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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (142)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

秀平(髙嶋政宏)の仕事場に泊まった陽子(尾後あすか)は、もう一晩泊まりたいと言うが、純子(山口智子)はダメだと言う。仲たがいを続ける純子と秀平を心配する雜賀(桂枝雀)と正太夫笑福亭鶴瓶)だが、何を言っても純子は聞く耳をもたない。心配する雜賀に、あき(伊藤榮子)は放っておけと言うが、雄太(唐沢寿明)も清原(浜村純)もなんとかしたいと考える。雄太の発案で清原が仮病を使うが、純子にはバレていて…。

朝、HAYAMI OFFICE

テーブルの上には陽子の麦わら帽子やバッグ、ベッドで秀平と陽子、ソファで春男が寝ている。仕事場というけど寝床だね。秀平が起きて、陽子に毛布を掛けていたけど、陽子を壁際に寝かせた方がいいと思う。

 

春男「おはよう」

秀平「おはよう」

春男「朝、飯炊くんね?」

秀平「いや、パンとトマトと牛乳でいいんじゃないか? それだったら陽子が作れるから」

春男「よその家に泊まるのがそんなにうれしいんかのう」

秀平「うれしいんじゃないの?」

 

春男「そうやのう。わしも希望の家におった頃、バスでどこか行くいうだけで前の日から興奮してのう。みんなでふざけ合ってからに」

秀平「陽子はね、いつも大勢の中にいるんだけど、一日中つきっきりで構ってもらったってことがないからね。どうかするとごはんも一人で食べてるし。たまには一日中、父親と過ごすのがうれしいのかもしれないな」

 

浜風荘帳場

純子はそろばんをはじいている。

あき「純子。いつまでも意地張ってんと素直に謝ったらどうや?」

純子「お母ちゃんはいらんこと言わんといて」

あき「昨日かて秀平さんが出かけはる時に、ほんまに愛想のない顔して」

純子「そやった?」

あき「そやがな。お母ちゃん、ハラハラしたわ」

 

純子「陽子、どないしてるのやろな」

あき「そやな」

純子「一晩でもおらんと、やっぱり気になって、よう眠れんわ」

あき「なあ、もう言わへんけど、ちっちゃいヒビは早いうちに直しとかんと積もり積もって困ったことになるで」

純子「よう分かってる」

 

玄関

川井「ただいま」

純子「お帰りなさい」

川井「ただいま」

純子「川井さん、すんませんでした。ゆうべはヨシ子ちゃんのことで」

川井「ああ、かましまへんのや。そら、もう5人も子供がおるとなったら、ヨシ子ちゃんやのうても二の足踏みますわな。残念やけど、まあ、しゃあないな。へへへへ」

偶然、玄関に来たヨシ子。「あ…」

 

川井「あ、ただいま」

ヨシ子「すんまへん」

 

あからさまに避けるヨシ子。

川井「ヨシ子ちゃんにも悪いことしたな。女将さんから気にせんよう言うといてくださいね」

純子「はい。お疲れさんでした」

川井さんも最初から5人子供がいることを言う、母より先にヨシ子に気持ちを言うとかありそうなもんだけどね。ヨシ子ちゃんは純子より年下で20代半ばくらい? もっと下かな? 川井さん、家事が上手な人を見かけては声かけてそう。

 

電話が鳴る。

あき「はい、浜風荘でございます。もしもし。あ、陽子ちゃんか? おはようさん。どないした? お父ちゃんとこでよう眠れたか? (純子に)陽子からや。今朝はな、春男君とお父ちゃんに朝ごはん作ってあげた言うて張り切ってるで」

純子「ほんま。もしもし、お母ちゃんやで。うん、そうか、うん。よかったなあ」

 

太夫倶楽部

太夫の膝の上で電話している陽子。「うん、トマトと牛乳、ちゃんとお皿に入れてあげた」

太夫「陽子ちゃんの作ってくれたトマトサラダごちそうになってまっせ」

ヘタのついたトマトがお皿に盛られている。

陽子「お父ちゃん? 今、お仕事してはる。うん、なあ、お母ちゃん、うち、もう一つお泊りする。何でや。泊まる。あかんの? うん、分かった」電話ガチャ切り

 

カウンターにいた久助。「ハハハハハ、やっぱりお母ちゃんにあかん言われたやろ」

太夫「昨日泊まったからな。また泊まりに来たらええやんか。なっ、分かった?」

機嫌の悪くなった?陽子。

 

秀平「陽子、来てごらん。面白いもの見してあげる。写真の出来るところ。はい、おいで」

陽子「うん」

久助「いいな、いいな」

秀平と陽子は暗室へ。

 

久助「正太夫。うまいこといっとらんのか?」

太夫「うん、そういうことや。こればっかりは俺が中へ入ってな、どうこう言うわけにもいかんし。純ちゃんな、あれで頑固やろ。言いだしたら聞かへんがな。秀平君もな、古風というかちょっときついんや」

 

電話が鳴る。

太夫「はい。ああ、純ちゃん。言い忘れた? オッケーオッケー。ちょっと待ってや。秀平君! 奥さんから電話! 手ぇ離せる?」

秀平「ありがとう。もしもし。うん。いや、こっちは全然構わないんだ。どうせ一日中、暗室で仕事してるしね。そっちだって忙しいんだろ。いや、陽子が泊まるって言いだしたんだよ。すっかりこっちが気に入っちゃってね」

 

浜風荘帳場

純子「あかんて、2晩も泊まったりしたら。陽子にもさっき帰るように言うといたさかい、ちゃんと連れて帰って。何がしつこいの? 当たり前のことを言うてるだけやないの」

 

太夫倶楽部

秀平「分かった分かったよ。帰すよ。だから帰すって!」ガチャ切り

 

太夫「純ちゃん、どうしてもあかん言うてるのか? 強硬やな」

秀平「いや、何か自分の目の届かないとこにいると気になるらしいんだよね」

太夫には抑えた口調で話してるけど、イライラした様子で暗室に入っていく。

 

久助「さあ、それでは私もまあ、ちょっと場所を変えて書くことにしましょか」

太夫「どこ行くんや」

久助「うん? それはないしょ」

 

浜風荘玄関ロビーのソファ

純子が麦茶を運んでくる。「校長先生、お部屋の方、用意してますさかい、どうぞ」

久助「ああ、ありがとう。けど僕はここでええねん。ここの方が気楽なんや。ハハハハハ。純子ちゃん、ちょっとそこへ座んなさい」

純子「はい」

久助「秀平君とうまいこといってないようやな」

純子「嫌やわ。秀平さん、そないなこと言うてはったんですか?」

 

久助「いやいや、聞かいでも様子で分かります。確かに秀平君に非はあると思うな。うん。陽子ちゃんのはしかの一件、北海道へ行った一件、また8万円の寄付金の一件。そらまあ純子ちゃんが腹立てるのも無理はない。いや、あまりにも身勝手すぎるよ。うん。純子ちゃんが黙ってるのをええことにして、彼はいささか図に乗っとるよ」

純子「いえ、私もちょっと言い過ぎましてん」

久助「いや、言っていいですよ。言って当たり前。要するにまあ彼は甘えとるねん。しかしね、ここは…」

 

あき「校長先生」

久助「あ…ちょっと話、聞いたもんですから」

 

「女将さん」

純子「はい。ちょっと失礼します」

 

久助「いやまあ、いらんことかも分かりませんがな、この際、私、ちょっと間へ入らしてもうた方がええかいなと思て来ましたんや」

あき「いいえ、放っといたらええんです。私も2人きりにしてみたら仲直りするかと思て温泉に行ってみたりしたんですけども、一向に収まりませんのや。そやから黙って見てることにしましてん。周りで無理に収めようとしても当人同士の心の中にしこりが残ったら同じことですやん」

雄太がチラ見して通りすぎる。

久助「いや、そ…そんなもんですか? いや、そら、親としてちょっと冷たいんじゃないですか?」

あき「そうですやろか。私は黙って見てるのが一番やと思います」

 

久助「困った人やな」

これはあきさんになのか、純子なのか、両方か。純子もだけど、あきさんもなかなか頑固なのよね。

 

帳場

雄太「おじいちゃん、ちょっと」

清原「ん?」

雄太「ちょっと」辺りを伺う。

清原「何だね」

 

雄太「おじいちゃんも分かってるやろ」

清原「ん?」

雄太「お姉ちゃんと秀平さん」

清原「うん…いや、なんとかしてあげたいと思うんだけどね、夫婦のことに口を挟むのもどうかと思ってね」

立って話してると、清原先生と雄太は身長が同じくらいかな? 雄太は顔がちっちゃい。

 

雄太「校長先生も言うてはったやないか。このままでは亀裂が広がるばっかりやて」

清原「うむ…何かいい知恵ないかね」

雄太「それなんや…。(あたりを再び伺う)考えたんやけど、おじいちゃんが病気になるいうのはどうやろ」

清原「僕が病気?」

 

雄太「おじいちゃんが熱出すのや。そしたらお姉ちゃんかて秀平さんかてけんかなんかしてられへんやろ」

清原「うむ…」

雄太「僕は名案やと思うんやけどな」

清原「しかし、仮病というのはどうも…」

 

雄太「別に熱出さんかて気分が悪い言うて寝込むだけでもええねん。つまり、おじいちゃんに注意が集まったらお姉ちゃんかて…」

という会話を聞いてしまった純子。

 

雄太「お姉ちゃんかて秀平さんかて気持ちが一つになるやろ。そない思わへん?」

清原「作戦としては悪くないと思うけどね…」

もう一度廊下に顔を出してキョロキョロする雄太。

 

板場

あき「仮病?」

純子「そうや。雄太とおじいちゃんで相談してんねん」

あき「あんたらのこと心配してくれてるのと違うの?」

純子「悪いけど、ありがた迷惑やわ。別に私ら大げんかしてるわけやないのやし。ただ、ちょっと気持ちが食い違うてるだけやないの。夫婦やからって朝から晩までニコニコ仲ようしてなあかんという方が無理なんやもん」

あきは小さく笑う。

 

玄関先で清原先生が水をまいている。目の前に久助の原稿を取りに来た渡辺が口に指を当てて登場。そーっと浜風荘に入っていった。

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渡辺さんはラジオ局の人。ラジオ局といやあ、静尾ちゃんどうなった!?

 

清原先生はおなかを押さえる。

 

そのまま玄関ロビーのソファで原稿を書いている久助

渡辺「出来ましたか、先生」

久助「ああ、びっくりした。はぁ~」

渡辺「46枚ですか。もう一息ですな」

久助「よう、ここが分かったな」

渡辺「そら、分かりますがな。蛇の道は蛇でっせ」

久助「ハハハ、もうちょっとやけどな、部屋へ行こう、部屋へ。ここであんたに見張られて書いとんのもみっともないよってな。ハハハハ、さあさあ、こっちこっち」

 

玄関ロビーから廊下を通って移動していく久助と渡辺。清原先生は、おなかを押さえて座り込む。

 

陽子「ただいま」

清原「ああ、お帰り」

陽子「お母ちゃん、ただいま」

何とか立ち上がる清原先生。

秀平「ただいま」

清原「お帰り」

純子「お帰り」

 

陽子「お母ちゃん、お父ちゃんにかばん買うてもろた。それからデパートの遊園地で自動車にも乗ってきたんやで。それからホットケーキも食べた」

純子「あかんやないの。もうじきごはんやのにホットケーキなんか食べさして」

秀平「大丈夫だよ。僕が半分食ったから」

 

清原「う~っ、うっ…」お腹を押さえて苦しんでいる。

秀平「おじいちゃん、どうしたんですか? ちょっとおじいちゃん、大丈夫ですか? 純子、おかあさん呼んでくれ」

清原「あ、痛たたたた…」字幕には出てないけど、動かさないでくれとも言ってる。

秀平「大丈夫ですか?」

 

純子「何でもあらへんやろ」

秀平「何見てんだよ。おかあさん、おかあさん、ちょっと!」

陽子「おじいちゃん、大丈夫?」

秀平「大丈夫ですか?」

あき「どないしたん?」

 

秀平「おじいちゃん、しっかりしてください」

雄太「おじいちゃん! おじいちゃん、大丈夫?」

迫真の演技と思っている雄太は笑いをこらえる。

秀平「ちょっと何見てんだよ! ちょっと純子!」

 

純子「おじいちゃん、もうええですよ。仮病やいうことぐらい分かってますし。私、聞いてしもたんです。雄太と2人で仮病を使おうて相談してたでしょう」

清原「あ痛たたたた」

秀平「仮病?」

純子「そうや。何も心配することあらへん。おじいちゃん、ほんまにお上手ですね」

雄太「知ってたんか。おじいちゃん、もうあかんわ。バレとるわ」

 

清原「本当に痛いんだ。すまんけど医者呼んでくれ。あ痛たた…」

純子「ほんまですか?」

清原「あ~!」

雄太「えらいこっちゃ…。救急車呼びます!」

 

秀平「いきますよ、はい」清原先生をお姫様抱っこ。こういう頼もしさはいいんだけどなあ。

 

純子と秀平がけんかしてるのはまあいいんだけど、不機嫌を振りまいて、周りが仲直りさせようと思わせてしまうのがよくない。うそが苦手な清原先生を困らせないで。

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フキハラの例は職場であったり、夫であったりが多いけど、「純ちゃんの応援歌」の場合、不機嫌を振りまくのは純ちゃんなんだよね。終盤で離婚するような斬新な朝ドラじゃないよねえ?? あと10回でどうなる!?