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【連続テレビ小説】純ちゃんの応援歌 (84)

公式あらすじ※初見の方、ネタバレ注意 

試合後、純子(山口智子)が昌代(日色ともゑ)を連れて帰ってくる。純子は雄太(唐沢寿明)に、会いたくなかったら会わなくてもいいと言うが、雄太は二階で2人きりで向き合う。雄太は昌代に、幸せになってほしい、そして、僕のお母ちゃんは小野あき(伊藤榮子)という人で、僕は小野雄太だ、と宣言する。あきと昭(西川弘志)は2人が何を話してるのか気になるが、昌代が帰りがけに、雄太がゆるしてくれたとあいさつすると…。

昭と雄太のそして純子の夢でもあった上町高校の甲子園への夢は4回戦で絶たれました。そして、その日の夕方、小野家へ一人の客が訪れたのであります。

 

一人ミシンを踏んでいたあきのもとに純子が昌代を連れて帰ってきた。

純子「雄太のお母さん、来はったんや」

昌代が頭を下げ、あきも頭を下げる。昌代は玄関で土下座をした。

あき「あの、お母さん…」

純子「あの困ります。どうぞ手を上げて」

昌代「いいえ。私、雄太を産んだ女でございます」

 

あき「ほんまにそんなことされたら…」

昌代「失礼を承知の上で申し上げます。これまで雄太を立派に育ててくださいまして本当にありがとうございました。今日初めてあの子の試合を見ました。すっかり大人の体になって…」

あき「あの…ここでは話もできませんよってどうぞお上がりになって」

純子「どうぞ」

昌代「それではお言葉に甘えて失礼いたします」

 

純子は上座に座布団を出す。「どうぞ」

昌代は座布団をずらす。

あき「あの、どうぞお当てになって」

こういうマナーみたいなの昔の作品だとさりげなく出てくるね。peachredrum.hateblo.jp

昌代「あの…。皆様、お変わりなくて?」

あき「はあ、おかげさんで。そちらさんも?」

昌代「はい」

気まずい二人。それなのに純子は出かけてしまった。

あき「昭とは実の兄弟以上にしてますのや。雄太の方がお誕生日が2か月ほど早いもんやさかいお兄さんということで」

昌代「そうですか」

 

純子は外で雄太を待っていた。

雄太「お姉ちゃん!」

昭「ええ球やってんけどな。すくわれて風に乗ってしもた」

 

純子「雄太、あのな九州のお母さんが来てはんのや」

雄太「お母さん?」

昭「いつ?」

純子「実はなずっと試合を見てはったんや」

昭「どこで? 雄太、お前、知ってたんか?」

雄太「知らん」

 

純子「お母さん、雄太に気付かれんように隠れて見てはったんや」

雄太「何で今日の試合のこと知ってたんやろ?」

純子「それはお姉ちゃんが時々手紙書いてたさかい。今度の予選に雄太が投げるってことも書いといたさかい。お母さん、調べはったんやて」

昭「雄太のお母さん、うちに来てはんの? 何しに?」

 

純子「お母ちゃんに雄太を育ててもろたお礼が言いたいて言わはって。でも最初はお姉ちゃんからうちに来てくださいと言うたんやで。雄太はどないする? お母さんに会う?」

雄太「何でそんなこと聞くんや? 俺に会わせるつもりでうちに連れてきたんやろ」

純子「そやないねん。雄太がもしお母さんにどうしても会いとうないと言うねやったら、このままぬひさんとこで待っててもええんよ。それを言おう思て、こうして外に立って待ってたんや。この前は無理にお母さんに会わせたけど、今日は雄太のしたいようにしたらええ。会うつもりがあるのやったらお入り。その気がないのやったら…」

 

雄太「お母さんはうちのお母ちゃんと何を話してるんや?」

純子「何て?」

雄太「俺が会うたら、お母ちゃん、嫌な思いがするのと違うやろか」

昭「そんなことないやろ。僕らのお母ちゃんはそんなお母ちゃんとちゃうて。雄太、考え過ぎや」

 

純子「どないする?」

雄太「そやな…。会うてもええわ」

純子「そうか」

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子供の頃も最初は会わないと言っていたけど、秀平が話をすると、雄太「みんながそう言うんやったら会うだけ会うてもかまへん」

 

純子「それやったら、ただいま言うて元気にお帰り」

昭「大丈夫。どうちゅうことないて」

雄太「別にビクついとるわけやないわい。けど、てれくそうてかなわんわ」

昭「ちゃんと挨拶せえよ」

雄太「やかまし

純子「フフフ、ほな行こか」

 

会話もつきたっぽいあきと昌代。昭は「負けてしもた」といつものように家に入っていく。

昭「雄太の一番自信ある球打たれたんやもん、後悔はしてへん。そやけどもうちょっとやったのにな」

あき「お母さんな、試合をずっと見てくれてはったんやて」

雄太「こんばんは」

 

昌代「背はどれぐらいあるの?」

雄太「え…175センチ」

昭「目方は57キロです」

 

さっきちょっと調べたら、唐沢寿明さんのプロフィール175センチ、57キロと今も変わってないみたい。すごい!

 

あきは2階に上がってもらったらと提案。雄太「ほな行こか」と昌代に話しかけ、2階へ。

あき「雄太、会うて言うたの?」

純子、うなずく。

昭「お姉ちゃん、何か食べるもん持ってったって。僕も雄太も腹ペコなんや」

あき「蒸しパンやったらあるけど」

昭「うん」

純子「ほな、持っていくわ」

 

2階

雄太「何か言うてえな。黙ってられるとどないしてええのか分からんようになってしまうわ」

昌代「お母さんも何を話していいか分からないのよ」

雄太「それやったら僕の方から言うけど、僕はもう小野の家の人間なんや。それだけは分かってほしいねん」

昌代「分かってるわ。純子さんが時々、雄太のことを知らせてくださるから、お母さん安心してるの。よかった。お母さんは満州で雄太のことを捨てたでしょう。死ぬつもりだったけど結局はこうして生き残って。お母さんが一番心配してたのは…」

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雄太「大丈夫や。見てのとおり別にグレてるわけやなし。お母さんのことも今はもう別に何とも思てない」

昌代「ほんとに?」

雄太「ほんまや。そやからお母さんももうそのことは気にせんといてほしいわ。それよりも…」

何か言いかけたところで純子が麦茶と蒸しパンを持ってきた。

 

雄太「それよりもお母さん、幸せになってほしいねん」

純子が思わず雄太を見る。

雄太「ちょっとお姉ちゃん、遠慮してえな」

純子「うん、ごめんな」

 

雄太「僕は今、幸せや思うてる。そやからお母さんが不幸やったらつらいねん。僕とお母さんはしかたなくこうなったんと違うやろか」

昌代「雄太…お母さん、雄太に許されたと思っていいのかしらね」

雄太「許すとか許さんとかいうことと違うやろ。誰のせいでもないんや。お母さんに責任はあらへん。僕も来年の春には卒業やさかいな。自分の生き方は自分で考えないかんとこに来てんねや。お母さんには残酷かも分からんけど、僕のお母ちゃんは小野あきという人や。僕は小野雄太や」

昌代「ありがとう、小野雄太君。そうね、別々の人生を一生懸命歩いていくしかないわね」

 

雄太「お姉ちゃんが作ってくれた蒸しパンや。僕が一番好きなおやつや」

昌代「そう」

昌代はちょっとずつ、雄太は豪快にかぶりつく。

昌代「よかった、来て」

 

1階

昭「何話してた?」

純子「…」

昭「なあ、雄太何話してた?」

純子「お母さんに幸せになってほしいって言うてた」

 

2階から降りてきた雄太と昌代。昌代は手をついてお礼を言った。「雄太が私のしたことを許すと言ってくれました」

あき「そうですか」

昌代「私が考えていたよりずっと大人になっていて…。本当にありがとうございました」

 

あきにも純子にも昌代の胸の内は痛いほど分かるのであります。満州で一度は捨てた子に許される喜びと同時に今はっきりと我が子が自分の手の届かない所にいる寂しさを味わっているに違いないのですから。

 

昌代が帰って行く。

昭「雄太、送ろう」

雄太「えっ?」

純子「そうや、駅まで行っておいで」

昭「なっ、送ろう。一緒に行ったるから」

雄太「ええて」

昭「そんなことない」

 

昭「おばさん、待ってください! そこまで送ります!」

暗がりだったけど、雄太が昌代の荷物を持って歩いていったように見えた。

 

帰ってホッとしているあきに純子が「後で相談したいことがあるねん」。

純子「大切なことやから後でゆっくりと聞いてほしいねん」

あき「何やの?」

純子「待って。お母ちゃんに相談する前に自分の気持ちをはっきりさせなあかんことやねん」

あき「純子…」

 

あきさんも大変だ~。雄太も大人だし、昭も優しいし、立派に成長したよ。