「おう」

春男「悪いんじゃが保証人になってくれんかのう?」

秀平「保証人?」

春男「風呂屋あろうが。駅のとこの亀の湯。そこのおっさんが保証人がなかったらいけん言いよるんじゃ」

純子「何言うてんのや。お風呂に入るのに保証人がいるやなんて聞いたことないわ」

 

春男「違うで。勤めるんで」

秀平「勤める?」

春男「秀平さん、わしを助手にするのは無理なんじゃろうが。ほいじゃけえ、秀平さんがもうちいと稼げるようになるまで風呂屋で働いて待っちょるけえ。雑用係募集いうて出とったんじゃ」

秀平「春男、お前なあ…」

春男「わしはそれでもええけえ」

 

秀平「よし、分かった。小遣いぐらいしか出せないけど、それでもいいか?」

春男「ほんまか?」

秀平「おう、手伝わせてやる」

春男「悪いのう」

秀平「よし、そうと決まったら、ちょっと部屋見に行こうか」

秀平が何もせずとも春男が仕事を決めてきた。

 

HAYAMI OFFICE

太夫「暇な時には正太夫倶楽部、手伝うてえな。アルバイト料払うさかい」

春男「はい」

秀平「ここに1つベッド入れれば、ソファーとベッドで2人寝られるし」

太夫「大変やな」

 

秀平「春男、明日、広島へ行こう」

春男「えっ?」

秀平「えっじゃないよ。そば屋さんにきちんと謝って希望の家にも、こういうことになりましたって報告しとかないといけないだろう。いいな?」

春男「はい」

微笑ましく見ている正太夫

 

浜風荘前

生徒たちが素振りをしている。

 

帳場

預金通帳を見ている純子。残高は350,027円。ため息。

陽子「お母ちゃん! 明日、お父ちゃんと海に行くんやで」

純子「いや、ほんま? よかったな。お父ちゃん、連れてってくれるの?」

陽子「うん」

純子「どこや? 香櫨園か?」

陽子「広島」

純子「広島?」

 

秀平「よ~し、よ~し」と帳場に入ってきて、陽子を高い高いしている。

純子「秀平さん、広島に海水浴てどういうことやの?」

秀平「いや、実は春男連れて広島行くんだよ。だったらついでに陽子を泳がせようかなと思ってさ。安い宿どこか見つけて2晩ほど泊まってくる」

純子「遠いのんと違う?」

秀平「大丈夫だよ」

 

純子「私も一緒に行こか?」

秀平「大丈夫だって。君、忙しいんだろ」

純子「それはそうやけど」

秀平「心配するな。それでね、すまないけど往復の旅費とそれから旅館代で8千円ほど貸してくれる?」

純子「お金、あらへんの?」

秀平「ないよ。ほら、千円札2枚しかない」

純子「はい」

 

板場

春男は、ももの肩をもんでいた。

もも「あ~。あ~、ええ気持ちや。もうええで。おおきにな。さ、あんたもはよ寝よしよ」

春男「おやすみなさい」

もも「おやすみなさい」

 

春男が歩いていくのを見かけた純子が板場へ入っていく。

もも「あ、痛たたた…」

純子「ももさん、お風呂どうや?」

もも「あっ、せやな。なあ、純ちゃん」

純子「うん?」

 

もも「春男君な、今度から秀平さんの仕事場に泊まるんか?」

純子「うん、そうや。いつまでも雄太と一緒いうわけにもいかんし」

もも「16でたった一人で寝やんのか。うちの金太郎もな、中学を出て御坊のしょうゆ屋へ勤めやった時、従業員の寮に泊まりやってんけどな。もう、うちな、ふびんでなあ。夜中によう夢見て泣いたわ。けど…泣く親のおらん子は、もっとかわいそうやな。この世に生まれて、まだ16年しかたってへんねん。まだまだ子供やな。そやのに、あない肩いからいて生きていかなあかんらてな…」

ももさん、愛情深い人なんだなー。

 

そして翌朝。

 

浜風荘玄関

雄太と神東工業高校野球部が並ぶ。

生徒「あ~、来た来た。陽子ちゃんおいで。よいしょ」と抱き上げ「陽子ちゃん、僕らのマスコットなんですわ。よ~し、今日はだっこしたさかい、今日はきっと勝つぞ。なっ?」

一同「おう!」

 

あき「3回戦に勝ったらな、すき焼きやで」

 

雄太「よし、行くぞ!」

一同「はい!」

 

あき「頑張ってな」

純子「さあ、陽子、頑張ってて言うてあげなさい」

陽子「頑張って~!」

雄太が手を振って出ていった。

 

もも「は~い。雄ちゃん、立派な先生やな」

 

秀平「陽子、行くよ」

陽子「うん」

秀平「じゃ、行ってきます」

 

もも「行ってらっしゃ~い、陽子ちゃん」

清原「フフ、お父さんと海水浴か。2泊3日だって?」

あき「そうですねん」

清原「寂しいねえ」

もも「ほんまやな」

 

表の浜風荘の看板の明かりが消える。

帳場

もも「今日は海水浴できたんかな」

純子「そやなあ」

もも「純ちゃんもつれもっていったらよかったのに」

純子「そうはいかんて」

あき「これでまた夏の甲子園の生徒さんが来はったら戦争やな」

 

純子「なあ、お母ちゃん、ちょっとおかしいんやけどな。秀平さん、私から8千円持っていったんや」

あき「それがどないかしたん?」

純子「つい10日くらい前、秀平さんのお財布に8万円入ってたんやで」

あき「8万円?」

 

純子「私もお金のことは聞きにくいさかい、それきりになってたんやけど一体、何に使うてしもたんやろな」

もも「がいにもうけて、どっかにため込んだあんのと違うか? あいだけもうけて、お金がないちゅうことないわらよ」

純子「それならええのやけど。どこぞにお金を使うとこがあるのやないかて思て」

あき「まさか」

 

純子「そらまさかとは思うけど」

もも「いや、分からんで。純ちゃんな、結婚して7年目やろ。7年目いうのは夫婦の間が危のうなる年やとう」

純子「ほんま?」

もも「ほうよ。お互いに飽きてくる自分やいうてな。大阪に仕事場借りたんも何か危ないのんと違うか?」

あき「ももさん。けったいなこと言わんといて」

もも「すんません」

こういう下世話なところもももさんだなー。

 

雄太「何や、すいか食べてるんか」

もも「はいはい」とここで出ていったのかな。あきさんの隣に雄太が座る。

純子「雄太、おめでとう。よかったな、3回戦」

雄太「ほんまや。いつもは打てん子らなんやけど、ここに来て急に打ちよる。今日は12安打で7点やで。調子づいて何や怖いみたいや」

あき「4回戦いつや?」

雄太「28日や。夢の4回戦突破もありうるかもしれんな」

 

純子「昭や雄太も4回戦までやったもんなあ」

雄太「昭が応援してくれてんのかもしれんな」

あき「ほんまやな」

 

秀平「純子!」陽子をおんぶして帰宅。

純子「どないしたん?」

秀平「陽子の具合悪いんだよ」

純子「えっ? 陽子、どうしたん? 具合が悪いんか?」と純子が立ち上がったら、ももさん純子の隣にいた。

 

秀平「広島へ行く途中の汽車の中から元気ないなと思ってたんだ。でも、陽子、大丈夫って言うし。とにかく春男の働いてたそば屋さんと希望の家に挨拶に行って、それから海行ったんだけど。何となくぐったりしてるし、目も潤んでるしね。これは帰った方がいいと思って」

あき「どないしたんやろな」

純子「陽子、気分が悪いんか?」

 

秀平「少しでも楽なようにと思って、帰り、ずっと窓際に座らせて風当ててきたんだけど」

純子「先生に来てもろた方がええやろな」

 

医師「9度2分ですな」

純子「そないに? さっきまで8度6分やったんですけど」

医師「はしかです。これ以上、熱が高くなるかもしれません」

あき「はしか…」

医師「今朝から具合悪かったはずですけど」

あき「海水浴行きたいもんやから辛抱してたんや」

 

純子「あの、はしかやったら風に当てたらあかんのと違いますか?」

医師「そうです。風に当てると熱が籠ってしまいますからね。温めて発疹を出してしまった方がいいんです。これ以上、熱が出るようだと脳に影響が出ることがありますんで。まあ、何かありましたら何時でもよろしいから電話下さい」

純子「はい。ありがとうございました」

医師、帰る。

 

純子「やっぱり、汽車の窓際に座らして風を当てたのがあかんかったんや」

秀平「いや、僕は知らなかったもんだから…」

純子「はしかの時に風に当てたらあかんことぐらい常識やんか」

秀平「いや、しかし…。陽子、ごめんね。お父ちゃん、何にも知らなかったもんだから」

 

純子「やっぱり私が行ってたらよかったんや。私が行ってたら途中で気が付いて、じきに引き返してたわ。そしたら、こんな熱が出ることもなかったんや。陽子、苦しいか? 陽子、大丈夫か?」

秀平「ごめん。ごめんね、陽子」

 

ここんとこいいとこなしの秀平だけど、その分というか雄太と純子のシーンが多いので、そっちを楽しみにしています。