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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (118)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

投手の宮下(滝知史)が熱を出し、監督(南条好輝)は朝食の席で、登録選手を入れ替える、と発表する。控えで守備固めの木崎(坂本国博)が、バッティングのうまい選手と入れ代わりとなり、木崎が隠れて1人で裏庭で泣いていると、純子(山口智子)が見つけて、みんなの所へ戻るように声をかける。従業員の休憩中に野球部員が、木崎がいないと捜しに来て、宮下は、木崎が外れたのは自分のせいだから捜しに行く、と言うが…。

深夜、宮下のために氷枕を作る雄太。丸刈りだったのにすっかり髪が伸びて、高校球児に混じってもお兄さんに見える。実際当時25歳としても。

 

木崎「こんな時間にすみません」

雄太「何言うてんのや。一日もはよう治ってもらわんと開会式どころか試合にも間に合わんようになってしまうやろ」

木崎「熱、まだありますか?」

雄太「今、8度8分や」

 

木崎「参ったですよ。みんなに応援されて出てきて、エースが風邪ひいて投げられなかったなんてことになったらたまんないですよ」

雄太「そやな。せっかく代表校に選ばれたんやもんな。ま、心配せんと君ももう寝た方がええで。君かて夜更かししたら試合に差し支えるのと違うか?」

木崎「いえ、僕は多分、チャンスはないです。バッティングが駄目だし。でも、登録選手に選ばれただけでもうれしいです。入場行進に出られるし、味方がリードしてくれれば守備固めで出るチャンスもひょっとしたらあるかもしれないし」

雄太「さあ、もう寝えよ」

木崎「はい」

 

宮下の汗をあきが拭く。雄太もパジャマで後ろに控えている。

純子「お母ちゃん、浴衣もう一枚置いとくさかい」

あき「おおきに」

宮下「すみません」

純子「何言うてんの。何も心配せんとゆっくり休んでください」

 

宮下「俺の不注意で汽車の中で汗かいたのに、そのまま寒いホームに出たもんだから」

あき「大丈夫。おとなしゅう寝てはったら、すぐにようなります」

宮下「はい」

あき「さ、純子、あんたもおやすみ」

純子「うん」

雄太「僕も寝るわ。おやすみ」

純子「おやすみ」

 

純子も部屋を出ていき…ってここ、客室じゃなくあきの部屋なのかな。宮下の隣にあきが布団を敷いて横になった時はびっくりしたあ! いくら看病が必要としてもここは同じ野球部員に任せるとかした方がいいと思う。

 

あき「ようならな、あきませんよ。せっかく来たんやから。元気出して甲子園の土踏んで力いっぱい投げてこなあかん。おばさんにも甲子園に出るのを夢みてた子がもう一人おったんやけどな」

宮下「亡くなったんですか?」

あき「そうや。とうとう夢はかなわんままやった。そやからこうして甲子園に出てきたあんたたちを見てると羨ましいてならんのや。おばさんな、あんたたちのこと自分の子や思て一生懸命応援するさかいな、しっかり頑張ってや」

宮下「はい」

 

雄太も布団で何を思う。昭のことかな。

 

翌日、部員たちの朝食

純子「木崎君、お弁当ここに置いときますよって」

木崎「はい」

一同「すみません」

純子「さ、ようさん食べて。はい、おぶ、どうぞ」

部員「あ、すみません」

 

野田「みんな、食べながらでいいからちょっと聞いてくれ。明日、抽選会で対戦相手が決まる。で、ゆうべから滝川先生と朝までかかって相談して、登録メンバーを一部、新1年生に取り替えることにした。ピッチャーの宮下が風邪をひいて体調がいまひとつ思わしくないんでな。まあ、ある程度の失点は覚悟しなきゃならんと思うんだ。で、この際バッティングを買って水沢を登録メンバーにする」

水沢「はい!」

 

野田「で、当然、14人の登録メンバーから1人外れる者が出るわけだが…木崎」

木崎「はい」

野田「すまんが、お前、外れてくれ」

木崎「(一瞬考え込むような表情をするが元気に)はい」

 

滝川「チームの攻撃力を強化するにはそれしかないんだ。頼む、木崎」

木崎「はい。水沢、頑張れな」

水沢「はい!」

気の遣える優しい子だから、こいつなら逆切れしそうもないし…と、大人にもうまく利用されてるようにも思えてしまう。

 

野田「よし、じゃあ今日のスケジュールをもう一遍確認しておこう。9時からランニングと柔軟体操、9時30分からキャッチボールとフリーバッティング…」

落ち込んだ表情の木崎を見ていた純子はそっと部屋を出ていく。

 

板場

純子「かわいそうやったわ、木崎君」

あき「でもなあ、チームプレーやから」

純子「昭も何べんもレギュラーから外されてあんな思いをしたんやろな」

あき「そやな…」

セリフはないものの片づけながら後ろで

 

純子がごみを捨てに行くと、木崎がしゃがみこんでいた。

純子「木崎君?」

木崎は立ち上がったが、泣いていた。

純子「つらいな。ここまで来たのに。そやけど、チームのために監督さんが決めはったことやから」

 

木崎「いいんです。どうせ俺はベンチに入れても試合に出るチャンスはなかったんだから。でも、試合に…。試合には出れなくても、せめて…せめてベンチには…」

純子「そやな。ほんまにそやな。そやけど…なっ、元気出して。なっ? そんなんでくさるようやったら弱みそやんか」

純子の顔を見る木崎。

純子「ごめんな。私、死んだ弟にいつも弱みそて言うてたもんやさかい。堪忍な。さあ、みんなのとこへはよ戻り」

peachredrum.hateblo.jp

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ここで回想の一つも出てきたらなあ~。

 

木崎「はい。あの、俺がここで泣いてたなんて誰にも言わないでください」

純子「誰にも言わへん」

木崎「はい」

 

板場に入ってきた秀平。「ああ、腰が痛い」

もも「あ~、こいは思ったよりよっぽど難儀やな」

純子「秀平さんもももさんもまだまだこれからやで」

もも「分かったあるんやけどな、足張ってしもたある」

 

綾「うちもや。足首が二回りぐらい太うなってしもたような気ぃする」

小百合「私も。ほら見て」

綾「小百合ちゃんの方が太いわ」

小百合「綾ちゃんの方が太い」

ちょっと面白い会話

 

あき「しっかり食べとかんと私らの方が参ってしまうで」

石田「ちょっと張り切り過ぎと違いますか?」

純子「そうやろか」

石田「あんまり気ぃ張ってると、それだけで疲れてしまうし」

清原「そうそう。君はいいことを言う。人間、自然体が一番だよ」

あきと純子は顔を見合わせる。石田君も気負いせず話せるようになったな。

 

部員「失礼します。木崎、こっちに来てますか?」

純子「木崎君? さっき裏玄関にいてはったけど」

あき「いてはらへんのですか?」

部員「ええ。練習に来てないんで戻ってみたんですけど、どこにもいないんですよ。荷物はそのままなんですけど」

秀平「出る時はいたの?」

部員「いえ…。あいつが練習をサボるなんて考えられないんですよね」

 

旅館の裏

純子がいると秀平も来た。「いないね。駅の周りも捜してみたんだけど」

純子「生徒さんたちもみんな捜してはんのやけど。ほんま、どないしたんやろなあ。木崎君、私には分かったって言うてたんやけど」

あき「純子! あっ、秀平さんもいてはった。よかった」

純子「どないしたんや?」

あき「宮下君がな、僕も捜しに行く言うて聞かへんのや」

秀平「しょうがないな」

 

学生服を着ている宮下。

秀平「宮下君! 寝てなきゃ駄目じゃないか!」

宮下「いや、ちょっと行ってきます」

純子「風邪こじらしたらどないすんのや」

宮下「大丈夫ですよ」

あき「あかんて。もう何べん言うたら分かるんや」

 

宮下「木崎がこのまま戻らなかったらどうするんですか!」

秀平「よせっつってんのが分かんないのか」

宮下「離してください!」

秀平「寝てろ! さあ、上着脱いで。木崎君はみんなが捜してくれるよ。この上、君が風邪をこじらせたら、もっとみんな迷惑かけることになるぞ」

うーん、やっぱり体も声もでっかい男手は必要だな! 宮下はそのまま座り込む。

 

宮下「俺が風邪をひいてしまったから…。それでメンバーが変更になって木崎が…」

純子「ほな、ほかの人が外れたらよかったんか? そやないな?」

宮下「でも木崎と俺は小学校の時から一緒に野球をやってたんですよ。中学でも一緒に野球部に入ろうって。高校に入る時は同じ高校に入りたいからって、あいつ俺の受験勉強の面倒まで見てくれたんです。でも、あいつ、運がなくてずっと補欠で…。あいつ、開会式だけでもいいからって俺にそう言って、ベンチに入るのを喜んで…」

宮下君的には運がないからレギュラーになれないと思ってるんだ。

 

純子「それは木崎君から聞いた。それやったら木崎君を信じることかてできるのんと違う? なっ? きっと帰ってくるさかい、信じて待とう。なっ? それだけ仲のええお友達やったら、おらんようになったら宮下君がどれだけ心配するか木崎君かて分かってるはずやもん。なっ?」

宮下「はい」

秀平「気持ちは分かるけど…。ほら、まだ熱があるじゃないか」

 

部屋を出た純子。「何や知らん、昭と雄太みたいな気ぃしてきたわ」

あき「そやな」

1階から2階を見るあきと純子。

 

やっぱりこの脚本家さん、男の子同士の友情を描くのがうまい。「たけしくん、ハイ!」「天までとどけ」も子供たちが魅力的に描かれている。ほかに「熱中時代」の脚本も書かれているらしいですが、私、見たことないんだよねえ。金八先生と同時代といってもいいけど、昔からTBS系はよく昔のドラマを再放送してくれたけど、日テレ系は昔からドラマの再放送をあまりしてくれなかった。

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↑これも布勢博一さんの脚本。娘のジュンコ(!)が不倫してる話。父が高校教師だったり、やっぱりどこかしらに子供が関わってくる話を書く人なんだな~。