徒然好きなもの

ドラマの感想など

【連続テレビ小説】芋たこなんきん(6)「ふたり」

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

町子(藤山直美)は、妊婦の出産を終えた健次郎(國村隼)に、先日の口論での言い過ぎを詫(わ)びる。町子は会社を辞める決心をし、朝から晩まで小説を書き続ける毎日が始まる。そんな町子をある日、健次郎が訪ねる。その日から2人の晩酌デートが続く。そんななか、突然、健次郎は町子にプロポーズする。とまどっていると、今度は突然、同人誌の町子の作品が、新人作家の権威ある文学賞を受賞した知らせが飛び込んでくる。

peachredrum.hateblo.jp

徳永醫院

町子「頑張んのよ! ねえ、みんないてるでしょ! ねえ、頑張って! ねえ、しっかり頑張って!」

 

健次郎「知らんおばちゃん?」

産声

町子「産まれた~!」

 

イシ「ガーゼでくるむようにして洗うんやで」

町子「おめでとう」

鯛子「はい」

町子「かわいらしいややさんや。よう頑張ったなあ」

健次郎「あれ? 何であんたが…」

 

島唄を踊り、歌う中に町子がいた。

ここまでが昨日の分。

 

食卓

由利子「赤ちゃん、大丈夫やった?」

健次郎「うん。大丈夫や、元気やで」

町子「よかった!」

隆「なあ、僕も赤ちゃん欲しい!」

健次郎「え?」

隆「弟、欲しいねん、弟!」

 

健次郎「お前、難しいこと言いよるな」

喜八郎「よっしゃ、隆。じいちゃんがデパートで買うてきちゃる」

隆「ほんま?」

イシ「あげん、バカなことばっかり言いち!」

喜八郎「な~に、じいちゃんに任しとけ! 赤子ば一丁!」

 

喜八郎「♪こんにちは赤ちゃん」

一同「♪あなたの笑顔

こんにちは赤ちゃん あなたの泣き声

その小さな手 つぶらな瞳

はじめまして わたしがママよ」

町子も一緒になって歌い、それを健次郎が見ていた。

 

待合室

町子「すっかりごちそうになってしもて」

健次郎「あ、いや~、こちらこそ。おやじがえらい遅うまで引っ張ってしもうて…」

町子「いいえ。(自ら持ってきた菓子折りを見て)アホや~。一番大事なこと忘れて私、一体、何しに来てんのよ、ここに」

健次郎「えっ?」

町子「これ、あの…。あの…、ごめんなさい!」

健次郎「いや…え?」

 

5話の回想

町子「『小説なんかなんぼのもんや』て思てはるんでしょ? あなた、奥さんにもそうやったんですか?」

健次郎「え?」

町子「奥さんつらかったでしょうね。奥さん、つらい思いして寂しい死んでいかはった…」

回想ここまで

 

町子「私、ほんまになんてアホなこと言うてしもうたんやろね。ごめんなさい。許してください。本当にごめんなさい」

健次郎「あ…それを言いにわざわざ?」

町子「何も言い返さはらへんかったでしょ。『何言うてんね、アホや』ってもうどなりもしはらへんかったもんやから。ほんで、私…すいませんでした」

健次郎「何言うてんね、アホ!」

町子「え!?」

 

健次郎「あんたの言葉で僕がシュンとしてるとでも思た?」

町子「そやけど…」

健次郎「ハハハ! もうええて」

町子「5人も…。5人もかわいらしい子供さんいてはるのに…残念やったやろね。何で神さんって時々、ちいちゃい子供のそばから親、取り上げてしまいはるんやろね…。けど、よかったわ、今日は」

 

健次郎「ええ。ハハハ! 明日から看板あげようかな」

町子「えっ、何て?」

健次郎「『産婦人科、始めました』」

町子、笑う。

健次郎「何?」

町子「冷やし中華みたい…」

 

健次郎「ほんまやな、ハハハ!」

町子「嫌やわ。それじゃ、私、そろそろ電車の時間になるから」

健次郎「じゃ、気ぃ付けて」

町子「はい」

 

健次郎「(菓子折りを持って)あの、これほんまにすいません。ありがとうございます」

町子「いいえ。あの…。ごちそうさまでした」

健次郎「いいえ」

町子「みなさんによろしく」

 

健次郎「はい」

町子「はい。おやすみなさい」

健次郎「おやすみなさい。暗いし、気を付けて」

町子「あの…おやすみなさい」

健次郎「おやすみなさい」

 

病院を出た町子の「♪こんにちは赤ちゃん あなたの笑顔」という歌声が健次郎に聞こえてきた。

 

花岡家

信夫「孝子姉ちゃんもいてへんかったらいてへんで寂しいもんやな」

和代「2週間もいてたんやで。嫁に行った人がそない家あけてどないしますの?」

町子「お母ちゃん」

和代「うん?」

 

町子「私、お勤め、辞めよと思てる。ほんで…」

信夫「あっ、お姉ちゃん、やっぱり小説…」

和代「黙ってなさい」

町子「しばらくの間は小説書くことに専念したいと思てます。蓄えも少しはあるし」

 

和代「あんた、今年でなんぼやったかな?」

町子「37」

和代「お母ちゃん、戦争中やったな、その年は。お父ちゃんもおばあちゃんもバアバアばあちゃんもまだみんな元気でいてた。表出たら大変やったけど、毎日うちの中は楽しかったなあ。お母ちゃん、大賛成はようせん。けど、好きにしてみなさい。その年で何かに後悔する人生はつまらん。なっ!」

町子「ありがとう」

信夫も嬉しそう。今の町子は、最終回の「マー姉ちゃん」のマリ子と大体同じ歳くらい。マリ子は姉妹出版も安定してたな。

 

そして翌月から昼夜を問わず小説を書き続ける町子の毎日が始まりました。働いている母に代わり、食事の支度や掃除などの家事も行う町子でした。

 

男ならまさに昼夜を問わず小説を書いてもすごいね~で終わるところ、女性だと家のこともやってこそという感じになるよね。集中してのってるときに家事に時間を取られるのも辛いと思う。

 

町子がちゃぶ台を拭いている。

健次郎「ごめんください!」

町子「は~い!」

健次郎「遊びましょ!」焼酎の入った風呂敷包みを掲げる。

町子「え?」

 

たくさん仕事して、その上、人と飲んで、そんな気力ないわ~と思うけど、健次郎みたいな人は人と会ってしゃべることでパワーチャージできるのかな。私は独りになれなきゃチャージできない。まあ、健次郎は男だからこそ子だくさんでも外で飲めるんだろうな~。男女逆ならあれこれ言われる案件だな。

 

健次郎「いや、失業しはったいうて聞いたから、こら~退屈してるやろなと」

町子「私は失業と違いますから」

健次郎「けど、仕事はしてはらへんのやろ? 同じことやないかいな」

町子「あれ? 徳永さん、お仕事は?」

 

健次郎「今日、土曜日や」

町子「ほな、半どんなんや?」

健次郎「(匂いをかいで)これはなんきんやね。フフフ」

 

和代が玄関に出てきた。

健次郎「こんにちは」

町子「お母ちゃん、あの、こちら…」

健次郎「徳永です」

和代「あ…いつぞやはどうもご迷惑をおかけいたしまして」

 

健次郎「いやいや、こちらこそ。何度かお邪魔してるのにお会いできなくて。あの…。あっ、これね、奄美のうまい焼酎なんです。よかったら、あの…あっ、お出かけですか?」

和代「あ…ちょっと。どうぞごゆっくりなさってくださいね」

健次郎「ありがとうございます」

和代「ほな」

町子「気ぃ付けて」

和代さん、きれいな着物着て一体どこへ行くのやら!?

 

茶の間で飲み始めている二人。

健次郎「そら、食べることを大事にせん人はあきませんな」

町子「そうでしょ? 太るのが嫌やからいうて、容姿気にして、仏さんにお供えするぐらいの、このちょっとだけのごはん。あれで食べて我慢する人いてるでしょ? 私、それ、耐えられへんのんですよ」

健次郎「確かに」

町子「やっぱり食べることっていうのは、私、大事なことやと思いますよ」

 

健次郎「うん」

町子「うん」

健次郎「やっぱり好きなんやね」

町子「うん?」

健次郎「芋たこなんきん

 

町子「昔から井原西鶴も言うてはりますやん。『女の好むものは芋たこなんきんとお芝居』」

oisiiryouri.com

健次郎「僕の芋たこなんきんは何やろな? 飲んで食べてしゃべることかな?」

町子「私の芋たこなんきんは飲んで食べて…やっぱ本読むこと」

健次郎「本はそこそこでええな。みんながみんな赤目つって本、読むことあらへん。まあ、僕もそこそこにしてるな」

町子「ねえ、そこそこってどれぐらいのこと言いますの?」

 

健次郎「『まっ、こんなとこやな』と思えるぐらいや」

町子「…と思えるぐらい?」

健次郎「そう」

町子「そこそこが? ええ加減…。ええ加減なおっさんやな、せやけど。このカモカ

健次郎「カモカ? カモカって…?」

町子「カモカ…。カモカ!」

 

その日からカモカのおっちゃんは時折、町子を訪ねてくるようになり、2人は食事やお酒、会話を楽しむ仲になったのでした。

 

お好み焼き屋さんに行ったり、夜は電熱器を横に小説を書いたり…。いつの間にか冬。

 

もちろん町子はそのかたわら小説を書き続けており、同人誌に掲載された作品の一つが文学賞の候補になっていたのです。

 

昭和41年7月

 

季節はすっかり夏。

新聞記事

第五十回篤田川賞候補作品出揃う

第五十回篤田川賞選考委員会は、十二日夜、候補全八作品を発表した。

篤田川賞の選考会は二十四日午前から東京・六本木の「竹蝉」で開かれ…

品が決定する。授賞式は八月五日東京・銀座の「大賛園」で行われる

伊藤 竜吉「航海士ネルソン」

辻村 康人「奇跡の流線」

花岡 町子「花草子」

矢島 亮「雷門」

神田 文恵「日…

久保山 勝「

渡瀬 恭一郎

安西 廣道

prizesworld.com

年代は少しいじっていて、第50回芥川賞受賞は昭和38(1963)年なのね。

田辺聖子「感傷旅行」

清水寥人 「機関士ナポレオンの退職」

井上光晴 「地の群れ」

佐藤愛子 「二人の女」

森泰三 「砧(きぬた)」

木原象夫 「雪のした」

平田敬 「日々残影」

鴻みのる 「奇妙な雪」

阿部昭 「巣を出る」

実際の作品名も名前も全然違う感じ。「航海士ネルソン」と「機関士ナポレオンの退職」が少し似てるぐらい。

 

夜の街

町子「あ~、今日のハモおいしかった! 今度はどこに連れてってくれはるんですか?」

健次郎「ああ、そうやなあ…。う~ん…。あ~、外で食べるのもええけど、毎回面倒くさいし、よかったらうちで食べませんか?」

町子「いえ、この間もごちそうになってそない度々お邪魔しても…」

健次郎「いや、あの、今度だけやのうて毎日うちで」

町子「え!?」

 

健次郎「結婚しませんか?」

町子「結婚!? 結婚て…あの男と女の結婚のことですか?」

健次郎「ほかにありますか?」

町子「いいえ…」

 

花岡家

町子「私、プロポーズされた」

信夫「え!? ちょ…ちょ…」

和代「え!?」

テレビを消した信夫「そ…それ、どういうこと?」

 

町子「結婚申し込まれたちゅうことと違うやろか」

信夫「誰に?」

和代「それで?」

町子「『ちょっと考えさせてください』て言うた」

 

徳永醫院 

暗い診察室にいる健次郎。

晴子「何してんの?」

健次郎「晴子。『ちょっと』って女の場合、何日ぐらいのことや?」

晴子「は?」

 

町子は自室で寝転んでいた。「結婚か…」

 

答えが出ないまま10日ほどがたちました。そして…

 

健次郎が町子の家へ向かうと、人だかりができていた。

健次郎「ちょっと通して…。ごめんなさい。すいません」

人をかき分け家の中へ。

健次郎「あの、な…何があったんですか? 泥棒が入ったとか?」

 

記者「は?」

 

町子「ありがとうございました。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。はい、はい、どうもすいません。失礼いたします!」

電話を切った町子に尋ねる健次郎「どないしたん? 何があった?」

町子「わた…わた…わた…わた…わた…」

昨日のミニ予告!

 

健次郎「何を?」

町子「私…私…私…篤田川賞もろてしもた!」

健次郎「え!?」

町子「もろてしもたんやけど…。そやからね、後からゆっくり、私…。ちょっと待ってね」

またしてもかかってきた電話対応をする町子「はい、もしもし、花岡でござい…。あっ」

 

この日、花岡町子は歴史ある文学賞、篤田川賞受賞の知らせを受けたのでした。

 

来週は「お祝い!?」

・髪をセットしてもらっている町子

・ニワトリが大暴れ

・町子、挨拶でマイクに頭をぶつける

 

町子「お父ちゃん、私、やっと夢つかんだから」

 

・徳一に肩を抱かれる子供町子

・何か騒がしいシーン。後ろに常太郎。

・町子、倒れる

・健次郎に口の中を見せる町子

 

白人女将「先生、寄付してくれはる?」

 

・晴子、和代が「結婚!?」と驚く

 

健次郎「僕と結婚したら面白い小説ようさん書けるよ」

車で出かけた山で再プロポーズ!?

 

ミニ予告は笑っている町子さん。

 

このテンポもいいなあ。はあ~、またしても半年目が離せません。