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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (127)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

磯野家が返本だらけと聞いた大宗(渡辺篤史)はマリ子(熊谷真実)を連れ、塚田(日下武史)を訪ねる。返本の原因がB5版の型にあると言われ、責任を感じた塚田は、神田村の取次店をまわるよう助言する。早速、神田村で本を置いてもらうよう交渉するマリ子。痔を悪化させた大宗に代わり、朝男(前田吟)と千代(二木てるみ)にリヤカーで本を運んでもらったマリ子は、順調に本を卸していく。だが、その晩、朝男が倒れて…。

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磯野家に下駄履きで走ってくる均ちゃん。

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昭和43年の現代劇だけど、竹脇無我さんも下駄で全力疾走してたな。

 

ドングリみたいなつばなし帽子と茶色いマフラーをした均ちゃんは、お尻を押さえながらも深呼吸して磯野家へ入って行った。玄関を開けただけで、すごい在庫の本があるのが分かり、驚く。マリ子は快く出迎えるが、千代はにらみつけた。

 

マリ子「さあ、どうぞ。と言ってもこんな場所ですけれど」

均「(帽子を取り)申し訳ありませんでした」

マリ子「大宗さん…」

均「今朝、天海君から電話をもらって驚いたんですけども、まさかこのありさま見るまでこんなことになってるとは…」

千代「どげんありさまだと思うとらっしゃったとですか?」

 

均「いや、一言もありません。確かにあの時、僕はガ~ンと押すべきだと言ってますからね。責任感じてますよ」

千代は強く戸を閉めて去った。

マリ子「いいえ、私が素人だったということですわ。改めて世の中そう甘いものではなかったと思い知っています」

均「しかし…」

 

マリ子「でも大丈夫ですから」

均「それじゃあ、何かいい方策でも?」

マリ子「ええ。これからその方策を探しに行くところですので」

均「えっ…分かりました。じゃあ、僕も一緒にお供しますから」

マリ子「いいえ、とんでもありません。ゆうべも家族会議をして、これは私の仕事ということに決まりましたから」

均「だったらなおのこと連れていってくださいよ」

 

マリ子「いいえ、なんとかしますから」

均「どうやって?」

マリ子「さあ? でもとにかくこの本を一冊でも売って減らさないことには…」

均「分かりました。それじゃあね、まず鬼の塚田から行きましょう。彼にこそね大半の責任はあるんですから」

マリ子「そんな…」

 

均「いやいや、遠慮なんかしてたらいけませんよ。突破口は見つかりませんからね」

マリ子「いえ、別に遠慮してるわけじゃありませんわ。でも…」

均「でもも蜂の頭もありませんよ。さあさあ早速参りましょう。ねっ?」

マリ子「そうですね」

均「そうですとも」

マリ子が出かける準備をしに席を立ち、均ちゃんは改めて部屋に積まれた在庫の山を見る。

 

昭和22年をよい年にしようといきまいてドカンと増刷した「サザエさん」の2万部がこのとおり全部在庫となってしまったのです。

 

陽談社のロビー

塚田「そらぁ、えらいことになったな~」

均「そんな…ひと事みたいに言わないでくださいよ」

塚田「いやいや、しかしだな…」

均「しかしもヘチマもありませんよ。あの時、機を逸することなかれ。ドカンと増刷して押すべきだ。確かにそう言ったじゃありませんか。ほかでもない鬼の塚田の言葉だ。僕はそのままマリ子さんに伝えましたよ」

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マリ子「だからって大宗さん」

均「いや、それをねうのみにした僕もいけなかった。しかしですよ…」

塚田「分かった、分かったよ。俺だって陽談社の塚田だ。別に逃げ隠れするつもりはないさ。いや、しかしだな…」

マリ子「いえ、いいんです。私は別に責任を取ってくださいなんて乗り込んできたのではありませんから」

 

均「マリ子さん!」

マリ子「本当なんです。でも、日配が受け取らないとなるとどういうところを歩いたらいいのか、その辺のところを教えていただきたくて伺いに参りましたの」

塚田「う~ん…」

均「『う~ん』じゃないでしょう!」

マリ子「お願い、大宗さん。塚田さんにそんなふうにおっしゃらないで」

 

均「いや、しかしですよ…」

塚田「いや、俺だって責任は感じてるよ。しかし、その…君んとこの姉妹出版とうちの陽談社とは、いわばご同業の出版社だ。再版分を引き取ってやるってわけにもいかないしな…」

マリ子「それはもちろん分かってます」

塚田「しかし、不思議だよな。どうしてこんな面白いのに…。『サザエさん』は面白いぜ! これが売れないなんて日配さんもどうなんだろうな…」

 

均「型がよくないんだそうですよ」

塚田「何? 型?」

均「はい。B5判という形が中途半端な大きさだと、それがたたってるとそう言われたそうですよ」

塚田「それ、本当?」

均「ご覧なさい。しかもですよ、それをすすめた張本人は、ほかでもない塚田さん、あなたですよ!」

塚田「う~ん…」

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B5はともかくも横綴じがよくなかっただろうな。邪魔で。

 

マリ子「いいえ、日配さんにも言われました。前の2万部の市場調査もしないでさらに2万部刷るなんて素人商売もいいところでどうかしてるって」

塚田「そうだ、それはそのとおりだ。しかしだな…」

マリ子「いえ、いいんです。こうなったら置いてくれそうな問屋さんを探して片っ端から歩いてみるつもりですから」

塚田「よし…。じゃあ神田村を歩いてみるか」

 

マリ子「神田村?」

塚田「うん、駿河台下の取次店だ」

マリ子「はあ」

塚田「バラック建てのがズラ~ッと並んでてね。とりあえずそこを根気よく歩いてみるか」

マリ子「はい」

塚田「神田村じゃ僕の名刺もあんまり役には立たんが勝負は早い」

マリ子「はい!」

 

今でも書店街で有名な神田神保町のことなんだね。

 

塚田「東京、横浜の書店さんもだが千葉、埼玉、栃木辺りからもリュックをしょって買いに来てるから売れるとなれば全て現金扱いだ。1本10軒置いてくれたって500部だから、まああんたがその気ならぶつかっていくことだな」

マリ子「はい!」

 

書店街を歩くマリ子と後を歩く均ちゃん。

マリ子「大宗さん、大丈夫ですか?」

均「ああ、大丈夫、大丈夫」

冷や汗を拭く均を座らせて、マリ子は取次店へ。

 

マリ子「ごめんくださいませ。私、姉妹出版の磯野マリ子と申します」

マリ子は早速店主の金子から「あんたの尻で本の山が崩れるんだよ!」と注意された。マリ子は謝り、私も売り物を持って来たと言って「サザエさん」を取り出して見せた。

マリ子「はい、この本です。漫画です。去年の暮れまで『夕刊フクオカ』に連載していたものを今度、一冊にまとめたものなんですけれど」

 

金子「ふ~ん…面白そうじゃないの」本をめくる時、唾液で指を…うわぁ!

マリ子「はい、とっても面白いんです!」

金子「そんなこと、あんた、客の方で決めるこった!」

マリ子「はい」

金子「25円か…まあまあじゃないの」

マリ子「はい」

 

金子「で、掛けは?」

マリ子「はい?」

金子「掛けだよ」

マリ子「はい」

金子「何掛けで置くのかって聞いてるんだよ。あんた、トーシローかね?」

 

マリ子「あ、いえ…あの初版分は7掛けで日配さんに取っていただきました」

金子「ほう、日配さんでね」

マリ子「はい、おかげさまで陽談社からも、あの今度は神田村に回りなさいと助言を頂いたものですから」

金子「分かった。それじゃあとりあえず5本」

マリ子「はあ?」

 

金子「ひとくくりが5つで5本だよ。250冊」

マリ子「あ…ありがとうございました! それでは早速、明日…」

金子「何だ、現物はないの?」

マリ子「いえ、現物だったらあと2万部はございますので」

金子「よし! 払いは1週間後だ。売れた分だけ払ってあげる」

マリ子「1週間後…」

 

金子は店に入ってきた仕入れ客と話を始めた。金魚の飼い方の評判がよくて…と話し始めたのをマリ子は会話に入り「サザエさん」はどうですか?と強引にすすめた。

 

磯野家

朝男「へえ~、そうかい! そいつはよかった!」

マリ子「おかげさまで大宗さんと一緒に運んだ200冊分、全部置いていただきましたわ」

朝男「それにしても、あの野郎、第一日目から顎を出すとは情けねえ野郎だな」

マリ子「そうじゃないんです。一緒に歩いてる途中にだんだんと顔色が悪くなってくるでしょう。どうしたのかと思ったら大宗さんには持病がおありだったんですよね」

はる、マチ子、ヨウ子「ああ~…」

 

朝男「そうか、そうか、やつの持病は重いものを持ったり、ふんばったりするのは一番いけなかったんだよな」

千代「大丈夫たい。明日から、こん、お千代が一緒に本ば担いで歩きますから」

マチ子「うん、私も行くわ!」

 

朝男「おっと、待った! 俺がいるのを忘れちゃいねえかって言ってんだ。女がどうふんばって担いだところで数が知れてらぁ」

マチ子「何よ。『塵も積もれば山となる』って知らないの?」

朝男「その山を、えっ? 山ほど運んだ方が早えじゃねえか」

マリ子「でも一体?」

 

朝男「あっしんちにはリヤカーがありますよ。だからマリ子さんに外交の方を任せるとしてだ、そのリヤカーで運んでいって、えっ? 買ってくれるって店にどんどん運ぶ。ねっ? その方が早えだろ」

千代「あっ、それやったらそのリヤカーをうちが引きますから」

朝男「バカ言っちゃいけねえ。男が先棒で女は後押しって昔から決まってるんだ」

マリ子「フフッ、それじゃあ天海さん!」

 

朝男「おう、『乗り掛かった船』だよ。残った2万冊、ねっ? この天海さんが何としてでも運んでやるよ」

はる「ありがとうございます。それでは、お千代を後押しに出しますのでお言葉に甘えてよろしゅうお願いします」

 

マチ子「いや、そんなこと言ったって天海さんには天海さんのお仕事があるんですよ」

朝男「あんたにもあんたの仕事があるんでしょ?」

マチ子「えっ?」

はる「そうですよ。天海さんにお礼するためにも、あなたには山ほど来ている仕事、漫画をどんどん片っ端から片づけなくてどうするの?」

マチ子「いや、それはそうですけど…。だったらお母様は一体何をしてくださるんですか?」

 

はる「畑をやります」

マリ子「畑!?」

はる「ええ。今度、用賀に500坪の畑を買いました」

マチ子「何ですって!?」

はる「畑は私がやりますから、みんなに食べる心配はさせませんよ。お大根でもお豆でも菜っぱでも見事なものいっぱい作りますからね。みんなも負けないように頑張りなさいよ」

同じ世田谷で近いのか。

 

家は2万冊の本にうずもれているというのに、これ以上、型破りな激励があったでしょうか。

 

リヤカーを引いた朝男が神田村を走る。マリ子が交渉役、朝男と千代は取次店に本を置いていく。6本、2本と次々注文が入る。

千代「ケチやね、たったの100冊だなんて」

朝男「バカ言っちゃいけねえよ。商えってのはな、飽きずにやるから商えっていうんだ。一銭ずつ、なっ? コツコツもうけさせていただこうっていう気持ちがなくちゃ商いはできませんよ~!」

 

マリ子はある店で5,000部置くと言われ、朝男と千代に報告。お勘定は半月後。朝男は一旦リヤカーが空になったらまた運んでくると張り切った。

 

かくして、座敷の方はこのとおりすっきりしましたが、まま好事魔多しと申します。

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その晩、天海さんが倒れたのです。

 

歯をガチガチ言わせて布団で寝込む朝男。熱も酷い。

朝男「大丈夫…だ…大丈夫…。ただのマラリアだ」

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太夫マラリアで倒れたのもまた昭和22年夏ごろ!? 天海さん、キニーネを飲むんだ!

 

今日は「手のひらは小さなシャベル」でつづく。

出版社を興す前に塚田さんに相談していたら、陽談社から「サザエさん」は出てたのかもしれないが、やっぱりB5判の横綴じだと思うから、返品の山だったかも!? 

 

でも、マリ子が出版社を興すというのが大目標だから他で出すという考えはそもそもないだろうけどね。