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【連続テレビ小説】マー姉ちゃん (110)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

千代(二木てるみ)は、村田(園田裕久)にマチ子(田中裕子)の連載が決まった経緯を話す。当のマチ子は窓から海を眺めたり、かと思えば家中をウロウロしたりと悶々としている。だが突然筆を持つと勢い良く髪型が特徴的な主人公を描きあげる。生命力あふれるおてんばな主人公にしたいというマチ子に、ヨウ子(早川里美)はマリ子(熊谷真実)みたいだと言う。百地の浜を散歩していたマチ子は、サザエの貝殻を見て何かをひらめき…

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磯野家の客間。

村田「へえ~、マチ子お嬢様が新聞の連載漫画ば!?」

千代「はい。どうしても磯野マチ子先生にお願いしたかって新聞社の人が頼みに来たとですよ」

はる「お千代」

千代「大したもんじゃなかですか、ねえ、村田さん」

村田「ああ、ああ、私らにとっても名誉なことですばい」

はる「まあ、そんな大げさな」

 

村田「それでどげん漫画ばお描きになるとですか?」

はる「さあ? 私は存じませんけど」

村田「はあ?」

はる「だって引き受けたのはマチ子で考えるのは私ではございませんもの」

村田「はあ…」

 

マチ子は2階の窓から外を眺めた。目の前は百道の浜。

 

村田が帰った後、はると千代が片づけをしていると、マリ子とヨウ子が帰ってきた。

はる「あら? 何だか息切れしてるんじゃないの?」

ヨウ子「はい、今日は少し速めに歩いてみましたので」

 

マチ子は2階へ上がったきり、コトリとも物音がしない。マリ子はマチ子が仕事を始めるとだんまりだからつまんないとこぼす。ヨウ子も口数が少なくなるといい、マリ子はつまんないとまた言うが、はるはたまには閑静でいいという。

 

ぼんやりとした様子のマチ子がウロウロ家の中を歩き回る。マチ子のピンクのロングスカートがかわいいな。マチ子の様子に滑り出しが大変だというヨウ子。マチ子を気にするマリ子たちにそれぞれ自分の仕事に戻るように言うはる。

 

作家にもいろいろなタイプがあるようですが、マチ子の場合、構想がまとまるまでは出来上がりの軽快さとは似ても似つかぬしん吟型のようでした。

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机に向かったマチ子が一身に何かを描いていた。マチ子が後ろを振り向くとヨウ子がにっこり笑って座っていた。ヨウ子に描いたばかりの原稿を渡したマチ子は部屋を飛び出した。ヨウ子に手渡した原稿にはサザエさん! まだ名前ないけど。

・正面笑顔のパーマ頭の女性

・口笛を吹くパーマ頭の女性

・ほうきとちりとりを手にし、怒っているパーマ頭の女性

・転んで腰を打ち、買い物バッグを投げ出したパーマ頭の女性

ヨウ子は絵を見て思わず笑った。マチ子は原稿をひったくるようにヨウ子から取り返すと、また部屋を飛び出していった。

 

大きな音がしてヨウ子が見に行くと、階段の下で座り込むマリ子がいた。お茶を持っていこうとすると、マチ子がすごい勢いで下りてきた。ヨウ子が笑う。

マリ子「衝突を避けようと自ら転落した私は犠牲者なのよ」

ヨウ子「ごめんなさい。でも今、マッちゃん姉ちゃまから見せてもらった漫画の主人公そっくりの感じだったんだもの」

マリ子「出来たの? マッちゃん」

マチ子「うん、キャラクターだけね」

マリ子「よしよし。拝見いたしましょう」

 

2階でヨウ子から感想を聞くマチ子。

マチ子「じゃあ、ひと言で言うと?」

ヨウ子「かわいいわ」

マチ子「かわいい?」

ヨウ子「ええ、殊に髪型が」

マチ子「どんなふうに?」

ヨウ子「新鮮ね」

マチ子「へえ~…」

ヨウ子「とっても印象的。そうね、例えばフクちゃんの角帽みたいな感じ」

「フクちゃん」は昭和11年朝日新聞東京版で連載が始まったそうですが、昭和57(1982)年にアニメ化されたのでそれを何となく覚えてます。アニメ版は現代版アレンジだったそうで、また当時のものとは違うんだろうけど。

 

マチ子「ヨウ子ってなかなかの評論家なのね」

ヨウ子「だってそうでしょう? 角帽を取ったらフクちゃんはフクちゃんでなくなるし」

マチ子「フフッ、よくぞねらいを理解してくれました!」

ヨウ子「楽しみだわ。この女の子がどんなおてんばするのかしら」

 

マチ子「そうね。みんなが内心やってみたいと思ってるようなおてんばをさせたいと思ってるんだけど」

ヨウ子「すてき!」

マチ子「ちょっぴりね、お行儀が悪くてもそそっかしやの慌てん坊。思い込んだら命懸け…ってな具合にいかないかもしれないけど、とにかくね、生命力のあふれたおてんばにしたいのよ」

ヨウ子「まるでマー姉ちゃんとマッちゃん姉ちゃまを足して2で割ったみたい」

 

マチ子「とんでもない。要素はずっとあちらさんの方が多いんですよ」

ヨウ子「やっぱり?」

マチ子「引っ掛けたわね!」

ヨウ子笑う。ヨウ子の笑顔が多くなってきていいね。

 

お茶を運んできたマリ子にヨウ子が原稿を見せる。

マリ子「アハハッ、何でしょう。この髪形」

マチ子「変?」

マリ子「変は変だけど、大傑作よ、マチ子! うん、これは絶対読者の大アイドルになる相だわ!」

ヨウ子「ほらね」

マチ子「うん」

 

マリ子「いけるわよ、マッちゃん!」

ヨウ子「そうよだって、このおてんば娘のモデルはマー姉ちゃんなんですもの」

マリ子「ええ~!?」

マチ子「何よ、そんな声出して。今、大傑作って言ったばかりじゃないの」

 

マリ子「だって私はそんなおてんばじゃありません!」

マチ子「そのかわり慌てん坊のそそっかしやさんでしょう?」

マリ子「ちょっと…まさか私の失敗を毎日漫画にするわけじゃないでしょうね?」

マチ子「だって連載漫画の主人公っていうのは親しみやすいキャラクターが一番だと思うのよ」

マリ子「マチ子!」

マチ子「は~い!」

 

マリ子「悪い子ね、2人とも。そんなお姉さんをからかうもんじゃありません」

マチ子「は~い!」

マチ子「まあ福々しい! あっ、じゃなかった…空々しい!」

マチ子「ほら!」また笑う。

マリ子「(ヨウ子に向かって)あきれた! 熱が出ますよ」

ヨウ子「は~い!」

 

何はともあれ、うちの中に活気が満ちあふれてくるというのはよいことです。

 

砂浜にいる三姉妹。マリ子は日傘をヨウ子にさしていた。

マチ子「よ~し、やるぞ~!」

マリ子「頑張れ、頑張れ! その意気だ!」

マチ子「ねえ、私。その連載漫画で世の中の人々をパ~ッと明るくしてやりたいの!」

マリ子「おっ、大きく出ましたね」

ヨウ子「大丈夫よ。マッちゃん姉ちゃまならきっとそうなる」

 

マチ子「そうでしょう? やる以上、それぐらいの気概でなくっちゃ」

マリ子「いいわよ。私たちどんどん応援しちゃうから!」

マチ子「マー姉ちゃん!」

マリ子、笑顔でうなずく。

 

台所仕事をしていたマリ子。はると千代が帰宅。

マリ子「ちょうどよかったわ。もうすぐお食事になりますから」

千代「あらまあすいません」

マリ子「いいえ。あっ、教会のお話、何でした?」

はる「ええ、引き揚げ者の皆さんの援護についてのお話だったわ」

マリ子「引き揚げ者の…」

 

マチ子とヨウ子の笑い声にはるは驚く。マチ子の頭の中にはいろいろ出来上がっている。

 

女の子、坊主頭の男の子。パーマ頭の女性。禿げ頭の男性。着物姿の女性の絵が並ぶ。ま、おなじみのメンバーですね。

 

マチ子「世話場か…フフッ、そういえばだいぶ世話場だわね。きっとこのお母さん面倒見がよさそうだし」

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ヨウ子「本当!」

マチ子「はるほどね~、我ながら深層心理とは恐ろしいものである」

ヨウ子「さあ、マッちゃん姉ちゃまの深層心理って何かしら?」

マチ子「分かってるくせに!」

ヨウ子「まあ」

 

マチ子「もう! ねえ、ねえ、ねえ。それよりこのおやじ殿、どう思う?」

ヨウ子「うん、これは意外でした」

マチ子「意外って何が?」

ヨウ子「マッちゃん姉ちゃまってもっと面食いかと思ったのよ」

マチ子「私が!?」

 

ヨウ子「そうよ。だって亡くなったお父様は本当に美男子でいらしたでしょう?」

マチ子「そうよ。その血を引かなかったのがちょっと残念だけどね」

ヨウ子「そんなことないわよ」

マチ子「いいのよ、慰めてくれなくても」

ヨウ子「でも、このお父さん私好き。とっても好人物そうなところがね」

 

マチ子「そうでしょう! 我が父上はね美男子だったけどかんしゃく持ちだったわ」

ヨウ子「私はあまり覚えてないけど」

マチ子「そうなのよ、気短でね。一体誰が似たのかしら?」

 

お父様の写真&肖像画って誰か俳優さんなんだろうかねー? 名前も出てこないし。

 

ヨウ子「そうね…ややマッちゃん姉ちゃまじゃないかしら?」

マチ子「私?」

ヨウ子「そうよ。雑誌社の方をてこずらせてばかりいたじゃないの。言いだしたら頑固で作品のこといろいろ言われると、すぐ『やめさせてもらいます』って」

マチ子「まあ! もう~!」

 

食事の時間に呼ばれて下に降りていったマチ子とヨウ子。はるたちが帰っていたことにも気づかず夢中でおしゃべりしていた。

 

百道の浜。

 

家族構成のあらましは決まったものの根が凝り性のマチ子。人物の名前はまだ「これ!」というのが浮かんでこなかったのです。

 

ヨウ子と散歩しているマチ子。

マチ子「う~ん…」

ヨウ子「創作するってことは本当に大変なのね」

マチ子「んっ? なんのなんの。これじゃあまるで私の方が散歩をつきあってもらってるみたいね」

ヨウ子「だって…」

マチ子「行こう! あとね、30分歩いたら休憩」

ヨウ子「はい」

 

砂浜を歩いていたマチ子はサザエの貝殻に気付く。

マチ子「うん? そうか…」

 

帰ったマチ子はパーマ頭の女性の絵の脇に”いそのサザエ”と書いた。

マリ子「『いそのサザエ』?」

マチ子「そう、これで決まり! 要するに家族全員を海に関係のある名前で統一すればいいのよ」

マリ子「ちょっと待ってよ。そうするとどういうふうになるの?」

マチ子「つまり、弟がカツオ!」

 

坊主頭の男の子の脇に”カツオ”と書き込む。

 

マリ子「カツオか…なるほど」

ヨウ子「そうするとこのおチビちゃんは?」

 

女の子の脇には”ワカメ”と書いた。

 

マリ子「へえ~、かわいいじゃない!」

マチ子「でしょう? だからね、お父さんが…」

 

禿げ頭の男性の脇には”波平”。

 

マチ子「波平!」

 

着物姿の女性には”舟”。

 

マチ子「お母さんが…舟! 出来たわ!」

マリ子「なかなかやるじゃない! マチ子って案外天才ね!」

マチ子「案外って言うことはないでしょ」

マリ子「気にしない、気にしない! 出来たじゃないの、マッちゃん!」

マチ子「うん!」

 

ヨウ子「あとは一気呵成なんでしょう?」

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マチ子「そうなればいいと思うんだけどな…」

マリ子「何よ、あとはただ突っ走るだけじゃないの!」

ヨウ子「そうよ! 頑張れ頑張れ、マッちゃん姉ちゃま!」

マリ子「フレーフレー、サザエさん!」

三姉妹のキャッキャッウフフでつづく。

 

2013年の「長谷川町子物語」だとメインのシーンというか、フジテレビらしくアニメのキャラクターが立体になる構成でした。同じところでロケしたんだろうな。ヨウ子と一緒だったのも同じ。

 

サザエさん」は小さい頃は見てたけど、だんだん見なくなった。でも家族構成などは未だにばっちり覚えている。

で、原作じゃなくて、こういう謎本は買って読んだなー。結構面白かった。また読んで見たく…いやいや、長谷川町子さんの原作が読みたいのでどうか電子書籍化を望みます。「のらくろ」「フクちゃん」も読みたいな。

www.kfca.jp

www.kcf.or.jp

www.hasegawamachiko.jp

それぞれ何かしら展示する建物がそれぞれあるのがすごい。