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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (119)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

旅館で戻らない木崎(坂本国博)を心配していると、部長の滝川(須永克彦)と中学野球の話になり、純子(山口智子)の父の小野投手を知っている、という話になる。雄太(唐沢寿明)が木崎を見つけ、純子と秀平(高嶋政宏)に説得され、木崎は皆の元へ戻る。雨で開会式が一日延び、純子たちは応援に行く気満々だったが、旅館の人が応援に来ると負けるジンクスがある、と言われて旅館でラジオを囲む一同。試合は0対0のまま…。

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今日から放送時間は16時30分から。

 

浜風荘の前で木崎の姿を捜す純子。

 

ロビーのソファであきと滝川先生が向かい合って座っているところに純子が戻ってきて首を横に振った。

滝川「本当にお騒がせしてしまって」

あき「いいえ。ほんまにご心配ですなあ」

 

関係ないんだけど、「マー姉ちゃん」のときにツイッターで「いいえ」から会話を始める奴なんているか?というつぶやきを見かけ、確かに「マー姉ちゃん」では「いいえ」と受けて始まる会話は多かったけど、「純ちゃんの応援歌」だって普通にあるよ。だまされるところだった。

 

一つ気になるところがあると、そればっかり気になってしまうんだろうけど。「あぐり」のときも勘違いで起こる出来事にイライラしてた人を見かけたけど、「芋たこなんきん」でも”先生”違いとかあるのにね。どうでもいい話でした。

 

滝川「もう1時間待って見つからなかったら警察に届けます」

純子「宮下君がえらい心配してはって。私のとこも弟2人が野球やってましたさかい」

滝川「ほう~」

純子「一人は亡くなってしもたんですけど、亡くなったほうがずっと補欠で。おととしの夏の大会では、それでも2人そろうてピッチャーとキャッチャーで大阪大会の4回戦まで行ったんですけど」

滝川「ああ、そうですか」

 

純子「でも、甲子園はあきませんでした。私の父も大阪大会で優勝したんですけど大正7年米騒動で全国大会が中止になってしもて」

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あき「ほんまに甲子園への道いうのは遠いんですなあ」

滝川「お父さん、大正7年の? 学校はどちらですか?」

あき「上町中学です」

滝川「上町中学…。じゃあ、確か上町中学にはピッチャーで小野君という剛球投手がいてですね」

 

あき「そうです。主人は小野陽一郎いうんです」

滝川「あっ…じゃあ、あの小野君の奥さんでしたか」

純子「いや、あの…知ってはるんですか?」

滝川「知ってますとも。いや僕もね、中学で野球やってましたからね。上町中学の小野君、名前だけはちゃんと知ってます。上町中の小野、それから徳島の和久井、熊本4番の元次(もとつぎ)」

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米騒動で中止になった大正7年の第4回の出場校

広島商(広島) - 慶応普通部(東京)

中学明善(福岡) - 和歌山中(和歌山)

長野師範(長野) - 関西学院中(兵庫)

今治中(愛媛) - 京都二中(京都)

愛知一中(愛知) - 鳥取中(鳥取)

長岡中(新潟) - 一関中(岩手)

市岡中(大阪) - 竜ヶ崎中(茨城)

 

純子「いや~」

滝川「そうですか。あの小野君のご家族でしたか。ハハハハ」

純子「ほな、滝川先生もそのころ全国大会を目指してはって?」

滝川「いやいや、僕は内野手です。しかも万年補欠ですからね。全国大会どころじゃありませんでした。しかし、この年になって思いがけず子供たちと一緒に、いや、子供たちのおかげでこの甲子園に来ることができたんです。本当に幸せ者だなと思ってますよ。言いかえれば35年ぶりに夢が実現したんですからね。いや、本当にこの夢っていうのは、いつかある時、思いがけず実現することがあるんですねえ」

あき「ほんまにねえ」

 

滝川「いや、そう思って喜んでたんですがね。しかし、もしものことが木崎にあるとすると…」

あきと純子「…」

 

野球部員たちが戻ってきた。

滝川「いたか?」

部員「いえ」

秀平「甲子園の駅の方も見てきたんですけど」

滝川「ご苦労さん。部屋で休め」

部員「はい」

秀平「僕、もう一度見てきます」

滝川「すみません。お願いします」

 

雄太「ただいま」

純子「おかえり」

雄太「お姉ちゃん、ちょっと」

純子「何や?」

雄太「ちょっと来てほしいねん」

 

廊下を歩く純子と雄太。

純子「ちょっと雄太、どないしたんや」

雄太「ええから」

 

裏口に出る

純子「何やの、一体? なあ」

木崎が後ろを向いて立っていた。

純子「木崎君…。雄太、どこで会うたんや?」

雄太「すぐそこのトラックの陰におったんや。あれ?思てな、様子見とったら何やおかしいねん。で『何してんのや』って声かけたんや。ほんなら、ギョッとした顔して逃げ出そうとしたさかい、『どないしたんや』言うてな、問い詰めたら泣きだしたんや。そんでまあ『話そうやないか』言うて訳聞いて、そしたらいったん大阪まで行ったけど、これではあかん思て帰ってきたらしいんや。そやけど、どうしても中へ入れんで…。友達にも監督さんにも部長さんにも顔よう合わさんと言うもんやさかい」

 

純子「よう帰ってきたな。みんな心配してはるよ。部長さんも監督さんもみんなごはんも食べんと木崎君のことを心配してはる。このまま君が帰らへんかったら、みんなそれこそ試合どころじゃないやん。なっ? みんなに元気な顔、見せてあげよ。なっ?」

秀平「なっ、行こう。君にできることはただ一つしかないぞ。勇気を出してみんなに謝る。これだけだ。チームに勝ってほしいか?」

木崎、うなずく。

秀平「だったら帰れよ」

 

純子「逃げてどうなるもんでもないのやさかい。なっ? 監督さんとこに行こ」

木崎「俺、どうかしてました」

秀平「そう、どうかしてた。とんでもないエラーをしたのと同じだな。エラーしたら取り返さなくちゃ」

木崎、うなずく。

秀平「さあ、行こう!」

 

純子は宮下の部屋へ

あき「あっ、どやった?」

純子「みんな、木崎君の頭をポカポカたたいて手荒い歓迎してはったわ」

あき「そうか、よかったな」

日本人は暴力に寛容だというけど、そうかもね。

 

純子「木崎君、泣いて謝ってたけど、監督さんはバカヤロって、そのひと言でおしまいやったわ」

宮下「俺…」

純子「さあ、元気出して。明日は組み合わせ抽選会やないの」

あき「そやで。なっ」

 

滝川「失礼します」

あき「はい、どうぞ」

滝川「おう、大丈夫か?」

宮下「はい」

 

滝川「どうもご心配かけまして」

あき「いいえ」

純子「見つかってホッとしました」

 

宮下「先生」

滝川「うん? 何だ?」

宮下「木崎に言ってください。みんなは許したかもしれないけど、俺は許しませんからね。あいつ、裏切ったんですから絶対許さないって言ってください」

滝川「ハハハハ、そうか分かったよ。よく言っとく。だけど、お前、それだけ元気が出たんじゃ熱なんか下がったんじゃないのか?」

宮下「はい。カッとしたら風邪なんかどこかに行きました」

あきと純子、笑う。

 

滝川「まあ、明日までよく休め。なっ」

宮下「はい」

あき「さあ、たくさん食べて元気出して」

純子「そうや、頑張ってや」

宮下「はい!」

あき「ほら、ようけ食べや」おかゆのおかわりをよそう。

 

そして当日、思わぬ雨で開会式は順延となりました。

 

板場

金太郎「よう降りよるなあ。何で開会式の日に雨降らなあかんのな」

もも「おまい、よう暇取れたな」

綾「金ちゃんが来るさか雨になったんや」

金太郎「何でな」

あき「そやけど宮下君にとってはええ雨やわ」

 

金太郎「宮下って誰な?」

純子「風邪ひいてるピッチャーの子や。この雨で1日余計に休めるし」

綾「金ちゃん、見てらんとちょっと手伝うてよ!」

金太郎「参ったな」

 

清原「よう、金太郎君、来てたのかね」

金太郎「清原先生。はっぴ姿よう似合うたあるな」

清原「そうかね」

金太郎「どっから見てもな、元判事先生とは、とても思えんで」

清原「ハハハハ、うれしいこと言ってくれるねえ」

 

清原先生、つまみ食い?

純子「あっ、おじいちゃん、あっ、ちょっ…。朝ごはん、あの…食べてはらへんのと違います? いやあの…ついうかっとしてました」

清原「ハハハハ、ご心配なく。適当にお握り作っていただきましたから」

純子「あの…朝、玄関とこにいてはったもんやから。つい…すんません」

 

もも「先生。みんな舞い上がったあるさか、自分で言わんと晩ご膳も忘れられてしまうわよ」笑い

清原「それはかなわんな」

純子「ほんますんません」

 

清原先生は、つまみ食いしようとしたんじゃなくてみんながむいていたジャガイモを手に取っただけ? それにしても自分で何でもやってステキ。

 

旅館前、部員たちは素振りをしている。玄関を通りかかった雄太は練習に見入る。

 

裏玄関の電球を換える秀平。

純子「星空や。お星さんが出てる」

秀平「明日、大丈夫だね。北嶺高校、第2試合か」

純子「うん。相手は四国の黒潮高校や。優勝候補の一つなんやて。そやけど勝ってほしいわ」

 

秀平「おかあさん、かえってつらいかもしれないね」

純子「何で?」

秀平「昭君が亡くなって、おかあさんに元気になってもらうために旅館やろうと思い立ったんだけど昭君を思い出すようなことばっかりでさ」

 

板場に戻った純子と秀平

純子「明日はお天気やで」

あき「よかったな」

宮下・木崎「失礼します」

あき「宮下君、もうええのんか?」

宮下「はい、大丈夫です。明日は頑張ります」

 

純子「治ってよかったな」

宮下「はい」

木崎「あの、すみません。明日の朝は6時に食事にしてください。それから縁起を担ぐようですけど、おかずに尾頭付きをお願いします。メザシでいいんです」

純子「はい。勝ち餅とスルメもつけますよって」

 

綾「なあ、小百合ちゃん、うちら明日見に行こな」

小百合「決まってるやんか」

木崎「あ、やめてください」

小百合「何で?」

木崎「ジンクスがあるんです。うちは旅館の人が見に来て負けるんです。お願いですから見に来ないでください」

 

綾「ほんまに?」

木崎「本当です。うちの部は伝統的にそうなんです。先輩から言い伝えられているんです」

綾「何なよ~」

小百合「せっかく応援しよ思てたのに」

純子「しかたないやんか。ジンクスやったら守ってあげんと」

 

ヨシ子「ラジオはええんですよね?」

木崎「ラジオはいいんです。じゃあお願いします」

純子「はい」

木崎「失礼しました」

一同「おやすみなさい」

 

純子「さあ、いよいよ明日か…」

 

翌日、快晴。

ラジオ「カウントはツーストライク ノーボール…」

 

4月2日開会式に続いて第2試合に北海道代表の北嶺高校は出場しました。ゲームは4回の表、北嶺高校の攻撃であります。

 

ラジオ「北嶺高校、バッターボックスは3番の上杉」

 

ジャガイモをむきながらラジオに聞き入る金太郎。

綾「金ちゃん」

 

ラジオ「6つの三振を喫して、まだヒットはありません。得点の方は0対0。ピッチャーのモリヤマが振りかぶって4球目。第4球を投げました。打った、いい当たり、大きい。大きい、大きい。センターバックセンターバック、ライトも追っている。センターバック、抜かれた抜かれた。長打になった。上杉が一塁ベース蹴って二塁へ二塁へ。二塁打、ツーベースヒット!」

 

作業しながら気もそぞろだった板場の純子たちだったが、歓声を上げた。

金太郎「よ~し、いけ!」

 

ラジオ「北嶺高校続くバッターは4番の宮下です」

 

純子「宮下君や」

 

ラジオ「チャンスを迎えて北嶺高校、バッターボックスは宮下。ピッチャーのモリヤマ、第1球を投げました。打った打ち上げました、打ち上げてしまった、内野フライか。セカンドがバック、セカンドがバック、風がある、ライトの選手も行く。セカンドがバック、ライトが前進、あっ、2人が見合ったまま捕れません」

 

歓声

綾「もうあかん、うち、やっぱり行ってくる! 金ちゃん、おいで!」

金太郎「行ったらあかんのとちゃうか?」

純子「そうや、ここにおりい。旅館の人は見に来んといてて言われてんのやさか」

綾「大丈夫やて。うちも金ちゃんも旅館のもんやないもん。おいで。甲子園名物カレーライスおごってあげる」

純子「ちょっとちょっと…」

もも「金太郎、お前は!」バシッと金太郎をたたくが、そのまま行ってしまった。

 

ラジオ「北嶺高校、ノーアウトでランナーが一塁二塁という絶好のチャンスを迎えてバッター5番の田中。この田中に野田監督がサインを送ります」

 

純子「しっかり打って」

 

昭和30年のセンバツ大会は本当に4月1日が雨天順延していた。日程は4月2日から4月8日まで。北海道代表は初出場の北見北斗高校で対戦相手は四国の代表校ではなく、京都の平安高校でした。

 

ラジオ実況のアナウンサーはオープニングで名前が出てなかったな~。