公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意
清原(浜村純)を引き取りたい、という秀平(髙嶋政宏)の申し出は、無かったことに、ということになったが、純子(山口智子)は釈然とせず、清原に会いに行く。その話を聞いたもも(藤山直美)とぬひ(西岡慶子)は、新婚家庭に老人を引き取るなんてありえない、と憤慨。清原は純子に、下市での暮らしにやっと慣れてきたところだし、場所を変わることは好まないと断り、純子は一度帰りかけるものの、思い直し清原の所へ戻り…。
秀平が清原先生を引き取りたいと純子に言った夜。
小野家
あき「えっ? 清原先生を引き取りたいて?」
純子「うん。秀平さんに急に言われて私も面食ろうてしもたんやけど」
恭子「それで、お姉ちゃん何て言うたん?」
純子「黙っててん。そやかて何て言うたらええのか分からへんし…」
あき「そやけど秀平さんもまた何でそないなことを…。そら清原先生がお気の毒やいう気持ちは分かるで。分かるけど、なにも寝込んでしまわはったとかそういうことやないんやし…」
恭子「当たり前や。なんぼなんでも非常識やわ」
あき「ほんまに秀平さん清原先生に引き取るて言うてしまわはったんやろか」
純子「そういうわけでもないらしいのや」
秀平が訪ねてきて、清原先生を引き取るという話はなかったことにしてくれないか、つい口に出してしまった、気にしないでほしいと言うと帰って行った。
あきには「よかったやないの。秀平さんが取り消すと言うてくれはって」、恭子には「取り消して当たり前やわ」と言われたものの、秀平がおなかの中ではまだ清原先生を引き取りたいと思ってると思っていることを見抜いた純子。「私がええ顔せえへんかったから、それで取り消す言わはったんやわ」と、店は恭子に手伝いさせ、純子は下市に行くことにした。
純子「そやから清原先生に会うて清原先生がどない思てるか聞いてくる。ああいうお人やから私らのやっかいにはならんよて言わはると思うけど、そやけど清原先生にお目にかからんと頭から秀平さんに反対するのは私、嫌なんや」
恭子「じゃ、もし清原先生がそんならお世話になろうかって言わはったらどないすんねや」
純子「その時はお世話したらええことやんか」
あき「純子。そんな簡単なもんやあらへんで」
純子「よう分かってるけど、そやけどこのままでは私も気まずいし」
そこに帰ってきた雄太。純子の顔を見て「どないしたん?」。深刻な顔をしていると指摘した。
雄太「そや、僕な実はな残業のな…」と話しかけたのに、あきが「毎日毎日残業で大変やなあ」と話しかけたので、雄太は言いかけたことをやめた。
翌日。店を手伝う恭子がももと話していた。
もも「そんなそらちょっといくら何でもかわいそうやわ。そら清原先生かてお気の毒か分からん。けど、あんたなんも新婚さんが年寄り抱え込むことないわらよ」
恭子「そんな私に文句言われたかて…」
ぬひ「それはね、速水さんがようないねん。速水さんの方からな、ひと言そんなことせんでもええて言わはったらええのやないか」と会話に割り込む。
もも「あんたまた聞きやったん?」
ぬひ「また聞きやったんて聞こえてるがな。何考えてんの、あの人。嬢さんがかわいそうやろ。そやろ?」
もも「そうそう。ほんでな大体年寄りちゅうのはな、わがままなもんなんや。そらほんまの親やったらしょうない我慢もせんならんよ。そやけど清原先生いうたら秀平さんの…何やのおばあちゃんのおばあちゃんのおばあちゃんの…おばあちゃんと何か縁続きでも遠い遠い縁続きや。ほとんど他人やらよ」
秀平が清原欽一郎のいとこの子供であったとは。と23話では言ってたけど
清原「いや、だから、わしのおばの嫁ぎ先のつまり義理のおじだな。ええと、そのおじの妹の子というのが秀平君のおばあさんになる人で、で、その人の最初の連れ合いが今言う巡り田の墓の中にいる人なんだよ」と27話では説明してる。
ぬひ「ちょっと恭子ちゃん、あのね、嬢さんの方が自分の方から引き取ってもええて言わはりましたんか? ちゃいまっしゃろな」
もも「どう、どう?」
恭子「私、よう分からへんねんけど、最初は秀平さんが引き取りたいようなこと言わはって、それでお姉ちゃんが一応様子を見にということらしいねん」
ぬひ「そらそうですがな、あんた。なあ。結婚前の娘さんがお婿さんになる人に言われたら嫌と言われへんやん」
もも「言えてる」
ぬひ「言えてるやろ? そこんとこ、あの速水さん、あれ考えたらへんのや。ずうたいばっかり大きいて何考えて…」
もも「ちょっと後ろ見て」
ぬひ「何が後ろやの、あんた」
秀平「こんにちは」
ぬひ「お越し」
純子に会いに来た秀平に清原先生を引き取ると聞き、秀平を責めるぬひ。
ぬひ「新婚家庭だっせ。親ならともかく年寄り引き取ってどないしはりますねんな、あんた。嬢さん、かわいそうやおまへんか」
秀平「その話、僕、取り消しましたけど」
しかし、純子が下市に行ったと話す恭子。
おめかしして小野家を訪ねた西川。10日ほど東京で勝負してくるという西川は留守にすることと純子の結婚式に出られないけどよろしくと言って出ていった。道ですれ違った秀平に写真を撮られながら出発。
秀平はあきに余計なことを言ってすみませんと謝り、今日から向かいに家に移ることを報告した。
下市で清原と再会。少しふっくらした!?
清原「そりゃ、秀平君の気持ちはありがたいがね、僕もやっと下市の暮らしに慣れたところでね。年を取ってから場所を変わるのはあまり好まんのだよ」
純子「そやけど…」
清原「秀平君が何か言ったのかね?」
純子「お世話してくれてはった奥さんのいとこさんが亡くならはったんでしょう?」
清原「うむ。別に居づらいとかそういうことじゃないんだ。この土蔵の中で毎日ね回想録を書いたり、法律の雑誌に寄稿したり、結構忙しく暮らしてるよ」
純子「秀平さんは大勢の家族に囲まれて住むのが好きや言うてはりました。それで先生に大阪へ来てほしいて言うたんやと思います」
清原「いや、せっかくだが断る。まして、あなた方は新婚じゃないか。そういうところへのこのこ行けるかどうか考えてもみなさい」
純子「いえ、私は…」
清原「あなたがよくても私が困る。遠いところを来ていただいてすまんが帰ったら秀平君に言ってください。お気持ちだけでたくさんだとね。さあ、今ならまだ5時11分の電車に間に合う。遅くならないうちにお帰り」
純子「ほな失礼します。先生もお元気で」
と帰って行った純子だが…。
純子の胸に複雑な思いが行き来していました。
才谷停留所のベンチに座る純子。
予想したとおり、清原欽一郎は純子たちに引き取られることを断りました。本当ならほっとするところなのであります。しかし、純子の気持ちはなぜか重たく沈んでいくのであります。
純子は清原の暮らしている家に戻った。清原は一人、外で七輪の火にウチワで風を送って魚を焼いていた。
清原「純子さん、帰ったんじゃなかったのかね?」
純子「帰るつもりでした。でも自然に足が元に戻ってしもたんです。清原先生、やっぱり大阪へ来てください」
清原「いや、しかし私は別にここの暮らしに不自由は…」
純子「いえ、そんなことやないんです。先生がここで1人暮らしをしてはったら、私らの新婚生活が楽しないような気がするんです。何や知らん大切なもんが一つ欠けてるような気がするんです」
清原「…」
純子「最初は先生に来てもらうのは重荷やなと思たんです。秀平さんが望んでるならしかたないと思てました。先生が断るて言わはった時は、ちょっとだけほっとしましてん。でも今は先生に来てほしいんです。あきませんか?」
清原「…」
純子「先生のためやのうて私らのためにどうぞ来てください」
清原「君たちのために?」
純子「そうです。秀平さんは先生をほんまのお父さんやて思てはります。私もほんまのおじいちゃんのような気がしてます」
清原「私はね、杉の大木のような生き方を好んだ。孤独という言葉が好きだった。ひとりそこに立つ。しかし…。お言葉に甘えてお世話になるかな。ありがとう」
純子「先生…。おおきに」
純子にああいう言い方したら、そりゃ純子は訪ねるだろー。秀平は引き取ると言ったものの純子が反対ならしかたないくらいな感じで何か具体的に考えるでもなかった感じだね。陽一郎という燦然と輝くいい男がいたせいかどうも秀平がなあ…。